July 04 [Wed], 2007, 13:44
私の暴走は別れの言葉を突きつけられてもなおとどまらず、今も気持ちはどこへ向かうことなく宙ぶらりんのまま、ただ彼からの応答を待ち続けている。


時間を拘束するのが嫌で、私は頑なに電話というものを避け続けていた。
でも彼の生活を慮るがゆえのメールという手段は、結局誤解とすれ違いしか生まなかったと思う。
直接会えるなら表情で、瞳や口の動きで、本心を汲み取ることもできた。
ひどい思考が頭をよぎった時も、彼の笑顔にそれを言葉にすることを躊躇い、傷つけずにすむこともできただろう。
電話で会話ができるなら、口調や沈黙の長さで。
たとえ重く苦しい内容でも、楽しく笑いを交えながら、しこりが残らないよう空気を読んで対応することもできただろう。
でも、メールだと一方的に伝えることしかできない。
言葉は時に凶器となる。こちらにはそんなつもりはなくても、機械的な文章から判断することしかできないから、読み手の気分ひとつで意味はまったく違ったものになってしまう。
そうやってこちらの思いとは裏腹に形成された溝は、言葉を返せば返すほど複雑な螺旋を描いて、深くなっていくばかり。

ねえ、だから。ちゃんと話そうよ。
時間のある時でいいから。どんなに遅くなってもいいから。電話してよ。
そう伝えた。でも、これも結局受け流されてしまうだけなのかな。
「これが最後」って言いながら、何度も約束破ってメールしてしまったもんね。

「連絡しないで」ってことは、待ってさえいたら、いつかはあなたから連絡してくれるってことなの?
嫌いではないんでしょう?ただ私からのしつこいメールが、めんどくさかっただけなんでしょう?
それがなくなりさえすれば、私を変わらず好きでいてくれるんでしょう?
それとも完璧に終わりにしたかったの?解放されたくなったの?
私のイヤな面を見て、私の好きだった所も全部忘れてしまうほど、ただ単に嫌いになってしまったの?
私はね、溝を埋めたいだけなの。元々最初は2人とも、そんなの作る気なんてなかったじゃない。
あなたはその溝に背を向けて、新しい場所へ行きたい?
行きたいのならそれもいいよ。だったらその前に、その気持ちをちゃんと教えて。
私はその溝の前から動けない。あなたが絶対に手助けしてくれないのなら、それを納得いくまで私に教えて、そして私を新しい場所へ導いて。
そんなことを望むことすら、私には許されていないの?

声を聞かせて、みじめだと罵倒するならそうして。
私はそれを笑いに変えてあげるから。
メールでは私は必死で、いまにも粉々になってしまいそうなくらい脆く見えたと思うけど、実際話すと案外そうでもないんだよ?
得意っていうかね。人と話す時にヒステリックになったりって、私全然しないの。
電話することで余計悪くなると考えてるのなら、それは誤解だよ。
きっとあなたも安心すると思うよ。肩の荷が軽くなると思うよ。
すべての策を講じて、それでも絶対だめだって思うのなら、そうしようよ。
可能性が残されているのなら、なんとかもう少し私のあがきに付き合ってよ。

電話、待ってるね。
信じてるからね。
こっちからしつこく電話したりして、イヤな思い、もう二度とさせたくないから。
やっぱり今でも大好きだよ。どうしようもないくらいに大好きだよ。
本当に、ごめんね。

サヨナラノコトバ・2 

July 04 [Wed], 2007, 0:14
『本当に私のことが好きで、大切だというのなら、ずっと一緒にいてほしい。でもそれができないのなら、ちゃんと逃げずに自分の言葉で突き放して』
『無視することは絶対に許さない。私は答えを出すまで何度でも聞き続ける』

彼はこの言葉をどう受け止めたのだろう?
驚いたか。覚悟はできていたか。怖いと思ったか。重いとうんざりしたか。1人で何を熱くなってるんだバカバカしいと鼻で笑ったか。あるいは悲しくなったか。申し訳ないと思ったか。哀れだと思ったか。ここまで私を追いつめたことを自覚し自分自身を責めたか。そして、私と出会い私と一緒の時間を過ごしてきたことに、激しく後悔したか。
もしかしたら最大限の自己防衛手段だったのかもしれない。傷つくのが怖くて、私は彼がそうであったように、この恋愛を「ゲーム」だと捉えることにした。つまり、これで彼に突き放されたとしたら、私の勝ちだ。
今まで彼と付き合った女性は、みんな傷つく前に自ら去っていったのだと聞いた。でも私はそうしない。そんな簡単に終わらせようとする彼が許せない。私のプライドが許さない。
あんたの思いどおりになんかなるもんか。意地でも自分自身の手で断ち切らせてやる。
むなしい手段だとはわかっていても、私はそうすることで自分自身を必死に守ろうとした。
でも、本音は…心のどこかで彼はきっと突き放さない、と思いたかった。私のことを好きだと言い優しい体温で包んでくれた時に感じた、体中を駆け巡ったあの狂おしいほどの幸福感を、私は虚像だったと絶対に認めたくはなかったから。
信じたい。信じる。待ち続ける。私は強くなる。
寂しさに負けない。あなたが大好きだから。あなたが望む人になれるように私は頑張るから。
だから、あなたの優しい愛で私をもう一度幸福の中に包み込んで。

