国会閉会 参院本会議も開かず 「論戦なく力ずく」国民軽視(産経新聞) 

June 19 [Sat], 2010, 1:23
 国会が閉会し、参院選が事実上スタートした機会に一つ指摘しておきたい。それは、国民と国会がこれほど菅直人首相をはじめ為政者たちに愚弄(ぐろう)され、軽んじられた事態は、憲政史上にめったになかったという問題だ。

 なにしろ、菅内閣発足後1週間余りしかたっていないのに閉会である。国会では、首相が自らの政策、見識や前政権との違いを披瀝(ひれき)し、野党側と丁々発止の議論を行う党首討論も予算委員会も開かれなかったのにだ。

 ◆発足から1週間

 「議論は、これから選挙になれば、テレビとかいろんな場面でまた、たくさんありますから」

 首相は14日、記者団にこう釈明し、国会論戦はなくても問題ないという考えを示した。だが、これは明らかに国会軽視だ。米軍普天間飛行場移設にどう取り組むか、首相の経済成長戦略の中身は何か、消費税率アップの景気への影響をどう見ているのか…。予算委での7〜8時間に及ぶ厳しい質疑を避け、一瞬の切り返しや話芸がものをいうテレビ討論番組に出ればそれでいいと言っているようだ。

 首相は16日の民主党参院議員総会では、こう笑いながら問責決議案を提出した野党側を批判した。

 「所信表明、さらに昨日の代表質問と私なりに精いっぱい、挑発に乗らないよう答弁に努めた。そのことがなぜ、問責にあたるのかちょっと理解できない」

 会場の議員らも爆笑でこたえたが、どうせ国民には自分たちの狙いなど分かるまいと考えているのか。結局、参院本会議は開かれず問責決議案の討論、採決の機会はなかった。野党側は「今の政府・民主党は論戦なく力ずく。参院にとって最大の汚点だ」(鈴木政二・自民党参院国対委員長)と反発している。

 今国会では民主党が金看板として掲げていた郵政改革法案や国家公務員法改正案が廃案となり、改革の本丸だったはずの政治主導確立法案や地域主権関連3法案は継続審議となった。なのになぜ延長しなかったのか。国民の失望を招いた鳩山由紀夫前首相と民主党の小沢一郎前幹事長がその職を退き、支持率がV字回復したうちに選挙になだれ込みたいとの思惑がどこまでも透けてみえる。

 ◆有権者を扇動

 予算委を開けば、事務所費で女性下着を買った荒井聡国家戦略担当相をはじめ、噴出している政治とカネの問題が追及されるのは必至だ。それを避けたのも火を見るよりも明らかだ。これでは、菅政権は政策実現を通じて社会を変え、国民生活をよくしていくことを目指しているのではなく、ただ国民をごまかして目先の選挙に勝つことだけが目的かと思えてしまう。

 「私に『裸踊り』をさせて下(くだ)さったみなさん、有り難(がと)うこざいました」

 鳩山前首相は15日、公式ツイッターでこんな意味不明のことをつぶやき、16日のツイッターで謎の「答え」としてある動画を紹介した。それは突然半裸で奇妙な踊りを始めた男に周囲が感化され、やがて一緒に踊り出すとの内容だ。

 民主党政権は有権者に何も知らせずただ扇動し、意味も目的も分からぬ裸踊りに巻き込もうというのだろうか。(阿比留瑠比)

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