闇曜日 君 ぼく あのこ 

October 14 [Sat], 2006, 9:40
何も想う事がないと言えば嘘になる

現実僕はあの人が好きだった

好きだった



けど今は好きじゃない

今もあの人には幸せになってもらいたい

けど僕は何も手を貸すつもりはない

だって僕は、君が好きだから



僕の手は一人しか掴めない

君を掴んだ手を離さない限り

僕は他の誰にも何一つ成さない



君を傷つけるのなら

それは誰であっても

例えあの子であっても許さない



あの子には

僕の知らない所で

僕の知らない誰かと

僕の知らない未来を

作っていって欲しい



エゴって言えばそうかもね

僕はもうあの子とは関わらないし

関わられても困る

だって自然に冷たくなる



それでも僕といた時間を

無駄にする事は嫌

嫌だけど、どうでもいい

できるならそうして、程度かな



毎日毎晩君を想う

けど君もあの子を心配する

「あの子より僕を見て」

なんて思っちゃうぐらいにさ



うん わかってる

見てくれてるのもわかってる

あの子が嫌いなのもわかる

僕はあの子が好きじゃない

理想を僕に今も重ねる





そういう事も君に言おうか?

けど言いたくないよ

隠したい訳じゃない

そんな話を君にして

僕らのらぶらぶ時間が減るのが嫌

あの子の話なんかより

僕らは僕らを深めたい



僕の影にはあの子いないよ

あの子の影には昔の僕がいる

僕の影には昔のあの子もいないよ

映るも影も全部君

それ以外は僕が許さない



一度に全部を話すのはできないね

言いたい事が2つ以上あったら

先にどっちかを話しちゃう

まだ言いたい事だけど

時間が足りなかった事もあるかも



君といる僕は何より、自分らしい

僕といる君は何より、自分らしい


時間はまだ僕にはある

限られた時間だけど

考える時間はある

残りの人生、僕に付き合ってね

未来を全部 君にあげるから










紹介 

October 04 [Wed], 2006, 17:15
来前 雄魅 (くるまえ ゆみ)・・・<ゆみ>



過世 由美夜 (かせ ゆみや)・・・<ゆー>




一夜 成立の時 

October 04 [Wed], 2006, 17:13
「ゆーは前世を信じる?」


 隣にいる女の子が僕に尋ねる。


「ねえもし、前世があるとするなら・・・
 ぼく達はどんな風だったんだろうね?」


 自分の事を『ぼく』と言う女の子
来前 雄魅は僕に言い続ける。


「ぼくは前世を信じてるよ。
 歴史が繰り返すのと同じように
 人との関係も繰り返すとすれば・・・
 ぼくは前世でもゆーと一緒だね」


 そう言ってゆみは僕に甘えてくる。
くっついて来るゆみの頭をなでながら僕は――


「巡り合う事が決まってたとしても
 一緒の身になれるとは決まってないじゃん?
 お互い好きなのに結ばれない。
 けれど巡り合うなんて、悲しすぎないかな?」


 ゆみが何て返事をするか僕にはわかっていた。
わかっていたからこそ、聞いてみた。
ゆみはくっついたまま、僕の言葉に返事をする。


「んーん、悲しいかもしれないけどさ。
 ぼくは、どんな形であったとしても
 ゆーの傍にいれたら嬉しいんだよ」


 言うと思った。
ていうか、そう言われたかった。
大事にされてると思う言葉を聞きたかった。
可愛いからつい、意地悪したくなるんだよなぁ・・・


「それは僕だって同じだよ。けど――
 どうせなら僕はいつの時代だって
 ゆみと一緒になりたいな。もちろん今の世界でも」


 意地悪じゃなく、本音で言ったつもりだった。
ゆみは嬉しい半分、悲しい半分の顔で僕を見る。
ああ、そんな顔されると僕は胸が苦しいんだよ。
本当に、いてもたってもいられなくなっちゃうじゃん。


「ごめんね、ゆー。
 ぼくは・・・んん・・・ん」


 言ってしまった事の後悔と
それ以上をゆみに言わせない為に僕は
ゆみの唇を、僕の唇で塞いだ。


 それがきっかけでお互いを求める。
お互いを感じる。お互いを重ねる。
先がどうなろうと、今だけは君の。
君の全てが欲しいから――




「『ゆみや』は呼びづらいし『ゆみ』じゃ女みたいだから
 ぼくは『ゆー』って呼ぶ事にするね」


 そんな理由で僕はゆみから『ゆー』と呼ばれてる。
過世 由美夜 僕の名前。


 9月18日 
この時僕は、ゆみの家にいた。
限りない時間の流れの中で
僕らの限りある時間を共に過ごしていた。


 今から考えれば、この時が僕の幸せの頂点だった。
ゆみは結婚している。
相手はもちろん僕じゃ、ない。
お互いに罪悪感が無かったかと言えば嘘になる。
僕は旦那とゆみに悪いと感じていただろうし
ゆみも旦那と僕に悪いと感じていたんだと思う。


