欲望の果て 

June 07 [Tue], 2011, 14:18
深層心理を探るために、自分の脳を覗き込む。見えないものを見ようとして、見えるものは見ないようにして。
どす黒い世界は肺と一緒のようで、そこの暗がりから飛び出すのは嘘か真実か。
現実逃避の日々。はっきりしない空と一緒。誰にも触れたくない。触れられたくない。そんな真逆な嘘も本当のように聞こえてくる。精神は内部に流れ込み、浸透していき、毒のように体を支配する。
欲望は駆り立てられ「SAY!性!」と叫び続ける。
欲望は駆り立てられ「生!性!」と叫び続ける。
ただそれだけ。

社会構造を見落として、悪魔が雲の上で嘲笑っている。見えているものは対して問題じゃないこと。見えていない、気付かないことは大いに問題だらけ。知らぬ間に築かれているピラミッド。自分がどこにいるかも承知しながら知らないふり。それがこれ。
心の底から「鐘!金!」と叫び続ける。
腹の底から「化ね!金!」と叫び続ける。
ただそれだけ。

人生を振り返る時が来て、空が声を出して泣いている。心の奥底に潜む自分が自分を評価する時。美しき季節と汚れた世界。その中間に佇む者と、土に還る者。異様な光景を目の当たりにしてやがて訪れる恐怖。正しいものが何か、間違いだらけを選択してきたのではないか。そこにいるのは誰か。誰もいないのではないか。
その事だけを恐れて今日も生きる。明日は無くとも。
ただそれだけ。

蛍光色のカイト 

May 31 [Tue], 2011, 15:57
行き先は何処か?それはあんまり問題ではない。ただ、このほの暗い世界で飛びたくて。
まっさらな三色のカイト。
蛍光色のカイト。


―都会の喧騒。
ほら僕はここにいる。二酸化炭素や、排気ガスに汚れた街で飛べるか試してみたくて。存在証明。描いた通りに。


ある風が囁く。
「無理さ。だって、この街では俺が踊れない。人だって多いし。ほら、お前を持って走るやつを見てみろ。あんな恰好じゃ走れない。走る気が無い奴がどんなに足掻いても無駄さ。」
風が靡くほうに僕は目を向ける。そこには、僕のパートナーがいる。
どんよりした空を見つめているパートナーの恰好は確かに走るためではなさそうだ。
ビュンと音を立てて風が言う。
「なっ!飛びたかったらあいつじゃ無理だろ?この腐りきった街じゃ無理。諦めな!」

僕は風に問う。
「何処なら飛べる?僕は自由に飛びたいんだ!何にも邪魔されることなく、ただただきれいな空をプールのように泳ぎたいんだ。」
「そうだな。河川敷あたりなら俺の仲間も多いし、十分にお前を飛ばせることができるだろうよ。まだここよりは見晴らしが良いかな。まあ、如何せんこの街は終わってる。できれば、俺たちも近づきたくないんだが、人間が高いビルを立てて俺たちを無理矢理呼び寄せるから仕方ないんだ。」
風は寂しそうにそう言うと、ピュルルと悲しい声で鳴く。
僕は慌てて
「元気出して!ね!そうだ!僕とタッグを組もうよ!君の力がどうしても必要なんだ!頼むよ!」
風が鳴き止む。
「何でそんなに飛びたいんだ?」
「知りたいんだ。世界を。」
僕は真っ直ぐに風を見てそう言うと、風が僕を見つめ返す。僕の目の奥の奥を。まるで心まで見透かすように風は僕を見つめる。空気がはりつめる。ビルのすきま風がビュンと鳴いたと同時に風は口を開けた。
「わかったよ。やるだけやってやる。」
「ありがとう。」
僕はお礼を言うと何処からかピーッと音が鳴る。ドキッとした僕はその方向に目を向けると異常な格好をした男がホイッスルを持って立っていた。それと同時にパートナーが僕を掴む。
僕はゴクリと喉を鳴らした。

いよいよ空を飛ぶ!僕は自由になる!
けたたましくホイッスルが鳴り、パートナーが僕を掲げて走り出す。風が何とかしようと僕の背中をそっと押す。
「もっと!もっと!風さん!もっと僕に力を貸して!」僕がありったけの声を出して風に訴える。
「わかっている!やっているさ!だけど、やっぱり、俺一人じゃやっぱり・・・やっぱり無理だ!」
風がそう言うと一瞬の無重力状態から、地から引力を感じ僕は急降下。あっという間に地面に叩きつけられ目の前が真っ暗になる。遠くではホイッスルの音が・・・。

ふと、気がつくとパートナーがホイッスルを持った男に何か言われている。そして、パートナーは何処かに出かけた。
しばらくすると、パートナーが身軽な恰好をして登場する。これで、走れる。そうパートナーが言うと、再び僕を掴んだ。
「風さん!風さん!」
「おう。大丈夫かお前?さっきはすまなかったな。でも、やはり俺一人じゃあ、あれが限界だ。」
「やっぱり飛ぶのは無理なのかな?」
「何よりも、人間が邪魔だ。お前のパートナーがあの恰好をしたって、ほら見てみろ。ここの人通りの多さ。それが障害になってしまっているんだよ。良いか?自由になるっていうのは全ての条件が揃ってないと無理なことだ。それでもまだお前は飛ぼうとするのか?」
「・・・無理かもね。」自信無さげに僕が言うと、風も寂しそうに
「諦めるか。」とポツリと言う。
それとは裏腹にパートナーは僕を持ち上げ走り出す。答えは何も変わらない。
人間の息づかいが僕の胸に響く。
そして、ゆっくりと地面に着地する。
答えは何も変わらない。


パートナーとの糸が切れ僕は地面へ落ちる。

ひらひらと、淀んだ空を舞う。間もなく落下して汚れたアスファルトの上へ。
風が力をくれる。自由になった僕。たどり着く場所は――。
ただただ風任せ。
きれいな空で泳ぐことを夢見て、地面を這う。
行き先は何処か?それはもはや問題ではない。ただ、澄んだ世界を飛びたくて。汚れた三色のカイト。
もとはまっさらな蛍光色のカイト。
P R
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