『慧眼 スカウト・デイズ』本城雅人 PHP研究所   〈水彩・・・人物像〉

September 19 [Wed], 2018, 11:46
細々と続けている水彩画。

あまり熱心でない生徒であるのは誰の目からも一目瞭然ですが、先生にも熱心に教えていただいて・・・感謝しながら、いつ辞めようかなどと不届きな考えが浮かんでは消え。


月に2回のお稽古日。


先日のお稽古日・・・朝から買い物に行って、帰宅してから料理に没頭していたらすっかり忘れて連絡もせずドタキャンという体たらく。


怖くて先生に、すっかり忘れていました、のメールも入れられず、次の日を迎えます。


罪滅ぼしではないけど、その前にあった人物像を自分なりに仕上げて持って行くつもりで彩色しました。


バレリーナの卵、小学6年生。


真っ黒なチュチュとピンクのトゥシューズがかわいいさあやちゃん。







ポーズの決め姿が決まっていて微笑ましかったです。




本城雅人氏著『慧眼 スカウト・デイズ』 


「俺と同じものを見ていながら、おまえは、なにも気づいていない。 
ミクロコスモス・ギャラクシー・チーフスカウト堂神恭介(どうがみ きょうすけ)。
彼は、球界で“怪物スカウト”と恐れられ、選手獲得のためなら手段を選ばず、裏社会との黒い噂も絶えない人物だ。
その堂神が「人気球団G以外なら野球浪人します」と宣言した大学生を強行一位指名した!? 
Gに喧嘩を仕掛けたのだ!
――「ドラフト一巡目 指名拒否」ほか5篇を収める」 


2010年に刊行した『スカウト・デイズ』の続編。 

『スカウト・デイズ』のレビューはこちら →


そのたった一日のために鎬を削るプロ野球スカウトたちの姿と、周囲で蠢く男たちの思惑と欲望が交錯する連作短篇集。


短篇ながら読み応えがありました!

というより幕間にちょっと息をつけるという・・・こんな連作短篇、夜寝る前に読むにはもってこいです(^.^)


第一弾と同じく万年Bクラスのパ・リーグ〈ギャラクシー〉のチーフスカウト堂神を主人公に、年に一度のドラフト会議に向けて、同じチームのスカウティングのメンバーたち、他チームのスカウトたち、スポーツ新聞の記者たち、スカウト対象の社会人野球や大学、高校の野球部監督たちとの駆け引きが緻密に描かれています。


フィクションと銘打ってはいますが、金満球団Gの抜け駆けには金銭ではない抜け駆けで・・・などずっと前にスポーツ界を賑わした諸々などを匂わせる事件なども登場して野球ファンのみならずそうでない読者にも魅力満載のスポーツ小説となっています。


加えて第一弾に登場した、堂神の下でスカウトのイロハを鍛えられたクボジュンのその後の目覚しい成長ぶりも垣間見えて魅力的な作品でした。


著者の野球界の裏側に対する知識の深さに脱帽です。


詳しくは手にとって楽しんでください。

『『どうしても嫌いな人 すーちゃんの決心』益田ミリ 幻冬舎文庫  〈My birthday雑感〉

September 16 [Sun], 2018, 17:26

次々と送られて来し「おめでとう!」誕生日のスマホに絵文字が踊る
昨日は私の誕生日。


自分自身、また一つ増えちゃった、どうしたことだろうという感覚があるだけですが、お互いの誕生日には「おめでとう」の言葉やプレゼント交換という習慣のある我が家。


深夜12時を過ぎた頃の次男とお嫁ちゃんのそれぞれの「おめでとう!」を皮切りに、夜までの間バラバラにお祝いメッセージが絵文字とともにスマホに送られてきて賑やかな一日でした。



数年前より私の誕生日は夫がずっと食事担当となっていて、外出がなければ朝、昼、晩と食事の心配をしなくていい日となっています。


主婦としては最高に嬉しい一日。


ディナーはたいてい夫のおごりでステーキが定番。


誕生日でなくてもステーキのときはたいてい夫が焼くので珍しくないのですが、夫が自ら選んで買うステーキ肉は値段を度外視しているのでとてもおいしい・・・けれど高い!!


私だったらぜったい買わない値段!

でも80gほどで満足なのでまあいいか。 


ということでやわらかい極上のサーロインステーキをいただきました〜。



あまりおいしそうに見えないけど、すごくおいしいステーキでした!


後片付けもぜ〜んぶ夫・・・毎日誕生日だったらいいのに・・・という儚い願望はあっという間に過ぎ去りました(ーー;)






さて今日のレビューは益田ミリ氏著『どうしても嫌いな人 すーちゃんの決心』です。 

「その人のことを思い出すだけで、心の中がざわざわしてくる。
カフェの店長になって2年目のすーちゃん36歳には、どうしても好きになれない人がいる。
いとこのあかねちゃん30歳もまた、苦手な後輩にイライラ……。
クラス替えも卒業もない大人の社会で、人は嫌いな人とどう折り合いをつけて生きているのか。
ベストセラー4コマ漫画第3弾」


以前このブログで『キュンとしちゃだめですか』 『そう書いてあった』をご紹介したとき、ミリさんファンを公言していましたが、今も変わらず。  

 
ほんとはミリちゃんと呼びたいところですが、ミリさんで。


1コマイラストとエッセイの形で伊藤りささんと益田ミリさんが交互に朝日新聞に連載されている「オトナになった女子たちへ」を読むのがいまも楽しみ。


そんなミリさん、2016年の秋お父さんが亡くなられるという悲しい出来事がありました。


今年初めに刊行された『永遠のおでかけ』にはそんなお父さんとの思い出が詰まっていて切なくなりますが、ミリさんのエッセイには私たちの小さな心の襞にある取るに足らない喜びや悲しみ、怒りといったものをピンセットでひょいと掴んでてのひらに乗せてじっと味わってみるというふうな、なんとも絶妙な俯瞰力というか空気感あるんです。


