Walt Disney's Donald Duck: The Ghost Sheriff of Last Gash

May 13 [Sat], 2017, 22:44


いつものFantagraphics Books, Inc.から、カール・バークスのドナルド漫画をもう一冊。
カール・バークスといえば、32 pagerといわれる32ページ構成の漫画のなかに優れたものが非常に多く、こうした作品群の中には、バークスが得意とする冒険ものが多く含まれます。
これらの中には、アメリカの歴史に取材した迫力ある作品や、秘境を舞台とするスケールの大きな作品が多く、現代も優れた作品として高い評価を得ているものが多いです。
ただ、今回ご紹介している巻に掲載されている作品は、ほぼ全てが10 pagerと呼ばれる10ページ構成のものとなっており、こうした作品はドナルドと3人の甥っ子たちとのスラップスティックを描いたホームコメディ的なものが殆どです。

書かれた年代は、どの作品も1954年から55年です。
54年に描かれた作品群のほうが、勢いのある作風のものが多いです。
この時期の作品は、バークスとしても脂の乗った時期の作品には違いないのですが、55年初出の作品の幾つかに関しては、作風としてはやや控え目なものもあります。
控え目とはいっても、殆どの作品は大変妙味に溢れたものですが、巻末の解説で、他の作品に比べれば駄作ともいえるのではないかという評価を下されているものも少数ながらあります。
手塚治虫先生と小野耕世先生の貴重な対談によると、バークス作品は1950年以降作風がトーンダウンした時期があったそうですので、丁度そうした時期に差しかかっていた頃の作品かもしれません(『手塚治虫対談集3巻』p.99を参照)。

しかし、ヤングアダルト・成人向けコミックの市場は成熟しているものの、意外に優れた児童漫画が新しく出てこない現代の日本人の目から見ると、これらの作品は、児童漫画として非常にクオリティの高いものと思います。
どのエピソードもバークスらしい奇想、起承転結のプロットの妙に彩られており、10ページという短い中でよくもこれだけ楽しい要素を詰め込めるものだと思うと、もう見事というより他ありません。
如何にもありそう、でも絶対ありえない・・・といような、おかしなことが次々起こり、それが意外な結末を迎えるのが、バークス風コメディの典型ですが、10ページものの漫画にはそうした特長がぎゅっと凝縮されていて、このあたりはスケールの大きな32ページものの漫画にはない魅力だと思います。
特に111ページ目から掲載されている"Travelling Truants"という作品などは、バークス漫画におけるドナルド・ダックの、良識はあるが大人気ない思考パターン、そこからくる行き過ぎた行動がよく出ている作品として、小野後世先生が著書『ドナルド・ダックの世界像』でご紹介している作品でもあります。
ファンとしては何とも感慨深いもので、長年「いつか読める日も来るかしら」なんて思っていた作品だっただけに、ちょっと涙が出そうでした!

そしてこの巻にはもう一つ、異色な作品が含まれています。
それは181ページから掲載されている、"Donald Duck Tells About Kites"という作品です。
この作品はドナルドが甥っ子たちに凧の作り方を教えるという内容なのですが、安全に凧揚げをするためのルール(例えば、電線の近くでは凧揚げをしない、凧を作るときは、タングステンなど金属を原料に含む素材を使わないなど)が漫画の中で解説されており、啓蒙的な意味合いで描かれたことは明らかです。
実はこれ、1950年代に電力会社の依頼を受けて子供向けに書かれた啓蒙漫画であったらしく、簡易冊子として刊行され、なんと学校などで配布されていたというのです。
この冊子そのものを保存していた人はあまりいなかったんじゃないかと思いますが、今当時のものが残っていれば、ものすごいお宝といえるのではないかと思います。

1950年代アメリカの素敵なコメディ漫画、ディズニー好きな方にも、そうでない方にも、アメリカ文化に興味のある方には、是非お薦め致します!

参考文献: 
Carl Barks "Walt Disney's Donald Duck: The Ghost Sheriff of Last Gash" Fantagraphis Books, Inc. 2016
『手塚治虫漫画全集393 別巻11 手塚治虫対談集(3)』 講談社、1997
『ドナルド・ダックの世界像―ディズニーにみるアメリカの夢』 中公新書、1999

注)この記事の内容は、筆者による洋書紹介ブログ『ほんのほん♪』の最新記事と重複しております。

The Magic Kingdom Collection

March 10 [Fri], 2017, 7:59


皆様、こんにちは。
今回は今年1月に発売された、ディズニーランド開園60周年記念TPB "The Magic Kingdom Collection"をご紹介します。
こちらのTPBはいつもご紹介しているFantagraphics Books, Incからではなく、近年雑誌を含むディズニー系のコミックを沢山出しているIDW Publishingという出版社から出ているものです。
こちらの出版社は2015年から雑誌に加え、お手頃な価格のTPBを沢山出版しているところで、ディズニーのコミックを読んでみたいけれど、いきなりコレクター向けのFantagraphicsの本は手が出しづらい・・・と思っている方にも、是非お薦めです。
ただ、Fantagraphicsがバークス、ローザ作品の出版にほぼ専念しているのに対し、IDWのほうはドナルド・ダックの新聞漫画で有名だったタリアフェローや、英語圏以外の作家の作品(英語に翻訳されている)を多く出版しているようです。
作風がかなり違いますから、どちらが好みかは読む人次第といったところだと思います。
尚、今回ご紹介する作品集は、日本ではインターネット書店などで手に入れることができます。

今回ご紹介する作品集は、バークス作品2作を含む1950年代後半から1990年代前半までの作品が7作収録されているのですが・・・特徴は何と言っても、全てのエピソードの舞台がディズニーランドだということ!
ディズニーのキャラクターが、ディズニーランドを散策する様子をコミックで見ることができるなんて・・・なんだかミッキーやドナルドたちと一緒にディズニーランドを楽しんでいる気分で、ファンとしては夢のような作品集です。
デンマークやイタリアなど、英語圏の作家以外の作品が英語で読めるのも嬉しいところ。
すみません、今日の画像は、デジカメの電池がなくてスマホで無理やり撮影したために、画面の一部が光まくってますが・・・以下、作品の一部をご紹介しますね。


"Fantastic River Race" これはカール・バークスによるもので、1957年の作品です。
グランマ・ダックとディズニーランドでマーク・トウェイン号に乗るスクルージが、故郷スコットランドからアメリカへ渡った若かりし日、物資を運搬する蒸気船の船長として活躍した冒険の日々を思い起こす漫画。
なんとビーグル・ボーイズ(先代)とその息子たち、そしてジャイロ博士の祖父ラチェット・ギアルース(見た目はジャイロにそっくり)も出てくる、とても楽しい作品ですよ!
この作品ではラチェットがスクルージのパートナーとなり、得意の機械いじりで彼を助けるのですが・・・ボイラーでパイを焼いたりと、突飛なアイディアマンっぷりは、さすがジャイロのお祖父さんです。



