小さな願い 【1】

March 09 [Fri], 2007, 23:51
 聖砂国の港について2日目の夜から俺、眞魔国第27代目魔王陛下もとい、渋谷有利原宿・・以下略は疲労にもかかわらずまともに眠れなくなってきていた。


3日目の朝かなり体調が悪くなりサヤさんにベットに連行された。


「さ、飲んで下さい。」

そういって少しさましたお湯を差し出された。
しかしそれは唯のお湯ではなくてしっかりとアニシナさん印の薬が溶かされている。

どうしても飲まなくちゃ駄目デスカ・・・?

俺は恐る恐るそれを口元に持っていった。
幸い、強烈な香りや味はしない。

「陛下はお疲れなんですよ・・。本当にいろいろありましたからね。きっとその症状も精神的なものだと思います。だから、少しでも体と心を休めないと・・」

サヤさんは俺をベッドに寝かせると楽なようにベルトなどをゆるめてくれている。
お湯の温かさに俺はほっと息を吐いた。
少しだけ体が楽になった気がする。

「ありがとう。サヤさん・・。ごめん、心配かけて・・」

「いいえ。でも、ここにヴォルフがいたらきっとまた『へなちょこ』っていわれますよ?」

その言葉に俺は涙が出そうになった。
ヴォルフラムやギュンターたちとはぐれてから緊張や不安の連続だった気がする。
少し俯いた俺の髪をサヤさんが優しく撫でてくれた。

「サヤさん・・。」

「・・あまり無理をしないでくださいね。私やヨザックじゃギュンターやヴォルフラムやグウェンや猊下の代わりにはならないかもしれないけど・・陛下の愚痴ぐらいなら聞けますから。」

「・・ありがとう。」

「貴方は御自分で思っている以上に周りから愛されているわ。それを忘れないで。」

優しく気遣ってくれる言葉が心にしみる。
結局俺はアニシナさんの薬を半分だけ飲んで枕に顔を埋めた。
まだ緊張感とか不安とかが渦巻いてはいるけど・・何とか眠れそうだ。

「おやすみなさい、陛下。」

「・・おやすみ・・」


しばらくはもぞもぞと寝返りを打っていたユーリだったがやがて規則的な寝息らしきものが聞こえてきた。

(・・眠れたみたいね)

その様子を見て沙夜はホッと息を吐く。

−最近ユーリの笑顔を見ていない−

始めにそう言ってきたのはヴォルフラムだった。
あの船の上でそう告げられ沙夜自身、思い起こすと心当たりがあった。
「微笑み」というものは何度か見ていたが以前のような−あの心から楽しそうで見ているだけでこちらまで笑顔になる表情は最近見た記憶がない。−
それだけでユーリがかなり無茶をしていることは理解していた。

「・・・まだ・・こんなに幼いのに・・。」

ユーリの髪を優しく梳いている手を止め沙耶は立ちあがる。

「・・こんな幼い体に色々な思いや気持ちを背負い込んで・・辛くないはずはないのに・・」

それでも彼は笑っている。
自分たちを心配させないようにと。
『大切だから、皆が好きだから』心配させないように・・。

「・・・陛下・・・。」

その時。

コンコンっとドアが2回ノックされた。
その音に反射的に沙夜はドアは見つめる。
時刻はすでに真夜中に近い。

「ヨザック・・・?」

ヨザックには今日はもう寝ていいといっていったはずなのにな・・。
そう呟きながらドアの方へと歩いていく。
この瞬間、沙夜は油断していた。
まさか、こんなホテルの中で何か起こるはずもないだろうという気持ちとユーリを起こしたくないために腰に納めている剣を椅子に起きっぱなしにしてドアのノブを回し少しだけドアを開けてしまったのだ。

「どうしたの、ヨザック。なにか・・用事・・。」

ドアを押すことによって少しずつ廊下にいる『彼』の影が見えてきた。

そして・・・。

「!!!」

それが誰か分かった途端沙夜はぐいっとドアをひいた。

(開けた隙間は数cm。まさか彼もすぐに反応できるはずない!)

ガッ・・・。
しかしドアは閉まることはなかった。
反対にドアの隙間を掴まれゆっくりと開けられていってしまう。

「ッ!!」

廊下にいる『彼』を沙夜はドア越しに睨み付ける。
剣を椅子に置いたままこちらに来てしまったことが今更ながら悔やまれた。

「・・・。」

今、ドアをしっかり押さえて閉まらないようにしている相手は無表情なまま一言も口を開かない。
沙夜はその様子を見てからちらりとユーリの方を見た。
ユーリはぐっすりと眠っている。

「・・・なにかご用ですか?」

低い声でそういうと彼は一瞬だけ顔をゆがめた。




_____________________________________

   アニメと小説読んでないと判らないかもしれません・・・・・・・。
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