いにしえの絵ハガキ って? -2

August 24 [Mon], 2009, 21:08
絵はがきネタをもうひとつ。


日本貝類学会発行の絵葉書であるからして
当時の選りすぐりの珍貝を印刷したものだったと思われる。

アメリカの古書店から買った『山口県産貝類目録』(1956)の
見返しの間に挟まっていた。
包みには
どこにも発行年等の記述がないので詳細がわからない。

包みに "Edited by I Taki" とある。
目録の発行された当時の貝類学会長は「瀧巌」先生で、
科博には「瀧庸」先生がいた。
おそらく標本へのアクセスを考えると後者が編者と思われる。

そこらへんを頼りに Venus のバックナンバーをチェックすると、
20巻2号 (1958) の「大会日程の予定」という記事に
科博で行われた「世界貝類展」ほかの日程と共に
記念出版物として
「珍しい貝類の絵葉書、8枚一組、50円、2集までできている」
とある。

この年は、学会創立30周年だったようで、その記念出版物だったようだ。
この年、アメリカでは日本の貝にゆかりの深い Pilsbry が亡くなっている。
記念大会の会告には「会員各位の秘蔵標本の出品を希望」などと書かれている。
和やかな時代だったのがうかがわれる。

おもしろいのは、3号 (1859) の裏表紙、紹介というところに
「テラマチオキナエビスガイ(桜井欽一氏所蔵標本)の石膏模型、白色、1個1,500円」
というのがある。
いまでは、普通種に成り下がってしまった貝だが、
当時はかなりの『珍しい貝類』だったことを窺わせる。
今だったら、この石膏模型の方が相当に珍品。

さて、掲載種だが
第1集には
オトメダカラ・リュウグウボタル、シャクシガイ・ユメハマグリの一種(タスマニア産)、ニシキヒタチオビ・サツマツブリ・ショクコウラ、エゾキンチャク・ミノガイ、ホネガイ、ショウジョウガイ、ウグイスガイ、リュウキュウアオイ
第2集には
オオイトカケ、チマキボラ、イトグルマ、マツカワガイ、アンボンクロザメ、リンボウガイ・クマサカガイ、ミズスイ・アラオニムシロ、ヒガイ・ハシナガソデガイ・ハマユウ
が選定されている。



オトメダカラなど、現在でも珍品のものもあるが、
多くは「土佐揚がり」など、トロールで採集される、やや深めの、奇抜な形の貝類が選ばれている。
現在の貝類標本マーケットから見るとほとんどは普通種だが、
当時の蒐集の様子をうかがわせる、
半世紀前の、なかなかにレトロで、趣きのある絵葉書です。
  • URL:https://yaplog.jp/bibliophilia/archive/174
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