 
"Donald and Mickey in Frontierland" 作者はPete Alvarado。1971年の作品です。
『カントリー・ベア・シアター』の熊たちが総出演という珍しいコミックです。
熊さんたちのコンサートが聴きたくてシアターへ向かうミッキーとドナルドですが、ピクニックがしたいビッグ・アル、アーネスト、テディ・バラがこっそり抜け出してしまっていて・・・。
開演がもう近いのに!
ミッキー、ドナルド、ヘンリー、そしてアライグマのサミーは、3人を連れ戻しに急いで出かけるのですが、これが上を下への大騒ぎに。
逃げる3人が、逃亡中のボートや馬車の上でもサンドイッチを食べ、結局ピクニックを楽しんでいる暢気な味わいが何とも言えない良い作品です。
ミッキーやドナルドの筆致や表情も、どこか懐かしくて可愛らしいです。



"Red Rogue's Treasure"Paul Halas , Unn Printz-Pahlson原案、Bictor "Vicar Arriagada Rios絵。
1992年、この作品集の中では新しい作品ですが、絵柄が非常に洗練されています。
どうでしょう、このタイトルページを見ただけで、もうわくわくしてしまいますね!
実はこれ、デンマークの作品なのですが、英語で読めるというのが大変嬉しいです。
『カリブの海賊』へやってきたドナルドと甥っ子たち、スクルージが、同行しているデイジーに、かつて宝の埋まった島でマジカ・デ・スペルや海賊たちと対決、見事宝物を手に入れたときの冒険談を語って聞かせます。
この作品ではマジカが憎めなくて面白い。
箒で空を飛んだり、女海賊に変身したり、魚に化けて海を泳いだり・・・勿論最後は散々な目に遭ってしまうんだけど、ちょっとだけマジカになってみたいと思ってしまったのは私だけ?!(笑)



そしてこちら、異色中の異色作"Incredible Disneyland Adventure"。
イタリアの漫画で、1985年のものです。
原案はAngelo Palmasという人ですが、描いたのはGiorgio Cavazzano。
Cavazzanoは日本ではあまり知られていませんが、イタリアのディズニーコミックアーティストとして、ファンの間では有名な人です。
軽妙かつ太目のタッチの絵柄が独特ですね。
この絵を見て分かるとおり・・・実はこれ、本物のミッキーが「ミッキーの被り物を被ってディズニーランドで働いている従業員」と協力し、みんなのお給金をくすねようとするピートとその仲間たちから、賃金を取り戻そうとするという(!)異色の冒険談です(笑)
キャラクターの「中の人たち」が大勢登場する漫画でありながら、ミッキーはやはりミッキーとして存在していて、夢を壊すような漫画ではないあたりが秀逸です。
作品の最後に、作者の国であるイタリアの子どもたちが、ディズニーランドでミッキー(本物)に尋ねます。
「どうしてミッキーは、どんな国の言葉も話せるの?」と・・・。
ミッキーさん答えて曰く、「たぶんそれは逆でね・・・それは君たちが、想像力という言葉を理解しているということなんだよ」
何とも素敵な会話ではありませんか。感動してしまいました。

何作かご紹介しましたが、他にもこの作品集には、素敵な作品が沢山収録されています。
描かれた年代が20世紀後半ということもあり、この作品に登場するディズニーランドは少しレトロで、大人世代には懐かしく、若い人には新鮮なディズニーランドだと思います。
ディズニーランドが大好きな皆さん、是非お手にとって、読んでみてくださいね。
もっとディズニーランドが好きになること請け合いです!

それでは、また近いうちにお会いしましょう!

参考文献: IDW Publishing "Disney Donald and Mickey: The Magic Kingdom Collection", 2015

Uncle Scrooge and Donald Duck:The Universal Solvent

December 24 [Sat], 2016, 2:47


みなさん、こんにちは。
今日は'Uncle Scrooge and Donald Duck "The Universal Solvent"'をご紹介します。
この本は、こちらのブログではすっかり御馴染みとなったFantagraphics Books, Inc.から出版されたDon Rosa Libraryの6巻目に当たるもので、今回も前回までと同様、大人のファンのコレクションに相応しい出来の本です。
装丁の美しさ、カラーの漫画の彩色の美しさ、印刷の美しさもさることながら、作者であるドン・ローザ本人による作品解説が巻末にたっぷり入っています。
中には、ボツとなって本編として過去に収録されてこなかった、貴重なオリジナルアイデアを示す下書きも。

Rosaは大学時代に理系の学部に在籍し、また歴史に詳しいコミック作家です。
それだけに、SF作品と史実をベースにした作品には独特のリアリティがあり、Rosaの最も得意とするところです。
そうした作品が沢山収録されているこの巻は、エンタテインメント性に富むと同時に、ファンを唸らせてやまないお宝といえるでしょう。
この巻には、主にローザが1994年から1995年にかけてものした作品が収録されているのですが、この頃になるとローザはファンアートのクリエイターという立場から一転、一日に8時間は漫画を描くことに費やしていたそうです。
プロとしての意識が芽生え始めたのもこの頃らしく、筆致もこなれてきています。
丁寧さや緻密さはそのままに、キャラクターはより表情豊かに、可愛らしく描かれるようになっています。
スクルージやドナルドは勿論なのですが、特にヒューイ・ルーイ・デューイの愛くるしさには目を見張るものがあります。

この巻の特徴は、何と言っても作品のバラエティの豊かさです。
まず巻頭は、1994年に発表された、ドナルドダックの60歳の誕生日記念作品。
もしドナルドがいなかったら、スクルージ伯父さんの運命をはじめ、周囲はどう変わっていたか・・・というお話。
やっぱり僕が生まれてきたことには意味があったんだ、と、仲間たちに誕生日を祝ってもらいながら納得するドナルドが微笑ましい、素敵な作品です。
他にも、スクルージとマジカ・デ・スペルの攻防に、クロイソス王の宝を求める大冒険が絡む歴史物、ジャイロが発明したダイヤモンド以外の全てのものを溶かしてしまう薬が原因で起こる騒動を描いたSFものなど、完全にオリジナルの作品は、どれも素晴らしいものばかり。
でも・・・ローザといえば、やはりバークス作品の後日譚も読みたいところですよね。
この巻には、それもしっかり収録されてます!
バークスの描いた50年代の名作"The Golden Helmet"の後日譚"The Lost Charts of Columbus"は、地球規模の歴史物でもあり、一大スペクタクルです。
また・・・自身の作品"Life and Times of Scrooge Mcduck"の、追加エピソードと見られる作品”Scrooge Mcduck in Hearts of the Yukon"も、この中には収録されています。
この作品、とても印象深い素敵なエピソードですので、そのうちじっくりとご紹介したいのですが・・・今日はとりあえず、これが"Life and Times of Scrooge Mcduck"で幾度も触れられているけれども直接的には描かれない、あのゴールディとの関係について描かれた、秀逸なラブストーリーであることのみ、記しておきます。
この作品は、もう文学的といっていいと思います。
ゴールディというキャラクターが最初に登場した、バークスの名作”Back to the Klondike"と、是非併せて読みたい作品です。