そして、待ち望んだ彼からの答えが来た。
あれだけ自分のありのままをぶつけ、悩み苦しみ何度もメールし、時には重過ぎる言葉で自分の思いを延々と語り、激昂したりすがりつくように謝罪したり繋ぎ止めようと必死になったり…
それなのに彼からの答えは、シンプルすぎるたったの一言だった。

『もうこれ以上は連絡しないで。』



冷たく突き放す言葉は、彼の真意だったのか。
それとも私を心底思いやっての言葉だったのか。
何もわからない。何も。
ただただ涙が出た。
厄介払いされただけだったとしたら。私はもう人を信じられない。誰も信じられない。
夢のように過ぎたあの幸せな時間は確かにあった。でもそれはとてつもなく不安定なもので、そして長く続くものではないと心の中でわかっていたけれども、こんな残酷な終わり方をするだなんて。だとしたら、そんな夢なんて、最初から見ない方がよかった。
でも優柔不断な彼が結論づけた、最大の優しさだったとしたら?
私はそれを受け入れなくてはいけない。冷静に考えたら、彼がそうせざるを得なかった気持ちは痛いほどに理解できるのだ。
どんどん弱くなっていく私をどうすることもできなかったのだろう。何かすることができるのだとしたら、この苦しみから私が納得のいく形で解放してあげることだけだったのだろう。
だから感謝しなければならないのだ。私は彼に。
それなのに、どうしてこんなにむなしいのか。これが私が本当に求めていた答えだったのか?
突き放してくれることを望みながら、一方では突き放してほしくないと強く望み、大好きな人を苦しめてまで迫った選択に、果たして私が本当に求める答えなんてあったのだろうか?
でも、これが終わりなのだと、これが私のしてしまったことへの報いなのだと、悟らざるを得なかった。
私は彼のアドレスを消した。大切にしていた…でももう悲しいだけの思い出しか残っていない受信・送信メールもすべて抹消し、私が私でなくなった時、ボタンを押すように簡単に彼の心を傷つけてしまわないように、私は彼との連絡手段を自ら絶った。
この小さな機械がたくさんのものを失わせた。それはもちろん私の心の弱さが招いた結果だったのだけれど。
それでもこの数か月の間、唯一私と彼を繋いだものだったのだ。
そう思うと、私たちの絆というのは、なんと儚く脆いものだったのだろう。
私の心を救ってくれたあの夢のような幸福な時間は、結局最後もボタンひとつで終わってしまった。



私はプライドは高いが、潔くはない。寂しさに耐えられるほど強くもない。
彼が悩んで出したかもしれないその答えも、私は台無しにしてしまうほどに、今、彼からの返事を強烈に欲している。
優しい言葉でも。冷たい言葉でも。今思えば答えてくれるだけでよかった。
今はきっと何を言っても、頑固で言葉少なげな彼は、決して答えてくれやしないだろう。

私は信じるしかない。口を閉ざし私を避け続ける理由が、私を愛していたからこその結論なのだと。
くだらない考えでもいい。誰に笑い飛ばされようと、あの幸せが決して嘘ではなかったのだと、そう信じることだけが私をこの絶望の闇に降り注ぐ、たった一筋の光なのだ。


ねえ、いつかどこかでまた出会うことがあったら、また私を抱きしめてくれるかな?

サヨナラノコトバ・1 

July 03 [Tue], 2007, 17:31
『もうこれ以上は連絡しないで。』

これを「失恋」と呼ぶのなら、私はやはり淡い期待をしていたのだろうか。
未来とか夢とか。彼の隣で笑うのがいつも自分であるということとか。
そんなはずはなかったのに。

その「宣告」のメールが来た時、私の心は深く深くえぐられた。
頭が真っ白になって、現実を直視できなくて、息が止まって、思わずテレビもつけっぱなしで家を飛び出した。
車を運転しながらどこか遠くへ行こうと思った。
こんな無様な私を誰にも見られないように、遠くへ、遠くへ。
涙が溢れて呼吸が苦しくなって、夜の闇の中を必死の思いで車を走らせた。
咄嗟にメールで助けを求めた友達から着信があり、電話越し、声を上げて泣いた。
体中に溜まったすべての毒素を吐き出すかのように。
嗚咽が止まらない。息ができない。指先が痙攣する。
びっくりした。襲い掛かる激しい感情の波。どうにもならない喉の奥からの叫び。悲しみ。
誰かのたった一言で壊れてしまう、こんなにも脆い部分が、私の中にあっただなんて……



