ゴシックアーチハンズオンセミナー 

November 30 [Thu], 2017, 1:43
ラボ主催のゴシックアーチハンズオンセミナーに行ってみました。


・・・技工士の方が「途中でも質問してください。」・・・
と言ってくれたので、大人げなく、ずっと質問ばかりしてしまいました。。

総義歯のゴシックアーチトレーサーの作り方。
上下印象して作業用模型製作。
下顎のトレーにアルジネートを入れて口腔内へ挿入。そのトレー上部に大型のテルモのシリンジを用いてアルジネートを入れて、だいたいの咬合採得をする。

アルジネートを乾燥させないようにして、ラボに作業用模型と一緒に送ると、ゴシックアーチトレーサーを作ってくれる。

ここで、質問しました。
「なぜ、アルジネート? シリコンではダメなのか?」
これは、愚問でしたね・・・聞くまでもなくシリコンでいいはずです。

しかし、この術式はGCのバイトトレー法、BPSのナソメーターを作る過程の廉価版ですね・・・
特に目新しくもない・・・個人的にはこの方法はトレーの柄が唇から出るから患者がそれを意識してダメだと感じています。。

さて、ここで気になることが・・・
「アルジネートのバイトから、咬合床とゴシックアーチトレーサーを作るようですが、何を基準に咬合平面を決めるのですか? BPSだと下顎の基準点で作成しますが、何を基準に作られるのですか?HIP平面とかですか?」

ラボの提唱する術式がBPSの廉価版と気が付いたので、質問を浴びせていきます。
ラボ側の回答は上顎の切歯乳頭やハミュラーノッチから作るということでした。

・・・「(切歯乳頭の位置なんて顎堤の異常吸収があった場合、なんの意味もなさないのに)」と自分の心の声がつぶやきます。

「・・・それなら咬合平面に拘りがあるなら、上顎の咬合床は、自分で作った方が良いですよね。」
と答えのある質問をしてしまいました。。。愚問・・・

さて、ゴシックアーチ採得の実習開始となりました。
無歯顎のケースかと思っていたら、ここから(なぜか)有歯顎の中心位を確認するゴシックアーチに変わりました。

ラボの営業の方々の模型からゴシックアーチトレーサーが作られていて、そのゴシックアーチトレーサーを口腔内に入れて、実際にゴシックアーチを採る実習です。

下顎に描記針、上顎にプラスチックの円盤です。

残存歯が干渉しないギリギリの高さに調整して、柔らかめのプラスチックの円盤に描記していきます。
指示を行います。「普通に咬んで〜前に出して、右〜 はい開いてください。」「はい、また普通に咬んで〜前に出して、左〜はい開いてください。」

これで矢印のようなゴシックアーチが取れました。
(30代男性の有歯顎だしね・・・そりゃ簡単にとれますよ。。とれる時点でイージーケースだよ。。)

今度はタッピングを採ります。
気になることがあったので質問をしました。
「タッピングの姿勢は?カンペルと地面を平行にするとか?一秒間に3回タッピングさせるとか?開口量とか?」

続けざまに質問してみましたが、講師が技工士なので、具体的な回答はありませんでした。
白石先生は食事するような姿勢で良いのでは?と言っているらしいです。

(一応聞いただけで、「タッピングはカンペルと地面を平行にして、一秒間に3回、開口量は3センチ」という通説があるんだけどな・・・確認出来なかったか・・・)

カンペルと地面を平行にして3Hz開口量30oというのは、1996年の日本の文献から、ずっと言われていることなので、今日の講習会がBPSの流れを汲むなら何か違う話が出るかと思ったのだが・・・

「タッピングは姿勢でずいぶん変わりますよね?」の回答は「変わります」でした。

さて、大体の姿勢で採ったゴシックアーチとタッピング描記を確認します。

・・・タッピングをしていたラボの営業の方の動きをみて、ピンときます。・・・
「タッピングはちょい前ですよね。」

ゴシックアーチのアペックスが中心位かどうかの議論の前に、実際の術式の中で患者の様子を見ていた方が、何が起きるか予測出来ます。

経験なので、説明しづらいですが、・・・

ゴシックアーチのアペックスは術者が設定した咬合平面での、その日、その時の最後方位(の場合が多い)。
タッピングは開口量と速度で変化します。
チョッパーとグランディングの個人差もあります。

誰しもが同じ方法で中心位(正しい顎位)が取れるのがゴシックアーチ法の利点。。。
と、言われますが。。。

など、色々頭の中で考えてしまいます。

さて、シケンの営業の人のアペックスとタッピングポイントは0.5o〜1.0oずれました。
タッピングポイントが前です。

「どちらで作るのですか? BPSはアペックスですよね? でも他のほとんどはタッピングとアペックスがずれたらタッピングで作りますよね???」
と質問しました。

今回のセミナー講師の回答
BPSはアペックスで作りますが、他の学会の先生にアンケートを取るとほとんどがタッピングで作るとのこと。しかし、セミナー講師はアペックスで作ることにしているとのこと。

結論
ゴシックアーチのアペックスとタッピングがずれた場合は、BPS派と一部の先生がアペックス派で、ほとんどはタッピングで作成する。
ゴシックアーチのアペックスとタッピングが一致する場合はイージーケース。

以下は自分の意見です。
結局、難しいケースでは、術者がその経験と勘で中心位を決めている。
。。。というより、中心位を決定しえないため、「顆頭安定位」という言葉で逃げている。
ゴシックアーチとタッピングが一致するようなケースでは、そもそもゴシックアーチの必要がないのでは?
採り間違える先生がいるが、それは経験不足。

