その価格 って? 和貝書解題-4

September 20 [Fri], 2013, 19:58
 


タイトル:日本千貝目録
著者:平瀬与一郎 著
出版者:平瀬介館
出版年月日:1910(明治43)
[ http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/994074 ]

岩川目録を除くと、最古の,日本人の手による目録。
日本のこれら目録類を比較的整理、一覧している
肥後目録においても最古に位置づけられている。

岩川の
Catalogue of Japanese mollusca in the Natural History Department, Tokyo Imperial Museum (1909)
[ http://archive.org/details/catalogueofjapan00tokyrich ]
に啓発されて、などと殊勝なことが書かれているが,
なんとこれ、平瀬介館の 「 通販カタログ 」 である!

『 黒田徳米ものがたり 貝に魅せられた一生 』(東 薫・著/築地書館)
によると、本書は黒田先生の手によるものとある。
ここでも多くの和名新称が
特に陸貝について提唱されている。
エゾアワビなんてのもここで。

新称を与えられたものチェックしてみると、個人的にいろいろ引っ掛かりが。
たとえば Zafra sinensis ケシマツムシ、
産地を見ると小笠原とある。
うーん小笠原でケシマツムシ、
すくなくとも sinensisの学名にあたる貝、
とれてた気がしない。。。
実体が。。。怪しい。。。

なんて穿り出すと大変なので、詮索はそれくらいにして、
お値段を見てみると、これが面白い。

時代がら、深場のモノはほとんどはいっていない。
最高額2円をつけているのが
トウカムリ、マンボウガイ、ともに琉球産。
アオイガイが1円50銭
タコブネ、タイラギ、シャゴウ、ヤコウガイが1円
大きい物はいい物だ、な感じ。

これに対して、
ユウビガイ 30銭
エンザガイ類7種 10-12銭
カタマイマイ類5種 10-35銭
って、今買うんなら絶対こっち。
 
まあ,書いたように、実体のわからないものに基づき、
多くの新称が提唱されているので、
これもどっかで大幅なチェックを入れないとなぁ,とため息。

この時代の面白いのは巻末の広告。
介類雑誌休刊の告知とともに
 


壮大な計画が唱われているが,結局資金的に無理があり,頓挫。
かろうじてその強い意志を示したのが
『日本産笋貝類図説』(1917)
[ http://archive.org/details/terebridaeofjapa00hira ]
だろうか。



同定依頼のガイドラインも面白い。
「 貝類手引草 」 では、鑑定料をとるかわりに
標本返送を(送料を送れば)可としているが、
ここでは依頼標本は介館に寄贈のこととあり、
1913年(大正2年)の平瀬貝類博物館開館へ向けての
あるいは図説作成のための
コレクションの網羅性をあげるためか、
それとも単に雑事が増えすぎて面倒な事務処理を減らすためか、
なかなかに面白い。

平瀬介館 彩色石版 珍貝繪葉書 17銭
「何れも精巧なる石版刷標本畫はがきにて學名和名を附せり。稀貝標本にして普通採集家の箱中に集め難きもの以て其代用をなすを得べし。」
って、どんなものだったんだろう。
すごく気になる。。。。
 
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