舞台『熱海殺人事件』を観劇してきました!!(ネタバレあり注意) 

April 22 [Mon], 2019, 14:36
4月16日(火)と21日(日)に、つかこうへい作『熱海殺人事件』を観劇してきました。以下、観劇した感想を書いてみました。内容に少し触れる部分があるので、知りたくない方はここから先は読まないでください。



いや〜〜、、、。

疲れた。。。

舞台を侮っていました。。。

わたくし、もともと舞台演劇というものが苦手でして、あの大仰な台詞回しやオーバーなアクションがあまり好みではありませんで、時々テレビなどで放送しているものを見ていても感情移入できなくて、最後まで観たことがありませんでした。
ましてや、お金を出してまで劇場に足を運んで観劇するなんてことまったく考えたこともありませんでした。
では、なぜそんな私が舞台を観劇することになったのか?それも2回も!その答えはもちろん、

今泉祐唯が出演するから!

あの衝撃の卒業発表から約9ヶ月。

私は彼女の歌声が大好きでして、卒業後も歌のお仕事をしてくれるものだと期待していたのですが彼女が選んだ道は「女優」だったのです。

卒業発表後も雑誌のインタビューなどで彼女の言動に注目していたのですが、そこからははっきりとした夢や目標が感じ取れなくて、失礼ながらただグループにいずらくなってしまって、なにか嫌なことから逃げ出すように卒業してしまったのかなぁという印象を受けてしまっていました。
私のようなただのいちファンが偉そうな事は言えませんが、ちょっと今後の芸能活動は厳しいのではないのかとまで思っていたのです。

そんな彼女が、女優として舞台に出演するという。しかも、あの巨匠つかこうへい『熱海殺人事件』のヒロインに抜擢されたというのですから、これは見逃すわけにはいかないと思いチケットを迷わず購入しました。と同時に非常に不安な気持ちにもなりました。というのも、舞台の稽古というものは、それはそれは辛く厳しいものだというイメージがあったからです。演出家や先輩俳優から厳しい指導を一ヶ月以上受けることになるのです。果たして彼女は最後までやり通すことができるのだろうか?と。途中で逃げ出してしまうのではないかと。まったくの余計なお世話ですが、とても不安な気持ちになりもしました。

そんなこんなで、初めての舞台を観劇しに紀伊国屋ホールまで行ってきました。
わたくし初めて知ったのですが、この劇場、舞台俳優を志す方の聖地だったのですね。そんなことも知らずに、熱海殺人事件のストーリーも知らずに、のこのこと出かけていったのですが、、、!!!

なんだこれは!!!

誰だ!!!

あの俳優は!!!

大音量の白鳥の湖が流れてきて舞台の幕が上がったと思ったら、、そこからいきなり怒涛のごとく長ゼリフを早口でまくし立ててくる!!!しかも、恐ろしく滑舌がよく、声がよく通ること!
いきなり大迫力の発声に度肝を抜かれました。こちらが必死にセリフを追いかけるのですがとても頭がついて行けずに圧倒されてしまいました!

味方良介。部長刑事木村伝兵衛役。


これが舞台俳優の実力なのか!!!

いや〜〜!!!!
今泉さん、とんでもない世界に首をつっこんでしまいましたね〜〜!

食わず嫌いというものは自分の世界を狭くしてしまうものなのですね。

そしてもう一人。NON STYLE 石田 明さん。地方から転属してきた刑事熊田留吉役。
この方はご存知の通りもともと芸人さんなのですが、この方の演技もすばらしかったです。声量も大きく、アドリブのユーモアも抜群に面白く、なによりも発する熱量が味方さんに負けていませんでした。

それから、lOlのメンバーから佐藤友佑さん。容疑者大山金太郎役。
この方は、私存じ上げておりませんでしたが、若手ダンス音楽ユニットでとても人気のあるグループなのだそうです。彼は地方から出てきた貧しい工員という役がらですが、都会に劣等感を持った青年をみごとに熱演されていました。