 それでも。
それでも僕らは求め合った。
時に激しく、時に切なく。
一瞬に全てを込めて
お互いに全てを預けて
深く深く愛し合っていた。


「ねえ、ゆー。ちゅーして?」


 今までにもう何十回とその言葉を聞いた。
何回聞いても、僕は飽きないどころかもっと愛しくなっていった。
何度聞いても可愛いなぁ。
自分から言ったくせに、恥ずかしそうな所とかもう・・・


「ん・・・大好き・・」


 ベッドで色々な話をしていた。
時々キスをしたり、相手に触れたり。
相手が隣にいる時間を無駄にしたくなかった。
お互いに寝る時間すら惜しかった。


「そろそろ寝ようか?
 明日も、まだ僕はいるしさ」


 次にゆみが言う言葉もわかってた。
ただ、僕はそれを聞きたかったんだと思う。
僕が聞きたがってる事もまた、ゆみはわかっていたんだろう。


「寝る時間・・・もったいないもん。
 ゆーとずっと一緒にいたいから」


 やっぱり。
期待を裏切らない子だなぁ。
もう一度僕は唇を重ねた。


「明日眠たいままじゃ、もったいないよ?
 気持ちは僕も同じだし、それに
 一緒に寝るから寂しくないね」


 そう言うとまた甘えてきた。
可愛すぎて、僕はその時に死にたいと思った。
未来も過去もどうでもいい。
だからこの時を永遠にして――


 それは言えなかったけれど。
けど、僕らは確かに同じ気持ちだった。


 僕が使っている枕も
ベッドも、家も何もかも
普段は僕じゃない人が使う。
普段は僕じゃない人がゆみを抱く。
わかってるからこそ僕らは、
お互い強く強く抱き合って眠りについた。


 このまま目が覚めなければと
願っていたのは僕だけじゃなかったと思う。
僕がそう思うなら、きっとゆみも――





二夜 記憶と光 

October 04 [Wed], 2006, 17:12
夢は多分見ていなかった。
見ていたのは現実だと思う。


「あ・・・え?
 おはよう・・・・」


「おはよう、ゆー。ちゅー」


 朝目が覚めると、ゆみが僕を見ていた。
って事は僕、隣に人がいても爆睡してた・・?
やばい、恥ずかしい。しかも何か嬉しそうに見てる。


 いやまず、僕の方が遅く起きた・・?
隣で人が動いていたのに。
信じられなかった。
過去を考えてもそんな記憶はなかった。
僕は本当に、ゆみに安心してるんだなぁ。


「ぼくはゆーが寝たままで、幸せだったよお。
 寝顔も可愛かったし、安心してたみたいでさ」


 いや幸せだったのは僕の方が大きいかも。
口で安心してる、なんて何度も言ったけれど
こうして実際に証拠が出た事が嬉しかった。


「・・・今日も愛してるよ、ゆみ。
 寝ててごめんね・・家事してたのに」


 恥ずかしさと気が落ち着かないのもあって
もしかしたら、冷たい言い方だったかも知れない。
ゆみはエプロンをつけていた。


「んーん、いいの寝てて。
 ぼくも愛してるよ、ちゅー」


 今日も僕は朝から幸せだった。





 僕が生まれたのは1月11日だった。
小さい頃はとても貧しかった。
母は夜、お弁当屋さんで働いていたと思う。
父は工事現場で働いていた気がする。


 僕は母さんの仕事を手伝っていた。
夜の12時頃から、朝方の2時くらいまでの時間だけ。
手伝うといっても、ついて歩く程度だったかもしれない。
毎日ではなく、雨の日は手伝えなかった。
母さんの手伝いをできる事が好きだった。
だから雨の日は嫌いだった。


 僕が手伝いをできない日の夜は
父が僕を叩くようになった。
酒癖が悪い父で、ビール瓶で叩かれたりした。
顔がひどく腫れている時、母さんにどうしたのと聞かれた。
父さんが、僕を叩いたんだよと正直に言ってみた。
それから毎日のように夫婦喧嘩を繰り返していた。


 僕が小学校3年ぐらいの頃、父さんに
一緒に風呂に入ろう、親子仲良くと言われた。
僕は黙って父さんに体を洗われていたと思う。
痛いなら手で洗うと言われて手で洗われていた。


 お尻の方を手で洗われていた時、指を入れられた。
中も綺麗にしないといけないと言われ、なすがままにされていた。
鏡ごしに見える父の顔はとても怖く、目を合わせれなかった。
四つんばいになってくれと言われ、お風呂の床で四つんばいになった。


