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August 01 [Mon], 2005, 23:25
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第二章-オーディションまで

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第1話/吐人 

August 01 [Mon], 2005, 23:35
学校から帰り、制服を脱ぎ捨てると僕はすぐに自分の部屋へ向かう。
15段の階段を一気に二段飛ばしし、最初に突き当たりの兄貴の部屋へ駆け込んだ。


僕の名前はヒロシ。
高校一年生の兄貴は、知らないうちにバンド活動を始めていた。
ヒロシが気が付いたのは本当に最近だった。
それも、ヒロシ自身がバンドに目覚め、ギターが欲しくなったのが切っ掛けだったが。
まぁ、兄貴がギターを弾いているのを知った以前に、
何故バンドをやりたくなったかというと、それにも訳がある。
最近幼馴染の鼎がバンド活動を始め、
何だか自分が置いていかれているような気がしてならないからだった。
鼎は同級生で、明るい性格の可愛い子だ。


小学校の頃くらいから憧れを抱き始めた鼎に、突然距離を感じ始め
それとなく問いただすと、「ベースを習い始めたの」と目を輝かせて説明してくれた、からだ。


僕の部屋より大きい兄貴の部屋は、
ベッド、机、本棚を置いても、まだギターを置けるスペースがある。
僕は家具に目もくれず、二台置いてあるうちの一台、
赤い方のギターを手に取り、疾風のように自分の部屋に駆け込んだ。
窓からは、隣の鼎の部屋が見える。
ピンクで統一された可愛らしい部屋に、淡い白と水色の混ざったようなベースが立てあり、
机の上には何枚かの楽譜が見えた。
僕の視力は、自慢じゃないが2.0だ。
鼎にそれを自慢すると、「その代わり老眼になるのは早いよ」と笑われるのだが。


もう一度鼎の部屋を見た。鼎は部活でまだ帰ってきていない。
僕はサッカー部をやめ、さえない帰宅部生活なので、兄貴が帰るまで、かなり練習ができる。


ベットに腰かけ、かっぱらってきたギターを手にし、すこし弾いてみる。
ギターとベースで比べるのはよくないのかもしれないが、
正直今は僕より鼎の方が腕前は上だった。
いつか僕も上手になり、一緒にバンドを組む・・・
いや、セッションだけでもいい。一緒に演奏したい。僕はそう思っている。
同時に淡い恋心を抱いているのも本当だが。
・・・今は上達するしかない。自分の部屋のカーテンを閉めると、
僕は目の前に卓上時計を置いて、時間だけは気にしながら練習を始めた。





鼎に、少しだけでも近づけるように。

第2話/あき 

August 01 [Mon], 2005, 23:39
兄貴がバンドを始めてからは1年半はたっているのだろうか。
1年半だが、兄貴はそうとう上手い。
最近になってコードを覚えだした僕は 
人よりも手だけは大きかった。そのおかげか、人より少し上達が速かったかもしれない。

その日の練習は二時間程度、 最近では兄貴の帰りが遅く 3時間くらいできる日もある。兄貴が大学を受験しないかぎり、あと2年は続けられるだろう。

鼎はちょっと遠くの大きめの楽器屋でベースを買ったらしい。
また、そこでベースを習っていることも知っている。
鼎と違って独学である僕はこういう時も少し距離を感じてしまう。

その日は突然来た。

いつもどおり練習していたのだが、変にりきんでいたのか
「パチンッ」
はじけるような音がした。
(えっ?)
正直何が起こったのか すぐにはわからなかった。
兄貴のギターの弦を切ってしまったのだ。

・・・まずい・・・
(弦を買いにいってこようかな・・・)
そう思ったときだった。

「ピンポーン」
チャイムが鳴る。

そして僕の耳にかわいい声が入ってきた。

「あの〜、鼎ですけど。」

焦りまくる僕、弦の切れた兄貴のギター。

チャイムは再度鳴った
「ピンポーン」

鼎と話していたりしたら、弦を買いにいけない。
でも鼎にはギターのことは内緒にしている。

しかし、僕は誘惑に負けた。

「あ 鼎ちゃ〜ん?」



「あ〜 そんときオレさ〜」
「え〜 本当に〜!?」
「ガチャ」

(え?)

