甘い悪夢(リヨンオペラ座「ホフマン物語」)

July 08 [Tue], 2014, 21:56
 美しいメロディであふれたオッフェンバックのオペレッタが大好きだ。そしてオペラ「ホフマン物語」も。官能的な音楽が次々と繰り出す不思議な物語。登場人物に必ずしも共感は出来なくても音楽に酔う。
 以前、パリオペラ座バスチーユでの「ホフマン物語」を見たことがある。巨大な空間を演出家は持て余したようだった。
 今回、Bunkamuraという小さな空間にオッフェンバックのオペレッタでお馴染みの名演出家ロラン・ペリーは素晴らしい物語を描いてくれた。この物語が実は1人の詩人をめぐる小さな物語のシリーズだということを感じさせてくれた。

 序幕の酒場の場面。楽しい歌が続き、聞いていると身体が踊り出しそうだ。酒場で歌う学生たちのリアルな存在感。そして胡散臭げな悪役のロラン・アルバロが登場。幕が進むにつれ、彼の迫力はどんどん増して行く。

 自動人形オランピアの幕。オランピアのアリアで、彼女が超高音を出すのに合わせ、クレーンが彼女を宙に舞い上がらせる。音と同期した動きに会場が笑いに包まれる。実に素晴らしいけれど、歌っている本人は怖くないのか心配になって来る。パトリツィア・チョーフィの人形振りも素晴らしいが、最後のダンスのシーンで彼女がくるくる回る仕掛けはどうなっていたのだろう?オルゴールの人形のような回転に翻弄されるホフマンが可笑しい。人形が残酷なミラクル博士に壊され、絶望するホフマンを演じるレオナルド・カパルボの表情が素晴らしい。

 アントニアの幕の素晴らしさ!恋する若者達の甘い夢が、悪魔によって破壊されて行く。父の必死な願いを打ち砕く悪魔の不気味な歌「毎朝薬を飲めば…chaque matin」。恋と野心に引き裂かれるアントニアが、母の亡霊に誘われていく(母の顔が怖すぎる!) 演出と歌声がぴたりと一致した迫力に打ちのめされる。

 ジュリエッタの幕。オッフェンバックの音楽でなくても「舟歌」はロマンティックで美しい。ジュリエッタの見え見えの嘘にさっさとだまされるホフマン。あっけなく殺されてしまうシュレミールとジュリエッタ。ダペルトゥットの冷酷な強さ。

 最終幕。ステラの思いはホフマンには届かず、彼女も去る。最後はミューズだけが残る。ミューズが何を考えているのかも今一つ謎なのだが…

 イタリアオペラのように主人公達が突っ走っても、それを見つめているクールな目、自嘲するような冷めた笑いが一方にあるところが、いかにもフランスオペラらしい。
 いつかリヨンに見に行きたいなと思った。
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