そこに惹きつけられる私。


親子ほどの年齢差のあるミリさんに教えられること多々。


決して力強くない、というよりむしろ頼りない雰囲気なのにふんわりと包んでくれるような・・・。


本書に登場する主人公のすーちゃんの「嫌いな人」にもあるある感満載。


ただ「嫌いな人」じゃない・・・「どうしても」がつく「嫌いな人」。


人を嫌いになるということを経験していない人はいないと思いますが、それと同時にその人を嫌いだと思う自分自身に嫌悪感を持ったという人も多いのではないでしょうか。


なぜそこまでその人が嫌いなのか、と冷静に分析しても行き当たるのは自分と考え方生き方が違うから、という観念的なものが多くて、そこを掘り下げると行き当たるのは・・・自分だって周りの人々に随分様々なことで許されているのに・・・という自己嫌悪・・・少なくとも私の場合。



克服しよう、改善しようと思っても努力だけでは解決しない感情・・・「どうしても」にはそんな葛藤が読みとれて共感が倍増します。


どう努力してもどうしても嫌いな人へのすーちゃんの関わり方、接し方。


なるほどそう来るかと思わされた一冊でした。

『おらおらでひとりいぐも』 河出書房   〈不思議な現象〉

September 12 [Wed], 2018, 16:11
先日のこと。

話しても誰も信じないかもしれない不思議な現象(?)を体験しました(笑)


卓球をしているので車の後部座席の隅っこに置きっぱなしのラケットとタイマー。


タイマーは10分ラリーをしては5分休憩というローテーションのためのもの。


このタイマー、通常はスタートボタンを押さないかぎり静かに眠っているのですが、車の振動によってラケットに押されてか時々目覚めて勝手にピッピッピッと鳴るときがあるんです。


先日、所用で夫と車に乗っていたときのこと。


音楽好きの夫は運転中は必ずCDかFMをかけているのですが、ちょうどFMからベートーベンの交響曲第3番変ホ長調「英雄」が流れてきました。


大好きな曲なのでボリュームを上げたそのとき・・・


後部座席のタイマーが「英雄」に呼応したように同じリズム(としか思えない)をとりながらずっと鳴り続けて・・・。


アップテンポのところはアップテンポで、スローなところはスローで、タッタッタッタッータータッタッター・・・というように変化をつけて。

いままで聞いたことのないようなヴァリエーションのリズムで。


ほんとのほんとの話。


思わず驚いて夫と顔を見合わせて、しばらく聴きほれてしまいました。


理系の頭脳の持ち主なら納得のいく解明を示してくれそうですけど、いかんせん感覚的頭脳で勝負の私たち、ただ不思議の世界に浸っていました。





さて本日は若竹千佐子氏著『おらおらでひとりいぐも』のご紹介です。 

「74歳、ひとり暮らしの桃子さん。
夫に死なれ、子どもとは疎遠。
新たな「老いの境地」を描いた感動作!
圧倒的自由!
賑やかな孤独!
63歳・史上最年長受賞、渾身のデビュー作!
第54回文藝賞&第158回芥川賞受賞作」


評判の作品、銭ママ→花オクラさんを介して回してもらってやっと読めました〜。


まず目を惹くタイトルは有名な宮沢賢治氏の詩『永訣の朝』の岩手弁の一節からのもの。


著者は宮沢賢治氏と同じ岩手県出身。


結核で亡くなる妹セツとの別れを謳った『永訣の朝』は私の心に深く残っている作品です。

少し長いけれど書いておきます。

『永訣の朝』
けふのうちに
とほくへいってしまふわたくしのいもうとよ
みぞれがふっておもてはへんにあかるいのだ
(あめゆじゅとてちてけんじゃ)
うすあかくいっさう陰惨な雲から
みぞれはびちょびちょふってくる
(あめゆじゅとてちてけんじゃ)
青いじゅんさいのもやうのついた
これらふたつのかけた陶椀に
おまへがたべるあめゆきをとらうとして
わたくしはまがったてっぽうだまのやうに
このくらいみぞれのなかに飛びだした
   (あめゆじゅとてちてけんじゃ)
蒼鉛いろの暗い雲から
みぞれはびちょびちょ沈んでくる
ああとし子
死ぬといふいまごろになって
わたくしをいっしゃうあかるくするために
こんなさっぱりした雪のひとわんを
おまへはわたくしにたのんだのだ
ありがたうわたくしのけなげないもうとよ
わたくしもまっすぐにすすんでいくから
   (あめゆじゅとてちてけんじゃ)
はげしいはげしい熱やあえぎのあひだから
おまへはわたくしにたのんだのだ
 銀河や太陽、気圏などとよばれたせかいの
そらからおちた雪のさいごのひとわんを……
…ふたきれのみかげせきざいに
みぞれはさびしくたまってゐる
わたくしはそのうへにあぶなくたち
雪と水とのまっしろな二相系をたもち
すきとほるつめたい雫にみちた
このつややかな松のえだから
わたくしのやさしいいもうとの
さいごのたべものをもらっていかう
わたしたちがいっしょにそだってきたあひだ
みなれたちゃわんのこの藍のもやうにも
もうけふおまへはわかれてしまふ
(Ora Orade Shitori egumo)
ほんたうにけふおまへはわかれてしまふ
あああのとざされた病室の
くらいびゃうぶやかやのなかに
やさしくあをじろく燃えてゐる
わたくしのけなげないもうとよ
この雪はどこをえらばうにも
あんまりどこもまっしろなのだ
あんなおそろしいみだれたそらから
このうつくしい雪がきたのだ
   (うまれでくるたて
    こんどはこたにわりやのごとばかりで
    くるしまなあよにうまれてくる)
おまへがたべるこのふたわんのゆきに
わたくしはいまこころからいのる
どうかこれが天上のアイスクリームになって
おまへとみんなとに聖い資糧をもたらすやうに
わたくしのすべてのさいはひをかけてねがふ