兄貴が帰ってきた、時計を見ると1時間半も経っていた。

鼎がきていることに兄貴は気づいたらしく、何も言わずに自分の部屋に入った。

何も言ってこないのは鼎がいるからだろうか。
それとも気づいていないのだろうか。

「じゃ そろそろ帰るね〜」
「あ、うん  じゃ〜ね」

鼎が帰った。
さぁ 兄貴、 どうくる。

「おい ヒロシ、 話があるんだけど」

(ヤバ・・・)

「お前 ギターしてぇの?」

第3話/吐人 

August 01 [Mon], 2005, 23:41
「え・・・」

切れた弦を見たのだろうか。それにしても、兄貴は怒っている様子ではない。
俺は腹を決めて、ドアの所に居る兄貴に向き直った。

「う、うん。実は・・・・」

兄貴は僕の勉強机の椅子に腰掛けると、僕の話を始終ニヤニヤしながら聞いていた。
「はぁ、隣のねぇー・・・」
「な、何だよ、何か悪いの?」
「別にぃ?」
で、ギターがやりたいって訳か、と兄貴は椅子から立ち上がった。
「ちょっと待ってろよ」

部屋から出て行く兄貴の背中を目で追いながら、僕はため息を付いた。
とうとう、話してしまった。
怒られるかと思ったが、案外何も言わずに聞いてくれた。
それにしても恥かしい。好きな女の子に追いつくため、兄貴の部屋に忍び込んでまでギターを練習していたなんて。

第4話/ぇど 

August 01 [Mon], 2005, 23:43
しばらくして兄貴が戻ってきた。
替えの弦ともう一本のギターを持って。



――兄貴は、持ってきたギターをそっと床へ置くと、僕にこう言った。

「ほら、ポケーっとしてないでその弦の切れたギターとれ」
『・・・うん。』

赤いギターを手渡すと、兄貴はさっさと弦を張り替えてゆく。
そして弦を張り終え、チューニングを合わせた兄貴は僕にギターを渡し
何の前触れもなくこういった。

「簡単な曲でも、最後まで弾けるとすっげぇ自信つくから
教えてやるよ。」

床に置いたギターを手に取り、コードを押さえ始めた。

『う、うん。 ありがとう。
でも・・・本当にいいの?』
「ほら、早く俺と同じところを押えてみろ
はやく追い尽きたいんだろ?」

兄貴は少し嫌味ったらしく笑みを浮かべてそう言うと、練習は始まった。

第5話/吐人 

August 01 [Mon], 2005, 23:45
僕は、今までの出来事を思い返しながら自分の部屋の天井を仰ぎ、ため息を付く。。

―――部屋を出て行く時に、兄貴が言った言葉。

「来週、ギター買いに行くぞ。予定空けとけよ」

中学に入って約二年、長い間兄貴とは話もしなかった。
忙しそうに部活やサークルに飛び回っている兄貴は、帰宅部の僕にとって羨ましい対象でもあったし、何より性格が違った。
僕は少し暗いところがあるが、兄貴は誰にも好かれるような明るくて人懐こい性格だ。僕はいつしか、兄貴の事を望ましさから避けるようになっていた。