選択を迫ったのは私の方だった。
会えない不安に押しつぶされてしまいそうだった私。最後に会った1か月前から、何度も何度も私は彼を責めた。
あれだけ聞きわけのいい私はどこにいってしまったんだろう。一度外れた水門の扉を再び閉めることは困難だった。感情の赴くままに私は1日中メールで彼の気持ちを試し続けた。

『どうして会えないの?』 『私に言ってくれた言葉は全部嘘だったの?』
『辛い』 『寂しい』 『助けて』
『私のことを1番に考えて』

私は必死だった。最初のうちはただ会える時間さえあれば、たとえ彼女になれなくても都合のいい女と思われていても、それでも彼が私を必要としてくれることが私の幸せで、それだけで十分満足だったはずなのに、会えない時間が増えれば増えるほど不満はつのり、抑えていた独占欲が爆発し、彼を気遣う優しさは消え果てた。
時間を作らなくなったのは彼だ。彼は最近環境が変わり、仕事に一日中明け暮れるようになっていた。それを理解できないほど私は子供ではない。でも、本当に会いたいと思うのであれば、どうにだってなるはずなのだ。自分の生活を犠牲にしてでも彼との約束を最優先にして待ち続けた私のように。
彼には私のために犠牲になどできない大切なものがあったのだろう。思い合う気持ちの重みが違った、それが現実なのだろう。わかってる。
でも、いつも後回しにされてしまうことが、やっぱりとてつもなくむなしかった。
きちんと正面を見て答えてほしかった。なぜ私と会えないのかということ。
いつも「時間ができたら連絡する」と言うけれど、それが実現されたことなんか一度もなかった。

疑心暗鬼。
『飽きたんでしょ?』 『もう必要なくなったんでしょ?』
『結局その程度のものだったんでしょ?』

悲しさと絶望で綴るメール。私と彼の連絡手段は、いつもメールのみ。心の奥底から湧き上がる気持ちが画面上に溢れる。伝えたいことが多すぎて、でもその気持ちはいつも一方的で…
直接会って、目を見て、指に触れて、そうすることができたなら、私の心の不安は和らぎ、彼を傷つける言葉など一切必要としなかっただろう。
でも会えない今、彼との繋がりはこの文字たちだけなんだ。送信ボタンを押すことは実に容易い。最初のうちは躊躇いもしていたその行動も、今となれば何の迷いもない。
彼を傷つけることになるだろう罪悪感よりも、この不安と孤独から一刻でも早く救い出してほしかった。
必死にすがれば、きっと手を差し伸べてくれるだろうと思いあがってた。
欲しかったのは「今すぐ会いに行く」という言葉と、それに伴う行動。「今すぐ」が困難ならば、裏切りのない具体的な約束だ。明日でもいい、あさってでも。たとえ一週間後でも、果たしてくれるのならばそれでもよかった。
謝罪の言葉や曖昧な優しさなど何の効力にもならない。
けれども彼はいつも謝るばかりで、「大切だと思っている気持ちに変わりないよ」とキレイに逃げようとする。そんな姿勢が私の神経を余計に逆なでした。
「大切」だと思うのならどうして後回しにするのか。プライドの高い私がここまでプライドを捨てて懇願するさまを、どうして見て見ないフリができるのか。「大切」という言葉はそんな簡単に使っていいものじゃない、無責任に使われるとこれほど残酷な言葉はないのだと、私は彼の都合のよい逃げ口上をひたすら責めた。
責めるだけ責めて、触れられたくないであろう彼の事情にも首を突っ込み、心ない言葉で傷つけ…
そして我に返る。
ボタンひとつで簡単に送れてしまうこの小さな機械の怖さ。
返事が来ない。どれだけ待っても答えてくれない。きっと彼は私を見放した。
怒っただろうか?傷ついただろうか?そんなつもりはなかったのに。ただ一途に純粋なまでに、「会いたかった」、それだけだったのに。
即座に謝罪のメールを送る。ごめんねと。不安だっただけなんだと。傷つけるつもりなんかなかったんだと。言い訳がましいのはわかっていても、いざとなったら嫌われたくなくて、また重く長い自分勝手を押し付ける。
でもそうやって必死に謝って、さすがに放っておけなくなったのであろう彼からの優しいフォローが届いた途端、私の感情は再びどうしようもないほどに激しく波打つのだ。

そう、止められなかった。どうやっても。
私はついに究極の選択を突きつけた。傷ついた女性に優しく、自分が悪者になることを決して好まないこの優柔不断な男に、人を優しさで傷つけることの罪深さを思い知らせるために。
愛情と憎悪はせつないほどに紙一重で、私は彼を愛するからこそ、彼の記憶の中に私という存在の重みを刻み込ませてやりたい、そんな歪んだ気持ちに支配されるようになってきた。

