傍ら

April 01 [Wed], 2009, 21:38
ファミレス ひとつ 隣の トイレ
個室の中で 死んでいた
私は知らないふりをして
吐きだした君を 水に流した
開かないトイレ
カギは赤
中で死んでいたのは
私だったか あなただったか

飲まれる

March 19 [Thu], 2009, 23:22
夜の中 溶けて行くのは
たった一時
誰もが背負うことだけれど
陽にさらされた
白い者たちには
黒く滲む身体は見えない

散り行く指先を見ながら
話すその声は
昼の者と変わらず
迫る気配に
気付かないふりを上手にさせた

あの時あの声を作る喉さえも
陽の光から離れていた事
それを告げて
共に溶け合い
深く溺れるべきだったのか

お遊戯

March 11 [Wed], 2009, 14:37
無邪気な手
積んでは崩す
四角三角積み木の山
結んで解いて
また絡ませる赤い紐
おもちゃの気持ちを覗けるかしら
大きな瞳に映している
お星さまは本物?

黒い海と白い手

March 09 [Mon], 2009, 21:39
深く黒く淀んだ海の
表面を撫でる白い腕
捉えて沈めてやるには
随分華奢で
故に深海は波立つ
吐きだした泡を弄ぶ白い指
貝のような爪を知るから
海は上澄みの美しさを
捨てられないのだ

食卓

March 06 [Fri], 2009, 22:32
父の持った銀のスプーンに
揺れるスープのひと掬い
白けた味のスープを平らげ
再び皿へと吐き戻す

父の周りを飛ぶ蝿は
銀のスプーンに留まっては
黄金のスープを舐めとって
両手を合わせて父を見る

食ってくれ
食ってくれ
薄汚い羽音は蝿の泣く声
食ってくれ食ってくれ
食ってくれ と

愚鈍な父は何にも気付かず
蝿入りスープを飲みこんだ
白けた味のスープの中で
蝿は甘美な夢に溺れる

朝日とともに吐き出されるスープ
知らずにいたか哀れな蝿
白い皿に浮かんで揺れて
複眼に幾人も父を映せば
再び飛ぶのだ
汚い羽根音で

食ってくれ と

花食む鳥

March 06 [Fri], 2009, 0:14
墓に供えられた花
春の小鳥がそれを食む

軽やかに墓石を踏みつけて
まるい瞳で空を見る

飛び立つ翼の折れた日に
花はその上降り注ぎ

そこには小さな墓が出来

父と毒家

March 05 [Thu], 2009, 1:10
世界はたったひとつの家だった
支配は難しくなかったろう
家は毒に浸される
そのままあなたは姿を消して
毒漬けの家だけが残された
出て行ったあなたが憎い憎いと
妻と子供の流した涙
あなたにはもう見えてやいまい
知らないんだろうあなたは
憎い憎い
流れた涙の裏側で
あなたを信じて止まず
愛して止まず
その足元に跪きたがっていたのを
それすらもあなたの仕掛けた罠だというのか
甘さの中に閉じ込められて
毒された家は今なお父を待ち続ける

惰眠

March 03 [Tue], 2009, 17:13
あの人は死んでる
私が言えば
眠ってるだけよ
あなたが言った

起きないのなら
死んでいるのと同じじゃないかと
酷いこと言う私の声
せめて夢の中には届いたろうか

甘い夢を見ているのなら
眠ってるだけよ
言った優しい人の代わりに
その顔殴ることくらい
叶わぬものか

どうせ痛みなんてものは
とうの昔に忘れてしまったんだろう

March 03 [Tue], 2009, 0:21
目の前のあなたとそっと手を重ねた
私が笑えば
あなたは泣き
あなたが笑えば
私は泣く
あなたと私が互いを羨み入れ替わろうとも
その法則は変わることなく
あなたと私の前に在る
どちらかが涙の枯れ果てるまで
泣くことはない
また幸せの味を理解するまで
笑うことも有り得ない

鈴の音と空

March 01 [Sun], 2009, 17:23
澄んだ音で鳴いた鈴
雨上がりの空を見て転げた
あまりに無垢なその音に
泣くのを止めたと空は言う

鈴の行く末知る空は
もっと泣きたかったのだ

けれどけれど
無垢に清らかに鈴が見るから

僅かな時でもその青を
鈴の音に相応しいその青を
澄んだ瞳に刻ませてしまった

差し込む眩い陽の光
映して輝くまるい鈴

青い空のエゴ
誰が叱れるというのだろう
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