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綿いっぱいの愛を!

/ 2019年01月08日(火)


年末は夫実家に帰省でした。
長男はワクワクと荷造りを開始してリュックサックにアレもコレもとおもちゃを詰め込んで、そんなに持ってけねーよと全部出されるのを何度か繰り返し、結局お気に入りのぬいぐるみをパートナーに選んだ。名前はパンちゃん。しろくまの男の子。
かさばるなぁと思ったけれども、これが異常に役に立ったのだった。長い電車移動も、
「パンちゃん!ほら、電車乗ってるよ!」
と窓の外を見せてあげたり、飛行機でも
「パンちゃん、ちゃんとシートベルト入って!」
と進んでベルトにねじ込み、離陸の際には一緒に感動し、義実家についても向こうのオモチャとコラボして遊び、お散歩中は寒いからお腹に入れて歩き、綺麗なものや楽しいものを見たときは
「しゅごいよ!パンちゃーん!」
と感動を共有していた。もちろん寝るときも一緒。
パンちゃんのおかげで比較的駄々をこねることも少なく、機嫌よく過ごせていた気がします。
あと単純に少年とクマちゃんというビジュアルが可愛い。




ありがとうパンちゃん、あんた助演男優賞だよ!

しかしながらアレだわ、インサイドヘッドやトイストーリーシリーズで号泣してしまう人にはわかると思うんだけれども、子供がぬいぐるみと遊んでると、なんかもう見ていられなくなるんですよ。沈むと分かっているタイタニックのオープニング見てるような気分というか……。

かつて私にも仲良しのぬいぐるみがいっぱいいて、いつも姉の小暗と遊んでたんです。
古ぼけて綿が完全に寄っちゃってて、色も茶色くなってるけど恐らくはじめは白かったであろう猫のぬいぐるみ姉妹のミミちゃん、にゃーちゃん、ミーちゃん、それから末っ子の熊さんのしいちゃん。しいちゃんはトロくて三姉妹に置いていかれがちで、いつも「待って待って〜」ってみんなを追いかけていた。
私はそんなしいちゃんと仲良しで、遊び相手だったり話し相手だったり八つ当たりの的であったり、なんなら恋人の練習であったり、十年以上ずっと友達だった。
それでも、いつのまにか抱きしめることも頭を撫でることもしなくなり、実家の押入れの中でほかのぬいぐるみと一緒に長い間忘れさられ、実家を売る際、母に
「これ捨てるけどいい?」
と言われた時にはゴミみたいにビニール袋に入れられていた。ビニール越しのしいちゃんを見たら私は何も言えなくなった。

子供の頃、頭の中にはいつもいろんな世界が広がっていて、私はこの綿の詰まったフワフワの友達と、たくさんの冒険に出かけたのを思い出す。
畳部屋にあったぺったんこのマットレスはアマゾンの凶暴なワニから私たちを守る船で(そこから落ちたら死ぬ)、寝室の電気の紐は空からの命綱(落ちたら死ぬ)、私たち姉妹のベッドの外は星が散りばめられた宇宙で(ベッドから出ると死ぬ)、破れかけのお手玉だってごちそうになった(まれに毒入りがあり、食べると死ぬ)。
ミミちゃん、にゃーちゃん、ミーちゃん、しいちゃん、壊れたオルゴールのピエロ、パンダの兄弟、結婚式でもらったゴリラたち。あの子達と一緒だったら私はどこにでも行けたし何にでもなれた。みんなみんな友達だった。みんなみんな生きていたのに。ビニール袋にぎゅうぎゅうに入れられたあの子たちはもう何も話さなかった。それは私が話しかけるのをやめたからだった。

今、私はお母さんになって、頭の中は冒険よりもごはんの支度とお風呂と寝かしつけでいっぱい。
息子のお友達はパンちゃん。しろくまの男の子。
君たちはどんな旅をするのかな。それもいつか忘れてしまうのかな。


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