 父さんは、自分のものを僕にいれようとしていた。
入らないとわかった途端、僕を浴槽に投げ捨てた。
浴槽をかき混ぜる棒で上から押さえられて顔を出せなかった。
棒が無くなった時に顔を出して咳き込んでいると父さんが舐めろと言った。
浴槽に沈められるのはとても苦しかったので、僕は泣きながらそれを舐めた。


 最近元気がないけどどうしたの?と母さんに言われ
学校でいじめられてるんだよ、と嘘はつかず本当の事も言わなかった。
それ以来、僕は母さんの目も見れなくなった。






「ゆー、ご飯おいしい?
 いっぱい食べてねえ」


 僕を見てニコニコしてるのに、食べれないよ・・・
でも本当に美味しかった。
ほぼ料理を全部食べた時にご馳走様をしてみた。
そして片付けを手伝おうとするとゆみは


「だめーっ
 メイドさんのお仕事とらないでえ・・?」


えっちしよう?言いかけた。
でも得意の困った顔をしていたので僕は引き下がった。
やばい超可愛い超可愛い。
最高に落ち着かないのでキッチンの近くで煙草を吸う事に。


 家事と食事とお風呂を済ませて
二人でカラオケに行く事にした。
行く途中、ゆみが悲しい顔をしたので
横断歩道の近くで抱きしめてみた。


「うう・・・ゆう恥ずかしいよお・・」


「僕だって恥ずかしいけど、その顔だけはダメなんだよ」


 少し強引に押されて僕の心は津波だった。
けれど、あの時抱いてなければ今僕は後悔していたんだろう。


 ボックスに入って、ゆみと3時間程歌っていた。
僕がぼんやりゆみを見ているととても恥ずかしそうに
けれど嬉しそうに笑ってくれた。


 帰りにゲームセンターに寄る際
手をつなぐ僕らを鏡がうつしていた。
何かゆみが言いたそうに僕を見ていたので
僕は言いたい事をわかりながらも歩みを止めて聞いた。


「どうしたの?鏡、僕変だった?」


 ぶんぶんと顔を横に振り、力いっぱいの否定。
そんな仕草も可愛くて、ゆみが話すのを待った。


「んーん、違うの。かっこいいよお。
 ぼくらって、お似合いなのかな?
 どう見えてるのかな〜ってさ」


 そりゃ彼氏彼女に、と僕は言えただろうか。
心の中は、色々思うことはあった。
けど僕は口にできなかった。
写真をとるコーナーに言った時、撮ろうか?と言えなかった。


 僕は想い出を残す事が好きじゃなかった。
過去は辛い思い出、だから未来に賭けれていたのかな。
けれどゆみとだけは、残したかった。
今も後悔している事の一つだった。


 日が沈んで、二人で手を取り合って帰った。
買い物袋を持って、沢山の話をしていた僕ら。


「ぼくはねえ、彼氏自慢が怖かったんだよ。
 でもね、ゆーは自慢したいな。
 けど自慢なんてできないよね・・・人に言えないよね・・・」


「もし、僕らが付き合った時には
 好きなだけ自慢してもいいんだよ?
 僕らはこんな幸せですってさ」


「大丈夫だよ、僕は。
 今こうして手を繋いでて幸せだよ」

 日が沈んで顔がよく見えない。
僕は見ようともしなかったのかも知れない。
どうにかこの子を笑顔にさせたいと感じていた。


 僕らは名前を呼び合って
もう何度となく言い合った事を口にした。


 口を揃えて言う事は一つ。
けれど思うことは沢山。
全部を一言に込めて、言い合った。


  愛してるよ


 僕らは手を取り合って家に帰った。






三夜 永遠を 

October 04 [Wed], 2006, 17:11
 僕には沢山の人格があったような気がする。
ある人が、僕を冷たい人だと言えば冷たい人格が。
ある人が、僕は不思議だと言えば不思議でいようと。


 どれも本当の僕であって
どれも嘘の僕であった。
本当の僕なんてないのかも知れないし
本当の僕はどこかにあったのかも知れない。


 けれど
君の前にいると僕は
とても自然でいれたんだ。
あれが『僕』だった。


 無理をしなくていい。
作ろうとしなくていい。
思ったまま振舞えばいい。


 君といる世界は
僕にはどれもが新しく
どれもが嬉しかった――







「泣きたい時は泣けばいいしさ、
 ぼくは全部を受け入れるから
 ゆーの全部をぼくに教えて?」


 日付が変わろうかと言う時間。
僕らはベッドで確認しあっていた。


 その日初めて僕は
ゆみを快楽の絶頂に導いた。
その事実が嬉しく、僕は顔を見られないようにと


「僕は嬉しいよ、本当に嬉しいよ。」


 そんな言葉しか口に出せなかった。
ゆみもまた、同じ気持ちで嬉しいと言っていた。


 今思えば

あの日二人が流した涙は

とてもとても尊いもので

とてもとても儚いもので

僕らがどれだけ愛し合って

僕らがどれだけその時を大切にしていたか

全てを物語る涙だった。


 何が悲しい訳じゃない。
何が辛い訳でもなかった。


 二人で手を取り合って
固く固く、決して離れないように
想いは二人で一つに、永遠を誓って


 嬉しくも悲しくもあって
二人で抱き合い
言葉にならなくて
お互いに分かり合った上で流す。


そんな涙だった。


 愛に全てを懸けた僕は
今までの、どの自分よりも
僕らしいと想えた。



 あの時僕らは、永遠を生きていた。


最終夜 約束 

October 04 [Wed], 2006, 17:10
 僕には永遠に近い人がいた。
一人は初めての彼女で、今は亡き人だった。
一人は次に愛せたであろう人で
彼女は僕に我慢を求めた。