『本当に私のことが好きで、大切だというのなら、ずっと一緒にいてほしい。でもそれができないのなら、ちゃんと逃げずに自分の言葉で突き放して』
『無視することは絶対に許さない。私は答えを出すまで何度でも聞き続ける』

武士道 

June 10 [Sun], 2007, 22:06
ちくしょう。私はこんなに女々しいヤツだったろうか。
よく言えば新発見だ。しかし、自分の行動に怖気が走る。
軽いストーカーみたいなものだ。送信履歴を何度も見返したが、見返せば見返すほど自分がとてもみじめに思えてくる。もしこんな友達が身近いたとしたら、確実に私は「痛い女」と思うだろうし、なんてプライドがないんだろう、信じられない、同じ人間とは思いたくない、そう見下しながら精一杯の苦笑いをするに違いない。
相手からの返事はそっけなく、明らかに嫌がっているのが見て取れる。それがわからないほど私は愚かではないと思っている。しかし、普段マイナス思考の私がこんなにプラスに考えられるものなのか、人間とはなんと都合のいい生き物なんだろうと自分で呆れ返るほどに、その時の自分は妙にポジティブなのである。「いや、こういう私のワガママを可愛いと思ってくれているはずだ」などと、大笑いしたくなるような発想に陥る。
すがりつくように返す私のメールは、相手に嫌われたくないと思うがあまり言い訳やフォローが多くなり、結果、面倒くささ200%の長文になる。明らかに重い。重すぎる。
しかしやめられない。伝えたくなるのだ。「好き」が暴走して止まらなくなるのだ。

一言だけ言っておくと、普段私はどちらかというと彼の前では口下手な方である。無口、とはちょっと違う。どうでもいい話ならけっこうペラペラ話すのだが、肝心なことはちっとも上手く説明できないし、そんなことに時間を費やすくらいならセックスしていたい。彼の顔を見ると言葉がいらなくなる。ずっとモヤモヤ考えていたこともどうでもよくなってしまう。彼はそんな私だからこそ一緒にいて気楽だったのだろうし、だったら都合のいい女のままでいてやろうと本気で思っていたのだ。
ところが今はどうだろう、都合のいい女はとことん面倒くさい女に成り果ててしまった。原因はわかっている。会わない時間が長すぎたのだ。定期的に会ってくれさえいたら、私はワガママなど言わずに済んだのだ。みじめにすがりつくことなどせずに済んだのだ。だから会いたくて会いたくて仕方なくて、その気持ちをどうしても抑えることができなくて、そしてどんどん墓穴を掘っていくのだ。なんてバカな女なのだろう私は。

私がこんなみじめな思いを抱えているとは知らず、彼は彼の生活を楽しんでいる。正直憎い。愛するがゆえの憎さだ。私はどんどんみじめになる。あなたの知らないところでどんどんみじめになっていく。手を差し伸べてくれるのを待っているのに、あなたはそうしない。自己嫌悪に陥り「ワガママ言ってごめん」と何度も何度も謝る私に、「俺が悪いんだから謝らなくていいんだよ」って、バカかおまえは!ってな感じだ。謝るのはあなたのことが好きだからだ、好きで好きで仕方なくてあなたをイヤな思いにさせたくなくて、イヤな思いにさせないためには本当はこんなメール送らなければいいんだけど、どうしても送らずにはいられないほど好きで好きで気が狂ってしまいそうに大好きだからだ。ギリギリの理性で謝っているのであって、本当は謝罪の言葉よりも謝罪しないための行動が欲しいのだ。なのにそれをせずに謝り返されて、そして私はまたまたみじめになっていくのだ。あなたの気持ちはしょせんそんなものなのかと。

あぁ、会いたい会いたい会いたい!!
こんな私を痛い重いと思うなら、優しい言葉でその場を取り繕わずに、私を罵倒してボロボロに傷つければいいのだ。私は身を削って、あなたに嫌われる覚悟で自分をぶつけているのだから、あなたも私に嫌われてもいいと思って素直に本音をぶつければいいのだ。
「助けてほしい。これ以上私をみじめにさせないでほしい。」
武士のようなセリフだが、武士のそれは非常に美しく純粋なものであるのに対し、私のそれはまったくもってヘドが出るほどに自分勝手な話なのである。
しかし今はそんなことはどうでもいい。早く痛みを終わらせてほしい、この締め付けるような胸の痛みを。友達にいくら止められようと関係ないのだ、私は誰でもなくあなたからの介錯を望んでいるのだから。

 

June 09 [Sat], 2007, 22:16
見て。見て。私だけを見て。
その瞳に見つめられると私はホッとするの。ここが私がずっと求めていた場所なんだ、と安堵するの。
だからほかの誰でもなく、私だけを見ていて。私だけを。

見ないで。見ないで。体も心も腐り果ててる醜い私を見ないで。
その瞳に見つめられると私は制御を失うの。この温かい場所を失いたくない、と狂気に陥るの。
だからそんな優しい目で私を見ないで。すべてを失ってもいいと思えるほどの優しいぬくもりで私の心を満たさないで。
見抜かれたくない。こんな、こんな汚れた私を。