今まで兄貴について抱えていた恐れや不安が、今日の事で一気に堰がきれたような気がする。僕はもう一つため息をついた。

その時、ドンドンドン、と窓を叩く音がした。
驚いてカーテンを開けると、合い向かいの家の鼎が、長い棒のようなもので、僕の家の窓をもう一度突付こうとしているところだった。丁度いいタイミングで窓を開けた僕は、顔面に棒の直撃を食らう。
「あっ、ごめん!!」
鼎がほぼ悲鳴に近い声を上げて、口を押さえるのが見えた。僕は窓枠に捕まって立ち上がると、棒を片手に固まる鼎に、「大丈夫大丈夫」と引きつった笑いを返した。
「あの、ちょっと待って」
机の位置まで戻り、ティッシュを手に取って戻ってくる鼎。
ティッシュの箱を受け取り、「?」という顔で突っ立っていると、鼎が噴き出した。
どうやら僕は、鼻血を垂らしている事に気が付かなかったらしい。急いで、服に流れ落ちないようにふき取る。
「何で突っついてたの?」
僕はまだ鼎が手に持っている棒を見た。
「べ、ベースのスタンド・・・」
言いながら声が小さくなる。
あぁ、本当気にしないでよ。僕はにこやかに返事をした。もしこれで鼻に丸めたティッシュが詰まっていなければ、最高のシチュエーションだ。残念に思う。
スタンドを地面に置いて、咳払いをすると、鼎は僕に向き直って、笑顔になった。そして
「あのさ・・・さっき、ギター弾いてたでしょ」
と控えめに尋ねてきた。

第6話/あき 

August 01 [Mon], 2005, 23:46
「あ、いや、えっと、その・・・」
目に見えてあたふたしている僕、不思議そうに眺める鼎。
「あ、あ〜ね。 兄貴がオレの部屋で勝手にギターしてたんだよね〜。 アハハハハ!!」 
━━━…・・・・・ダメだ、こんなバレバレの嘘、 つくだけムダだった・・・

「あっ そっかぁ〜 ヒロシのお兄さんバンドくんでるもんねー★」
あっさり騙せてしまった。 あぁ、神様 ありがとう。

「オレがギターなんてできるわけないだろー? アハハハハ!!」
と、気を利かせたつもりだったが、鼎の反応は予想に反して暗かった。
「そうかな・・・    あ ごめんね! いきなり話かけちゃったりして」 
「い いや、 どうってことないよ」
「じゃーね★」
「ばいばい」

しばらく鼎と話していたときのことをニヤニヤノンストップで考えてきたのだが。

ふと思い出した。 僕が ギターなんかできるわけない と言ったのに対し、鼎は何故か悲しそうな声で そうかな・・・ といっていた。  
(いったいどういうことなんだろう。まぁ、そう聞こえただけかもしれないな。)



・・・あっという間にその週は終わっていた。

「おい ヒロシ! ギター買いに行こうぜ!!」
「あ、うん、まってて!」

財布をポケットに入れ、パジャマを脱ぎ捨て、シャツ、トレーナー、ウィンドブレーカーを着込み 外に出る。

季節は冬、日本の冬もなかなか寒いものだ。 沖縄とかいってみたいと思うときもある。

ここ、埼玉では夏は海がなく、冬もあまり雪は降らないと、なんかものすごい損をしたような気になる。まあ、仕方のないことだけれども。
今日は待ちに待ったギターを買いにいく日ではないか、と 僕は自分の悲観的感情を捨て去った。バスでしばらく行ったところにあるその楽器屋は鼎が通っている教室もある。 今日は鼎はレッスンもないようで、一安心だが。
やはり予算内でおさめるためには中古で買うしかないようだ。ギターの本体さえ買えば、あとは兄貴から借りれる という点はものすごい楽だな・・・

一時間くらいいる   らしい。
自覚はないのだが、時間だけはすぎている。 なかなか決められないものだな と実感する。

散々迷った末、オレはこのギターを選んだ。

第7話-1/吐人(ここより第二章) 

August 01 [Mon], 2005, 23:47
部屋に帰ってきた僕は、昨日の鼎についてしまった嘘を、正直に兄貴に話した。
怒られるかと首をすくめて居ると、兄貴は腹を抱えて笑い出した。
「何で俺がお前の部屋でギター弾かなきゃいけないんだよww」
笑い転げる兄貴を傍目に、僕はうなだれる。
「何ていうか、ギターを弾いてるってばらしたくなかったんだよね・・・バレバレだって分かってるけど」
「いや、ギターを弾いてる事くらい自慢してもいいんじゃないか?」
その時「弾いてる」と正直に答えていれば、あわよくば、一緒に練習・・・なんてドキドキイベントもあっただろうに、と兄貴はそういって再びゲラゲラと笑う。
僕は一瞬、あ・・・そうか。僕は馬鹿か・・・とも後悔したが、嘘をついた理由が無いわけでもない。
まぁ、理由が正当ではないのは本当の所だが。
やはり、男として女の子より(それが何であっても)下手なのは避けたいじゃないか。
ベッドで笑い転げる兄貴に、僕は腹を切ってそう告げた。
・・・まぁ、それも兄貴の笑いの燃料になったわけだけど。