今回もバラエティ豊かな作品を揃え、漫画家としてのドン・ローザの手腕の凄まじさを見せ付けたこの巻。
Fantagraphics Books, Inc.は今後も続刊を刊行予定ですのですので、ファンとしては目が離せませんね!

Life and Times of Scrooge McDuck

November 21 [Mon], 2016, 8:53


皆様、こんにちは。
今回はかねてよりこちらのブログでご紹介してきた、バークスの後継ともいうべき偉大なコミックアーティスト、ドン・ローザ氏の代表作をご紹介致します。
その名も"Life and Times of Scrooge McDuck"。
この題名は単体の作品についたタイトルではなく、スクルージおじさんを主人公とした連作に与えられたタイトルで、これらの作品群には、スコットランドでの幼少期から渡米、そして世界一の大金持ちとなるまでのスクルージおじさんの生涯が描かれています。
実際の史実に基づいた作品を得意とするドン・ローザの才能が遺憾なく発揮された作品群で、スクルージというキャラクターを通じ、アメリカを中心とした世界の近代史をも振り返ることのできる、大変スケールの大きな素晴らしい作品群です。


一時は絶版になっていた"Life and Times of Scrooge McDuck"。
実は私がこの作品群を知ったのは、『スクルージおじさん&ダックファミリーblog』を通してのことで、管理人の星屑りんさんによる紹介文を読めば読むほど、是非これは現物を見てみなければという思いが強まっていきました。
"Life and Times of Scrooge McDuck"シリーズ自体は、最初に出版されたのが1990年代前半ですから、バークス作品のようにめちゃくちゃ古い作品というわけではありません。
それでもこの作品群は長らく絶版となっていたため、ファンにとっては記念碑的シリーズであるにも関わらず、入手困難となっていました。
このシリーズを集めた本はネットショップで万単位の価格で取引されていることが多く、とてもじゃないけど手が出せない・・・と悲しく思っていたものです。
実は星屑りんさんに、「そのうちFantagraphicsあたりが復刊して下さらないものでしょうか・・・」と、こぼしたことがあるのを記憶しているのですが・・・。


しかし私のぼやきが、嬉しいことに、なんと今年に入って本当になったのです!
現在"Life and Times of Scrooge McDuck"はFantagraphics Books, Inc.から刊行されているハードカバーのシリーズ”The Don Rosa Library"に収録されており、現在はamazonや紀伊國屋書店など、インターネット書店を通じ、比較的容易に手に入れることができます。
"Life and Times of Scrooge McDuck"が収録されているのは、同シリーズの第4巻及び5巻。
しかも、著者ドン・ローザ本人による各作品の解説が巻末についているという、ファンなら是非揃えておきたいものです。
価格は日本円で一冊あたり3千円台前半で、少し値段が張りますが、装丁も大変美しく、中は勿論フルカラー。
スクルージおじさんのファンであれば、シリーズ中この2冊だけでも、揃えておかれることをお薦め致します。
(尚、このシリーズにはドン・ローザの作品が時系列で収録されているため、"Life and Times of Scrooge McDuck"以外の作品も一部収録されています。)


"Life and Times of Scrooge McDuck"を読むと、スクルージを一人の人物として捉え、彼を通してこれだけの深みとスケールを備えた物語を描いたドン・ローザの手腕にひれ伏したくなります。
スコットランドの没落貴族の家庭に生まれ、貧困の中で育つ少年時代のスクルージ。
彼があの伝説のアイテム「幸運の10セント」を手にするところから、家族を養うために渡米し、更に富を求めて世界中を旅し、老年期にダックバーグへ落ち着くまでの物語を読むと、スクルージ・マクダックというキャラクターが、これまでとは違ったふうに見えてきます。
富を掴みかけるもチャンスに見放されたり、時機を逃したりと、若き日のスクルージはかなり失敗もしているのですが、タフネスだけは人一倍。
アメリカで蒸気船の運転手として活躍し、銅の鉱脈を掘り当て、有名なカナダ北部のゴールドラッシュのみならず、オーストラリアのゴールドラッシュにも駆けつけ、北極、アフリカ、はては極東地域でも富を築き・・・。
世界一の金持ちになろうと野心を燃やすスクルージの数々の冒険譚は痛快ですが、ドン・ローザは各キャラクターの心情を描くことも、決して疎かにはしません。
徐々に成功して大金持ちとなり、得たもの、失ったもの、そして変わらないタフネス・・・。
スクルージが何故スクルージとなりえたのかが緻密に描かれ、ファンにとってはまさにサーガと呼べる作品群です。
また、物語の中では、これまでバークスが明示してこなかったあらゆる主な人物との出会いも数多く描かれており、マニアックなファンにとっては楽しみも2倍、3倍となること請け合い。
仇敵ビーグル・ボーイズとの初めての対決、永遠のライバルフリントハート・グロムゴールドとの出会い、そして酒場のスターになる前の、あのゴールディも登場します。


尚、このブログでは敢えて触れませんが、"Life and Times of Scrooge McDuck"の各エピソードの詳細が知りたいという方は、是非星屑りんさんのブログ『スクルージおじさん&ダックファミリーblog』をご覧になることをお薦めします。
こちらのブログは日本語で「スクルージおじさん」と検索すると、トップに出てくるサイトなので、ご存知の方も沢山いらっしゃると思いますが、スクルージおじさんのことに関しては、恐らく日本で一番詳しいサイトなのではないかと思います。
"Life and Times of Scrooge McDuck"のことだけでなく、こちらのブログでは網羅できないヨーロッパ製のコミックなどにも詳しいですので、是非お薦め致します!