あなたの目に映る姿くらいは私はキレイでいたかった。あなたはそんな人ではないと信じたい、あなただけが気の狂った獣のような私を見ても受け止めてくれる人だと信じたい。だけど信じて、そうだと信じてその獣の自分を晒した時、あなたはいつものように優しく「大好きだよ」と言って、そうしてきっと私に背中を向ける。
傷つきたくないから晒せない。どんなに苦しくても晒せない。笑顔でいるしかない。
でも信じたいの。本当は晒して楽になりたいの。
好きすぎて、それがしたいのに、できないの。
あなたの苦しみを私が背負う資格があるのなら、私は背負うよ。それがどんなに重い荷物であっても、私はあなたの力になりたいし、あなたのそばにいたいし、あなたが辛い時に1番最初に浮かぶ人が私であってほしいと願ってるよ。
でもあなたはそうじゃないでしょう?私の汚い苦しみまで背負う覚悟はないでしょう?そんな資格は求めないでしょう?
それがわかるの。悲しいほどに。あなたは私に本音を見せない。どんなに私が求めても逃げていくだけ。

ていうか待ってよ。逃げないでよ。私はまだまだ見せてないのよ。
獣になる前に逃げられたら、今まで私が歯を食いしばって、今にも喉の奥から飛び出しそうになる唸り声をこらえて、必死に前足に力を込めて血が滲むまで踏ん張ってきた、その意味は何だったっていうの?
こんなに苦しいなら、最初から獣の姿で出会えばよかったよ。
世界で1番許しがたい、大嫌いな私の本当の姿で。

見て。見て。私だけを見て。
獣の姿の私を見て。どこにいても何をしていても本を読んでいてもテレビを見ていても何も目に映らない抜け殻の私を見て。
友達の話を笑顔で聞きながらさっさとこの時間が終わってしまえばいいと思っている薄情者の私を見て。
サイフとカギだけを持ってスッピンメガネでコンビニに走って入口に入ったらすぐにカゴを手にして大量のパンとお菓子を買いあさって店員の目も見ないでそうやってまた部屋に駆け戻る間抜けなほどに必死な私を見て。
袋をビリビリ破いて口の中に次々と食べ物をほおりこんで私の体は生クリームとバターとチョコレートにまみれて胃がみるみるうちに膨らんできてそのうち横っ腹も膨れてきて私は臨月の妊婦のような姿になってそれでも私は満たされなくてただただ涙が出てきて涙が出てきてもまだ食べることがやめられない可哀相な私を見て。
喉の渇きを満たすために水を飲むけれどももう気持ちが悪くて入らなくてそれでも口の中は渇いていて苦しくて苦しくて仕方なくて目の前に残った食べ物をグチャグチャに丸めつぶして洗剤をふりかけて決してもう食べれないように細工してそれくらいしないと自分で自分をコントロールできない悲しいほどに異常な私を見て。
ソファに仰向けに寝転んで呼吸が荒くなって体中から脂汗と湯気のようなものが出てあぁもう私は人間じゃない人間じゃないと自己嫌悪に陥って自分の存在意義も夢も希望も何もかもを見失って死にたくて死にたくて死にたくてたまらなくなって子供のようにむせび泣くあなたの知らないもう1人の私を見て。
見てよ。見てよ。見てよ。それでもまだ優しく私を抱いてくれるというの?
出来ない約束はするな。私は生きることに必死だ。だからひとつの恋愛にも死肉を喰らうほど真剣に、心の芯から情熱を燃やし尽くすのよ。
ここまで私を燃やしておいて、今さらそんな優しい冷笑を私に向けるというの?

見て。見ないで。見て。見ないで。見て。見ないで。見て……

お願いだから、ほかの誰も見ないで。
獣の姿でもいい。嫌われてしまってもいい。

私だけを見ていて。

白い部屋 

June 09 [Sat], 2007, 18:42
返ってきたメールに、けっ、と思う。
携帯電話を無造作に投げ捨てた。一度ソファにバウンドして、ガツンと音をたてて床に落ちた。

心がバラバラになりそうだった。優しい返事。でも曖昧な返事。決して私が望んでるわけでもない言葉で取り繕うように言った返事。めんどくさい先が見えない答えが出ない会話を早く終わらせようとした、ただそれだけのための返事。

むなしい、むなしい、むなしい…………

むなしさだけが私の神経を支配していく。

生活感のない白い部屋に1人ポツンと取り残され、私は異次元に吸い込まれてしまいそうだった。いっそのこと吸い込まれた方がよかったのかもしれない。それで私のこのむなしさが記憶から抹消できるのなら。たとえ私の存在がなくなったところでこの世は何の変わりもなく機能するのだろうし、彼もいつもどおりの生活をいつもどおりに過ごすのだろう。ほんの少しの痛みは伴っても、それはきっと最初だけで、私の存在していた証は時間と共に何もかもが異次元へと消えてしまうのだろう。
それでもほんの少しでも、一瞬でも、痛みを残せるのならば、それでもいいのかもしれない。
生きて生きて生き続けても、彼の中に私は残らない。罪悪感と共に美化されて彼の心にわずかでも傷を刻み込めるのであれば、私は彼の心の中で精一杯傷を演じ続けようじゃないか。