 最後に永遠を求めた人がいた。
僕はその人を、傷つけた。


 ――例えば
僕は人を殴った事がない、とだけ誰かに言うとする。
その人は、僕が殴った事がない事実を受け止める。


 一年後に、実は胸を掴んで殴る寸前まで行った事を知られる。
その人は僕を、嘘つきと言うんだろう。
何でその事を黙ってたんだ、と言うんだろう。
忘れていたのも、また事実であり
その時言わなかったのもまた、事実だから。


 一度話した事を、実はあの時は・・・と
言い出す事がどうしても僕にはできなかった。
嘘はついていない。
けれど本当の、詳しい事も言ってはいない。


 完全に、僕の犯した罪なんだろう。
だから僕は――







「今日に、ゆー帰っちゃうんだよね・・・」


「ん・・・そうだね。
 けどまたすぐに逢えるよ。
 いや、逢いに来るよ」


 僕らの最初の永遠が終わろうとしていた。
たった3日の間なのに、僕らは何度も愛し合った。


 逢えない間を想うように。
愛してる事を全部ぶつけるように。
瞬間を忘れないよう、傷を欲しがる程に。


「ぼくは泣かないよ。
 泣いたらだめってゆーが言ってたもん。
 だから泣かないの」


 そう言って笑顔を作るゆみは
僕には誰よりも、泣いているように見えた。


 泣いたらだめなんて、僕はどうして言ったんだろう。
泣きたいのは同じだからこそ、泣けばよかったかも知れない。


「愛してるよ、ゆみ」


「ぼくも愛してる」


 3日の間に、数え切れない程言い合った。
言葉に出さないと、気が済まなかった。


 相手の声を、言葉を、痛みを、愛を、
全て覚えている為に、僕は泣かなかった。
悲しみで全てを埋める訳にはいかないから。


 長いようで、一瞬の時間が終わる。
僕らの、永遠だった3日間が終わってしまう。


 帰る前に僕らはもう一度だけ
深く深く愛し合った。
体に、僕がいた記憶を残して。


「また逢おうね」


「約束だよ」




 この続きは

また逢った時に書こう



一時間目 

October 04 [Wed], 2006, 11:23
 周りは一面墓場。
ずっとここにいるような気もするし
今来たばかりの気もする。


 そうだ。
これは今まで私が見てきた死の数だ。
一面に広がる墓は、私が見てきた死の数か。


 もう見たくない
死なせたくない。
死なせたくない。


だから私は―




「ずいぶんうなされてましたけど、大丈夫ですか?」

 白衣に眼鏡と言う、医者らしい格好。
背は少し高めで痩せているけど、スラリとした体系。
白くなりかけた髪を後ろで束ね、研究者のような雰囲気。

楽鎖院 雄亜は―


「六条先生?大丈夫ですか?」


 心配そうな顔で私を覗き込んでいた。
どうやら仮眠室で寝てしまっていたらしい。
それも相当うなされたらしく、服が肌にはりついている。


「あ、すみません院長。休憩時間、もう過ぎてますか・・?」


 私は体を起こし、髪がはねてないか確かめながら謝った。
お昼休みにご飯食べ過ぎたのが悪かったのかな・・。
あんなにお弁当食べるんじゃなかった。
お腹がいっぱいになると寝る癖、直さなきゃ・・。


「いえ、まだ後数十分ありますよ。ただうなされてたようなので・・。」


 と時計を見ながら申し訳なさそうに言った。
今日は10月4日。
時刻は12時40分。
ご飯を食べて仮眠室にきたのが12時20分。
20分も寝てたのか。
いや、それよりいつから院長は私の寝顔を見てたんだろう・・・。


「そうですか、わかりました。午後の『授業』には遅れない様に出ますから。」


 『授業』の事を考え、気が重くなってつい突き放した言い方になった。
院長に当たっても仕方ない。
自分でこの役割を選んだんだから、誰にも文句は言えないはずなのに。
まだどこか割り切れてない自分がいるんだろうか。


