まばらな数に減少した瞬間

August 01 [Thu], 2013, 16:55
目立つようなものではなく少し関節をずらす程度のものだったが、
偶然だろうかいつもそれを目撃する牧さんは笑っていた。
その場では、お互いに苦笑程度で済ますのだが、実はそんな牧さんも、
サービスカウンター内で体操していたことを私は知っているのだ。

そして、ついにそれを目撃した瞬間笑ってやったのだ。
そのことに気がついて若干頬を赤く染め
用事も無いのにあちこちへと手を動かす牧さんの姿は、
確かに私とそう変わらない二十歳の女性に見えた。

雨が降る梅雨の時期。
お客さんは対して変わらない。
いつものように、
まばらな数に減少した瞬間を狙って
腰の体操をしている私のところへ牧さんが歩いてやって来た。
手には、マジックリンを備えていた。
どうやら、あまりの客足のために各レジの掃除をする様子だった。

そこで私は、しゃがんだ状態のまま
机とにらめっこを続ける牧さんに、
「牧さん、お疲れ様です。腰、痛くならないですか?」
と、口元がニヤける思いを隠しながらもそう聞いた。
すると牧さんは、ちらりと視線だけをこちらに寄こしたまま、
「痛い。すこぶる、痛い。」
とだけ、言い放った。
「ですよね。」

私の相槌を最後に、
たった三回で言葉のキャッチボールは終わってしまったが、
私のレジが混み始める頃まで、
お互いにニヤニヤしていたものだ。
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