『獣の終わり(原題:End of Animal )』感想

April 23 [Mon], 2018, 0:26
『獣の終わり(原題:End of Animal )』感想



パク・ヘイルの出演作を10本以上見ておきながら、一番最初に感想を書くのがこれって(笑)


実はこの映画は、韓国でも全然知られていない映画です。
その理由を説明すると、長くなるのですが・・


韓国は国策として映画産業に力を入れていて、なんと「韓国映画アカデミー」という国立の映画専門学校まであるんです。
(ちなみに、ポン・ジュノ監督もそこの出身です。)
近年、その在学生の中から選ばれた数人が実際に長編作品を制作し、配給・公開まで持っていくというプロジェクトがあるのですが、この『獣の終わり』もその一環で作られた超低予算映画・・なんですね
普通なら既に映画界で地位を確立したような著名な俳優が出ることはないのですが、なぜか出演しているパク・ヘイル(笑)
脚本が面白ければ出るそうです。


そんな感じで、国が援助しているとはいえ、学生の作った映画。
公開規模も小さく、韓国のパク・ヘイルのファンですらあまり見ていないのでは?・・
ちなみに日本では公開は勿論DVD発売もされておらず、ネットでタイトルを検索してもヒットは2件のみ。


見る術がない!と愕然としましたが、そこはあって良かったyoutube。
奇跡的に全編アップされており、さらに日本語訳はないまでも英語字幕があったので、何となくですが話を理解しながら見ることが出来ました。
(ただ、テーマ自体が難解なのでよく分からない部分も多々ありましたが・・^_^;)


そもそも、なぜこの映画を知ったかというと、youtubeでパク・ヘイルの動画を漁っているときに、偶然この映画のワンシーンを見つけまして。
そのシーンのパク・ヘイルの雰囲気が、他のどの映画より『殺人の追憶』のヒョンギュに似ていたんですよね。
それで気になって(笑)
まあ実際に全編を見てみると、ヒョンギュとは全く違っていましたが。


前置きが長くなりましたが(前置きだったのか)、とりあえず簡単なあらすじを。




主人公の女性は、現在妊娠中。
恋人に捨てられ、ひとりタクシーに乗って実家を目指します。
その途中、民家すら一軒も見当たらない荒野でひとりの男性にタクシーの相乗りを頼まれ、快く応じる主人公。
相乗りしてきた男は、徐々に支離滅裂なことを言い始め、突然眩しい光が辺りを包みこみ・・
気がつくと、タクシー運転手も相乗りしていた謎の男もおらず、荒野に残された主人公はひとり目的地まで歩いていこうとします。
しかし、その道中不条理すぎる出来事が次々に起こり、追いつめられていく主人公。
そして、主人公の持っていた無線機からは何故かたびたび謎の男からのメッセージが流れ・・


そして物語の終盤で、この謎の男が実は神様のような力を持った人物で、彼がたまたま主人公を選んだからこそ彼女が酷い目に合い続けるのだということが判明していく・・




こんな感じの映画。
ちなみにパク・ヘイルはその謎の男の役です。
感想を一言で言うなら・・
「痛い映画」かな。
主人公が自分の足の裏に刺さったガラス片を抜く痛々しいシーンがありましたが、精神的にもそういう痛みを受け続け、疲弊する映画。
主人公が追いつめられてく感がすごい。
身重の体で、どこまで歩けばいいかも分からないまま延々と歩き続けて、疲れ果て、人の悪意に触れたり、反対に他人を犠牲にして自分だけ生き延びようとしたり、善人だと思っていた人の下心に恐怖したり・・
主人公含め、人間の醜いところをまざまざと見せ付けられた感じです。
そしてパク・ヘイル演じる謎の男の奇妙な行動。
最後までその真意が明かされないので、結局、謎のまま終わります。


私が初めに見たワンシーンは、謎の男が実は以前にも主人公の元に現れていたことが分かるというシーン。


まだ妊娠前の今より若い主人公。
部屋でひとり寝ていると、誰かの気配を感じて飛び起きます。
真っ暗な部屋にはテレビがついていて、その前に座っている謎の男。
携帯で助けを呼ぼうとする主人公に男は静かに近づいて・・
とまあここでスパッとシーンが切れているのですが、謎の男、あ、あやしい・・
そしてそんなあやしい男の役が似合いすぎるパク・ヘイル(笑)