"Life and Times of Scrooge McDuck"はこれほどまでに完成度の高い作品なのに、どうして日本語の翻訳版が出ないのか、日本の子どもたちがアクセスできないのかということを考えると、少し寂しくもあります。
我が家の8歳の息子には、ほぼ全てのストーリーを即興で訳して読んであげたのですが、物語の壮大さ、スクルージおじさんの痛快さに大喜び。
こんな良作、日本の子どもたちにももっと読んでもらいたいのですけれど、コミック市場の内需がこれだけ発達した日本だと、やっぱり海外作品の翻訳出版は難しいのかもしれません。


とはいえ、ファンにとってはこれらの作品が英語で、しかも日本にいながらにして読めるというだけでも、もう天にも昇るほど嬉しいことです。
ドン・ローザ作品集は、まだまだこれからFantagraphicsから刊行されるようですので、そちらも楽しみですね!


謝辞
『スクルージおじさん&ダックファミリーblog』の星屑りんさん、ブログのご紹介を快諾して頂いて、本当にありがとうございました!


映画『ジャングルブック』

September 20 [Tue], 2016, 5:50
素晴らしいの一言の映画でした。
この夏、家族全員で『ジャングル・ブック』(キプリングの原作)を読みました。
本で読んだ美しいジャングルの世界が目の前に広がっているのを見ると、寒気がするほどわくわくしました。
小学生の息子も含め、「この素晴らしい小説の世界を、本当に実写で表現できるのか」という疑問を抱いていたのですが、本当に本当に、この作品は『ジャングル・ブック』映画の決定版と言ってもいいと思います。


70年代に製作されたディズニーのアニメ版では、原作のストーリーの枠の一部だけを抽出し、あとは陽気なディズニー風味で味付けしたような作品でした。
映画としてはよく出来ており、特に音楽は素晴らしかったのですが、原作とは雰囲気も物語そのものも、随分かけ離れたものでした。
今回の実写版は同じディズニーが製作したものですが、アニメ版の良さ(主に音楽)を取り入れながらも原作も尊重した作りとなっており、アニメ版のファンにも原作小説のファンにも、嬉しい作品となっています。


原作の『ジャングル・ブック』は、モーグリ少年がメンターや親代わりの動物たちの助力を得ながらジャングルの掟を守り、大人になっていく壮大なビルドゥングス・ロマンですが、主役のニール・セティさんはその過程を非常に上手く演じていたと思います。
序盤で登場する彼は可愛らしい男の子ですが、終盤にはきりりと表情が引き締まり、大人の男性のように見えました。その彼を母狼が誇らしげに見つめる場面は、強烈に印象に残っています。


児童文学が原作となった映画では、『ハリー・ポッター』シリーズなども素敵ですが、こちらの作品のほうがテーマに重層性があり、見応えがあります。子供たちには、生きる上で重要な要素が沢山詰まったこの映画を堪能し、そのあとは是非、原作も読んでほしいと思います。

素晴らしいの一言!ドン・ローザのコミック"Treasure Under Glass"

November 26 [Thu], 2015, 8:11
皆様、こんにちは。お久しぶりです。
最近読書にハマっておりまして・・・ディズニーのこと、沢山書きたかったのですが、ちょっとブログの更新のほうはお休みしてました。
私は本に関しては、特に古典文学が大好きで・・・お休みしている間に、Penguin版の"The Arabian Nights"、"Moby-Dick"、"The End of the Affairs"などなど、名作もたっぷり読んだのですが・・・勿論、ディズニーのコミックも忘れていませんでしたよ!

今回ご紹介するのは、つい2、3ヶ月前に発売された米国Fantagraphics Books, Inc.出版のハードカバーコミックです。
そう、こちらのブログではすっかり御馴染みのFantagraphicsですね(笑)
今回はドン・ローザ著”Uncle Scrooge and Donald Duck"シリーズの中の、"Treasure Under Glass"をご紹介します。



ちょっと画像が小さくて残念ですが、このグラデーションをつけた美しい色彩の表紙をご覧あれ。
これだけでもローザらしい冒険譚を想像して、わくわくしてしまいますね!

この巻の特徴は、ローザのコミック作家としての才能が余すところなく発揮された、あらゆるジャンルの名作が揃っているということ。
表題作"Treasure Under Glass"など、ローザお得意の実際の歴史的事物から着想を得た作品。
”On Stolen Time"”The Duck Who Fell to Earth"(このタイトル、デヴィッド・ボウイのファンにはたまらないでしょう)などのSFもの。
”Return to Xanadu"”War of the Wendigo"”Sooper Snooper Strikes Again!"など、先達バークスのストーリーの後日譚となっているもの。
どれもが珠玉の作品ばかりで、コミックライターとしてのローザの手腕には、ただただ驚かされるばかりです。

個々の作品については、また後日近いうちにご紹介できればと思っているので、ここではその前段階として、巻末の解説で示されるドン・ローザ本人の談も交えながら、この本に収められたエピソードの全体的なご紹介をしておこうかと思います。

ローザ本人は、このシリーズの前の巻でも何度か述べているように、歴史冒険ものを得意とするコミック作家です。
それも全く架空の歴史をオリジナルで作り上げたり、バークスのように現実のカリカチュア、パロディとしての歴史的事物を設定として示すのではなく、実際の歴史的背景に依拠した事物から着想を得ています。
ローザの作中では、バークス作品と同様、ドナルドやスクルージたちはダックバーグという架空のアメリカの都市に住んでいることになっていますが、ローザは作品の時代背景を1950年代と明示しており、そうした点からも、彼がバークスをはじめとするほかの作家たちと異なるスタンスで作品を描いていることがわかります。
おそらくローザ本人にとっては、ドナルドもスクルージも、実在した人物と同様のリアリティを持つキャラクターなのではないでしょうか。
彼の作品設定からは、かつては一人のファンであった彼自身の、キャラクターに対する愛が感じられます。

ローザは歴史的事物を扱う作品を描く一方で、先に述べた通り、SF的な作品も多くものしていますが、これらの作品もまた、独特のリアリティに裏打ちされています。
彼のSFは、荒唐無稽な「ありえない」SFではなく、いかにも現実にありそうと思わせる具体的なギミックに満ち満ちています。
特に低年齢の読者向けに(作品そのものは、十分大人の鑑賞に堪えうる名作なのですが)、重力の法則などをキャラクターに説明させている箇所などもあり、非英語ネイティブ(及び文系)の私などにも非常に勉強になるのですが、それらの説明が決して退屈にならず、作品に信憑性を与える道具立てとして効果を発揮している点には、是非注目したいところです。
これらのSF作品には、1950年代アメリカという作品背景と矛盾するという理由で、ローザ本人は必ずしもお気に入りでないものもあるようです。
しかしどの作品も、理系大卒のローザらしい理論・設定構築の巧みさ、そしてキャラクターの性格付けに見られる卓越したユーモアに彩られた、大人が読んでも非常に楽しい作品ばかりです。