さて本書に戻ります。

〈あいやぁ、おらの頭このごろ、なんぼがおがしくなってきたんでねべが〉

現在74歳、独り暮らしの主人公桃子さんの意思に関係なく内面から勝手に浮き上がってくる東北弁の声からスタートする本書。


結婚を3日後に控えた24歳の秋、東京オリンピックのファンファーレに押し出されるように故郷を飛び出した桃子さん。

身ひとつで上野駅に降り立ってから50年――住み込みのアルバイト、周造との出会いと結婚、二児の誕生と成長、そして夫の死。


「この先一人でどやって暮らす。こまったぁどうすんべぇ」


40年来住み慣れた都市近郊の新興住宅で、ひとり茶をすすり、ねずみの音に耳をすませるうちに、桃子さんの内から外から、声がジャズのセッションのように湧きあがってきます。


桃子さんの内側に棲む性別も年齢も不詳の大勢の声。



この声に支えられたり突き上げられたりしながら桃子さんは孤独と対峙し、自らの境遇を納得し、自分の手で淋しさと清清しさという豊かさを受け取るという作業を日夜繰り返しています。


「東京オリンピックの年に上京し、二人の子どもを産み育て、主婦として家族のために生き、夫を送って「おひとりさまの老後」を迎えた桃子さんは、戦後の日本女性を凝縮した存在だ。桃子さんは私のことだ、私の母のことだ、明日の私の姿だ、と感じる人が大勢いるはず」
――斎藤美奈子氏

「宮澤賢治「永訣の朝」にある「Ora Orade Shitori egumo」のフレーズ。それを悲しみのうちに死ぬの意ではなく、独り生きていく「自由」と「意欲」に結びつけた。「老い」をエネルギーとして生きるための、新しい文学が生み出された」
――藤沢周氏

「人の気持ちは一色ではないということを、若竹さんはよくぞ摑んだ。年を経たからこその、若々しい小説」
――保坂和志氏

「取り返しのつかない命のなかで、個人の自由や自立と、その反対側にある重くて辛いものも含めた両方を受け取って、人生を肯定的にとらえるまでにいたったのが見事」
――町田康氏


「死すことのない共同体の言葉。それが支える「老い」の姿に初めて触れた。「頭の中に大勢の人たちがいる」ことは、きっと孤独ではない」
――小林紀晴氏

高齢化、少子化、未婚や離婚率の増加など、「孤独に生きる」環境を余儀なくされるような社会になっている今を生きている私を含めたすべてのシニア世代の心模様を桃子さんが代弁してくれているような・・・そんな作品でした。


生き物はいったん生れたらその延長上には必ず死が存在するという当たり前のことがなかなか受け取れない人間の業や人間関係の呪縛から解き放たれたい、しかしすべて解き放たれたくないという相反するものを言い得て妙という感じで桃子さんの内の声が放つ・・・面白い設定に唸りました。


この作品は「青春小説」の対極に位置するということで「幻冬小説」の分野に入るそうです。


同じ老後の孤独を描いた下重暁子氏の『極上の孤独』がベストセラーになっているようですが、こちらは読みたい気がしない。。。


〈孤独〉がどうやったら〈極上〉になるのか・・・極上の理性と潤沢な老後の資金とあふれる知性と教養が必要なんじゃないかとつい勘ぐってしまう自分・・・読みもしないのに。


桃子さんがぐっと身近なのは孤独の淋しさと自由さという相反する感情を上手に同居させているところにあります。

これなら私でもやれそう・・・

これからのますますの命題として混沌と生きるのもよかろうと思いつつレビューを終わります。

『サイレントステップ』本城雅人 新潮社   〈花オクラの花〉

September 02 [Sun], 2018, 10:37
SNS友の花オクラさんが花オクラの花を摘んでもってきてくださいました。

ジョークではなく正しい文章(^.^)


〈花オクラ〉は友人のHNなんです。



以前彼女から花オクラを一株もらって育てているのですが、中々念願の花が咲かず・・・。

やっと天辺に蕾がついたという状態。


毎日たくさんの花が咲いているという花オクラさんが気の毒に思ってか持ってきてくださったという経緯。


ちなみにオクラの花と花オクラの花は違います。

食べられるのは花オクラの花。


調理法を彼女に聞いて・・・

さっそくサラダにして食べました〜。



今夜は花びらに肉みそを乗っけてみよう。


一日か二日しかもたないようなので、早く食べなければと焦ります^^;


オクラの花というだけあって無味の花びらを噛むとかすかにねばりが感じられます。


まだの方は一度お試しあれ。






本日は珍しく競馬界を描いたミステリーのレビューです。


本城雅人氏著『サイレントステップ』 


「日本一の騎手の二番手。
僕の父さん。
負けても笑って、また来週も馬に乗る。
大嫌いだった。
そんな父さんが12年前レース中の落馬で死んだ。
でもあれは本当に事故だったのか?
真実を探るために騎手の道を選んだ息子が疑いの目を向けているのは――。
核心に迫るにつれ忍び寄る危機。
かつては誰かの息子だったあなたへ。
男泣き必至の競馬サスペンス!」