「はい、わかりました。体調が優れないようなら無理しないで下さいね?それでは。」


 そう言い残し、仮眠室から去っていった。
時刻は12時45分。
汗で塗れた服を着替えなきゃだめだなぁ。
誰もいないし、ここで着替えよう。
ロッカーから白衣の予備を出し、汗で濡れた服を脱ぎ
ロッカーの備え付けの鏡を見た瞬間、凍りついた。


後ろに

人がいた。


「・・・・っ!」


 黒い髪に黒い服、黒い瞳。
背は高く、細い体だが痩せすぎと言う体格でもない。
不思議そうな眼で私をじっと見て
どこか懐かしいような雰囲気を持つ少年。

幸崎 出夢がいた。


「先生、僕がいるのによく下着姿になれるよね。
 僕を一人の男として見てない証拠かな?悲しいなぁ。」


 ちゃんと男として見てるのに・・。
いや、それよりいつからいたの?
院長が出ていってから、戸は開いてないのに。
って事はまさか・・・。


「うん、そうだよ。先生がお腹押さえて仮眠室に来た時点で
 僕は隅っこで座ってたんだよ?先生の寝顔可愛かったな。
 あ、気づかなかった先生は悪くなんてないよ。だって僕は」


恋愛兵器だから。


 そう言って立ち上がり、ドアの方に向かっていく。
午後は僕の授業だよ、と言い残し出夢くんは仮眠室から出て行った。


 恋愛兵器、幸崎出夢。
1988年に誕生、同時に実験室から消え去る。
実験室に研究員が入ると同時に姿を現すと言う離れ業を実現。
男性女性問わず、相手の『心の隙間』に入る事を得意とし
相手に自分の存在を気づかれない力を持つ。
それが理由で<恋愛兵器>と名づけられる。
楽鎖院研究所、3番目の『試作』。


 ぽかんと状況に流されていたけど、ふと気づけば下着姿だった。
あの子が姿を出したという事は、下着姿を見ている事に罪悪感があったのかな・・。
いやそれより時間は?
時計に目をやると時刻は12時55分。
やばい、絶対にやばい。『授業』の相手は出夢くんだっけ・・。
急いで白衣を着て、仮眠室から飛び出した。
向かう場所は『授業』をする為の、観察室に。


二時間目 

October 04 [Wed], 2006, 11:23
 楽鎖院研究所。
政府からの要請を受け、1965年に設立。
多発する凶悪犯罪から市民を守ろうとする一方
増え続ける犯罪。


 警察だけでは市民を守れないと政府は判断した。
かと言って、警察を増やすにも限度がある。
増やせないなら『作ればいい』と考え
日本を守る『力』を作った。
北海道、関東全域、関西全域、四国、九州。


 日本の5つの場所から独立して市民を守る存在。
その試作を作る為に1965年、楽鎖院研究所は設立。


 何度も試験を繰り返し、1988年に5つの試作を作る事に成功。
5つの実験体を作ったと同時に研究所員の3割が死亡。
残る研究研究員は全員解雇され
楽鎖院 雄亜だけが研究所に残る事となる。


 市民を守る存在と言う立場上、実験体が成人してからが望ましいと考え
5つの実験体の精神教育のカウンセラーが必要となる。
成人するまでの、教育係を雇う事に成功。
実験体が成人するまで、後半年――





「それじゃあ今日の『授業』をはじめます。いいかな、出夢くん?」


 ギリギリセーフ。
もうお昼休み食べ過ぎるのはやめとく事にしよう。
そう考えながら今日も『授業』を開始した。
『授業』と言っても、簡単な心理テストや
本人の体調、精神状態を正常に保つ為の時間だ。


「うん、僕は準備いいよ先生。
 先生こそ急いできて大変だったね?」


 そう言いながら備え付けのイスに座って言う出夢くん。
自分が何の為に作られたか、知っているハズなのに。
場合によっては人を殺す力を持っているのに。
この少年はつかみ所がなく、人を殺せる力があるなんてまるで感じない。


「そんなに見つめないでよ先生。
 僕、意外と照れ屋なんだよ?」


 いつの間にか、出夢くんの顔を見つめてしまっていたらしい。
考え事をしていると、ついぼーっとしてしまうんだなあ、私・・・。
出夢くんは本当に照れたらしく、横を向いてしまっている。


「んーん、ごめんね。出夢くん。
 ちょっと考え事してただけだからね」


 そう言って、出夢くんの『授業』を始めた。
『授業』も終わる時間に差し掛かった時、急に質問をしてきた。


「ねえ先生。あと半年経てば僕らは、
 日本各地に行かされて、24時間人を守るんだよね?」


 目を合わせずに、独り言のように言う出夢くん。
日本の為とは言え、20そこそこの少年少女にできるのだろうか・・・?
いや、私が不安になってはいけない。
出夢くん達の支えになる存在にならなくてはいけないんだ。


