小学校の同窓会に出席できなかった男“田村”を、深夜のバーでひたすら待ち続ける同窓生5人を鮮やかに描く長編。いくら待てどもやってこない“田村”を待ち続け、昔話に花を咲かせる同窓生達の会話と、流れ行く待ち時間がとてもリアルに感じられ、かつてない斬新な設定にどっぷりと浸れ、心から楽しめた。
なんとなく浮世離れした田村の存在も、登場もしていないのに同窓生達の会話だけで伝わってきて、いくつか語られる同窓生それぞれの過去のエピソードも、皆が40歳という歳相応の味があり、しみじみとさせられるものがあった。
更に、静かに始まり静かに終わるのかと思っていたのに、とんでもない結末も用意されていて、最後まで読書の楽しさを堪能できた。
『田村はまだか』、『田村はまだか』と、本当にそんな声が聞こえてきそうな作品だった。
(光文社)★★★★☆
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