背に紅の落陽 向いに紫雲の名月 

2013年09月23日(月) 2時15分
すべての偽りを遮る 真実の空間

命を傾けて調律を重ねた
弦楽器の調べ
生まれた意味を知らずとも
ここに可憐に咲き誇る花
音に意味はなくとも
その響きに心を震わせ
道端に咲く花に
愛した人の記憶が溢れる

流れ落ちるあなたの涙
確かめるように慎重な言葉
窓の外の光があなたを照らし
真理の灯火か胸に揺らめく

不幸にも伝える術を持たずに産まれた私達は
幸いにも伝わる術を授かって産まれている

未知なるものへの恐怖は不安を産み
不安は過去の不幸をゆっくりと溺愛する
未知とは未来
未来とは私そのもの
未知を避ければ私が消え去り
恐れず対峙する気概のみが
人の或るべき姿に成る

真理に触れた涙の後には
こんなにも美しい自然が私を包んでいる






 










臥虎 

2013年02月13日(水) 9時59分
空を見上げ
雲の軌跡をたどる君の心は

いまここにあればこそ
雲は応えて赴くまま流れゆく

君を縛る力は過去の記憶

ここは過去ではない


「知恵と力が湧かないのはその為です。」

朱雀が右方の老松の枝に身を預け
私を愛でるように言う

ありのままの心は枝葉を焼くが
彼は意に介さず


「自然とはそういうものです。」
玄武が波紋をたてながら左方より呟く

太古の湖では時の蓄積と解放が同時に進む

波紋は彼に付属するのか
彼自身なのか


風が東方より雨季の風を運びくるとき
私と君は心を通わせることが叶うだろうか


「通うとき通う。」

神意なる青龍の気配が
光を透さぬ厚い雨雲の向こうに蠢く


私は私を信じて全てを解放する

この白く変わった体は千年の証なのだから

『認識は蜘蛛の糸』 

2009年03月08日(日) 1時23分
知ることは失うこと

記憶は刹那の枷

希望は命を軽んじ

分別は自立を阻害す

シッダルタの呼吸は

彼の為にあるように

あなたの心意は

自由に飛翔する為の

全てを説く鍵

成すべきは 

2009年01月03日(土) 11時39分
人がこの世界で何かを成す事が出来るとしたら、それは自身が作り出した自然に対しての認識を改める行為のみだ。

自然に有る万物は、自身の肉体を含め三次元に影響を及ぼし存在しうる物だから、人には認識という行為ではそれら全てを捉えられない。

人が自然から隔離を感じ、同時に不安が起こるなら、その時に成すべきは自身の過去の経験や社会的模範等を基準に未来に向けてより良い環境を模索し選択してゆくのではなく、
自身が日常的に絶え間なく刹那に生まれる自然への認識と、如何に向き合うかしかない。

