このブログについて 

December 01 [Thu], 2005, 13:22
:ブログの意図:
創造者への365題を達成する

:一貫した作品のテーマ:
なし。お題により変化

:書いてる人:
努々子(ユメユメコ)

:更新頻度:
月2回ぐらい

:その他:
なんとなく2005年6月21日からお題1をスタート
ゴールは2006年6月20日を予定する
でも別に毎日更新してるわけじゃないです
毎日更新してるように見せかけてるだけです
11月に書いてるのに6月の日付でアップしたりしています

4.好き 

June 24 [Fri], 2005, 12:00
「やれ、ヨウコよ。そんなふうに足をばたつかせるものじゃないよ」
「やあよ!見てごらんよ、こんなふうにバタバタとするとね、水しぶきがキラキラ、虹を作るのさ!それはとても素敵なことよ。それ!そうれ!」
「こら、おやめ、僕に水がかかってしまう」
「わざとやっているのさ!あんたもびしょ濡れになっておしまい!」

 ヨウコは橋の縁の部分に腰掛けて、ざぶざぶと足で水を割っていた。
 そうするたびに、一つ一つの水滴が太陽の光に照らされて、虹ができる。ヨウコの足から虹が生まれる。それを見て、ヨウコはまるで、コロコロとはずむ鞠のように、笑っていた。

 とてもかわいらしい顔だ。
 どうして君は今になって、僕にそんな顔を見せるんだろう。
 ああ、僕にそんな顔を見せないでおくれ。

「ああ、こうしていると胸がすっ、とするようだよ」

 ヨウコの顔はとても優しい作りになっていた。
 赤く紅潮した両頬を持ち上げるように口の端をあげて、まるでこの世にあるすべてのものを慈しむように目を細めて。
 まるで仏様のようだな、と思う。そう思ってから、僕は背筋がぞっとするのを感じた。
 ひょっとしたら、このヨウコは幽霊なのかもしれない。
 僕のことを恨んでいて、だから、笑っているのだ。
 僕がヨウコの笑顔に慣れていないのを知っていて、こんなふうに笑っているのだ。

2.秘密 

June 22 [Wed], 2005, 12:00
少年が二人いる。
二人の、これといって特徴のない凡庸な顔立ちは、見分けがつかないほど同じだった。
彼らは二人で顔をつきあわせながら、しばらくの間、居心地が悪そうにしていた。

そのうちかたっぽが口を開いた。
「もう僕達二人だけしかいないって。あれだけいたのにね」
するともうかたっぽも喋りだす。
「去年がすごかったじゃない」
「一日に何人も連れてかれるときもあった」
「昔は誰も連れてかれなかったのに」

ヴゥゥ・・・ヴ・・・・ン
ヒーターが音をたてはじめる。室温が一定以下になると、自動的に起動する仕組みだ。
天井から風をこぼしていく機械を何気なく見つめる二人。

「マエダ先生がいたじゃない」
「いたね」
「彼女がね、言ってたんだ。タカオはね、今辛いんだって。タカオは腕を何度も切ってるらしい」
「腕を切るとどうなるの」
「さあ?でも、タカオが腕を切るたび、僕らは一人づつ連れて行かれるんだって」
「なぜ腕をきるんだろう・・・」
「辛いからだよ」
「何が辛いの?」
「大切にされるのが、だって」

・・・ヴン・・・
室温が一定以上になったので、ヒーターが停止する。そして、部屋の中の少しよどんだ空気を循環するために、サー、と音をだして換気扇が動き出した。



1.ほおづえついて 

June 21 [Tue], 2005, 12:00
 私は幼い頃、お爺さん子だった。

 お爺さんは我が家の庭師として雇われていた。私と血がつながっているわけではないが、
お爺さんはいつでも、私を本当の孫のように扱ってくれた。常に優しく、時に厳しい人だった。彼がいなければ、私は今でも『人間らしさ』を知らずにいただろう。

「お爺さんが僕の本当のお父さんだったらよかったのに」

 ある日、私はお爺さんはそうぼやいた。お爺さんは不思議そうな顔をした。

「だんな様は素晴らしい方じゃないですか」

「そうかな!僕は彼を冷たい人だと思うよ。仕事ばかりしてるじゃないか。まるで血の通わな
いロボットのようだよ」

「そんなことはないでしょうよ」

「本当のことだよ。僕はお父さんにとって唯一の肉親のはずなのに、お父さんは僕をほめるどころか叱りもしない。彼は仕事にかまけて、僕のことをすっかり忘れているのさ。そういう冷たい人なんだ」

 私の母は、私がもっと幼い頃に心臓を患って死んでしまった。だから、私にとっても父は唯一の肉親であった。

「だんな様は少しばかり恥ずかしがり屋で、言葉足らずなだけなんですよ」

 お爺さんは私が父をけなすのを困ったように笑いながら、言う。

「しかし坊ちゃんがそう誤解するのも、仕方ないのかもしれませんね。どれ、爺が人肌脱ぎましょうか」

 そんなふうにお爺さんが言ってから、もう数日たった。私はずっとお父さんを見ていたけど、なんの変化もないようだったので、何度もお爺さんをせかしたりしたが、彼は笑って「もう少しだけ待ってやりなさい」と言うだけだった。

P R
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