中年の恋の物語(トリノ歌劇場「仮面舞踏会」)

December 02 [Mon], 2013, 17:31
 ヴェルディをこよなく愛する私にとって「仮面舞踏会」は一度は見てみたい演目だった。
 エットレ・バスティアニーニの歌う「お前こそ、心を汚すもの」は憂いに溢れ聞くたびに胸がしめつけられるような気がする。最も素晴らしいバリトンの歌ではないかと思っている。

 トリノ歌劇場「仮面舞踏会」。歌手はそれぞれ良かったのだが、演技面は今一つだったかも知れない。
 
 オクサナ・ディカのアメリアは、迫力のある強い声。アメリアにはもう少し柔らかい声でも良いように思うが芯の強いヒロインを熱演。
 ラモン・ヴァルガスのリッカルドは美声だが、恋に悩む総督の思いは今一つ伝わって来ない。
 レナートのヴィヴィアーニは演技の印象が弱い。

 と言いながらも終わってみると「悲しい物語だな」と心がちくっとする。

 墓場の場。リッカルドとアメリアの2重唱。歌は能天気なほどに明るく、甘い陶酔で一杯だが、彼らは一線を越えられず恋をあきらめなくてはならない。
 レナートのアリアには別の残酷さがある。アメリアは昔は心からレナートを愛していたのに、変わってしまったことが分かるから。

 アメリアの恋は愛する人を殺してしまう。最後のシーンで、リッカルドにもレナートにもかけ寄ることが出来ず立ち尽くすアメリアの孤独。

 ヴェルディの音楽も、若い頃のように喜びも悲しみも激しい音楽で燃やし尽くして終わることはない(前回見たのが「ナブッコ」だったので余計そう思うのかも知れない)。
 柔らかなやさしい響きがかえって切なさを強める。もう若くない年になって初めて描ける世界のように感じた。

 いつかイタリアでヴェルディが見たいなあ。
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