固結びの人 

January 05 [Thu], 2006, 21:36
 風の強い日だ。

 アパートを出て、住宅街の真ん中を抜ける路地を歩く。大通りに向かって、緩い上り坂になっている道

だ。風が正面から吹きつけてくるので、うつむきがちになる。目を伏せ、足元を見つめながら歩く。

 と、アスファルトの路面が所々ぬらぬらと濡れている事に気付く。粘り気のある液体だ。埃にまみれて

色は判別できないが、坂の上のほうから流れてきた様子だ。視線をあげると、その液体がどこからなが

れてきたものかすぐ分かった。

 2つ先の十字路に、ゴミ集積場がある。まだ朝も早いので、黒いビニール袋に詰められたゴミが山積

みになったままになっている。路面をつたう液体は、そのゴミ集積場から流れてきてるようだった。

 ぼくは少々不快になって、液体を踏まないように、足元に気を配りながら歩いた。坂をのぼり、できる

だけ目を逸らすようにしてゴミの山の脇を通りすぎようとした時、なにか異質なものがそこに転がって

いることに気付いて、足を止める。

 人が倒れていた。

 いや、正確には人のようなものが倒れていたと言うべきか。いずれにしてもその人間らしきものは、て

らてらと黒光りするビニール袋の上に、うつぶせになって放り出されていた。

 普通に倒れていただけなら、酔っ払いだと判断して、一瞥しただけで通り過ぎたかもしれない。しかし

その人は、ただ倒れていただけではなかった。結ばれていたのだ。紐状のにびで縛られているわけで

はなく、身体そのものが紐のようにギュッと結ばれている。身の丈二十メートルの巨人が怪力を発し、

人間の両手両足を持って引き伸ばした挙句に、ヘソを
P R
2006年01月
« 前の月  |  次の月 »
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31
最新記事
最新コメント
プロフィール
  • プロフィール画像
  • アイコン画像 ニックネーム:you-suck02
読者になる
Yapme!一覧
読者になる