メトに氷のステージが出来た夜(映画ジョン・カリー)

June 10 [Mon], 2019, 13:11
 フィギュアスケートを見始めたのは1992年のアルベールビルオリンピックからである。もっと早く見ておけば良かったと悔やんでもどうにもならないが、ジョン・カリーもリアルタイムで見たかったスケーターである。

 彼の名はアダム君のインタビューで初めて知った。「君の滑りはジョン・カリーに似ているよと言われて嬉しかった」と語っていた。(参考

 だから、「氷の王ージョン・カリー」の映画を見るのを楽しみにしていた。

 映画では彼の演技の映像がたくさん見られた。私は魅了された。
 若い頃の彼は、ちょっと若い頃のアダム君に似ている。(そしてヌレエフの面影もある)。ハンサムで足が長い。完璧な体のライン。
 バレエの練習をたくさん積んだろうことは一つ一つの姿勢から分かる。腕、背中、足のポーズが正確で「一番美しいところ」で決まっている。
 音楽にあった優雅な流れるような動き、きれいなスパイラル。女性的でもあり、男性的でもある。ともかく最初から最後までプログラム全体が美しい。
 これ見よがしなところのない自然な表現。さりげないのに艶っぽさがある。

 金メダルを獲って彼は自分の目指す自由な表現に向かって空き進む。
 「海賊」の演技はやはりヌレエフを意識しているのだろう。男性が美しい肉体をさらけ出し踊る。「牧神の午後」では秘めた官能があふれ出る。いやらしくはなく、品があり、それでいてとてもセクシーだ。女性とのからみもとても美しく、本家のバレエよりも印象に残るほどだ。

 プロのバレエ団で彼は女性と踊り、集団での動きを見せる。それがとても面白く美しい。今のアイスショーは個人のプログラムに寄りすぎなのだろうか、とこれを見て思った。パ・ド・ドゥやグループナンバーは時間をかけて練り上げればこれほど美しくなるのだ。
 また、名振り付け師とのコラボもたくさんあったのだと驚く。NYCBのピーター・マーティンスが表情に立ち靴を履いて振り付けをしているのでびっくりした。昔は今よりバレエとフィギュアとの垣根が低かったのだろうか。コンテンポラリーの振り付けもとても素敵だった。
 彼のキャリアのハイライトは1984年、メトロポリタン歌劇場。日頃、オペラやバレエを行う劇場に氷が張られそこでウィリアムテル序曲でグループナンバーた披露された。
 圧巻の演技に20分間のスタオベが続いたという。今の時代にこれほどのスターが果たしているだろうか。

 映画では、彼の人生の苦闘(男性が踊ることへの偏見、同性愛への偏見との戦い、うつ、かなわなかった愛など)が語られる。AIDSによる早すぎる死もあった。しかし映画を見終わって感じたのはその悲しさよりも彼が成し遂げた偉業、美しいスケートの衝撃ーそれはアダム君や映画に登場するジョニーをはじめとする多くのスケーターを勇気づけたはずである。
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