レース中の落馬事故で死んだ騎手を父に持つ息子・小山和輝が主人公。


父の事故死に疑いを抱きながら成長した和輝が事故死の謎を追うべく騎手となり、騎手として徐々に成長しながら事件の核心に迫っていくというミステリー要素仕立ての内容。


和輝の疑いの的となっている人物に少しずつ近づいていく過程で描かれている競馬界の複雑な人間模様が興味深く最後まで飽きることなく読了。


苛酷なジョッキーの世界。

競走馬の育成や調教、厩舎作業。

馬主と騎手の関係。

ファーストジョッキーとセカンドジョッキーの関係。


何より騎手と馬との関係。


騎手の気持ちに添おうと頑張る馬。


試合の途中で馬の持っている闘争心を煽ってコントロールする騎手の手さばき。



どれを取っても目の前に広がる未知の世界。


走っている馬の息づかい、筋肉の盛り上がりなど躍動感が伝わってきます。


ミステリーとしての要素は濃密ではなかったものの主人公の成長譚として読めば読後感は爽やか。


ダービーで優勝を重ねている武豊騎手とか、落馬事故で壊滅的な後遺症を負った福永洋一、最近日本ダービーで悲願の優勝を果たした息子の福永祐一といった名前くらいしか知らない私でもじゅうぶんに楽しめた作品でした。

『BUTTER』柚木麻子 新潮社  〈十五夜の月〉

August 27 [Mon], 2018, 21:07
昨日は十五夜。


夫に手招きされて窓辺に寄るとビルの谷間に大きな満月が輝いていました。


満月を眺める位置に椅子二つ夫との余生に深みゆく秋







さて本日は柚木麻子氏著『BUTTER』です。 


「木嶋佳苗事件から8年。
獄中から溶け出す女の欲望が、すべてを搦め捕っていく――。
男たちから次々に金を奪った末、三件の殺害容疑で逮捕された女、梶井真奈子。
世間を賑わせたのは、彼女の決して若くも美しくもない容姿だった。
週刊誌で働く30代の女性記者・里佳は、梶井への取材を重ねるうち、欲望に忠実な彼女の言動に振り回されるようになっていく。
濃厚なコクと鮮烈な舌触りで著者の新境地を開く、圧倒的長編小説」



2007年(平成19年)から2009年( 平成21年)にかけて発生した連続不審死事件において詐欺、詐欺未遂、窃盗、殺人の罪で逮捕された木嶋佳苗をモチーフに描かれた作品。


ちなみに現在、木嶋被告は死刑囚として東京拘置所に収監されているようです。


おまけに獄中結婚→離婚→再婚中。


木嶋被告を描いたノンフィクションは数冊出ているようですが、木嶋被告自身が執筆した『礼讃』が2015年に角川書店より刊行されています。



実際の事件では練炭による殺人ということでしたが、本書では睡眠薬の過剰摂取、風呂場での溺死、電車への飛び込み。


木嶋被告は北海道出身ですが、本書に描かれている梶井真奈子(カジマナ)は新潟出身となっています。


このように実際に起きた木嶋の事件がまだ生々しく記憶にあるため、つい作品に描かれている梶井真奈子と比較しながら読み進みてしまいました。


木嶋佳苗事件の闇について、柚木さんでなければ描けなかった。
この本を読んで、女性と話をするのが怖くなった。
(佐藤優氏)


恐るべき人間の業を見事に描き切った快作!!
むせ返すような人間くささが全編から漂い、圧倒的なインパクトを放つこの物語は「愛憎」の概念をも打ち砕くパワーがある。
今、最注目の作家・柚木麻子の到達点であることに間違いない。
(三省堂書店営業企画室・内田剛氏)


様々な角度から描かれる「女」、食から見る事件、人間模様……
柚木さんらしい切り込み方で、すごく面白かったです!! 
間違いなく傑作。
食生活って人間が出るものだと痛感しました。
そして、「バター」がこんなにも魅惑的で、色気のあるものとは……。
(SHIBUYA TSUTAYA・内山はるか氏)


やみつき注意! 濃厚な味なのに、不思議にするすると入り込んでくる。
素材を巧みに活かした技に、ほれぼれする。
料理の話ではなく、本作の感想である。
登場人物がそれぞれに抱える葛藤、木嶋事件が示す男と女の関係性。
様々なものを突き付けつつ、それでもあくまで「物語」で読者を惹きつける快作。
(紀伊國屋書店京橋店・朝加昌良氏)


若くも美しくもない女に、なぜ男たちは惹かれたのか。
それを探る女性記者までもが振り回され、この話はどこへ向かうのかと夢中になって読みました。
先の見えない展開にハラハラドキドキ。
食べる表現の上手さも手伝って、お腹も空くけどカロリーも高い、魅惑的な小説でした。
(文信堂書店長岡店・實山美穂氏)


梶井の言動を追っていくうちに、自分の常識が頼りなくなって、足元がぐらぐらしてくる。
心の奥にあるものが湧き出しそうになる。
私をどこへ連れていこうとするんだ梶井! と叫ばずにはいられない。
濃厚な柚木麻子ワールドをどっぷり堪能してください。
(BOOKSなかだ掛尾本店・牧野有希子氏)




本書の筋立てを回しているのは週刊誌の記者・町田里佳。


特ダネ狙いが発端でカジマナこと梶井真奈子に面会を申し込み拒絶されることを繰り返したあと料理の話題でやっと面会に成功。


取材を繰り返すうち強烈なカジマナの引力に引き寄せられて徐々に心身に変調を来たしていく里佳。


この若くも美しくもない太った容姿のカジマナと対峙していると「何が嘘で何が真実か。そんなものに大した違いはない」のではないか、とまで思うようになった里佳。


カジマナと真剣に対峙した里佳と親友・怜子がカジマナの示唆ある言動に絡め取られて自己破壊寸前までいく様子を、もう一方の自己が冷静に見つめ、長い間意識の下に押し込めていたそれぞれの過去のトラウマを見つめ直すという過程が著者の最も書きたかったことではないでしょうか。


著者について・・・

1981年東京都生まれ
2008年『フォーゲットミー、ノットブルー』で第88回オール讀物新人賞受賞
2013年『伊藤くん A to E』で第150回直木三十五賞候補
2013年『ランチのアッコちゃん』
2014年『本屋さんのダイアナ』で第151回直木三十五賞候補
2015年『ナイルパーチの女子会』で第28回山本周五郎賞受賞&第153回直木三十五賞候補&第3回高校生直木賞受賞
2017年『BUTTER』で第157回直木三十五賞候補


