回想5

February 24 [Thu], 2005, 21:24
梨紅は、自分の腕の中にいる瑠羽と、一貴にごめん、とささやいた。
瑠羽はなにもいわなかった。
一貴はじっと、梨紅をみていた。
梨紅は思わず苦笑をもらした。
なにもいってやしない、だからわかっていないはずの二人には、
苦痛と同時に、自分の気持ちが通じてしまっているらしい。

自分の味わった絶望を。

瑠羽は視線を何度か梨紅と一貴に交互にやって言葉を捜している。
だけど、いえないで。
言葉をさがしては、自分の唇を無意識に何度も舐めて。

だけど、やはりいえないでいた。

一貴はまったく、と呟くとそれだけをいって、二人から離れ、
断りもなく、梨紅のベッドに腰を下ろした。


「で?」
沈黙を破ったのは、一貴で。
「なにがあった?」
一貴はそういって、梨紅に視線をむけたまま、気安く言った。
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