「うん、そうだよ出夢くん。
 それは出夢くん達みたいに、特別な力がないと
 他の人にはできない仕事だからね。とても立派なんだよ。」


 笑顔を作って、出夢くんに言ってみたものの
本当に私は笑顔でいれただろうか。
出夢くんは、寂しそうな笑顔で、私を見て、言った。



 それは 儚げに

  「僕は」

寂しそうに まるで

  「普通の家庭で、普通に暮らしたかったかな」

心を えぐるような

  「けど、僕は」

目をそらす事すら 許されないような

  「先生の事を、守ってあげるよ」

嬉しそうな 悲しい笑顔だった



「それじゃあ、今日の『授業』も終わった事だし
 僕は部屋に戻って休んでくるよ。ありがとう先生。
 次も頑張ってね。それと人前でもう下着はだめだよ?」


 そう言ってイスから立ち上がり
立ち去ろうとする出夢くんを、私は呼び止めた。
呼び止めてしまった。


「出夢くん」

「何?僕は、今日はこれでもう終わりだよ?」

「ありがとうね。先生の事守ってね?」

「その為に、僕はいるんだよ?先生」


 そう聞こえたと同時に、一瞬眠くなるような感覚。
出夢くんが<恋愛兵器>を使った時に起きる感覚だ。
もしかすると照れて<恋愛兵器>を使って消えたのかも知れない。
出夢くんが部屋に戻ると言った以上、もうここにはいないだろうな。


 数十分後、観察室で座って待っていると
無言でドアを開けて、無言で目の前に一人の少女が座った。


「こんにちは、泡菜ちゃん。今日もよろしくね?」


「・・・・・よろしく」


立会人、染毬泡菜
1988年に誕生。
何の能力もない失敗作とされたが
目を合わせた人間の過去と未来を読み取る。
泡菜本人は、見た事を口に出さず黙っている。
何もせず見るだけだから<立会人>と名づけられる。
楽鎖院研究所、2番目の『試作』。


 この子が目を合わせたがらないのは仕方ないけど
これじゃあ、私がいる意味ないような・・・。


「じゃあ今日もよろしくね、泡菜ちゃん。」


 そう言って簡単なペーパーテストをしてもらい
身体検査も終わり、無事『授業』も終わって出ていった。
泡菜ちゃんは最後まで、目を合わせず無言だった。


 一気に疲れたな・・・。
後3人も残ってるって言うのに・・・。
日本の為とは言え、人間を作るなんていいんだろうか。
誰も死んで欲しくないからって、死なない人間を作っていいんだろうか。


 まだ次の授業まで時間があるかな。

三時間目 

October 04 [Wed], 2006, 10:54
 私の恋人は強盗に殺された。
駆けつけた警察に運が悪かったと言われた。
救急隊の人にも残念ですがと言われた。


 運が悪い?残念?
私の大事な人が死んだのに、そんな言葉しかでないの?
犯罪を無くしてよ、生き返らせてよ。
何にもできないなら私がやる。
その為なら何だってやってやる


 そう誓ってここに来た。
私には何が正しいか分からない。
けど私は・・・。




 体がおかしい事に気づいた。
体が、動かない?
意識はハッキリしているのに
腕も手も足も頭も、指先すら、動かせない。
するとドアの外から


「やめなよ真二」


 その声が聞こえた瞬間体が動いた。
溺れかかった人のように慌てて私は呼吸をし
フラフラとドアに近づき、開けた場所にいたのは
金髪の少年だった。


危険信号、夢見屋真二
1988年に作られた初の試作実験体。
彼に近づこうとした研究員全てが、死亡。
意識できる一定の空間に入った人間全てを静止させ
呼吸すらも停止させてしまう能力。
車が赤信号で停まる様子に似ている事から
<危険信号>と名づけられる。
楽鎖院研究所、初の成功にして最大の失敗作。


「よう、先生。動けない気分はどうだった?
 滅多に体験できないぜ?
 そいつが邪魔しなきゃもっと体験させたんだけどよ」


 そう言って睨み付けた先には
背が高く人を寄せ付けない雰囲気の少女。


<紫> 紫赤音
1988年に誕生、初の実戦型。
彼女が認識した空間の温度を下げる。
人は体温下がると皮膚が紫に変色し、やがて動けなくなる。
その症状から名づけられた名前。
楽鎖院研究所、初の完成系にして最後の子供。