著者の作品では『ランチのアッコちゃん』『ナイルパーチの女子会』を読んでいますが、本書を通して著者の作家としての格段の成長を感じました。



エッセンスがびっしり詰まりすぎて息苦しさを感じてしまいましたが、確固たる構成の上に構築した物語・・・ときにはくどいなと思ったり、主人公の里佳や親友の怜子の行動があまりにエキセントリックで眉をひそめたくなりところも多々でしたが、彼女たちが過去と現在の狭間で葛藤を繰り返しながら徐々に自分たちを追い詰めていく、そして徐々にクールダウンして落としどころに落としていく過程を描いて秀作でした。



それにしても誰にでも狂気に絡め取られていく心の隙間というのはあるのかもしれない・・・宗教にしても犯罪にしても・・・と思いました。

『敗者の告白 弁護士睦木怜の事件簿』深水章子著 角川書店  〈短歌出詠のこと〉

August 24 [Fri], 2018, 20:55
NHK短歌大会への出詠まであと1ヶ月少々。


ここ3年、題詠および自由詠の1首勝負で数首、15首連作を一本出詠していましたが、だんだんエネルギーがなくなって・・・


今年は連作15首をやめようか、どうしようか、とかなり迷いながら、先日少し構築してみました。


連作15首は全体を流れる主題を作らなければならないので、まず主題を何にするか、から始めなければなりません。


花鳥風月を詠むのは極めて苦手で、唯一エネルギーをつぎ込めるのは社会詠か、それとも好きな読書に関することか・・・。


などなど考えて、一応どちらも連作15首作って並べてみましたが、自分ながら???という感じ。


主張が足りないような、足りすぎるような・・・何がいいたいのかよくわからない・・・。


できたら連続で入選したいなぁと身の程知らずの願いが叶うような15首が作れたら出詠しよう。


ま、入選できてもできなくても通知を待つ期間の楽しみのためにいま少し悪戦苦闘しています。




写真は朝日歌壇初載りの短歌を友人が貝絵にしてくれたものです。


拙い歌をこのようにすてきに仕上げてくださって感謝感謝です。






さて本日は深水章子氏著『敗者の告白 弁護士睦木怜の事件簿』です。 


「春休みの別荘で、本村弘樹の妻と8歳の息子がベランダから転落死する事件が起こる。
事件が起きたとき一緒にいた弘樹は無実を主張するが、死亡した2人の身体には争った形跡があった。
容疑者として拘束された弘樹の供述、妻が知人に送った告発文、子供が祖母に送った救援メール、弘樹の弁護人・睦木怜がかき集めた関係者の証言は食い違い、事件は思いもよらない顔を見せ始める―。
誰が事実を偽り、誰が真実を語っているのか。
張り巡らされた伏線と予想を裏切る衝撃の結末。精緻極まる本格ミステリ」


初読みの作家さん。


著者について
1947年生まれ 東京大学法学部卒業
1973年東京弁護士会所属の弁護士となる
2007年リタイア後執筆活動をスタート
2010年『鬼畜の家』で第3回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞受賞
2013年『衣更月家の一族』で第13回本格ミステリ大賞(小説部門)候補
2014年『螺旋の底』で第14回本格ミステリ大賞(小説部門)候補



IT企業の経営者・本村弘樹の妻・瑞香と小学生になる息子・朋樹が別荘のベランダから転落死。


その事件当日に以前妻をインタビューしたことがあるという関係だけの雑誌記者に送られてきた妻の手記の形をした一通のメール。

夫が愛人と共謀し、自分と息子を殺す計画を立てていると書かれた内容。

その理由は息子が夫の友人の子どもであること、さらに資産家の母が亡くなり、瑞香が相続した遺産を傾きかけた会社につぎ込みたいということ、そして最愛の娘を瑞香の不注意で失ったことへの恨み。


ところが本村弘樹が逮捕された直後に今度は本村の母親に亡くなった孫の朋樹から送られていたメール。

「僕はパパとママに殺される、おばちゃん助けて!
僕が妹の由佳を殺したから、パパのお友だちのところの美優ちゃんを殺そうとしたから・・・」という内容。


この2つのメールの内容を元に警察によって調べられ次第に明らかになった瑞香の素行。


逮捕された本村の弁護士・睦月怜によって瑞香と不適切な関係のあった男性の証言を得ます。


物語は供述調書、メールの内容、陳述書、手記など事件に関する様々な事象が提示され、それをパズルのように組み立てていくという作業をしながら物語を構築しています。


さすが元弁護士の腕という感じですが、最後の落としどころに唐突感があり、微妙な違和感の残る読後感でした。


タイトルの「敗者」とは法律では「勝者」となった本村を指しているのでしょうか?


傍から見たら申し分ない夫婦の亀裂を通して家族全員が地獄を見るという物語。


些細な細部をも疎かにしない筆力はすばらしいと思いましたが、後味のあまりよくない作品でした。

『ミッドナイトジャーナル』本城雅人 講談社  〈子どもたちの帰省ー小豆島の旅〉

August 19 [Sun], 2018, 13:25
いつもは2人の家に子どもたちと孫が帰省して賑やかなお盆前後となりました。


中3日、小豆島のリゾートホテルに宿泊。





息子の運転で寒霞渓やオリーブ園、そして行きたかった尾崎放哉記念館など小豆島巡りをして・・・。





ジジババ以外プールや卓球を楽しんで帰省期間が終わりました。


ホテル泊以外は家で作っては食べ飲み、作っては食べ飲み、合間にウノ。


その間を縫ってお嫁さんのユカちゃんと娘がいろいろな道具を駆使して家中をピカピカに磨いてくれました。


少しまえTVのコマーシャルに煽られて買っていた簡易高圧洗浄機。


お風呂のカビ取りとキッチンの油汚れと水アカに試してみたところイマイチだったので、ユカちゃんと娘に再度チャレンジしてもらったけど大してきれいにならず。


結局、激落ちくんと重曹と先の尖ったヘラ用のもの、そしてゴムパッキン用カビキラーでトイレ、浴室、洗面所、キッチンをピカピカに仕上げてくれました。


激落ちくんとヘラを持ったユカちゃんと娘。


これを武器に「おそうじ本舗」を立ち上げたらどうかと提案。



中二の孫のアスカも洗濯、買い物、食器洗い、水遣り、ゴミ捨てなどすべてをこなし役に立つことこの上なし・・・心は幼いままだけど背丈ははるか私を超えて随分大きくなりました。


超がつく真面目少女・・・いったい誰に似たのか???