そして忘れてはいけないのは、先達バークスの作品の後日談ともいうべき作品です。
これらの作品は、元の設定がバークスであるという点で、完全なローザのオリジナルというのとは少し違うと思われるかたもいらっしゃるでしょうが、これらの作品にこそ、ローザの真骨頂が見られると思います。
バークスのオリジナルの設定や世界観をぶち壊しにすることなく、更に発展的な物語を描くローザの手腕に、読者はただ敬服するばかり。
決してバークスの真似ではないんです。
あくまでローザらしさが溢れているのですが、バークスの作品の良さもまた思い起こさせてくれる、ファンにとっては本当に嬉しく、有難い作品群です。
ローザによると、完全にオリジナルの作品を作るより、こうした名作の後日譚を描くほうがよほど難しいということなのですが、これほどの完成度を目の当たりにすると、それもまた納得です。
更に、この巻に収められている「後日譚」作品には、コールリッジの詩など文学作品が引用されているものもあり・・・英文学ファンにも嬉しいですよ。

先達バークスとローザの作品を比較すると・・・。
バークスは、例えば有名なアンデスの四角い卵のエピソードに見られるような荒唐無稽なギミックと、社会風刺に満ちた作風が特徴です。
彼の描くダックバーグは、現実のアメリカに代表される文明社会のカリカチュアともいうべきものですし、主人公たちが旅する未開の冒険の地も、アメリカ人の目に映る未開の地という意味で非常にパロディ的です。
ドナルドやスクルージも、人間のパロディ、カリカチュアとしての側面が強く、バークスが示すユーモアは、キャラクターの性格に依拠するそれというよりも、まずは設定ありき、内容ありきのユーモアです。
一見子供向けの他愛のない作品のようでも、所謂ブラック・コメディのようなものもあり、テレビ放送開始や冷戦など、時事問題を扱ったような作品も散見されます。

バークスの場合、絵の筆致もローザと違ってかなり軽妙な印象を与えます。
バークスは元々、ディズニーの動画アーティストとしてキャリアをスタートさせた人で、アマチュア漫画家からプロになったローザと異なり、元々プロ、しかもアニメ関連の仕事から漫画に転向した人です。
筆致にもそれを思わせるところがあり、無駄のない線と動きを感じさせる背景、キャラクターの一瞬の表情を捉えたような、一種アニメのドナルドやスクルージを彷彿とさせる愛らしさが特徴です。

それに対し、ローザはファン向け雑誌に投稿していたアマチュア作家から始めたからなのか、とにかくマニアックなまでに丁寧な作風が特徴です。
物語の設定も、一作ごとに描きたい内容に合致するよう設定を作っていた(というふうに、私個人には読める)バークスと異なり、まるで煉瓦で家を作るように、緻密に計算され、構築されています。
彼は設定にも凝りますが、バークスとの違いは、キャラクターに対する思い入れ。
バークスはあくまで、自身が描く内容を巧みに表現する役者としてキャラクターを位置づけているような印象を与えますが、バークスファンであるローザにとって、キャラクターは実在の人物同様の愛すべき存在。
バークスの作品に比べ、キャラクターの心理や関係性、性格にユーモアの核が置かれていることが多く、全体的な作風も、風刺的なものなどはありません。
ただただファンとして作品を愛し、プロの作家として大好きなキャラクターの漫画を描くことを愛する、そんなローザの境地が伝わってくるような作風で、そこにこそローザらしさがあります。
それだけに、絵の筆致もマニアックなほど細かく・・・本人も「ここまで細かく描くことないんだけど」と巻末で述べていたりして、描くのは大変でしょうが(楽しくもあるんでしょうけれど)、見るほうはとても楽しい。
緻密な筆致には、バークスにはない魅力があります。

先達バークスとその後継者ともいうべきローザ。
二人はどちらも、素晴らしいコミックアーティストで、それを十二分に実感させてくれるこの本は、本当に素敵な本です。
まさにダックファン必見。
残念ながら、一般書店では海外コミックを扱う大きな書店でも扱っていないことが多く、手に取ってみることは難しいディズニー作品ですが、この本だけは、ファンなら是非とも揃えておきたいものだと思います。
今ならインターネットで日本にいながらにして手に入るので、本当に有難い時代になったと思います。

参考文献:
Don Rosa Uncle Scrooge and Donald Duck "Treasure Under Glass" Fantagraphics Books, Inc. 2015





懐かしの50年代アメリカ

June 22 [Mon], 2015, 8:40
皆さん、こんにちは。
このブログではすっかりお馴染の、Fantagraphics Books, Incから刊行されているドナルド・ダック関連コミック。
先日、ついに最新刊を手に入れました!
それがこちら。
作者はカール・バークスです。



表題作は、数を数えるのが得意な奇妙なオウムが登場する"The Pixilated Parrot"という作品なのですが、私が注目したのは、"Donald's Grandma Duck"という作品と、"Big-Top Bedlam"という作品の二つ。
というのは、この二つの作品はいずれも1950年に描かれており、当時の懐かしいアメリカを垣間見せてくれるモチーフが沢山登場しているからです。
私はアメリカに行ったこともなく、更には80年代生まれですから、50年代アメリカの実情など知りようもないので、考えてみればこれらを「懐かしい」と形容するのはおかしな話ですが、これらの作品からは、まだ世の中がのんびりしていて、人々が現在よりもゆったりとした時間の中を生きていた頃の様子が窺えます。

まずは"Donald's Grandma Duck"から。
珍しくタイトルにグランマ・ダックの名前を冠した作品です。
このエピソードでは、ヒューイ・デューイ・ルーイが、ドナルドの親戚であるグランマ・ダックのところへ遊びに来たときの様子が描かれているのですが、グランマが住む郊外の農場の、なんとまあのんびりと楽しげなこと。
派手なものは何もないのですが、いかにも田舎のおばあさんのおうち、という感じが出ている、非常に味わいのある良い作品です。





上のコマに見える樽のようなものは、牛乳を攪拌し、バターを作るための樽。
そして下のコマに見えるアイスクリームは、グランマのお手製です。
(「あたしは一人一皿しかアイスはあげないよ」と言いながら、一皿が超大盛りなのはご愛嬌。)
グランマが農場で、いろんなものを手作りしながら丁寧に暮らしている様子がわかります。





そしてこちら。
上のコマをご覧下さい。
グランマの家にある綺麗なランプ、グランマが油を注いでいるということは、これはオイルランプなんですね。
そして下のコマ、テーブルクロスのかかったサイドテーブルに見える四角いものは、実はドナルドから贈られたテレビなのです。
テレビは騒がしいという理由でテーブル代わりにしていたグランマですが、当時のテレビは薄型ではないはずですから、こういうこともできたのでしょうね。
当時アメリカ全土に、こういうおばあさんが沢山いたのでは。