 赤音ちゃんは平然と言い返した。


「君の力は先生に使うものじゃない。
 先生に謝りなさい真二」


「謝れ?謝れだって?
 そりゃ俺に命令してんのか?
 俺が謝らないってのならどうするんだよ、ええ?」


「あたしには勝てないよ。
 授業を受けるか、消えるかどっちかにしてくれ」


 真二くんからブチブチと血管が切れる音を聞いたような気がした。
人はキレると本当に切れた音がするんだなあ
いや、それより二人の喧嘩を止めないと


 私が喧嘩を止めようと、声を出そうとした瞬間
場違いな声が二人を止めた


「二人ともさー強いのはよーく分かってるよ。
 だからさ、ここは僕様ちゃんに免じて喧嘩をやめてよ。
 僕様ちゃん、二人の喧嘩なんてみたら泣いちゃうかも」


 間延びした話し方。
小学生のような姿に真っ白な髪の色。
床にぺたんと座っているこの子は確か。


「香早紀、か・・・
 何でここに?
 そうか、出夢がお前を部屋から出したのか」


 真二くんは、苦い顔で香早紀ちゃんに話しかけ
一方、紫ちゃんは無言のままじっと事態を見ていてた。


「うにー。
 出夢くんが出してくれたんだよぉ。
 どうせ半年後には、思いっきり力を解放できるじゃん。
 だから、ね。今は喧嘩はやめようよぉ。」


 今しか口を挟めないと思い勇気を出した。


「香早紀ちゃんの言う通りだよ。
 二人とも喧嘩はよくない、ね?
 今日は授業は受けなくていいから部屋に戻ろうね?」


 精一杯勇気を出してみた。
効果があったのか、なかったのか分かりづらい所だ。
少しの間、沈黙が続き一番に口を開いたのは


「はん、やめたやめた。
 墓掘りが出てきたんじゃ、危険信号が使えねえし。
 俺はもう部屋に戻るわ。悪かったな、先生。」


 意外な事に真二くんだった。
言うだけ言ってさっさと立ち去った真二くんを見つめて


「いや、あたしも大人げなかった。
 ごめんなさい、先生。
 今日の所は帰ります。」


 失礼します、と言い残し
頭を下げて赤音ちゃんも立ち去っていった。
これで残るは。


「うにー?
 僕様ちゃんも帰るよぉ。
 けど僕様ちゃん、一人じゃ歩けないんだよ」


 そうだ、この子は一人じゃ歩けないんだ。
けど一人でここまで来てたような・・・。
さっき真二くんは何て言ってたっけ?
出夢くんが、香早紀ちゃんを出した?


 眠気のような感覚はない。
するともしかして出夢くん・・・


「うにー。 
 出夢くん、喧嘩をやめさせる為に僕様ちゃんを連れてきたのに
 ここに着いた途端、一人で帰っちゃったんだよ」


 出夢くん・・・。
いや、確かに助かったんだけれどさ・・。


「じゃ私が部屋まで送るよ、香早紀ちゃん」


墓掘り 佐々木香早紀
1988年に誕生、同時に研究員の2割を消す。
空間を丸ごと消してしまう能力を持ち、全てを消してしまう。
能力を使用するごとに、本人の体の一部が欠落してしまう欠陥あり。
本人が歩けないのも、知能が低下しているのも能力が原因。
<墓掘り>と<危険信号>を合わせたものが<紫>と言う完成形。
楽鎖院研究所、4番目の試作。


 部屋について香早紀ちゃんをベッドに降ろした。


「うにー、ゆみちゃんありがとー。
 一方通行な愛は出夢くんと似てるよぉ。
 二人ならうまくいくかもねー。じゃおやすみ」


 そう言ってさっさとベッドに潜り込んでしまった。
出夢くんと同じってなんだろう、と考えながら
私も部屋に戻った。


 あっという間の一日だった。
私はすぐに眠りについた。


 もう戻らない平和な日だった。
最後の平和な日だった。


 ノックの音で目がさめた。


「はい、誰ですか?」


 ノックの音に応えてみたが
ドアの向こうから返事はない。
静かな所内でノックの音だけがいやに響く。


 嫌な予感が よぎり
ドアを 開ける 事を ためらってしまう
 

 終わる事もわかっていたのに
ゆっくりとドアを あけた先には


「死んじゃうよ・・・
 みんな、いなくなっちゃう・・・」


 両腕のない、染毬泡菜がいた

四時間目 

October 04 [Wed], 2006, 10:52
 人を信じる事は難しい。
人を疑う事は考えるまでもない。
10の幸福は1の不幸で消えるかも知れない。


 それでも私は信じたい。
けれどとても信じれそうにない。
信じたい私と信じれない私がいる。
言い訳にしか聞こえなかったとしても私を
どうか、信じさせて―






 理解できなかった。


「え?泡菜ちゃん?え?」


 虚ろな目。
おびただしい血の量。
腕のない、小さな体。


「どうしたの・・・何があったの泡菜ちゃん?」


 気が動転して、理解できない。
状況に頭がついてこない。
場違いなくらい、平然と聞いてしまった。
私は泡菜ちゃんを抱きかかえ、返事を待った。
抱いてぞっとした。
体が、冷たすぎる。
まるで冷凍庫にいたと言っても納得してしまうぐらいに。