ユカちゃんと娘がからかうことからかうこと。

「お姉ちゃんがピアスの穴開けてあげようか?」

「やだ」

「それくらいママやパパに黙って開けるものよ。
ママなんかひとりで開けたよ」とまるで2人で不良少女自慢。


ともすれば勉強道具を食卓に広げるアスカに「早く片付けてウノしよう」と誘うババ。



キラキラにもハートマークにも目もくれず中二の孫は卓球少女



来年は受験の年、帰省できるかどうかな??







さて本城雅人氏著『ミッドナイトジャーナル』のご紹介です。 


「【被害者女児死亡】──世紀の大誤報を打ち、飛ばされた3人の記者。
7年後、児童連続誘拐事件が発生する。
さいたま支局の関口豪太郎はかつての事件との関連性を疑い、本社の遊軍記者・藤瀬祐里は豪太郎の応援に合流し、整理部員となった松本博史は冷めた目で二人を静観する。
警察も、目撃者も、記者も上司も嘘をつく。
しかし豪太郎は、絶対に諦めない。
特別な結果を出すのは、いつだって本気の人間だ!」



記者たちの熱意、それだけに徹した三百六十七ページ。
    ――宮部みゆき氏(読売新聞4/17刊)


面白さも完成度も『クライマーズハイ』に匹敵する傑作。
――北上次郎氏(「読楽」3月刊)

熱気がある、ユーモアがある、独特の軽快さがある。今年の本命作登場だ。
――温水ゆかり氏(「GINGER」4月号)

マスコミ不信、警察不信が声高に叫ばれる今こそ読まれるべき、正義と情熱の物語。本城雅人は、この一冊を書くために作家になった。
――吉田大助氏

社会派エンタメの最高峰に連なる傑作。
本書の豪太郎チームはとても魅力にあふれ、本田靖春氏にひけをとらない記者魂を感じました。
──さわや書店フェザン店 松本大介氏

報道のあり方を考えさせられました。
三人の記者が、死にもの狂いで真実を追う姿に圧倒され、骨太のドラマに胸が熱くなりました。
──MARUZEN名古屋店 竹腰香里氏



第38回吉川英治文学新人賞受賞作。


著者の経歴についてはひとつまえのブログ『トリダシ』をご覧ください。


著者は本書執筆の動機を次のように語っていらっしゃいます。

20年続けた記者人生のすべてを書こう。
そう決心して『ミッドナイト・ジャーナル』の執筆をスタートさせました。
僕の1年目は一般紙の地方記者でした。
大きな事件が起こり、作品に登場する1年生記者のように右も左も分からず、それでも他紙に抜かれまいと必死に真相を追いかけたものです。
この小説には当時やその後の経験、周りにいた多くの優秀な記者……自分が見て感じたものを書き込んだつもりです。
執筆しながら、改めて新聞とはなにかを考えさせられました。
どの仕事も同じですが、必死に仕事をしている時は振り返る余裕もありません。
でも壁にぶち当たった時、自分はなんのために仕事をしているのかと考えさせられます。
この小説の登場人物たちは皆苦い過去を抱えており、そして各自が「新聞にスクープは必要か」「今の時代に記者は必要なのか」と自問自答します。
日々悩みながらも、凶悪な事件を追いかける。それらも感じ取ってもらえれば、著者として嬉しい限りです。


7年前に世紀の誤報を打って本流から外された新聞記者3名の熱きプロフェッショナリズムを描写した物語。

7年前の解決済みの事件と、現在発生している児童連続誘拐事件との小さな関連を記者の目で拾い上げて疑いを持った主人公・関口豪太郎が、当時の記者仲間と力を結集して執念の捜査を始めて解決へ導く過程は臨場感マックス!


元新聞記者である著者の筆力が冴え渡ります。

まさに一気読み!

おススメの作品です。

ぜひどうぞ!!

『トリダシ』本城雅人 文藝春秋   〈スマホの効用〉

August 07 [Tue], 2018, 11:41
ガラケーからスマホにかえてもうすぐ2年。


ipadとデスクトップ&ノートパソコンがあるので、通信費を極力抑えたいという理由でなかなか決心ができませんでしたが、離れ住む子どもたちからLINEを入れてほしいというのでしぶしぶかえました。


今では・・・


長岡の花火を見にいったお嫁ちゃんから花火の動画や画像が実況風に送られてきたり・・・

 
 