そういう感情が私の中をかけめぐり、私は想像した。ナイフでその左手を掻っ切り、噴出す赤い鮮血で白い部屋が染まる光景を。よかった、これでこの異次元に怯えることはないんだ。白い部屋はどこにもない。ここに私の生を刻み込めた。
したたる自分の血液を見て私は泣くのだろうか?笑うのだろうか?
彼は?泣き、叫び、唇を噛み締め、自分の不甲斐なさに苦悩し、そして心の中でホッとするのだろうか?

カチ、カチ、カチ。
時計が秒を刻む音にむなしさが余計につのる。

時間とはこんなに長いものだったろうか。いつの間にこんなに1人が怖くなってしまったのだろうか。
すぐに1人になりたがるくせに、1人の時間がなければないで気が狂ってしまいそうになるくせに、今は誰かのぬくもりを異常なまでに欲する私はワガママで強欲で生きるに値しないヤツなのだろうか。
こんな極端なことを言うと彼は笑うのだろう。「そんなわけないじゃん」と。
でも私は教えてほしい。そんなわけない、と言い切れる理由を。そう思って体温が上昇して、頭が別の何かに支配されて、私が私でなくなっていくさまを見てもなおそう言いきれる?と問いかけたい。

私は強欲だ。世界中からすべての幸せを吸い取ってしまいたいほどに強欲だ。
どんな貧困が世界を覆いつくしていようと、どんな不条理がこの世に蔓延していようと、それがなくなってほしいと思えるほどキレイな人間じゃない。その人々に残されたわずかな幸せや笑顔すらにも嫉妬してしまう、そんな私は世界で一番心が貧しく悲しい人間だ。
そして思う。優しすぎる優しさが、人を悲しい人間にさせるのだと。
笑顔なんていらない。誰も笑うな。幸せそうに笑ってるヤツはみんな死んでしまえ。そして笑顔でいられる幸せを死んだ後でいっぱいいっぱい思い知って、笑顔を無駄遣いしたことを悔やみながら、もう笑うことができない長い時間を身に染みて実感するがいい。
そう心の奥底で思いながら、私は「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」と、今日もとびきりの笑顔を振りまくのだ。あぁ、これこそ無駄遣い。死んで後悔するのは私の方か。

矛盾だらけの日常だ。白い空虚な部屋に怯えながら、人はいびつすぎる矛盾を抱えて生きていくのだ。

憎いほど 

June 04 [Mon], 2007, 8:32
久しぶりの書き込み。

ここへ来ていない間に、本当にいろんなことがあった……

もうダメだ。

せつなくて苦しくて、毎日が辛くて、

ひとりぼっちの孤独な夜に心がえぐられる。



あんな約束なんて守らなくていいよ。

精一杯イイ子を演じた、いびつなほどキレイな約束なんか。

だからせめてあの約束は守ってよ。

精一杯心の奥底から叫んだ、私が本当に欲してた約束くらいは。



「忙しい」「時間がない」

そう言えば私はあきらめると思ってる。

こんなに近くにいるのに、一目会えないわけがない……

遠いところにいる彼女には会いにいってるんでしょう?

「忙しい」仕事の、毎週ある「連休」に。

ひどいよね。



お願いだから早く会いにきて。

早く、早く。

このままじゃ私、イヤな女になっちゃうよ。

あなたの記憶に鮮明に残してあげようか?

私が味わった痛みを思い知らせてあげようか?

そんなこと、できる女じゃないって思っているでしょう?