「先生、最後に聞いて。 
 私は、もう助からないけれど先生の・・・
 先生の、未来は、見えてるから・・・」


「何があったの、誰にやられたの?!」


 話すのがやっとという感じで泡菜ちゃんは、
ゆっくりと話を始めた。
独り言のように、話を始めた。


「私には、未来が見えていたよ・・・
 けど口にする事を、院長から、止められていて・・・」


 ごほ、と咳をし大量の血が口からこぼれる。


「失敗作の、試作品は・・・必要がない
 実用的で、制御が可能な<紫>を完成させた時に―
 私達は処分される事が・・決まっていたの・・・」


「もう喋らなくていいよ、喋らなくていい・・・すぐに院長を・・・」


 体が冷たい。
いや、冷たすぎる。
泡菜ちゃんの両腕の血も止まっている。
気温が急激に下がっていく気がした。


「だ、だから・・・子供達が暴走しないように
 半年後に――処分する予定だったんだけど・・
 政府は予定をひとつ・・・早めてしまって・・・」


 泡菜ちゃんの口ががちがちと震えている。
血を失う事より、ただ気温が下がりすぎている為か。
けど、何で気温が?この場所だけ下がるの?


「よく喋る子だね、泡菜。
 非戦闘型なのによく生きてられるよホント。」


 廊下から、赤音ちゃんが歩いてきた。
一歩近づくたびに、気温が急激に下がる。
<紫> 紫赤音。


「このまま先生にも『停まって』もらおうか。
 泡菜と仲良く、凍ってください。」


 そう言って赤音ちゃんは、私達に近づいてきた。
もう既に泡菜ちゃんは、息を、していなかった。
誰も死なせたくなかった。
誰も傷つかないように誓った。
なのに、何でこうなる?何で?
気づけば私は、走って逃げていた。
一度も振り返らず、院長室へ。
服にも手にも泡菜ちゃんの血がついていた。


 長い廊下を走って突き当たりを右へ。
院長室と書かれたプレートを一度見て
乱暴にドアを叩いた。


「院長、院長!いますか?」


 大声で叫んだにも関わらず返事がない。
寝ているのだろうか?そう思って何度呼びかけても返事がない。


「院長、入ります・・・六条です」


 そう言って入った先に院長がいた。
いや、院長の顔だけがあった。
首から上だけが机に乗っていて
首から下が全てなかった。
血は、一滴も残っていなかった。


「うっ・・・」


 吐き気に耐え切れず私は床に伏せた。
何で、血がないの?首だけ?院長は?
いろんな疑問を解決する声が、その時聞こえた。


「僕様ちゃんが、全部消しちゃったんだよ。
 だって、全部消しちゃうと味気ないよね、よね?
 僕様ちゃん達を処分なんて頭にきちゃうよね」


「香早紀、ちゃん・・・」


<墓堀り>佐々木香早紀。


「けど生き残るのが赤音ちゃんって気に入らないよ。
 僕様ちゃんは、一番強いんだよ先生。
 だから赤音ちゃんを消して、この施設は爆破でも・・・・あ、来たよ」


 香早紀の視線を辿って、振り返ると
紫赤音がドアの手前で立っていた。


「香早紀、私が日本を救うんだよ。 
 だから君達は大人しく処分されてくれ。」


「救う?恐怖政治の間違いでしょ。
 僕様ちゃんも同じだけどさー。
 一番が赤音ちゃんが気に入らないから―消えて」


 そう言うと同時に別世界にきた気分になった。
足元が、おぼつかない。
空気がない感じがする。
死ぬ、このままじゃ死んでしまう。
出夢くんと真二くんは?
そう思ってまた私は院長室から逃げ出した。


 急いで廊下を走っている時、一度だけ振り返ると
院長室の周り全てが凍っていて、
けどその氷全てが消えて行く事の繰り返しだった。


「はぁ・・はぁ・・・っ」


 自分の部屋を通り過ぎ、階段を上がって右へ。
『夢見屋』とかかれたプレートを通り過ぎた時
ぞっとする程の寒気を感じた。
開けなければ、いいのに、真二くんの部屋の扉を、あけた。


 そこには砕けた真二くんがいた。
まだ体の一部が凍っている。
凍らされて、砕かれたのだろう。
ここは、地獄だった。
私はもうだめかも知れない。


 なかば放心状態で立っていると
階段からこちらに向かって、廊下と壁が次々凍っていく。
来た。という事は、香早紀ちゃんはもう・・・


「これで残りは先生だけです。
 どうか、大人しく死んでください」


 一歩ずつ、私に近寄ってくる。
廊下の気温がいっそう下がる。
残りは、私だけ?
今確かにそういった。なら出夢くんは。


「出夢はさっさと自分ひとりで逃げました。
 あの力は便利なものですね。
 それでは先生、お別れの時間です」


 もう何もできない。
第一、ここから逃げれた所で私には
行く場所なんて、もうない。
生きて行く気力が、消えていく。


 凍る世界。
死んだ子供達。
これが、日本の為を思っての結果だろうか。



P R
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