孫のアスカの卓球の試合会場から試合状況がライブで送られてきたり・・・


長いブランクのあと最近ピアノを始めた娘から生演奏が送られてきたり・・・
ショパン中心に弾いているので、有名なピアニストの演奏を検索して比較しながら聴いてみたり。


撫でたくてたまらない小春の動画もときどき送られてきて嬉しい♪



友人たちとのグループラインでも無料電話を使ってみんなで旅行プランを練ったり・・・


今ではLINEなしでは過ごせないほど重宝しています。


きっとシニアの中ではダントツに利用している方だと思う・・・



こんなLINEの利用者数が世界で1億人を超えたそうです。



中高生の間で仲間外れイジメなど多々問題の温床となっているというのもモレ聞いていますが、なにしろそんなことを超えたシニアの私。



韓国のNAVERという会社が箱を提供、アプリを開発したのは日本人だそう。


無料に感謝です♪







さて本日は本城雅人氏著『トリダシ』のご紹介です。

「東西スポーツ野球部のデスク鳥飼は〈影のGM〉と噂されるほど優秀な記者だが、露骨で下品な言動と、なりふり構わぬ取材ゆえ、社内外でも敵の多い人物だ。
強烈な個性で周囲を巻き込む、異能の記者“トリダシ”とは、はたして何者なのか。『球界消滅』で、その先見性とストーリーを、各方面の書評で絶賛された著者が、満を持して自らの記者体験をもとに、臨場感溢れるスポーツ紙の現場を描く連作短編」


第18回大藪春彦賞候補
第37回吉川英治文学新人賞候補

2012年〜2014年にかけて「オール讀物」に連載したものを一冊にまとめた作品。


著者について
1965年神奈川県生まれ
大学卒業後、産経新聞社にてスポーツ記者としてプロ野球、競馬、メジャーリーグ取材などに携わる
2009年『ノーバディノウズ』で第16回松本清張賞候補&第1回サムライジャパン野球文学賞大賞受賞
2011年『嗤うエース』で第2回サムライジャパン野球文学賞 [ベストナイン]
2015年『トリダシ』で第18回大藪春彦賞候補&第37回吉川英治文学新人賞候補
2016年『ミッドナイト・ジャーナル』で第38回吉川英治文学新人賞
2018年『傍流の記者』第159回直木賞候補


「この作者は巧みな投手だ。
球筋の読めない心理戦に翻弄された」(作家・横山秀夫氏)


著者の他作品では以前ブロ友のUNIさんに紹介されて読んだ『スカウト・デイズ』をアップしていますので読んでいただけたらと思います。


さて本書について

部下に、「とりあえず、ニュースをだせ」と他社の知らないニュースを獲ってくることをひたすら求め続ける東西スポーツ野球部のデスク・鳥飼が主人公の連作短篇集。


「スポーツ新聞の三大要素は、『金』『出世』『女』だ!」とうそぶき、その露骨で下品な言動と、なりふり構わぬ取材ゆえ、社内外でも敵の多い人物、部下や同僚からは「トリダシ」と影で忌み嫌われているというまるで記者魂が服を着たような男。


本書は「スクープ」「コーチ人事」「勝ち投手」「裏取り」「報復死球」「三勝三敗」「逆転」の7話で構成されていて、短篇ながら長編の趣で繋がっています。


どれもスポーツ新聞編集局を舞台に切った張ったの世界を描いていて、さながら現場にいるような臨場感あふれる作品となっています。


様々な賞の候補&受賞作というのが頷ける内容。


それにしても新聞記者という職業の苛酷さ!


生半可な神経では勤まらないだろうなと想像します。


特ダネを求めて、日ごろから各方面に種を撒き、夜討ち朝駆け奔走する記者たちの熱気には脱帽するばかり。


取材される側と取材する側の駆け引き、裏取引・・・信頼関係なしではこれも成り立たない世界だなぁと。


親しくしていただいている花オクラさんのご主人もzensanも元中央紙の記者さん、現在はお二方とも柔和なお顔と拝見していますが、記者時代を覗いてみたかった・・・。



タイトルの「トリダシ」があまりにも軽い印象で期待せずに手に取りましたが、すぐに惹き込まれてすぐに毎夜の愉しみとなりました。


記者たちの日常もさることながら、架空とされる球団での内実も興味深く、野球ファンの方にも超おススメ作品です。

『さいごの毛布』近藤史恵 角川文庫  〈知人から届いた大量の野菜〉

August 04 [Sat], 2018, 20:20
先日、知人から山のように野菜が届きました〜。


ナス、オクラ、ジャガイモ、タマネギ、トマト各種、パセリ、かぼちゃ各種、ブルーベリー・・・

他に手作りトマトソース、ナス芥子漬け。


大忙しの嬉しさで、ブルーベリーはジャムに。

パセリは冷凍・・・洗って葉っぱをむしりキッチンペーパーで水気をしっかり取り、大きめのジプロックに入れて空気を入れて閉め冷凍、翌日しっかり冷凍できたところで空気を抜き袋の上から軽く揉むとミジンになるのでそのまま冷凍、必要に応じて使えて便利。


半端ない量のトマトをいただいたので、もらったトマトソースのほかに、たくさんのミートソースを作って冷凍。


あとでノラクラするための手作業が完了。


冷凍庫が豊かになりました(^.^)





さて今日は犬好きにはたまらない作品。


近藤史恵氏著『さいごの毛布』のレビューです。 

「犬の最期を看取る「老犬ホーム」で働くことになった智美。
初日から捨て犬を飼うことになってしまったり、脱走事件があったりと、トラブル続きの毎日だ。
若い犬を預ける飼い主を批判してオーナーに怒られたり、最期を看取らない飼い主や、子供に死を見せたくないと老犬を預けた親に憤り…。
ホームでの出来事を通じ、智美は、苦手だった人付き合いや疎遠な家族との関係を改めて考え直し始める。
世知辛い世の中に光を灯す、心温まる物語」


大好きな「サクリファイス」シリーズで有名な作家さん。


調べてみるとかなりの犬好き・・・未読ですが犬を題材の作品が他に2つ。


『シャルロットの憂鬱』と『三つの名を持つ犬』・・・ぜひ近々読んでみなくちゃ!



