【SANGA(神々の戦い)】 17

August 17 [Sun], 2014, 10:35
17、「石」

 ここは札幌の隣町小樽。

季節は初夏。観光客が絶えないこの街に、

昔は穀物倉庫として利用されていた石造りの倉庫があった。

今はその倉庫を現代風にアレンジし小洒落た喫茶店として営業している。

照明はランプだけというレトロ感が観光客には人気があり
今日も沢山の観光客が出入りしていた。

そんな観光客のひとりでスケッチブック片手に楽しそうに
人間ウォッチングしている男が居た。

その男は元SANGAのアグニだった。

アグニはひと月前に視た夢が気になり、3日前から小樽に滞在していた。

その夢とは・・・この喫茶店で懐かしい人と出会い
固い握手をしているものだった。

誰とは特定出来ないものの、只々懐かしさだけが印象的な知人。

そしてその場所がこの喫茶店だった。

この店を特定する迄ほぼひと月費やし、

今日が小樽に滞在して三日目、

このまま何の変化が無いなら、明日には帰郷する予定でいた。

ウェイトレスが話しかけてきた。

「お客様、ご来店ありがとうございます。当店より、

オリジナルのランプ型ストラップを記念にお持ち帰り下さい」

「あ、ありがとうございます」

「ところで3日前から、誰かをお待ちのようですが待ち合わせか何かですか?」

ウェイトレスが屈託のない笑顔で聞いてきた。

「あ、ハイ・・夢で懐かしい誰かと、この店で逢っていたんです。

とっても大事な人とね、それでつい来ちゃいました。

でも今日、逢えなければ帰ります。ご迷惑駆けます」

「いえ、素敵なお話しですね。お会い出来る事を願ってます」

「ありがとうございます」

結局その日も夕方まで何の出会いもなく帰ろうと心に決め、

帰り支度をしたその時だった。 

薄暗い店内に男性が入ってきた。

顔は確認できないがアグニの胸に

「待たせたね」

という耳には聞こえないが直接心にその声は伝わってきた。

その男は視線をアグニに向けたまま薄暗い店内を
アグニの座るテーブルに向かって歩いてきた。

アグニは近づいてきたその男を直視した。

アグニは思わず声を発した。

「エッ!ウソッ・・」その目線の先に立っていた人物は宮園風輝その人だった。

瞬間アグニの目に涙が溢れてきた、

男性はアグニの正面に座った。

アグニは心の動揺を抑えながら口を開いた「あなたは、どちら様?」

男はニヤニヤしながら口を開いた。

「どうしたアグニ。別れて3年過ぎたらもう僕を忘れてしまったのかい?」

「・・・・」アグニはフウキならではの懐かしいオーラを確認した、

と同時に身体が震えてきた。

アグニの思考は完全にパニックを起こしていた。

フウキは囁いた。

「ようやっと解ってくれたらしいね。そう、君の目の前にいる僕は宮園風輝だよ、

そんな幽霊でも見たような顔をするなよ・・フフッ」

「幽霊のほうが、まだましです」

ウェイトレスが近寄ってきて言った「いらっしゃいませ」
フウキにメニューを差し出し、

視線をアグニに移すと「お客様、待った甲斐があったようですね」
と微笑んで話しかけてきた。

ウェイトレスにはアグニが待ちこがれていた逢いたい人にようやっと会えた
喜びでアグニが涙ぐんでいるように映った。

「コーヒー下さい」

「ハイ、かしこまりました」

ウェイトレスが去るのを待ってまたアグニは話し始めた。

「フウキさん。これはいったいどういう事なんですか?」

「今、君の前に座っている僕はパラレルワールドのフウキなんだ。

この世界で死んだフウキは僕と別のフウキなんだ」

「別世界のフウキさんがこっちの世界に来るって?
そういう事、出来るんですか?」

「現実には不可能さ。でもこの世に波長を合わせればある意味、
可能なんだよ。但し反霊反物質だけどね。

アグニ君の視ている僕はイリュージョンで超リアルな幻想。

それはこの際、おいといて。

僕がここにこうしている理由は君に渡したい物があるからなんだ」

「あ、はい・・?」次の瞬間フウキは空中から
緑色の石を取り出しアグニに渡した。

「?石ですか?」

「ただの石と違うんだ。時空移動を容易くする石なんだよ。

これを使い別の地球で行われている光景を視て、

SANGAのみんなに伝えてほしい。

今こそSANGAを復活させる大事なタイミングなんだ。

それによって地球は大きく変わる。

その切っ掛けをアグニ君に頼みたい」