このほかにも、グランマの家にはいろいろと懐かしいものが登場します。
蝋でできた果物の飾り物。
テレビ代わりに小さい甥っ子たちに見せる、ステレオスコープ。
ビクトリア調の渦巻き模様のついた時計。
巻末の解説によると、この作品が描かれた1950年には、これらのアイテムは特に懐かしいものではなかったそうですので、バークスは典型的な田舎の農場の家を描いただけなのではないかと思われます。
「静か過ぎて眠れない」とぐずる都会っ子の子供たちを寝かしつけるために、グランマがお手伝いのガス・グースと一緒に、鍋釜で「騒音」を立ててやるラストのコマも、何かのんびりとした温かさを感じさせます。
今ではこうした作品は、なかなか生まれてこないのではないかと思います。

そしてお次の作品、"Big-Top Bedlam"。
こちらはひょんなことから、ドナルドがデイジーのブローチを巡って、サーカスの早着替え名人と攻防を繰り広げる・・・という話なのですが、このサーカスというセッティング、何やらわくわくさせられるものがあります。



この冒頭のコマでは、サーカスの列車がやってくるのをドナルドと甥っ子たちが胸をときめかせて見ているシーンが描かれていますが、かつてのアメリカでは、サーカスといえばお祭りそのもの。
巻末の解説によると、当時はサーカスの列車が貨物や動物たちを下ろす様子を、町中のだれもかれもが見に来た時代があったようです。
勿論そういうときは、工場も商店もクローズ、学校も休みになっていたそうで、現代から考えると、なんとも暢気な時代です。



そしてこのコマをご覧下さい。
美女に象、楽隊の一人が描かれているだけですが、なんとも胸躍る光景ではありませんか。
このコマ、私には1952年に公開されたセシル・B・デミル監督の映画『地上最大のショウ』を彷彿とさせる光景で、思わず「わあ!」と叫んでしまいました。
この映画のハイライトシーンは、なんといっても沢山の動物や軽業師、ピエロ、そしてなんとディズニーのキャラクターまでもが登場する大パレード。
それを見ているいい年をしたおじさんが大喜びする場面が印象的ですが、この漫画はそんな祝祭的なアメリカのサーカスの雰囲気を、存分に伝えてくれるものです。

作品解説によると、残念ながらアメリカのサーカスは50年代から衰退の一途を辿ったようです。
軽業師などサーカス関連の仕事をしていた人が、沢山失業した時代でもあったそう。
奇しくもそれは、グランマが「騒がしい」といってテーブル代わりにしてしまった、あのテレビの普及と無縁ではなかったようで、この50年代という時代は、人々が古きよき祝祭のムードや、丁寧な田舎の暮らしを楽しんだ最後の時代だったのかもしれない、と、21世紀になった今、勝手に想像しています。
当時を知る人が身近にいれば、是非お話をお伺いしたいところです。

参考文献:
Carl Barks Walt Disney's Donald Duck "The Pixilated Parrot" by Carl Barks Fantagraphics Books, Inc. 2015

アメリカから、ミッキーが来てくれた!

April 23 [Thu], 2015, 22:23
限られたお小遣いで、少しずつディズニーグッズを買い集めていた小さかった頃。
ディズニーストアに行っては、日本ではなかなかお目にかかれない外国のグッズを見て、溜息を吐いたものでした。
ところが今・・・・。
あの頃に比べると、少しはお小遣いも増えたけど、ディズニーストアの商品ラインナップはあの頃から大幅に変化してしまいました。
実はディズニーストア、私の記憶が確かならば、90年代後半から2000年代初頭あたりに売り上げ減に苦慮した時期があったように思います。
その後新たな戦略の立て直しでディズニーストアは持ち直すのですが・・・その頃から、商品ラインナップが大幅に変わっているのです。

個人的には、昔のちょっと珍しいもの、実用的でない玩具等を沢山集めていたディズニーストアのほうが、ある意味でカオス的な宝の山のようで好きでした。
そんなこんなで、昔と比べたら少ないながらもお小遣いは増えたけど、今度は欲しいものが殆どないという状況・・・。

そんななかで、突然私の脳裏に閃いたことがあります。
「そうだ!アメリカ本国のディズニーストアの商品構成というのは、今現在どうなっているのだろう・・・?」

そこで早速、調べてみました。
インターネットって便利ですね。
アメリカ本国のディズニーストアの公式サイトを見ると、商品ラインナップが一目瞭然!
なんだか懐かしい感じの玩具や、アメリカ本国のディズニーテーマパークの商品まで、それこそ昔夢に見たような宝物がいっぱい・・・!

そんななかで、どうしても欲しい!と思えるものがありました。
それがこちら。







Talking Train Conductor Mickeyという商品で、昔のアメリカの、鉄道の車掌のコスチュームを着たミッキーです。
このミッキー、なんと背中の紐を引っ張ると、”All aboard!"とか、 "The train's departing in two minutes, folks!"とか言ったり、『線路は続くよどこまでも』を口笛で吹いてくれたりとかしてくれて、とても可愛らしいのです。
ちなみにまだ全部聴けていませんが、台詞は全部で15もあるそうです。

さてこのミッキー、どうして私にとってそれほど思い入れが強いのかというと、ウォルト・ディズニー本人が、若い頃に鉄道で実際に働いていたからということがあります。
当時彼はまだ10代でしたから、勿論車掌というわけではなく、車内販売の売り子でした。
後に彼が鉄道狂として名を馳せたこと、自宅に実際に乗れる鉄道模型を作り、更にはディズニーランドにも鉄道を走らせたということを考えると、ファンにとってこのミッキーには、とても大きな意味があります。
鉄道狂のウォルトが創り出したミッキーが車掌さんの格好をして、”All aboard!"なんて台詞を言ってくれるのを聞くと、ファンとしては胸が熱くなるのです。

というわけで、ここまでグッズそのものの紹介をしてきましたが、このブログを読んで下さっている方の中には、「自分もアメリカのディズニーストアから、直接買い物がしてみたい」と思われた方もいらっしゃるかと思います。
海外の会社との取引や個人輸入というと、相手によっては不安な場合もありますが、アメリカのディズニーストアはなかなかにいい仕事をしてくれています。
とにかく対応が迅速です。
アメリカから直接購入するわけですから、商品の到着まで2,3週間は掛かるものと予想していましたが、実際には注文から4日でアメリカから東京の自宅に届きました。
梱包は決して丁寧とはいえませんが、商品が破損しない程度には十分な量の梱包財がきちんと入っており、決して不十分というわけではありません。
商品の注文時に確認メールが届くことは勿論ですが、商品発送時には、運送会社のトラッキングナンバーもきちんと記載されたメールが来て、そこから商品の現在位置や状況を簡単に特定できます。

