杉浦非水 −明治のハイカラ 大正ロマン

2010年01月21日(木) 18時39分


杉浦非水は、まったくもってグラフィックデザイナーである。だが、この美人画を描観るだけだと、当時(明治・大正)の時代では竹下夢二あたりのロマン的な雰囲気が漂い、あとに続く蕗谷虹児、中原淳一までも思い浮かべるのかもしれないが、非水はちょっと違うのだ。

アール・ヌーヴォー様式やレトロスタイルなどの図案集を著作するなどの領域にも達している。あの雪佳と同時代を過ごしており、この時代はたくさんの画風が生まれている。

さて、このポストカードは high collar に由来する「ハイカラ」を思い起こさせるので、たぶん明治時代の作品ではないかなぁ。タイトルは「ころもがえ」だ。

文明開化による「ころもがえ」とかけたのだろうか。西洋建築、散髪、洋装、洋食が「ハイカラ」なのだが、彼女の髪型が明治の文明開化のあたりでしょ?この表情、しぐさからみると、まだ「処女」って感じだな。どうでもいいけどさ。

こちらの女性は、髪を切っているようだ。「大正ロマン」か?振袖を着ているようにみえるので結婚前の女性か。結婚したばかりの新妻にもみえるではないか。




このポストカードは「芙蓉」というタイトルを持つ。「芙蓉」とは一に蓮の花の漢名であり、このポストカードの英名は、「ウォーターリリー(蓮)」になっていた。

楊貴妃の容貌の美しさを蓮の花に例えた白居易の長恨歌に、芙蓉如面柳如眉−「芙蓉は面の如く」と称えている。

装幀本や挿絵、絵葉書(ポストカード)、ポスターなどを作製したが、大正に入ってゼツェッション・デザイン(分離派模様)に注目して、独自の非水スタイルとでもいうものを確立したという。

非水のポストカードには、1919年の「遊泳」、年代不詳「秋の川」という、この美人画とはまったく雰囲気の異なるイラストもあるが、いずれにしても曲線を描くような作品である。

さて、当時のイラストレーターには、山六郎や小林かいちも忘れてなならないな。いい女をいい構図で描いているからね。