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風力発電のメリットとデメリット / 2010年07月29日(木)
 出力5メガワット、塔の高さ90メートル、直径126メートルの巨大な風車が洋上に林立する風景。これが将来の電力供給を担う「洋上ウィンドファーム」の姿だ。

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 再生可能エネルギーの主力と目される風力発電だが、陸上に適地を見つけることはすでに難しく、特に大規模なウィンドファームを建設できる場所はドイツ国内に残されていない。そこで注目されるのが洋上だ。すでに技術的な問題はクリアしており、経済性と環境保全のバランスを考慮しながら欧州各地で本格的な開発が進んでいる。

 今回の時事日想はこの春正式に稼働を始めたドイツ初の大型洋上ウィンドファーム「アルファ・ベントス(alpha ventus)」をレポートする。

●2050年までにCO2排出「0」

 アルファ・ベントスは株式会社イー・ヴェー・イー(EWE:エネルギー施設の管理会社 )、有限会社エー・オン(E.ON Energy Projects GmbH:エネルギー・コンツェルン)、有限会社バッテンファール(Vattenfall Europe Windkraft GmbH:エネルギー・コンツェルン)が国の支援を受けながら取り組んでいるプロジェクトだ。1999年に運営会社が設立され、2008年に工事着工、そして2010年4月27日に稼働を開始した。ドイツ本土から45キロ離れた北海洋上に出力5メガワットの風車が計12本建設され総出力は60メガワット、建設費は2億5000万ユーロに上る。

 出資者だけでなくドイツ政府にとってもこのプロジェクトの持つ意味は大きい。

 「風力の利用は将来のエネルギーミックス政策において中心的な役割を果たすものであり、洋上風力発電はその大きな部分を担うことになります。2030年までに洋上発電能力を2万5000メガワットまで高めることが目標です。アルファ・ベントスは始まりであり、未来へと通じる再生可能エネルギー開発の扉を開きました。出資者、施設管理者、経営者はパイオニアとして高いリスクを負い、その粘り強さと創造性は今後に繋がるはずです。アルファ・ベントスの建設で培われた経験は今後建設される洋上ウィンドファームに貢献するでしょう」(ドイツ環境相Dr. Brinker)。「2050年までに発電に伴うCO2排出をゼロにする」というドイツ政府の目標は大型洋上ウィンドファームを抜きに語れない。

●世界最大級

 アルファ・ベントスが建設された沖合い45キロの水深はおよそ30メートル。風車はそこにオイル掘削プラットフォームの技術を用いて4本足の「やぐら」を建てるか、非常に重い3本足の土台を設置し、その上に据え付けられている。

アルファ・ベントスの風車

風車直径:126メートル
塔の高さ:92メートル
定格出力:5メガワット
総重量:700〜1000トン
羽の回転速度:6.9〜12.1回転/分
発電機の回転速度:670〜1170回転/分
風車の回転に必要な最低風速:3.5メートル/秒
定格風速:13メートル/秒
風車を停止する風速:30メートル/秒以上
風車先端の最高回転速度:80メートル/秒(12.1回転/分の場合)

 アルファ・ベントスの風車は世界最大級である。陸上ならば小型から大型までさまざまな選択肢があるが、洋上の風車建設は基礎工事に多額の費用を要するため、できうる限り大型のものが選択される。例えば2.5メガワットの風車を2基建てるより5メガワットの風車を1基建てる方が、発電出力当りの建設費は安上がりになる。大型化により建設費が割安になる理屈は陸上の風車も同じだが、洋上の方がメリットが大きい。

 発電された電力はまず洋上変電施設で110万Vに昇圧され、直径18センチ・長さ60キロの海底ケーブルにより送電される。陸地に近い部分のケーブルは船の航行を妨げないよう海底地中に埋められている。

 最も注意を要する技術上の問題は氷だ。流氷の衝突に対して十分な強度を持つことはもちろん、風車に付着する氷の対策も必要になる。氷の付着により風車の回転に影響が出るようであれば、回転は自動的に停止するようになっている。

●CO2削減効果

 さて、実際にアルファ・ベントスで発電される電力とCO2排出削減効果はどれほどのものなのだろう。

 合計出力60メガワットは最も理想的な風が吹いた場合の定格出力であり、当然、365日を通してこの出力を出せるわけではない。考え方としては、風の弱い日、風の強い日、あるいは風が強すぎて風車の回転を止めなければならない日など1年を通して平均化し、計算上「定格出力換算で何時間稼働するか」となる。

 陸上の場合はこれが3000時間以下となるが、洋上は風の条件がいいため3800時間程度を達成できる。従って発電量は以下の通り。

60メガワット×3800時間=22万8000メガワット時

 家庭の電気消費量は1人当り年間約1メガワット時なので、アルファ・ベントスだけで22万8000人が家庭で使う電力を供給できる規模だ。

 石炭火力発電所では1メガワット時の電力を得るのにおよそ1トンのCO2を排出するから、これと比較するとアルファ・ベントスは年間22万8000トンのCO2削減効果がある。

 ドイツ政府が掲げる目標「2030年までに2万5000メガワットの洋上発電」を達成するためには、アルファ・ベントスと同規模の風車を5000本建設しなければならない。これが実現すると年間発電量は95テラワット時となり、国内電力需要のおよそ15%をまかなえる計算だ。

●風力はエコロジカルでエコノミカル?

 風力エネルギーはエコロジカルである。火力発電などと比較すればこの定義は正しいのだが、風車の数が5000本となれば話はまた別だ。

 事業者側は環境安全性を強調する。すでにデンマークで稼働している洋上ウィンドファームのデータを基に、洋上を飛ぶ渡り鳥が風車に衝突する可能性は低く、風車の騒音・低周波音の影響についても問題がないという。

 確かに北海ではすでに多くの洋上ウィンドファームが稼働している。しかしながら、さらに数千・数万単位で建設された場合、周辺の自然環境にどのような影響を及ぼすかは全くの未知数だ。

 風力発電の経済性はどうか。現在、洋上でも陸上でも風力発電は火力・原子力・水力発電に比べて割高であり、再生可能エネルギー法による売電保証がなければ経済的に成り立たない。アルファ・ベントスの場合、売電保証価格は1キロワット時=0.091ユーロに設定されている。割高な分は電力消費価格に広く薄く転嫁され、2011年に5カ所の洋上ウィンドファームが稼働するようになれば国民1人当り年間0.10ユーロ程度の負担増ということになる。

風車の数が少なかった時代はこれで問題なかった。「再生可能エネルギーの開発を促進する」という国家目標が十分な説得力を持っていたからだ。

 しかし1つの事業者が数百の大型風車を建てることになれば、これも話が違ってくる。大型洋上ウィンドファームは売電価格の保証により巨額の収益をかなり確実に見込める事業であり、当然「事業者をもうけさせるために国民負担が増えるのはおかしい」という声が上がる。この点に関しては今後議論が活発化するはずだ。

 再生可能エネルギーの代表格である風力もまた黎明期から成熟期に入った。エコロジーとエコノミーの両面から、システムの大幅な見直しが必要な時代に突入している。【松田雅央,Business Media 誠】

【7月27日11時32分配信 Business Media 誠
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100727-00000026-zdn_mkt-bus_all

 
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