すごくおなかがすいた、でもへやからいっぽもでられない

November 20 [Sun], 2011, 21:43


3/4ほどノンフィクションだったらどうする?








「死のうと思ったんだ」



薄暗い部屋で、奴はカーペットの敷かれた床にへたりこんでそう言った。
常々幼馴染だから奴の奇行には慣れていると思っていた俺だが、今日の奴はなにかおかしい。
大きく見開かれた目はいつも通り光も何も差していないが、その目の下にできたくまが酷い。
涙のあとがてらてらと光り、顎からしずくがぽたりと落ちた。



「でもね、ナイフで首を掻き切ろうとすると、急にそんな俺が滑稽に思えたんだ、おれ、超、サムいってさ、なんでかな?不幸ぶってる俺が超サムいってことかな?あは、あはは、おれ、超、サムい、そんな俺にできるのは睡眠薬を飲むことぐらいだよ、でもね、気づいたんだ、睡眠薬なんて持ってないってことにさ」



かつてこんなに静かに話す奴の姿を、俺は見たことがなかった。
奴はいつでも話の途中で声を荒げ、興奮して、汗をまき散らす、そういう奴だ。
しかし奴は一滴の汗も流さないまま光の無い目を俺に向けると、また静かに語り始めた。



「みんな怒るんだ、不幸ぶるなって、お前だけが不幸なんじゃないって、世界で一番不幸だなんて思い上がるなって、でもなんでかな?俺のなにがわかるのかな?不幸ぶってなにが悪いのかな?だって俺は辛いんだ、苦しいんだ、それがわかる?バカ言わないでほしいよね、だれにもわからないよ、たとえわかりやすく話したって、わかりゃしないんだ、俺みたいなのを叱る人間ってさ、なにをもって自分が正しいとか思い上がってんの?なにをもって俺の言い分がエゴだって決めつけんの?不幸ぶっちゃいけないなんて、だれが決めたの?それってほんとに正しいことなの?かまってちゃんの何が悪いわけ?そういうのを突き放したとき、俺がほんとに死んだらどうすんの?それって殺人じゃないの?だいたいお前よりもっと酷い境遇のひとがいるんだって叱り文句はなんなわけ?俺が考えを改めればそういうひとが救われることでもあんの?知ってるよ、自分のほうがもっと酷い境遇なんだって言ったらそれこそエゴだから、他人を引き合いにだすことで自分を正当化したいんでしょ?あは、あははは」



奴の後ろには、真っ二つに折られたノート型のパソコンがあった。
水滴がてらてらと光っている、おそらく奴の汗だ。




「あのね、無視されるんだ、学校ならまだ我慢できたんだ、でも家でも無視されるんだ、無視するくせに機嫌も悪いんだ、どうしよう、唯一だったのに、それじゃ俺、だれにやさしくしてもらえばいいわけ?親にまで無視されて、ねえ、だれが俺にやさしくしてくれるの?俺は演技を続けなきゃいけないの?少しのことじゃ傷つかない、聞き分けはいいけどちょっとわがままな男の子を演じなきゃいけないの?親の前でも?もうボロボロなのに、ちょっと突き放すだけで寝込んじゃうのに、そんな俺が傷つかないふりをしなくちゃいけないの?親の前で?唯一って、思ってたのに、どうせ話しても怒られるだけだって思ってるけど、話したってわかってくれないって思ってるけど、寝込んでも理由を聞いてもくれないけど、親だからって思ってたのに、やっぱり俺は一人きりなんだ、死ななくちゃいけないんだ、睡眠薬でも飲んだほうがいいんだ、でも怒られるのが怖いんだ、どうしたら怒られないのかな?やさしくしてくれるかな?俺、死にたいよ」



奴は汗の代わりに涙をぼろぼろと流してそう訴えた。
奴のこんな話を聞いたのは初めてだった、奴はいつでも頭のおかしい奴で、俺は奴の被害者だとばかり思っていた。
実際奴も誰かの被害者なのかはわからない、しかしあまりにも弱すぎる人間であることはわかったつもりだ。
そんな弱い人間にかける言葉を、俺は知らない。


ただ考えてみるとすれば。





駄目だ、やっぱり出てこない
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