ただ、海外サイトからの購入なので現金支払いや代引きができず、クレジットカードが必要な点には注意が必要です。
また今回も実はそうだったのですが・・・日本への発送の場合、商品価格よりも輸送コストのほうが高いということもままあるので、そうした点にも納得の上でのお買い物をお薦めします。
ただ今回の場合、同じ商品はア○ゾンでも購入可能でしたが、そちらで買うよりは、輸送費用を上乗せした状態でも、米国ディズニーストアから直接購入したほうが、二千円以上はお得だったようです。

そして商品が入ってきたダンボールの中・・・外は普通のダンボールなのですが、開けたらこんなかわいい絵が底についていて、開けたときにとても嬉しくなりました。



こういうところも、ディズニーは心憎いですね!

性懲りもなく、今度はドナルド

April 21 [Tue], 2015, 22:48
皆様、こんにちは!
以前こちらのブログで、『とってもかわいい! ディズニーのフェルトマスコット (レディブティックシリーズno.3779)』という、 ブティック社から刊行されている本をご紹介したことがあるかと思います。
要は、「フェルト手芸で、大好きなディズニーキャラクターを作っちゃおう!」という、とても楽しい本です。
そのときに表紙の写真を掲載しましたが、念のためもう一度。



この本、ミッキーやミニー、ドナルド、デイジー、プルート、グーフィーといった主要キャラクターだけでなく、チップとデール、ミス・バニーととんすけ、更にはオズワルドとオルテンシア・・・などなど、ここまでやるか!というキャラクターのラインナップと完成品の可愛らしさで、もう手芸好きディズニーファンにはたまらない本であります。
随分前にミッキーとミニーを既に製作していたのですが、今回は性懲りもなく、ドナルドにまで手を出した私。
それがこちら。





この本のシリーズのマスコットは、後姿もきちんと可愛く再現されていて、作り甲斐があって素晴らしいです。
ただ今回ドナルドを作った感想は・・・。
すごく楽しく作ったのだけど、ミッキー・ミニーより難しかった!
というのは、ミッキーやミニーに関しては、元々本体の地色が黒っぽい上に、あまり多くの色のフェルトや糸を使いませんから、私みたいに雑でぶきっちょな作り手であっても、ある程度きちんと作れるんですね。
それがドナルドの場合、地色が白いために縫い目の粗が目立ちやすいのです。
その上、服やパーツなど、多くの色の細かいフェルトが必要で、それらを切り出していくのも一苦労だし、その度に糸を替えていくのも結構大変。
(本当ならば針を数本用意すればよいだけの話なのですが、我が家には小さい息子がいるため、紛失防止のために針は常に一本しか針山に刺さないと決めているのです)
それでもとても楽しく作業できたし、何よりちょっと落ち込んでいるときだったので、ドナルドが無心になれる癒しの時間をくれました。
到底お手本みたいにきれいにはできなかったけど・・・、苦労した分、このドナルドには愛着も一入。
気分がすぐれないとき、小さな可愛いものを作るのは、とても素敵なことですね。

ところで、この本に関してちょっと注意したいこと。
それは、型紙は全て掲載されているものの、作り方の説明が最低限しかないため、かなりの部分を自分の工夫に頼らなければ、どの作品も完成させられないということです。
ミッキーやミニーみたいに、ある程度単純な図案であれば説明を見ただけでも十分ですが、ドナルドなどパーツが細かく複雑なものに関しては、是非完成写真もよく見ながら作られることをお勧めします。
私はせっかちなもので、図だけみて勝手に解釈し、帽子のリボンのつけ方を間違えて一度やり直しています。
無駄な苦労を避けるためにも、是非図と写真、両方をじっくりと見ながら作業を進めていきたいものです。

さて、これまでに作ったマスコットを、全部並べてみました。
ミッキーとミニー、間にドナルドを割り込ませちゃってゴメン(笑)でも、今回の主役は彼なのよ。
次は、デイジーちゃんを作ってみたいな。





参考文献: 佐々木公子著『とってもかわいい! ディズニーのフェルトマスコット (レディブティックシリーズno.3779)』 ブティック社 2014

Moby Duck登場!―ビンテージコミック雑誌の世界から

April 14 [Tue], 2015, 0:58
皆様、こんにちは。
突然ですが、皆さんはMoby Duckというキャラクターをご存知ですか?



上の写真は1977年に、Whitmanという出版社から刊行されたディズニーの漫画雑誌の表紙なのですが、ドナルドの隣にいるヘンテコなおじさんが、何を隠そうMoby Duckなのです。
彼は当然アヒルですから、Moby Dickではなく、あくまでもMoby Duck。
実は私も、この雑誌を手に入れるまで、彼の存在は全く知りませんでした。
表紙の絵はいかにもディズニーらしいし、決して雑ではないのですが、隣にいるドナルドまでなんとなくマヌケな表情をしてますから、一瞬非正規の雑誌では・・・?と疑ってしまった私(ごめんなさい)。
しかし表紙をめくると、一ページ目の下のほうに、ちゃんと"Copyright © 1970, 1969, by Walt Disney"の文字が小さいながらも印刷されていますので、これは間違いなくれっきとしたディズニーの雑誌です。
そしてMoby自身も、ディズニーのキャラクターです。

この雑誌に掲載されているエピソードは、'Strange Cargo'と'The Key of "C" Mystery'の2作。
私が手に入れた号は1977年刊行のMoby Duck, No.28ですが、ダックファン御用達のコミック検索サイトI.N.D.U.C.K.S.(名前がクールですね)によると、これらの作品は1970年に出版されたものの再録で、表紙も全く同じ形態のようです。

さてこのMobyですが、Moby Dickにそっくりな名前に相応しく、彼は日本で言うところの所謂「ポンポン船」のような小さな船の船長を務めています。
この船を自宅代わりにもしているのか、この雑誌に収録された2つのエピソードのうち一つでは、旅の途上というわけでもなさそうなのに、船の中で寝泊りしているシーンがあります。
ハゲ散らかした頭に貧相な体格、おっさん臭い表情・・・Mobyはドナルドやスクルージといったディズニー漫画のスターたちとは違う、独特の雰囲気を醸し出していますが、彼の名を冠した雑誌がかつて存在していたことから鑑みるに、雑誌刊行当時はそこそこの人気キャラクターだったのかもしれません。
ドン・ローザが作成したドナルドの家系図(下図)に彼の名前が記載されていないところから、彼はどうやらドナルドの親戚ではなく、友人の一人なのではないかと思われます。



