幻の『天才バカボン』PART2 亜細亜堂が劇場版を制作?

2018年05月02日(水) 15時21分
 先日当ブログに掲載した『日の目を見なかった?幻の日本テレビ動画版『天才バカボン』パイロット・フィルム』(http://yaplog.jp/220-number1/archive/124)は、ありがたいことにWikipediaの『天才バカボン』の項に書き加えられ、更に『天才バカボン パイロットフィルム』という項が設けられました。どちらも当ブログがソースとしてリンクされています。Wikipediaを執筆された有志の方、そしてSNSで反応して下さった方、本件が赤塚史における知られざる事実であるという共通認識が出来たことに感動します。ありがとうございます!

 そんなブログをアップした数日後、アニメシリーズ第5期となる『深夜!天才バカボン』の制作が発表。3月末に終了した『おそ松さん(第2期)』の余韻が残るSNS上を、この4月から放送が開始された『キャプテン翼』、『キューティーハニー』、『ゲゲゲの鬼太郎』などのリバイバル・ブームの文脈から、大きく騒がせました。



 その中にひとつ、気になるツイートが。アニメ『エスパー魔美』、『チンプイ』、『クレヨンしんちゃん』(どれも傑作!)などに関わられた本郷みつる氏が、こんなツイートをされました。


本郷みつる/Hongo Mitsuru
@megatenhongo
「天才バカボン」の話題で思い出したのは30年ほど前、元祖天バカの再放送の視聴率が良くて、新作劇場版の話が急に持ちあがりました。現場は亜細亜堂、社内の作画班編成も決まった所で急にストップがかかり、結局中止に。理由は他社で「おそ松」が決まっていたからでした。亜細亜堂版も観たかった!(2018年4月3日)
―https://twitter.com/megatenhongo/status/981048160347803649


 今回の記事では、新事実を含んだこのツイートを紐解いていきましょう。



 まず、『劇場版・天才バカボン』という企画が持ち上がっていたという話は、当時の『アニメージュ』に残っています。それは、過去作を振り返る“熱烈再見シリーズ”という連載の『今、バカボンが新しい -東京ムービーギャグアニメ-』(1987年12月号)という記事。この特集は『天才バカボン』と『元祖天才バカボン』の再放送が高視聴率を記録したことをきっかけに、『天才バカボン』、『元祖天才バカボン』、『ど根性ガエル』、『ギャートルズ』をプレイバックしたもので、“アニメ様”の異名を持つ小黒祐一郎の手による特集記事でした。(原画:井上俊之、仕上:岩村達郎による)『天才バカボン』と『ど根性ガエル』がコラボレートした描き下ろしセル画で始まり、『天才バカボン』からはパイロット・フィルム回(第8話Bパート)、『元祖天才バカボン』からは劇画回(第15話Aパート)をクローズアップしたこの特集に「劇場版製作の噂がある」と、一文だけ書かれているのです。

 (この特集を小黒氏が当時を振り返った記事がこちら→『アニメ様365日』第479回「宮崎駿への取材は背中に向かって」http://style.fm/as/05_column/365/365_479.shtml)

 何故東京ムービーではなく亜細亜堂で制作となったのか、それは、『天才バカボン』では作画監督、『元祖天才バカボン』では第79話までのキャラクターデザイン・総作画監督として関わり、作品の中核をなす芝山努氏が当時、亜細亜堂に所属していたからでしょう。

 また、他社で「おそ松」が決まっていたからと本郷氏は呟いていますが、その『おそ松くん』(1988年からのテレビアニメ第2期)が『ドラえもん』をはじめとする一連の藤子不二雄と小学館の関係性を真似た、赤塚不二夫と講談社による出版社ぐるみの企画だったからということもあるのでしょうね。



 上述した『天才バカボン』と『元祖天才バカボン』の再放送とは、テレビ東京の月曜日〜金曜日、午後6時半〜午後7時の枠で再放送されたものです。この枠の放送内容の流れは・・・

 1987年5月4日 『リボンの騎士』再放送が終了
 5月5日 こどもの日特番
 5月6日〜6月30日 『天才バカボン』再放送
 7月1日〜11月25日 『元祖天才バカボン』再放送
 11月26日〜 『エースをねらえ!』再放送が開始

 ・・・という感じ。視聴率については、またもや「アニメージュ」の誌面から、転載してみましょう。

1987年9月7日〜9月13日 関東のアニメ視聴率
『サザエさん』 29.7%
『ドラゴンボール』 22.1%
『ゲゲゲの鬼太郎(第3期)』 22.1%
『ドラえもん』 21.4%
『陽あたり良好!』21.0
『元祖天才バカボン』(再放送)19.0%
―『アニメージュ』1987年11月号より


 第6位!翌月号では、なんと第3位に躍り出ます!

1987年10月12日〜10月18日 関東のアニメ視聴率
『サザエさん』 26.7%
『ゲゲゲの鬼太郎(第3期)』23.2%
『元祖天才バカボン』(再放送)19.8%
『ドラゴンボール』18.9%
『陽あたり良好!』 18.9%
―『アニメージュ』1987年12月号より


 ちなみに、Wikipediaによると、『元祖天才バカボン』の最高視聴率は、1979年1月30日の関東地方での再放送で記録した25.7%となるようです。時代によって「高視聴率」の基準は異なりますが、再放送でのこの健闘ぶりはまさに「シェー!!」。そして『おそ松くん』が制作され、かの肝付兼太によるイヤミ、田中真弓によるチビ太がブラウン管に登場することとなるのです。



 最後に、『赤塚不二夫大先生を読む 「本気ふざけ」的解釈 BOOK1』(2011年刊)、『赤塚不二夫というメディア 破戒と諧謔のギャグゲリラ伝説「本気ふざけ」的解釈 Book2』(2014年刊)の著者である名和広氏から、誌面のデータからは分からない、再放送当時の空気感あふるるエピソードを教えてもらいましたので、皆さんにもお裾分け。

 「元祖の再放送の時は中1で、月曜日の朝礼の時、元祖を見るために教室に残る部活の連中を校長先生がたしなめる場面がありました。「テレビ漫画を見るために7時まで学校にいてはだめだ」って(^^;」

 また、名和さんが学校に持ち込んだ『えりぬき天才バカボン』を取り上げられてしまうも、『バカボン』リアルタイム読者の教師で、「なつかしい!」と唸る場面もあったそうな。『深夜!天才バカボン』もそんくらいの面白さで、流行るといいなぁ・・・!
  • URL:https://yaplog.jp/220-number1/archive/135
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