そうだよ。できる女じゃないんだよ。

そうさせたのは、あなた。

今ならあなたの彼女の気持ちがわかる。

あれほど同じになりたくなかった彼女の気持ちが、痛いほどに。

ヴィジョン 

March 25 [Sun], 2007, 23:49
思い出のビデオを観た。

小さな画面の中に鮮明に蘇るあの頃の思い出。

キラキラしてた夏。

何もかもがまだ動き出す前で、なんだかとても純粋で。

遠慮やぎこちなさも、嘘も罪も後ろめたさも、

そこには何もなかった。



画面に見入る。

自分の姿を追う。まだ少し殻に閉じこもってる。

でも自然だな。子供のように。

きっとまだ自分の居場所を探していたのだろうけれど、

その思いはただ純粋だったんだよね。

彼の姿を追う。この頃から彼は変わらない。

憎らしいほど余裕があって、すでにみんなから慕われていた。

彼のことを好きだった友達が常にそばにいる。

見たことのない彼。私の知らない彼。

笑顔や仕草、発する言葉のすべてが愛おしい。

この時間もずっと一緒に過ごせていたら、どんなに幸せだったろう。

戻らない夏。決して汚れることのない清らかな夏。

1番変わってしまったのは、きっと私なんだね。



1人の部屋で思いきり泣いて、呼吸が苦しくなるほど泣き叫んで。

その疲れと、午後の気だるさに身を任せて眠りについた。

そしてひとつの夢を見た。



私は電車に乗っている。先頭車両だ。

ガラス越しに線路が見えていて、電車は前へ前へと走り続けている。

私は車内で友達と談笑中。友達は2人いた。

それが誰と誰だったのか、何を話していたのか、思い出せないけれど。

視点が切り替わる。走る電車を外から俯瞰している。

電車が走る線路の上を、

なぜか彼と、私のことを好きな彼の親友が2人で歩いている。

電車は速く走っているはずなのに、2人は電車と同じペースで、

決して追いついてぶつかることなく、ほんの少し前を歩き続けているのだ。

また視点が切り替わる。

車内の私は、ガラス越しにそんな2人の背中を見ている。

彼ら2人が話している内容は推測がついた。

彼の親友が彼に、私のことを相談しているのだ。

再び視点が切り替わった。外からのヴィジョン。

ゆっくり話しながら歩いていた親友が急に振り返り、

走る電車の前に体を向け、歩みを止めた。

危ない、歩くのをやめては電車に轢かれてしまう、

そう思った瞬間に親友はまた前を向いて歩き出した。

ホッと胸を撫で下ろす。冗談だったようだ。

違う。それも束の間、親友はもう1度振り返った。

今度は大地をしっかりと踏みしめ、

向かってくる電車を受け止めるかのように両手を大きく広げて。

危ない!本当にぶつかってしまう!

その瞬間、一緒にいた彼も振り返った。

咄嗟に親友をかばうように飛びつく。血迷った親友を守ろうと。

そして電車は2人を押しつぶし、止まった。

車内にいる私もそれを窓越しに見ていた。車両に伝わる鈍い衝撃。

なんてこと!なんてこと!

パニックになりながら私は必死で電車を降りようとした。

私のために。私のために2人が。

どうしてこんなことに……

そしてそこでハッと目が覚めた。



怖かった。とても怖かった。

リアルで。あまりにもその衝撃がリアルで。

飛び出した親友があまりにも痛々しくて。

それを必死で守ろうとした彼。押しつぶされてその形は永遠に戻らない。



ずっとずっと、私を思ってくれる親友の存在が憎かった。

何も知らずに私を「純粋に」見るあの目。

何度拒絶しても希望を捨てず、必死に追いすがってくる。

私の視界から消え去ってほしいとさえ願ってた。

でもそうなると、同時に彼も失ってしまうんだね。

わかってはいたけれど。

でも、ああ、これが私が望んでいた結果なんだ。

それがようやく分かった気がした。

そして車内にいた顔の思い出せない2人の友人。

心当たりがある。きっとあの2人だ。

罪悪感が記憶をシャットアウトしてしまったのかもしれない。

2人はあのビデオの中で、幸せな笑顔を浮かべていた。

何も知ることもなく。

その笑顔を奪ってしまったのは、ほかでもない私だから。

私はまだ許されてはいないのかもしれない。



過去と虚像。

決してリアルではない2つのヴィジョンが、私の中でリアルに重なった。

擦り切れたビデオを観るかのように、

みんなの笑顔が白く霞んで、途切れ途切れに私の脳裏に浮かぶ。



甘くて儚くて、とても大切なのに弱くて脆い、

私の思い出と夢の記憶。

涙雨 

March 25 [Sun], 2007, 10:51
薬指に光る指輪。

あれは彼にとって一体何なんだろう?

純粋な約束の証?自分を戒めるための鎖?

それとも私に対する拒絶の意思?

その指輪を見るたび私の心が悲鳴をあげること、知ってるくせに。



彼がしばらくの間席を外すことが、

仲間内で当たり前のように容認されている。

そして真実を知っている私だけが、その矛盾に苦しむ。

耐えられない。頭の中がモヤモヤする。

どうして、どうして、どうして。

どうして目の前にいる私より、遠い彼女を大切にするの?

残酷だ。もう私の心はボロボロだ。



それでも自我を保っていられたのは、淡い期待を持っていたから。

きっとこの後彼は、いつものように私の家に来てくれる。

みんなの目を盗んでいつものように連絡を取り、

いつものルートを辿って、私の家のインターホンを押してくれるはずなのだ。

それがあるから私は大丈夫でいられた。

だから今日もきっとそうなのだろうと。

この辛い時間を超えさえすれば、ひとときの幸せが私を待っている。

だから、笑顔で頑張れたのに……



さよならをしていった彼を見つめる私は、

いつものような演技が出来ていたのか、正直自信がない。

彼の表情から何か後ろめたさを読み取ろうとしてみたが、

そこには何もなかった。

私に対する、私だけに対する特別な感情も優しさも。

とてもとても冷たかった。



また帰るんだね。大切な彼女のもとへ。

そして私の気持ちのすべてを裏切るんだね。



もう思考が停止してしまった。すべてが真っ白だ。

みんなの話し声が頭に入ってこない。

話す気力も何もない。

私は寝たフリをした。

ここは一体どこなんだろう?私は何をしているんだろう?