怪しいけれど、ヒョンギュとはまた別の、威圧感とか図々しさみたいなものを感じさせる演技なんですよね。
中盤まで意図的に顔は出してないんですけどね。
何より喋り方が・・
こんなふうに、喋り方で人を威圧してくる人、いるよなあと思わせる感じで・・


こいつのせいでひどい目に遭っているのに、主人公が変態男に猟銃向けられて泣きながら歌を歌わされているところに現れ、飄々と助けていくシーンはまるでヒーローのようで。
『羊たちの沈黙』のレクター博士を彷彿とさせるシーンでした・・


ちなみに、私がすっごくびっくりしたのが、謎の男が相乗りを頼むシーン。
韓国語なのでうまく聞き取れていないのですが、どうやらパク・ヘイルが「テリョン村まで行きたい」と言ってるんですよね・・
テリョン村って。おいおい。
実は『殺人の追憶』のヒョンギュが住んでいたのがテリョン村なんです。
ラジオ番組へ『憂鬱な手紙』をリクエストしたときも「テリョン村の寂しい男より 雨の降る日にこの曲を」って書いてたし。
そんな偶然あるのかな・・?
私はどうにもこの映画の監督が、『殺人の追憶』のヒョンギュを意識してパク・ヘイルにこの役を当てがったとしか思えないんですよね・・
あまりにも情報が少な過ぎて真相は分かりませんが。


フードかぶってるのがまた怪しさ増していいよね・・(笑)


以前から韓国映画見てるときに、日本語と発音の近いものがあるなあとたびたび思っていたのですが、この映画で主人公がカップルの女の方に靴を交換しろと脅迫されるシーン、日本語と同じ発音の言葉が立て続けに出てきて、
「なんか急に日本語喋り始めたぞ?!」ってびっくりしました(笑)
鞄はガバンだし、「あらそう」という感嘆詞は「アラッソー」というらしいですよ。


ここから先だいぶネタバレ↓



今回感想を書くということで改めてこの映画について考えてて、ふと思ったんだけど、
最後に主人公が荒野でひとり子供を産んで、パク・ヘイルがその子どもを抱えて去っていきますけど、もしかしてこの映画って「マリアの懐胎」がテーマ・・?
いや、最初に見たときにもそう思ったんです。
パク・ヘイルは神のような力を持っているし、実際に(冗談めかしつつも)自分は神だと自称しているので。

・・と、ここまで書いて確認のためにもう一度映画を見ていたら、謎の男があみだくじでターゲットを決めたあとのシーン・・
つまり、かつて主人公の部屋に謎の男が現れていたというシーンの続きとなるところですね、初見時は気付かなかったんですが、これ完全に無理やり致したあとですね。・・・

・・うわぁ〜、ヒョンギュっぽい筈だ〜
というか監督が『殺人の追憶』での役を踏まえてパク・ヘイルをキャスティングしたことが確信に変わりました・・。
(念のため言っておきますがヒョンギュが犯人かどうかは分からないし明言されてません。笑)
とまあ、これでマリアの懐胎なのは確定っぽいです。

しかも、改めて見たら最初のタクシーのシーンで、ルームミラーに意味ありげな十字架がぶら下がってました。
どうやら私が気付いてなかっただけで、思いっきりキリスト教がモチーフの映画のようです。
(韓国は実はキリスト教国家ですしね。)

というか、日本語字幕で見たら私がここに書いてあることなんて最初から分かりきっていることなのかも。
英語字幕があったとはいえ、会話はほとんど理解できていないので。

学生が低予算で作ったとは思えないほどストーリーの凝った映画です、、
なぜ謎の男=神様が、主人公=聖母マリアを利用するだけ利用して不条理に痛めつけたのか知りたいし、それがタイトルである「獣の終わり」にどう繋がるかも知りたいし、掘り下げて考察したいし、ほんと、日本語字幕で見たい映画です。
多分、永遠に無理だけど・・
(監督のチョ・ソンヒがものすごい有名監督になれば一縷の望みが・・)



とにかく、考察しがいのある玄人好きする映画で、パク・ヘイルの「悪の顔」も存分に堪能できて見てよかった映画でした。


また分かったことがあったら追記するかも。。


追記1
さっそく追記なんですが、この映画についてのパク・ヘイルのインタビューを読むと、監督は『恋愛の目的』のパク・ヘイルをイメージしてたみたいです。
え・・ユリム先生・・?(笑)
あ〜でも、人が口を挟む隙も与えずにまくしたてて話すところや身勝手で図々しいところは確かにユリム先生っぽいかも知れないです・・

結論。
ヒョンギュとユリム先生を足して2で割った感じ?(笑)












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