さて、実習は続きます。
ゴシックアーチのアペックスとタッピング位置がずれないケースで行っていきます。
口の中から出した描記板のアペックスにラウンドバーで描記針が入るように削りました。
このとき、自分はほんの少しだけアペックスの前方にバーで開けてしまいました。
セミナー講師はもう少し後ろの方が・・・というので開け直しました。前に開けた穴とつながり楕円になりました。
(セミナー講師とも話しましたが、この作業、バーがずれやすい! 穴の開いた円盤を張り付けた方が楽なのに。。。)
そして、描記針と描記板を口腔内に戻して穴を開けた場所に針が入ることを確かめます。
自分の穴はほんの少し(0.5oぐらい)楕円になってしまいましたので、独り言で
「まぁ。。。ロングセントリックってこともあるし。」とつぶやきました。
すると、講師の方が良いこと言いますね。義歯の排列で前後で幅のあるバイトにすると咬みやすいですよ。と言いました。
そんなことは当たり前なので、「自分はルーチンで排列を直してますが・・・」と答えてしまいました。。
それをやりたくてスペイシースマートを購入してますし、NDU77咬合器も顆頭を動かした場所で固定できます。

実習は続き、描記針が穴に入るのを確かめると、横からシリコンバイトを流し込みます。
理屈では、これが、少しバイトアップされた状態での中心位です。

このシリコンバイトを介入させた状態で上下模型をSSマルチという咬合器にマウントします。

「フェイスボウはしなくて良いのですか?」
の質問に対しては、この咬合器は生体と同じに造られているので必要ありませんとのことでした。

・・・アルコン型で関節窩を模した構造なのでしょうが、、必要ないってことは・・・ないですよね。
正確に採れるならフェイスボウをやった方が良いに決まっているのですが・・・
どうして生体と同じにつくってある咬合器だと平均値でマウントして良い理屈になるのかは理解出来ませんでした。
フェイスボウを採りそこねて、へんなことになるぐらいなら、平均値の方が良いという理屈なら分かりますが・・・
フェイスボウ必要無いっていうなら、KAVOのプロター咬合器とかで一生懸命フェイスボウ採っている人たちの立場が・・・・

実習は続き、平均値でマウントした後、ゴシックアーチの装置とシリコンバイトを外して、ピンを落とします。
すると、早期接触部位が出てきます。
ここが干渉部位です。

すると、左上3番が干渉部位になった営業の方がいました。
ところが、この結果を話すと、本人から、前に同じことをして右上7番がおかしいと言われました、と返答がありました。

シリコンバイトを介入させてマウントするのですが、このシリコンバイトのトリミングが足りなくて上手くマウント出来なかったようです。

やり直すと今度は右上7番と左下4番が干渉していました。

難しいですよね。。結局、少しのミスで干渉部位が変わります。
本人からの申告が無ければ、間違った部位を咬合調整する結果になってしまうところでした。

これで実習は終わりました。

総義歯のバイトのはずが、なぜか途中から有歯顎ケースの咬合調整になっていました。
それはともかく、排列について知りたいことが(沢山)あったので、質問しまくってしまいました。

「フルバランスには排列出来ないのか。」

「出来ない。」
この答えにはびっくりしましたが、
リンガライズで十分との考えのようです。

「保険では時間的に無理だと思いますが、お金を出すから保険外の排列としてもフルバランスは無理ですか?」

「無理」

リンガライズは並べるの簡単です。
しかし、、フルバランスでの排列を執行役員技工部デンチャー部門統括が「出来ない」と発言してくれたことは助かりました。
このラボにはフルバランスの排列を望めないので、自分でやるしかないということです。

たしかに、、ネットを見ていると、フルバランスの義歯を保険外の治療として、50〜100万の相場にしているところもあります。

排列は難しい・・・エビデンス的には、フルバランスもリンガライズも大差ないとされていますし。。。

個人的には、両側性平衡咬合のリンガライズが出来れば良いと思っていますが、
ラボが付き合ってくれるかどうか・・・

色々考えさせられます。。

さて、最近、咬合のセミナーが立て続けに入りました。
去年の咬合再確認のセミナーはナソロジーの懐話でした。 義歯の河原先生の流れを汲むセミナー 塩田先生の流れを汲むKYバイト そして今回の白石先生の流れを汲むゴシックアーチ

自分は有歯顎の場合、現状を変えない補綴。壊れにくい補綴物。破折しにくい築造。
無歯顎の場合、痛くなく咬めるバイトと排列。そして必要に応じて出来るだけ早く製作する方法。

を念頭においています。そのために資料として吸収していますが、、

歯科のセミナーには流行り廃れがあり、インプラントが下火になった今、もしかしたら、また「中心位」とか「顆頭安定位」とかの理論が歩き出して、咬合治療を積極的に行うような流れが・・・あるとしたら怖いと感じました。

とりあえず、今回のセミナーでは、特別症状が無ければ、ゴシックアーチと咬合器の分析でおかしいところが見つかっても介入しない方が無難と言われました。 また、もし介入するとしても、ピンを落とした状態でのマウスピースだろうと言われました。

しかし、20年以上前だと、分析結果が最優先で、全顎補綴をするケースもあったのだろうと思いました。

やはり色々考えてしまいます。。

キリがないです。