フィクションかノンフィクションか?

2006年07月22日(土) 2時43分
自分は長い間、他人から大事にされること、愛されること、必要とされることが、当然だと思っていた節があった。
その分の努力はしていたつもりだ。
人を魅せる言葉、笑い、タイミング。
万人とは言わずながら、一部の人間であれば、それはひどく簡単だった。
落ちる音が聞こえていた気がする。あぁ、落ちたな、と。
それは専ら好感度に関するものであったが、年齢の高い人間にこそ有効であった気がする。
そんな自惚れが長らくあった。
なぜああも他者からの愛情に固執したのか、恐らく幼少期の虐待に起因するものだとは思うが、もともとの体質やら嗜好であったのやも知れない。
愛が欲しかった。友情や恋情ではなく、愛情が欲しかったのだ。
愛による優越を、自分は身にまとっていたかった。
些細なものでいい。自分が一番である自覚さえもてれば、何も欲しくはなかった。
見栄と虚勢だけが、己を守る唯一の方法であったのだから、それもまた仕方のないものであったのかも知れない。

自分が変わったと思えたのは、一人の人間に出会ってからだ。

否、本質的には何も変わっていない。私はそういう人間だ。影響というものを受けることがない。
ただ、外形は変化したはずだ。私の内部のそうした脆弱な部分は確実に壊れたのだから。
彼は別段特別に変わった人間ではない。単に彼は両親や兄弟から普通に愛され、育まれ、大切に育てられてきたと言う印象の人間だった。
醸し出される雰囲気や、言動には素直な愛を与えられて育った人間特有の、真っ当な心根が伺えた。とにかくおおらかで素直な人間だ。もしかしたらその程度でもあるやもしれない。
まともに人の闇も知らず、打ちのめされるほどの挫折もなく、平々凡々に育った人間であるから、いずれ社会に出て踏みにじられるのだろう。立ち直れないことはないだろう。ただ多少精神が荒むかもしれない。否、もしかしたら彼は社会に踏みにじられることさえ、ないかもしれない。それほど彼は真っ直ぐに思えた。
彼は幸福に育った故に、私の見栄や虚勢が何も響きはしなかった。彼には分からないのだ。純心過ぎるために、見栄や虚勢などの必要性が。
私が持てる全ての煌きでは、彼には届かない。
私の中の何かが壊れたのはそれに気づいたときだった。
彼は私が理想とする幸福を携えているのだと。

多分それだけだ。
私が一生かかっても手に入れることのない、私が望み理想とし、正しいと自分勝手に定義した愛のある環境で育った。
そういう人間の側にいたかった。
それだけだ。

それは嫉妬と、嫉妬故の愛が、私突き動かした。
彼と恋に落ちたいと思ったのは、きっとそれだけなのかもしれない。
  • URL:https://yaplog.jp/akatuki0103/archive/30
コメント
小文字 太字 斜体 下線 取り消し線 左寄せ 中央揃え 右寄せ テキストカラー 絵文字 プレビューON/OFF

不正な自動コメント投稿を防ぐため、チェックボックスにチェックをしてください。

利用規約に同意
 X 
禁止事項とご注意
※本名・メールアドレス・住所・電話番号など、個人が特定できる情報の入力は行わないでください。
「ヤプログ!利用規約 第9条 禁止事項」に該当するコメントは禁止します。
「ヤプログ!利用規約」に同意の上、コメントを送信してください。
2006年07月
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31
最新コメント
アイコン画像やつき
» はじめてバトンなるものを書いてみる。 (2006年02月27日)
アイコン画像ラズリ
» はじめてバトンなるものを書いてみる。 (2006年02月25日)
アイコン画像
» フケ発生!乙女のピンチ〜☆ (2005年10月30日)
プロフィール
  • プロフィール画像
  • アイコン画像 ニックネーム:akatuki0103
読者になる
Yapme!一覧
読者になる