連鎖する時代 pr1 

December 31 [Mon], 2007, 20:41
1.
…… そこにだれかがたっていた。
そのだれかは僕のことをじっとみていた。
学校。それも屋上に僕たちは二人向かい合う。
だれかは女の子だった。
その子は瞬きもせず見つめつづける。
僕もだまってその女の子を見つめる。
その場にさぁっと風が吹き、
その子の髪が揺れる。周りの木々も揺れ動き
自然の中に僕らは溶け込んでいく。


ふと僕が目をそらすと彼女が上を向く。
その視線につられ僕も上を向く。


空は蒼かった。
どこまでもどこまでも蒼かった。
その蒼さは僕たちを吸い込んでいくようで
すべてのものを
忘れさせてくれるように
なにもかもを無に返してくれるようだった。


「ねぇ。君は…だれ?」
その空間を見つめながら僕は問い掛ける。
「君は… だれなの?」



空から目を離し、彼女に視点を戻すと
彼女も僕を見てつぶやいた。

「私は…私は…」


その瞬間もう一度風が二人の間に流れ


次には彼女が。いや僕が消えていた。


「あいら……」


それだけ言葉を残して。

すべてが


消え去った。

連鎖する時代 pr2 

December 31 [Mon], 2007, 22:21
2.


「お兄ちゃんー!早くおきなよー!朝だよー」
その声に俺は目が覚めた。
「まだ早いっての…ったく…」
そう俺はぼやきながら起き上がると
ベットのそばに置いてある時計を確認する。
時刻、6時前。
「…やっぱりはやいじゃねぇか…。あのやろ…」
そうぼやきながら頭掻く。
はぁっとため息をつきながらも渋々ベットからでると
窓辺によりカーテンを開ける。
その瞬間光が飛び込んできて目が眩んだ。
「っ…今日もいい天気だな」
その光で多少視界をくらませながらそうつぶやくと
そのまま部屋をでていく。



「まったく遅いよお兄ちゃん!もう少し早くおきてよねー!」
部屋を出た瞬間にそう声が聞こえたかと思うと
雑巾が俺めがけて飛んできていた。
とっさにそれをしゃがんでよけた俺は
「遅くねえよ・・。まだ6時前じゃないか…」
とその雑巾を投げたやつに言い返す。
雑巾を投げてきたそいつ…
わが妹燐香は
「これだからお兄ちゃんはお寝坊さんなんだよー!これはうちの規則なんだからっ!」
というとにゃははっと笑う。
「…わかった、今からその規則は撤廃だ。それと雑巾投げるな、危ないからっ」
雑巾を回収しながらそう俺はいうと燐香はにゃはは…と笑って受け流した。
はぁ…と今日起きて早々2回目になるためいきをつくと
食卓には向かわず洗面所に向かう。



3.

っと自己紹介が遅れた。
俺の名前は坂井往人。
今年高校3年になったばかりの高校生だ。
家族は妹の燐香との二人暮し。
数年前に両親を交通事故で亡くして以来、ずっと二人で過ごしてきた。
だからどこぞの兄弟よりかは仲がいいという自信があった。
まぁそう思っているのは俺だけで燐香はどう思っているかは知らないが。


洗面所に着くとまず
回収した雑巾を棚に放り込む。
次に水道の蛇口をひねると、水をだし、顔を洗う。

「っち。なんで顔洗うときってお湯じゃだめなのか不思議に思うぜ…」
その思ったよりも冷たい冷水に顔を濡らしながらふと漏らすと
「お湯じゃ目がさめないじゃないっ。だから冷水なんでしょ〜っ!」
っといつのまに来たのか燐香が的確なことをいうとタオルを俺に渡す。
「それもそうだな…」
それについて俺はなにも反論せずタオルを受け取ると燐香に場所を譲ってやる。
そのタオルで俺は顔を拭くとタオルをその場に置き
「サンキュっ。タオルここに置いとくから使えよ。んじゃ」
と俺は洗面所を出た。
燐香はというと俺に向けてぶぃっ!とVサインを向けてにゃははと笑っていた。

連鎖する時代 pr3 

December 31 [Mon], 2007, 22:45
4.