実は私達は、いつ如何なる時も自然から隔離などされていないのだ。

ではなぜ不安になるのか。

それは、いま有る自身を含めた自然よりも、刹那の中に生まれて消えた認識の方に価値をみた瞬間に生まれるのだ。

私達自身は自然である。

私自身が、認識に囚われた時、命に危険が及ぶ事を知っているのだ。

原生林 

2007年08月15日(水) 20時27分
私には
小さな頃から
幾度となく夢に見る森がある

初夏の透明にきらめく光りの下
緩やかな下りの道に
深い森の慈愛が木陰をつくり
朝の空気は草木の甘い香りを豊かに含み吹きゆく

樹々の葉が幾万幾億と果てしなく波の様に連なり
私の小さな苦しみなど簡単に振るい落とされてしまう

あまりの美しさと静かさに胸がひとつトクリと鳴って
立ち尽くした私は耐えがたい衝動を覚える

あぁ…あの人にこの森を見せたい
遥か遠くに有り
私も稀にしか見ることは出来ないこの深く美しい森

あぁ…あの人にこの森を見せたい
もう会うことの出来なくなったあの人は
きっとこの森を見せれば私の事を理解してくれ
きっと私を許してあの頃の笑顔を見せてくれる

目が覚めて鮮やかに私の心に深い森が広がる様を感じる

しかし
あれほどこの森を見せたいと願ったその人を思い出す事が出来ない

これほどの想いを私は誰に伝えたかったのだろうか

西領の地 

2007年07月17日(火) 21時18分
歩きゆきゆく
みちの景色は
過去の香りよ

輩の言に現る
君の素性と命
深き淵の慟哭

地中に眠りつ
広大に見渡し
信は片寄らず

空を見上げる
太気の鼓動よ
私を許さず共

染入る想いよ
開放の鍵の輝
湖に沈まる迄

絶望の記憶よ
探さず忘れず
希望の光明よ
求めず乞わず

皐月の湖面に
霞を流す風や
深緑を包む霧
境界に湧出る
濾過された泉

深く愛する人
ただ愛する時

深く愛する人
私の側に現る

認知それは断片化 

2007年06月22日(金) 1時04分
ここに例えば花が咲いています。
この花は宇宙の始まりと関係があるでしょうか?
ここに例えば車が停まっています。
この車は、道に有るこの砂粒と関係があるでしょうか?
ここに大きなビルが建っています。
このビルは地球の存在なくして成立し得たでしょうか?
人の認知能力とは、夜もふけた大きな森で、小さなローソクの灯りを頼りに、森の全体を知ろうとするようなものです。
同時に照らせるのは一本の木の根本だけです。
その時、森の全ては闇のなかです。
人にはそれらが存在するのかさえも認識できません。
では、灯りに照らされた木以外は存在しないのでしょうか?
いえ、森は確に存在します。
赤ん坊の時、私は私を認識していません。
しかし私は確に存在しています。
人が認識するからそれらは有るのではなく、それとは関係なくただ有るのです。
では人は如何にして森を見れば良いのでしょうか。
その答えは、あなたの持つそのローソクの灯にあるのです。

加 不加 

2007年03月08日(木) 4時55分
遠くで微かに
空気の動く気配を感じた

スッと小さな動きではあるが
確かな意思の動きは全てのものに同時に働きかける

この世の成り立ちは

儚いようで
質実にあふれ

憂いにまみれつつ
喜びを産みだし

満ちてゆくと思えば
小さな偽りの関わり

人が元凶を突き止めようと苦悩する仕草は
醜い逃避の海岸

答えはその岸辺にはなく

ましてやあなたを愚弄した人にあるわけでもなく

過去に生きた人々の著書にも無論なく

高名な人に訪ねても
過去を手本に歩いても
未来を語り描いても

まるでそれはあなたに寄り添って来ない

不意に小さな猫が私の足元をかすめ去った

擦れ違い様に私の顔を一瞬見上げる

ああっ

あなたはまだ探していない場所があるではないか


空を見上げて 

2006年02月18日(土) 4時16分
朝 目が覚めると 風の吹く音が聞こえる

強く 弱く 優しく 気まぐれに 樹々を抜けて葉を揺らし 草を撫でて舞い上がる

ある風の音は私を過去へと運び またある風の音は私を未来への眼差しとして扉を開く手助けをする

ゆっくりと体を横にして再び眠りの息を吐くと 本棚に並ぶ過去の足跡が目に入る
過去も未来も人が作り出した幻想
「ただ、いまがあるだけなのに…」
自分の声を 知らない人の響きに 聞く

風の音は止まない

僕を愛した人からの沢山の手紙には一つも願いなどなかった

ただ 彼女は想いを重ね続けた
そうして彼女は歩いて行った

私がひとりの人を十年愛し続けるのを この人はすでに知っていたのかも知れない

こころがざわめく

二つ目の眠りの息を吐くと 風の音は遠くにかすれ

あなたのことをおもう

あなたのことをおもうと かこのすべてのくるしみが きえてゆく

あなたにふれると みらいのふあんがからだからするりとぬけてゆく

あなたとひとつになると わたしもあなたもなくなる


あなたを想うと
私は人でなくなる


三つ目の眠りの息は
風の音と共に 自然の織り成す 紡ぎの螺旋へと…

ワカレミチ 

2006年02月14日(火) 20時38分
ぼくはひとり

精巧に造られた

心は

なにもかんじることはできない

小さな頃に見た

遠くで光る稲妻

箱庭のような世界