そして、今泉佑唯さん。木村部長の愛人刑事水野朋子役。大山の想い人の山口アイコ役。(一人二役)

正直、ずーみんに愛人役はまだ早い気がしました。大人の女性の色気よりもかわいらしさのほうが出てしまっていました。
しかし、だからこそ大山とアイコの浜辺のシーンはとてもよかった。アイコの純粋さがとてもよく伝わってきました。

味方さんや石田さんとの掛け合いでは、今泉さんの声の弱さはどうしてもお二人の強さに押されていたように感じました。というよりもまだ舞台俳優の声になっていなかったと思います。これはこれから経験を積んでいけば改善できるものなのでしょうか?

それでも、セリフの言い回しや、身体表現など、しっかりと演じていらっしゃいましたし、稽古でとても努力をされたのだろうことが伝わってきてとてもうれしかったです。本格的に演技の稽古を始めてからまだ2か月ほどだということを忘れてしまう場面もありました。

とにもかくにも、この日はただただ、味方良介の演技力に圧倒されっぱなしでした。正直ストーリーもよくわかりませんでした。

ですので、2回目の大千秋楽を観劇する前に、熱海殺人事件の小説を購入してストーリーを学習してから観劇に臨みました。

その大千秋楽。この日は、前回で味方さんの衝撃的な演技を経験していたこと、小説を読んでストーリーを理解したうえで観劇できたのでわりと余裕を持って観れました。

味方さんと石田さんは相変わらず高いレベルで安定した演技をされていましたが、この日は若い二人の演技が抜群によかった。

特に大山とアイコの浜辺のシーンからは、貧しい地方の農家から都会に出てきた若い男女の悲哀に満ちた愛憎劇をとても情感豊かに演じていらっしゃいました。特に、今泉さんのアイコは、都会で身を落とした少女の、決して故郷にもどって大山と一緒になることができない絶望的な悲しみを本当に感情的に演じていらっしゃって、思わず観ているこちらが涙をながしてしまうほどでした。

そしてもうひとつ、水野と木村部長の最後のシーン。部長が水野にタバコを買いに行かせる場面で、水野が部長のそばに寄ってきて見つめ合うところ。今泉さんの表情が本当に切なくて、何ともいえない良い表情をしていました。あそこで、味方さんのセリフが一瞬遅れたように感じたのは私の気のせいでしょうか?まるで今泉さんの演技に見入ってしまったかのように、言葉が出てこなかったように感じたのですが。
それほどあの場面の今泉さんはすばらしかったです。とても印象に残ったシーンでした。

浜辺のシーンから木村部長との別れの場面まで、今泉さんの心の中にある、今、抱えているいろいろな感情をすべて出し切っていたように感じました。まさに、今この瞬間でしか表現できなかったであろう演技にみえました。

総じてこの日は、今泉さんと佐藤さんの若い二人の情熱が、味方さんと石田さんのそれに決して負けておらず、それどころかむしろ先輩たちを引っ張っていたようにさえ感じました。特に浜辺のシーンから終盤にかけては4人の熱量がぴったりと合致していて、完全に舞台に引き込まれてしまいました。そして、最後に木村部長と留吉のタバコを吸うラストシーンで余韻に浸りながら幕が下ろされます。

本当にすばらしかった。この四人のおかげで舞台演劇というとても素敵な芸術に出会うことができました。
それにしても、この作品はセリフの量が膨大で、観ているだけなのにものすごく疲弊します。終わったあと、すごく心地のいい疲労感に襲われました。まるで、スポーツの激闘を見終わったあとのように。


そして今泉さん。

本当にごめんなさい。

私は、あなたを見くびっていました。あなたは本気で「女優」をなさるおつもりなのですね。あなたの情熱のすべてをこの作品に捧げ、そして見事に演じきっておられました。観ている者を感動させることのできる素敵な女優さんでした。

これからも息の長い芸能生活になることを願っています。
そして、たまには歌も歌っていただけるとありがたいです笑