洗面所から出た俺は朝食を作りに掛かっていた。
朝食をつくるのは勿論交代制だ。
不公平なことはなし。お互い協力して作る!
これがモットーなのである。
今日はまぁ卵焼き、ベーコン、と味噌汁というシンプルな盛り合わせにすると
テーブルに並べ燐香が戻ってくるのを待った


「あっ、今日はお兄ちゃんの得意な卵焼きだねぇ。っというかそれしか無いような…」
食卓に並んだいつもの食材をみてそうつぶやく燐香。
「おいおい、これしかないってどういうことだよ、まったく」
燐香のつぶやきを見逃さない俺はそう問い掛けると
「にゃははっ…」
とまた曖昧に笑って燐香が誤魔化す。

「たくっ…まぁいいか」
あえて俺もそれ以上は追及せず早速作った飯にありつく。
「いただきますっ!」
「はい、いただきます」
燐香のいただきますに合わせて俺もいうと今日の朝食が始まる。



「むー…やっぱりお兄ちゃんが作ると野菜が不足するよねぇ…」
味噌汁を飲みながらしみじみと燐香がいう。
それもそのはず。
野菜嫌いな俺は毎回といっていいほど野菜を出さないのだ。
いや味噌汁や野菜炒めには多少入れることがあるが
今日みたいな日は確かに少なかった。ほとんど入っていないのである。
「仕方がないだろ。ほら、あれだ。苦手って奴でな…」
そう俺が弁解気味にいうがじとーっとこっちをみつめてくる燐香。
そんな目で見られるとこっちはなんも反論できないんだがやめてください、マジで。


しかし俺が風邪やら病気を引かないのはほとんど燐香のおかげだったりする。
俺の食事は偏っているのに比べて燐香はバランス型。
ほとんどといっていいほど栄養は燐香が立てていてくれた。
俺よりも二つ下なのにこれだけしっかりしていると
なにやら自分が情けなくなってくるがいまさら変えられるわけもなく、
燐香頼りが続いていた。


「ごちそうさまっ!」
「ごちそうさま」
食事の終わりも燐香の号令で終わり片付けは燐香担当となる。
俺は食器を流し台におくと
「今日は何時ごろ帰りになるんだ?」
と燐香に訊く。
「んー…大体6時ごろかなぁ。今日は委員会もあるからさ」
食器を受け取り洗いながらそう答える。
帰りというのは学校のことである。当然ながら俺たちは学校に通っている。
俺は高3、燐香は高1と年代が離れているのでどうしても帰りがばらばらになるのである。
「そっか。了解。今日は俺のほうが早く帰れるな。鍵は俺がもっておくぞ」
部屋に戻りながらそう燐香にいうと
わかったよー。という声が聞こえた。

連鎖する時代 pr4 

January 01 [Tue], 2008, 20:47
5.


部屋に戻った俺は教材等をかばんにつっこみ、支度を整える。
毎晩寝る前にやっておけばすぐに終わることなのだがそれを
いつも忘れる俺は毎朝用意するはめになるのだ。
「ふぅ… 現社入れて古典いれてっと・・。こんなもんか」
突っ込んだ教材を確認しながら呟く。
生徒手帳に書かれてる時間割を見ながらいれていったので
入れ忘れなどないはずである。
「さてと…これでOKだな」
教材を突っ込み終えた俺は次に制服に着替えはじめる。
ちらっと時計に目をやると7時20分。
まだまだ登校には余裕のある時間だがもうそろそろ出る時間となる。
「お兄ちゃん!まだぁ?」
「今いくっ!少しまってろ!」
燐香の澄んだ声が聞こえたと思うと俺はそう言い返し、
着替えをすまして鞄をひっつかんで部屋をとびだす。