第7話-2/吐人 

August 01 [Mon], 2005, 23:48
兄貴が部屋から出て行った後、僕は壁に立てかけたギターケースを開いた。
メーカーは、余り詳しくない上、兄貴に聞いても分からないくらいマイナーだった。
それに、最初に見た時、「このギターだけはパスだな・・・」と思ったのだ。裏面に大きな傷が付いていて、張ってある弦は(店側の責任かもしれないが)さび付いていた。オコーネルもずいぶんと傷付いている。
店を一回りして、またそのギターの前に来た時、何となく手に取ってみた。
すると、何故か全く傷も気にならない。
何故だろうと思って目を下に落すと、やはり傷は消えているわけではない。オコーネルだって一箇所、そのままささくれ立っている。
何で違和感が無かったんだろう。僕はそのギターをもう一度床に置いて、考える。その時兄貴が来た。
「お、いいじゃんそのギター。」
え、と僕は振り返って兄貴の顔をまじまじと見た。
からかって言っている訳では無さそうだ。そう思っていると、兄貴はすっとそのギターを手に取った。
「傷一つ付いてないじゃないか。かっこいいなぁ〜・・・値段も安いし。お前、これにしない?」
「・・・えぇ?それ本気で言ってる?」
「お前、これはいい買い物だと思った方がいいぞ」
兄貴はギターの裏面を見ている。その視線は、大きな傷を二三度素通りした。・・・嘘だろう?僕は、もう一度我に返る。

・・・気が付くと会計に居て、気が付くと家に帰ってきていた。
ギターケースも相当ぼろい。そして、ギターも元通り、ぼろい。
何でこれが「傷一つない」に見えるのか分からない。
あーぁ、小遣い、全部つぎ込んじゃったなぁ・・・こんなギターに。
と、僕が途方に暮れて居る時だった。部屋の端から、唐突に若い男の声がした。

第7話-3/吐人 

August 01 [Mon], 2005, 23:50
「へぇ、いい部屋に住んでるんだな・・・今の中学生は」

僕は心臓が飛び出る勢いで窓の方に振り返った。まさか。人は居ない。
ほっとして、もう一回ギターに向き直ろうと、前を向き直ると、

「うわっ!?」

僕は突然の事に中腰のまま後ろにすっ飛んだ。
黒い服を着た男が、目の前に僕と同じ恰好でかがんで居たからだ。
「あ、すまない。驚いた?」
「おおおお驚いたも何も!あんた誰だ?!」
「へ、俺が憑いてる事に気付いててこのギター買ったんじゃないの?」
「・・・は?」
「え、いや、見えてるのかなーって」
「えぇと、あの・・・失礼ですが、話が見えないのですが・・・」
「いや、俺、幽霊だから」
男はよく見ると長身でスーツを着ていた。茶色に染めた少し長めの髪が、うつむいてギターを眺める顔に少し掛かっている。顔は悪い方ではない。例えるなら、クラスでは目立たないが、勉強が出来て愛想がいいタイプだ。
僕はふと、何かのバンドのボーカルに似てるな・・・と思った。
「で、売り飛ばすの?またか・・・退屈だなぁ、あのさ、ここどこ?名前くらい教えてよ。いや、別に悪意があって聞いてるわけじゃないからね。」
僕は、マシンガントークの男に、一つ気が付いた事を述べてみた。
「・・・名前を尋ねる時は、自分から」
男はきょとんとした後、笑い出した。
「あぁそっか、中学生だと思って兄貴ズラしちゃったよ。俺は晃生」
顔に似合わない硬派な名前だ。
「えーと、じゃぁ君の名前は?」
「僕はヒロシだけど・・・あの、順を追って説明してよ。」