そう言い終えるとフウキは煙のように徐々に消えてしまった。

ウェイトレスがコーヒーを持ってきた時にはアグニはひとりで座っていた。

「あれ????待ち合わせの男性はどこに??」

「急いでたみたいで帰りました。コーヒーは僕が頂きます」

通路は誰も通った気配がなかったのでウェイトレスは
狐に摘まれたように唖然としていた。

東京に戻ったアグニはシバに事の経緯を話した。

「そうか、フウキ君が小樽に・・」

「そうなんです。何で小樽なのか僕にも解らないけど、
この緑の石はこうして現実にここにあるんです」

アグニはバックから石を取り出しシバに手渡した。受け取ったシバは何かを観察していた。
シバが話し始めた「待ってるね!この石は
誰かを待ってるような気がするんだけど・・・?」

「シバさんもそう思いますか?僕も数日持っていて同じ事を感じてました。

この石には意識があって、誰かこの石の力を引き出せる所有者に渡してほしい。

その相応しい所有者を僕達に探し出してほしいのかなって感じてたんです」

「そうかもね、たぶんそれだよ。
フウキくんが係わってアグニくんに渡したという事はアグニ君、

いやSANGAのメンバーは絶対に使命感を持ってやってくれるだろうという
事かも知れないね」

「久々に6人集合しますか?」2人は久々に心の内側に熱いものを感じていた。


ここは韓国の釜山市。

世界権力エレボスの(アメリカのマーラ)(イギリスのアンラ)
久慈健栄の後を継いだ(韓国のキム・シャウン)の3人が打合せをしていた。

マーラから提案があった「今、世の中ではONEという実体の無い、

しかし確実に存在してる集合体があるのはご存じだと思う。

はじめは只の流行と気にしていなかったが、

ネット社会では異常な勢いで広がっている。

それも年齢層・性別・人種に関係無く早い話が今では
誰もがONEの存在を知っている。

いわば潜在的集合意識が動き始めてきたという事じゃ。

今の社会は我々の先人達が集合意識を誘導して作り上げてきた我々の為の社会。

その呪縛から世界は目覚めつつある。

ここで処置しないとならんのだよ」

アンラが言った「3年程前にミスター・ミヤゾノご世を去っていらい
SANGAという小さな組織も今は無い。

それで終わりと思ったが、違う動きが発生したようだ。

今度は首謀者が無く本当に自然発生なのだ。

歴史的にもルネッサンス期が自然発生だったが今度は情報量と速度が格段に違う。

組織が無いから叩きようがない・・」

キム・シャウンが口を開いた「SANGAの面々を3年程、見張ってはいるが

残党の6人やSANGAの会員も、この3年間まったく動きが無い。

ONEの影響はヨーロッパやアメリカからの影響が強いようです」

マーラが「実体の無い力(組織)か・・・厄介じゃのう」

「9・11の時のように世界の目を違う方向にそらさんとならんようだのう・・」
アンラが言った。

「テロか・・」マーラが追い打ちを掛けた。

キムが「やはり宗教戦争が手っ取り早く単純で自然ですか・・」

マーラが「キリスト・イスラム・仏教・ヒンズーと影響を与えないと毎度のように
キリスト圏とイスラム圏だけでは世界は動かんぞ」

キムが言った「宇宙はどうですか?宇宙人の存在を世界に知らしめ、

地球人が一丸となってある方向に向かうというシナリオはどうですか?

SF小説のようですが如何かと?」


「その手を使うと奴ら(異星人)を表に公表せねばなるまいのう・・
そういう時期か・・・?」

マーラは腕を組みながら呟いた。

アンラは「正直言って奴らは我々と相反する者、
下手をすると一般人を覚醒させんとも限らん。

覚醒した人間が増えたら我らの世界も終焉じゃ。・・どうしたものか?」

マーラが言った「やはり今回もテロしかあるまい!」アンラとキムが首を縦に振った。

マーラが続けた「今度も世界的に驚くような事を仕掛けんといかんだろうな・・・
ピラミッドでも破壊するか?」 

キムは「好い考えですね、それをやったら世界中が敵になります。

そこに「KIZUNA」と書いたメッセージを残し、

一気にKIZUNAの悪いイメージを世界に発信ましょう」

マーラが言った「キム・・おぬしもなかなかの悪よのう・・・フッフッフッフ・・・」

エレボスの3人は不気味な笑みを浮かばせていた。

釜山の街は闇に染まりかけていた。
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