「お兄ちゃんおそいよ〜、もう〜」
部屋を出ると玄関ですでに靴を履き終えていた燐香がぶすーっとした顔で待ち受ける。
俺はぜんぜん余裕なのにこうして出なくてはいけない理由、
それは燐香の出る時間が俺よりもはやくそれにあわせなくてはならない、
ということなのだ。
俺としてはもっとゆっくりしていたいのだがそうもしてられず
一緒に家をでるのである。
「わりぃわりぃ。相変わらず早いな、燐香は。洗い物だってしていたはずだろうに」
靴を履きながらそのぶすーっとした顔の燐香にいう。
燐香はというと当然といった表情で
「あったりまえだよ〜。お兄ちゃんがトロイだけでしょっ」
というとにゃははと笑う。
その無邪気な笑顔に俺も少し微笑みながらも
「それはない。燐香が早いだけ」
と否定しながら燐香を押しのけて外にでると鍵をドアを閉めカギをかける。
忘れ物はないな?と俺が燐香に聞くとうんっ、とうなずく燐香。
それをみて安心した俺は学校に向けて先に歩き出す。
「ほら、先にいってるからなー。早くこいよっ」
「えっ、ちょ、まってよ〜〜」
俺の跡をたたたと駆け寄ってくると並んで俺たちは学校へ向かう。


……通学中、いつも思うことがあるのだが
燐香はわが妹ならば可愛いと思う。
断じてシスコン、いや、ロリコンではないのだが、
高1とは思えないほどの身長、細身のスタイル、
すらっと長い黒髪のロングヘヤーで整った顔に人懐っこい目がある燐香は
今年の入学生の目玉、とまでいわれている。
俺としてはその目玉とかがものすごく心配ではあるが。
「ん?お兄ちゃん、どしたの?」
むぅ?と首をかしげながら訊ねてくる燐香。
「いやなんでもないよっ」
そう軽く流す俺。
そうするときまって
「むぅ… がぉっ」
と燐香が呟くのだった。
今日も変わらない一日になりそうだなと
その様子をみた俺はため息をつくと空を見上げた。


空は雲ひとつない快晴で


どこまでも蒼さが広がっていた……



連鎖する時代 pr5 

January 06 [Sun], 2008, 17:23
6.


中途半端な優しさは人を傷つける。
そんなこと、とっくの昔にわかっていたはずなのに。
僕はまた、傷つける…



消えてしまった彼女のことを頭に浮かべ僕は悩み続ける。



彼女がだれだったのかすら
僕には思い出せない…



彼女が消えた屋上で立ち尽くす僕。


空にはさっきのまま広がる蒼い空。
この空のどこかに



彼女はいるんだろうか…


僕はその蒼い空を
見つめながら
いつまでも立ち尽くしていた…



連鎖する時代 prt6 

February 27 [Wed], 2008, 17:32
7.



「しっかしなんというか…相変わらず疲れるな、この坂は」

学校の前に展開されるながったるい坂を上りながら俺は愚痴る。
毎日毎日同じ道を俺たちはこうして通ってるわけではあるがどうしてもこの坂だけは疲れる。
今日みたいに晴れているときならばいいものを雨の日となると気分もどんどん最悪になっていき、
どんよりとした一日を送る羽目になる。この坂さえなければハッピーなのだが。

「ぅー・・・。同感〜。なんでこんな坂あるんだろ・・」

「だな・・・。ってかおい!朝錬間に合うのか?」

そうのんびりと答える燐香に俺は現実を教えてやる。
いや実際現実なんてたいしたことではないが燐香の
部活は確か時間厳守だったはずである。やたらとうるさい顧問が引っ付いているから俺たちの代では嫌な部活と決定しているのは余談だが。


「あっ、ほんとだっ。それじゃ先にいくねっ」


「おう、頑張ってこいよー」


そう俺が答えるときには
もうダッシュで離れている。
さすが陸上部。
足が速い。


「相変わらずお前の妹は足が速いな。もう見えねえじゃねえか」

「ん…?」
ふと背後から聞き覚えのある
声がしたため振り向くと
駿が立っていた。

「ありゃほんとに今年の目玉だな。俺もねらっちまおうか…ぐぼぁ!」


最後までいわせずに
とりあえず殴る俺。
このままでいくと
駿を殺す可能性もあるからな
妥当な判断だ。


「なにが…妥当だ…もう死にかけてるじゃねぇか…」


そういって没する駿。
哀れな奴だ。


このぶっ倒れている奴は
春日 駿。
俺の悪友でもあり
親友でもある。まぁこんな感じに毎回没することが多い
可哀想な奴だがな。
P R
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