本書は老犬ホームが舞台。

飼い主がやむを得ない事情で飼えなくなった犬を最後の時を迎えるまで預ける施設。

当然高価な金銭が発生するところは人間の老人ホームと同じ。


他人のみならず両親や姉妹とのコミュニケーションも取ることが苦手で再就職もままならない智美が友人の紹介で住み込みで働くことになった老犬ホーム・「ブランケット」の日常が様々な事件を絡めて描かれています。



施設のオーナーで元高校教師の麻耶子と元動物看護師の碧、そして智美。

それぞれ三人三様の事情を抱えています。


舞台は兵庫県宝塚市の北部の田んぼやゴルフ場が広がる田園地帯。


そこでいろんな事情で連れてこられた15匹の犬の世話をする3人。


引っ込み思案で家族との軋轢を抱えた智美がおずおずと足を入れた「ブランケット」でしたが、犬たちや、それぞれの重いものを背負った麻耶子と碧との交流を通して少しずつ心の垣根が低くなっていきます。



犬好きの著者ならではの個性豊かな犬たちの描き方がすばらしく、それぞれの犬たちに智美とともにのめり込みながら読了しました。


自分を手放した飼い主が会いにくるとひたすらな愛情で向かっていく犬。


一度信頼した人間に向ける混じり気のないまっすぐな愛情に胸が締めつけられます。


動物が大好きな私は15匹をそれぞれに抱きしめたいほど切ない。


掛け値なしで愛すべき存在。


人間よりはるかに高潔だなぁとしみじみ感じます。


そんな犬たちに囲まれて、周囲に心を閉じていた智美も徐々に鎧を脱いでいく様子が温かく描かれています。

よかったらどうぞ。

『リバース』相場英雄 双葉文庫  〈熱中症対策〉

August 03 [Fri], 2018, 20:35

台風12号が被災地へ直撃というニュースにハラハラしましたがどうにか一段落、また従来の暑さが戻ってきました。

と思うまもなくこんどは13号!


炎暑・酷暑・極暑・熱暑・溽暑・・・

最高気温が25℃以上を夏日

最高気温が30℃以上を真夏日

最高気温が35℃以上を猛暑日


これ以上の気温が更新される毎日・・・いま気象庁ではネーミングに頭を悩ませているのではと想像しています。

〈烈暑〉はどうかな?



ところで熱中症対策に一躍有名になった経口補水液OS1、熱中症経験者の所ジョージさんがコマーシャルに出ているあれ。

同じ製薬会社から出しているポカリとの比較を製薬会社が説明しています。



ポカリスエットの成分であるナトリウムやカリウム、マグネシウムなどの電解質は、汗の成分に近い組成となっているので運動の後やお風呂上がり、乾燥した室内で水分と電解質が失われたときなどに利用するとよいとのこと。


一方OS!は軽度から中等度の脱水状態の方の水や電解質を補給・維持するのに適した経口補水液。

消費者庁による『特別用途食品個別評価型病者用食品』の表示許可を受けていて感染性腸炎、感冒による下痢・嘔吐・発熱を伴う脱水状態、高齢者の食事量不足による脱水状態、過度の発汗による脱水状態などに適しているそうです。


経口補水液は薬局などで売っていますが、家庭でも簡単に作れるそうです。

水500mlに塩1.5g、砂糖15gを雑菌が入らないように消毒したペットボトルに入れて混ぜるだけ。


脱水時に不足するといわれているカリウムは摂れないものの、緊急時には十分だそうです。


まだまだ猛暑が続くようです。


どうぞくれぐれもご自愛くださいね。






さて今回は相場英雄氏著『リバース』のご紹介です。 


「警視庁捜査二課から所轄に異動した西澤は、書店で万引きをした老婦人を取調べた。
身なりもよく教養溢れる彼女は、なぜ万引きをしたのか。
そこには、深い事情があった…。
大震災と原発事故。
そして、「福島にはカネが埋まっている」と嘯く詐欺師が仕掛ける被災地支援詐欺―。最も卑劣だと言っていい犯罪を、心熱き警察官が暴く社会派長編警察小説」

詐欺や横領といった知能犯と対峙する警視庁捜査二課の若き刑事・西澤を主人公の「ナンバー」シリーズ第三弾。

時系列では『ナンバー』 → 『トラップ』 → 『リバース』となっています。



『ナンバー』『トラップ』でおなじみの“三知"が今回手がけるのは、原発事故で甚大な被害を被った福島を舞台にした詐欺。


庁内の課同士の対立、庁と所轄との対立、加えて徹底した秘密主義を貫く捜査手法を通して、緊迫感溢れる捜査を展開する捜査員の心理を描いて圧巻の警察小説!


読み応え抜群で、最後まで一気読み!


シリーズの中ではもっとも面白い作品でした(^.^)


前作『トラップ』で三知(知能犯三係)は解体、方々に散らばった仲間のうち、所轄行きとなった主人公・西澤が書店で万引きした女性を取り調べたことがきっかけで、事件が思わぬ方向へと広がっていきます。


本書は解体して各所へ散った三知メンバー5人の視点を中心に章立てされていて・・・

西澤、清野、小堀、大岩、そして真藤。


それぞれのメンバーが追う事件がやがて一つの大きな事件へと繋がっていく過程もとてもドキドキ感があり手に汗を握るという表現がぴったり。


「福島にはカネが埋まっている」・・・ある詐欺犯の言葉。


営業損失補償金詐欺、原野商法詐欺、厚生年金贈収賄、役人が絡んだ汚職事件。


その温床となっている被災地で犠牲になるのは弱い立場の被災者。


東北への思い入れがとても強い相場氏ならではの福島原発事故を絡めた物語。


メンバーが息を揃えてなだれ込むラストに胸が熱くなります。


真藤さん、どうかどうか生きて!と願わずにはいられません。

おススメの一冊です!
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平凡な日々を過ごせる幸せを実感できる年齢になった平凡な主婦、子どもたちも自立して夫と2人のスタート地点に戻っています。 「今日がいちばんいい日」を心に刻みながら他の人々のさまざまな人生を読書の窓から覗く楽しみを味わっています。
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