渋谷にワイン愛好家向けマンション

October 09 [Wed], 2013, 12:53
出来なければならないと、彼は初めて来た時に延々と鎧の着脱を仕込まれた。
 そして彼は練習が遅れているので、慌てて取り返すべく走り始める。ジェイクの鎧は、練習用かつ少年用に軽く作っているとはいえ、フル装備で7kgはある鎧である。それを着たままの状態で、練習場の壁際を10周する。一周500m程度だから、5kmはある計算だ。
 その途中には丸太が地面に刺してあり、その周囲には布が巻きつけてある。丸太があるたびそれを木剣で5回叩き、また走る事を繰り返す。実戦で走りながら戦うことを想定した、持久力を上げるための訓練である。
 それが終わると、鎧を脱いで休む間もなく基本的な騎士剣の型を教わる。基本を学ぶなら外周部の隊長クラスに聞いた方がいいとのアルベルトの提案で、ジェイクはアルネリア教の騎士剣を教わっている。
 その後盾を用いた型や、槍や弓の扱いなども教わり、騎士たちと手合わせを経てジェイクの外周部での鍛錬は終わる。その後夕飯を外周部の騎士達と一緒に済ませると、彼はまた走って深緑宮に移動し、今度はアルベルトかラファティの訓練を受ける。手が空いていない時は、代わりにロクサーヌやベリアーチェ、時には梔子やミリアザールが相手を務める。こちらはもはや手合わせというよりは、ほとんど一方的にやられるだけだったかもしれない。
 だがジェイクの立派な所は、一切の手抜きもなく弱音も吐かないということだ。それだけリサとの約束を大切にしているのだろう。時に訓練が終わってそのまま力尽き、その場で寝る事もある。そのような生活をもうずっと続けているわけだが、その甲斐あってか、ジェイクは木剣限定なら外周部の騎士とはそこそこ渡り合うようになって来ていた。これは実に驚異的な出来事なのだが、ジェイクの目標は遥か高く、一向に満足する様子も偉ぶる様子も見せなかった。
 これがジェイクの毎日だったが、今日からはこれに勉強が加わる。眠い目をこすりながら勉強をするジェイクに、勉強を教える係はミリアザールが務めるが、まあ仕事をさぼるいい口実であったと言い変えてもいい。
 そうしてジェイクの新しい一日は終わりを迎えたのだった。

***

 その翌日。当然と言えば当然だが、教室のジェイクを見る目は冷たかった。まだ全員が白い目を向けていないだけましだが、自分を差別するのは貴族、金持ち。そうでないのは平民かとジェイクは予想をつける。自分に白い目を向ける人間は、教室の奥側である左半分に固まっており、右半分とは交流がない。あながち予想も間違いじゃないのかとジェイクは考え、とりあえずネリィと共に右半分の席に座る。
 すると、ジェイクの肩を後ろの少年が叩いた。

「ようお前。あのデュートヒルデとやり合うとは、肝が据わってるな?」
「誰だそれ? そのデューなんとか」
「はっ、こりゃ大したもんだな。昨日お前が昼飯を断った貴族の娘だよ」
「ああん、あのくるくる頭か」
「くるくる」

 ジェイクに声をかけた少年はその言葉に虚をつかれたようだったが、余程面白かったのか、思わず噴き出した。

「ぷっ、くっくくお前面白いこと言うなぁ?」
「見たまま言っただけだ。そのデューなんとかは舌を噛みそうだからな」
「確かにな! おっと、それはそうと俺はラスカルだ、よろしくな」
「俺はジェイク」

 2人は握手を交わす。

「で、あのくるくるって何者なんだ?」
「デュートヒルデはここから東の王国、ブルームウィンドの宰相の一人娘さ。母親は王族から降嫁してきた人だし、ブルームウィンドといえば東ではかなり大きな国だ。そこの一人娘ともなれば、当然我儘放題で周りは皆言
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