どうしてこんな時、彼は私を助けてくれないんだろう?



電車待ちの早朝のプラットホームで、私は“それ”を開いた。

『いつでも力になるから』

彼からのメッセージ。

言葉少なに書かれた“それ”は、特別なしるしなの?

違う。違う。違う。

私が求めていた言葉はこれとは違う。



なぜだかよくわからないけれど、「ごめんね」を言ってほしかった。

だって、私をここまで追いつめたのはあなただから。

力になるというのなら、私の前で指輪を見せないでほしかった。

電話をかけるために、私を狭い部屋に1人ぼっちにしないでほしかった。

別の誰かに触れたのと同じように、私に触れないでほしかった。

みんなの前で思わず振り払った腕。そのせつなさの意味がわかる?

突然帰らないでほしかった。

私の気持ちをわかっているのなら、もう少しいたわってほしかった。

ほかのみんなと同じ義務的な目線を向けないでほしかった。

そうやって、私の心をズタズタにしないでほしかった。



涙をこらえ切れなかった。

雨の朝のプラットホームで、私は必死に涙を拭った。

目に映る世界が悲しげに泣いていた。

私の心も泣いていた。

現実と非現実 

March 21 [Wed], 2007, 17:50
その感情に支配された時、

私の視界から「食べ物」以外のすべてが消える。



すがすがしい空の色も、待ち遠しかった春の空気も、

購買意欲をそそられる魅惑的な服やアクセサリーも、

街を歩く人々の表情や声や、わずらわしいほどの喧騒も。

なにもかもが私の世界とはかけ離れた、遠い世界のもののように感じる。



昨日がそうだった。

どこにいても何をしていても、途方もない孤独感が襲ってきた。

デパート内をうろついていて気分が悪くなった。

手早く目的の買い物を済ませ、カフェに入った。

何も見たくなかった。何もしたくなかった。

倦怠感、無気力感。

慌てて友人にメールを打った。気力が湧かないのに、退屈が怖い。

誰かと繋がっていたい。

片っ端からたわいもないメールを送り、また寂しくなった。

私は一体どこにいたらいいのだろう?

私は一体何をしていたら救われるというのだろう?



1杯のアイスティーを頼んだ。

よく訪れるカフェだが、決まって頼むものはアイスティーだった。

ショーケースに並べられた色とりどりのスウィーツ。

その甘い誘惑にひとたび身を委ねると、

私は私のバランスを失うことを知っているからだ。



夕方になっても、夜になっても、

「その感覚」が私の中から消えることはなかった。

テレビの中の笑い声がフィルター越しに聞こえてくるよう。

時間の経過が途方もなく遅く、

この孤独な夜をどうやって乗り切ればいいのかわからなかった。

何も考えられない。気が狂ってしまいそう。



咄嗟に携帯電話を取り出した。

画面を何度も開いては閉じた。

送りたい。助けを求めたい。カフェで打ったのとは違う、あの人へ。

長い葛藤の末、おそるおそるメールを打った。

1文字1文字、確かめるようにゆっくりと。

もうプライドなんてどうでもよかった。

ただこのどん底から私を救い出してほしかった。

そのあたたかい声と、優しい表情と、腕のぬくもりで。

助けて、どうか私を助けて――。



彼は来てくれた。

「いつもと違うメールだった」と言う彼。

ごめんね、計算ずくだったんだ。

ありがとうね。優しいね。

私は幸せ者だね。



朝になって、いつものように彼を見送って、

たった1人の部屋に取り残された時、

私は決まって不思議な感覚に陥る。

すくい上げた砂が、シャラシャラと指の隙間からこぼれていくような。

甘い余韻が残りつつも、目に映るすべてのものが妙にアンバランスなのだ。

私は夢を見ていたのだろうか?

ついさっきまで確かに私のそばにあったはずの体温も、

包み込むように柔らかい唇の感触も、

すべてが遠い出来事のように思えて。

いや、むしろ非現実的で、リアリティがないというか。

まるで最初から存在しないものであるかのように私の脳にインプットされる。



帰り際、力なくつぶやいた。「連絡してね」と。

彼には届いただろうか?



そうして私は財布を持ち、誘惑が待ち受ける場所へと足を運ぶ。

「助けて」と声にならない叫びを上げながら。

そうだ。こっちが私の現実。

救われることのない日常が、何度でも何度でも私を待ち受けている。
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