回想3

February 20 [Sun], 2005, 22:30
ドアはノックされるまでもなく、開かれ、飛び込んできたのは見慣れた小さな姿だった。
「瑠羽?」
名前を呼ぶと、小さな彼女はそのまま、梨紅の腕の中に飛び込んだ。
息が荒い。
なにがなんだか、わからず、腕の中の少女の後頭部を見つめる。
「・・・たい」
「え?」
小さい声はききとれず、しかし、すぐに、悲惨なさけびが聞こえる。
「いたいっ!!梨紅、痛い!!」
「瑠羽・・・?」

「感応してんだろ」 

響いた静かな声は、この場にいる二人の女の、どちらの声でもなく。
そっと目をやれば、部屋の開け放たれていたはずのドア口に身を預け
二人を見下ろしている一貴の姿があった。
梨紅が、そっと視線をやれば、彼はその長身を、かがめ、
部屋に入り込み、いらだたしげに自分の金色の髪をかき混ぜた。

「梨紅、お前な、他のやつらの被害も考えず、自分の感情垂れ流してんじゃないよ」
「ちき・・・」
「梨紅の馬鹿!!もうやだっ痛いっ!!」
瑠羽はそういって、涙を流している。

そこまで聞いて、やっと梨紅は自分の能力が、
自分の意志に関係なく今の自分に与えられている絶望を
まるで電波に乗せるようにして、
他の者たちに伝えたことを知った。

精神感応、
その、彼女の独自の能力によって。

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