ダック家系図。上がカール・バークスとマーク・ワーデンによるもの(1990年、作画はワーデン)。下はドン・ローザによるもの(ノルウェー語版、1993年)。いずれにも、Moby Duckは登場しない。共にI.N.D.U.C.K.S.より。

さて、それではこれから、いよいよ内容をご紹介していきたいと思います。
一話目は、表題作の’Strange Cargo"。
14ページの短編です。



まずは冒頭、遠い旅から船で戻ってきたMobyとガス・グースの場面で、この漫画は始まります。
実は二人は、ジャイロ博士の依頼で、はるばる南の島から「怒りガス(Mad Gas)」という、なんとも奇妙なガスを持ち帰ってきたのです。
実はこれ、吸い込むと好戦的な性格になってしまうというガスなのですが、港をうろついていたドナルドが好奇心からガスの入った容器を開けてしまい・・・。





元々好戦的な性格が更にひどくなり、港でトラブルを起こすドナルド。
しかしジャイロ博士との約束を果たすためにMobyに説得された・・・というより、半ば強制的に乗船させられたドナルドは、彼と共にもう一度ガスを集めるための旅に出ることになってしまいます。
何日も旅をして漸く辿りついた南洋の小島には、タールの沸き立つ泥沼があって、そこから放散されるガスこそが、あの恐るべき「怒りガス」・・・。



沼でガスを集めようとするMobyとドナルドですが、「怒りガス」の影響のせいか、この島の原住民はめっぽう怒りっぽくて、二人は沼に近づくことさえできません。
仕方がないので、一旦船に退却です。



その夜、やる気のないドナルドを尻目に、Mobyは紙の地図を張り合わせ、気球を作ることを思い立ちます。
翌日、早速船の煙突の煙で即席の気球を膨らませたMobyは、なんとかガスの沸き立つ沼に近づこうとしますが、この島では鳥までがガスの影響を受けていて、ひどく気性が荒くなっています。



なんとか沼に近づくことはできたものの、気球は破裂、遅い来る原住民。
やけになったMobyに残された手段は・・・自分も「怒りガス」を吸って、怒り狂う原住民と拳を交えることだけ!



敵と味方が対峙したそのときのこと。
突然、ガスの沸き立つ泥沼が大爆発を起こします!



島の住民たちとMobyは、船の上でだらけていたドナルドに何とか助けられます。
大災害のために移住を余儀なくされた島民たち。
しかし悪いことばかりではありません。
「怒りガス」の影響がなくなり、すっかりフレンドリーになった原住民たちのもてなしを受けながら、のんびり寛ぐMobyとドナルドのコマで、この漫画は終わります。

そして、気になる2作目'The Key of "C" Mystery'。
こちらは、ちょっとした謎解きを含む宝探しの物語となっています。
冒頭部、いつもの停泊地(って、具体的にはどこだろ)で、船の中でぐっすりお休み中のMobyですが、ひょんなことからもやい綱が切れてしまい、遠い海を流離う羽目に・・・。



友人でもある乗組員のDimwitty(このキャラクターも初めて見ました)と一緒に辿りついた先は、どうやらヨーロッパの田舎らしい場所。
謎めいた建物は、どうやら巨大なパイプオルガンになっているようなのですが、それがどうやらCの音を鳴らしているようなのです。
そしてそこには、17世紀にこの地へ足を踏み入れた、Key提督が隠した宝物のありかを書いたメモが・・・。
しかし問題は、どこに宝があるのかということ。
何しろメモは謎めいていて、容易に解読できそうもないのですが、知恵者のMobyは、目ざとくその意図するところを読み解きます。
そのメモの謎は・・・。



Key of C (Cの音)の頭文字を逆さにすると、つまりC(Sea) of Key、つまり17世紀にキー提督が発見した内海を意味するというのです。
つまりそこが、宝のありかということ。
MobyとDimwitty、喜び勇んでそこへ駆けつけたまでは良かったのですが、そこには今では人口の泉と噴水ができてしまっていました。
しかもそこから村人たちは飲料水を確保していて、うっかり泉に首を突っ込んだ二人はマナー違反の外国人として大顰蹙を買ってしまいます。



そこで、一計を案じるMoby。
彼はなんと、夜中に山の上にある泉の水源を堰き止めるという方法を思い立ちます。
すると果たして・・・。



あった!巨大なダイヤモンド!
ところが大喜びしたのも束の間、Dimwittyが喜びの雄叫びをあげてしまったせいで、住民たちが起き出してしまい、噴水の上の魚の像もグラグラと傾いて・・・。



住民たちは大喜びだけど、魚像に潰されて粉々になってしまったダイヤモンドにがっかりするMobyとDimwitty。
宝を見つけたのは二人なのに・・・。
でも、いいことがあったんですよ!



Mobyを探しに来た友達のPorpyが、こんなに大きな真珠をプレゼントしてくれました!
めでたし、めでたし。

さてさて、ここまでお話をご紹介してきましたが、これまでご紹介してきたカール・バークスやドン・ローザに比べると、随分作風が違いますね。
彼らの作品よりも更に低年齢向けという印象も受けますし、物語としてもダイナミズムに欠ける印象は否定できません。
けれども今読むと、いかにも素朴な味わいや、キャラクターののんびりした感じが、とても魅力的に感じられます。
政治的適切性などを考慮し、一部掲載できなかったコマなどもあるのですが、文句なしに楽しく、こんなに暢気な世界が昔あったのだなあ・・・と思うと、何やら涙が出そうになるのは私だけでしょうか。
さてさて、古くて新しい宝物のビンテージ雑誌、広告頁を合わせても30ページほどの内容でしたが、じっくり堪能させて頂きました。
またそのうち、コミックスの世界で皆様にお会いできることを願って・・・。

参考文献: Walt Disney Moby Duck Whitman, 1977
 Cover Art: Larry Mayer 
Strange Cargo Writing: Vic Lockman (?) Pencils: Kay Wright Ink: Steve Steere
The Key of "C" Mystery Writing: Vic Lockman Art: Kay Wright
以上、作者データはI.N.D.U.C.K.S.より。
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こんにちは!楽しいことを探すのが大好きな、ディズニーファンのYuminです。
まだ東京ディズニーランドすらなかった1980年生まれ。
幼少時より書籍や映画、雑誌、テレビなどでディズニーに親しみ、早30年。
ディズニーの世界が大好きという皆さんと、このブログを通じてお友達になれたら幸いです。
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