わくらば日記 朱川湊人 

2006年02月06日(月) 19時25分
オンライン書店ビーケーワン:わくらば日記

舞台は昭和30年代。過去を見ることができる少女鈴音とその妹和歌子が事件に関わることによって知る真実と哀しみの5編。「姉さまのあの力は人を救いもしましたが…」

朱川さんの最新作。相変わらず上手い作家さんです。今回も得意の昭和30年代を背景に東京の千住を舞台に暮らす姉妹が関わる事件。鈴音という過去を見ることができるという超能力をもつ少女が解決していく物語。しかし、決して解決がいいことではなく、知らなくていいことまで知ってしまう悲しみ。それがやはり切ない。

わたしが好きなのは「夏空への梯子」と「流星のまたたき」
昭和30年代の世相と時代背景が痛切に伝わってくる。それはわたし達が決して忘れてはいけないことなのです。戦争の傷も残っていたあの時代を描いています。特に「流星のまたたき」には涙なくして読めない。

登場人物もそれぞれが個性的。妹和歌子もそうだが、わたしは母親が好き。川原まで連れて行って柔道技でぶん投げるシーンは圧巻と涙。そして悲しい過去から立ち直る茜。鈴音に思いを寄せる警官秦野、強面の刑事の神楽(実はすごく優しい)などなど。

語り口が昔話の感覚ではあるが…、少年の犯罪、差別や原爆が残しているものなど現在も考えさせる話。戦争が残したものとお化け煙突が示す急速な近代化。
こんな対比も本当に朱川さんは上手いと思う。

この話は何だか続きがありそうです。最終話のスチュワーデスの事件が語られていないことと、鈴音がなぜ若くしてなくなったのかが不明なのです。こんな切ない話をさらに続編にするなんて、もったいないような嬉しいような。

この時代を描く朱川さんに拍手。しかし、特殊な能力よりもわたしは不思議な話の方が好きだな、やっぱり。ともあれ、郷愁と切なさが漂うこの短編集を一読されたい。

静かな感動間違いなし

県庁の星 桂 望実 

2006年02月03日(金) 21時45分
オンライン書店ビーケーワン:県庁の星

県庁職員の野村聡は、1年間の民間企業への研修を命じられる。派遣先は先行き不安なスーパー。パートながら、スーパーを牛耳っている二宮泰子に触発されて、徐々に野村もスーパー自体も変わっていく。

チルドレン 伊坂幸太郎 

2006年01月30日(月) 21時43分
オンライン書店ビーケーワン:チルドレン

「俺たちは奇跡を起こすんだ」家庭裁判所の陣内、同僚の武藤、友人の鴨居、そこで出会った盲目の青年永瀬。永瀬の側にいる盲導犬と優子。そして家裁で担当をする少年達。陣内をめぐる5つの物語。

ハルカ・エイティ 姫野カオルコ 

2006年01月23日(月) 20時42分
オンライン書店ビーケーワン:ハルカ・エイティ

暗雲漂う、戦前、出征間近い男大介とハルカは結婚した。暗い時代を義父母に助けられ、健気に生きるハルカ。その時々の世相を背景に、戦前・戦中・戦後を持ち前の明るさで、健気に前向きに生きた一人の女性の半生を独特の筆致で描く。

椿山課長の七日間 浅田次郎 

2006年01月21日(土) 16時58分
オンライン書店ビーケーワン:椿山課長の七日間

予期せぬ突然の死に見舞われた椿山課長。あの世で彼は「邪淫の罪」に問われている。その嫌疑を晴らすため、美女の肉体を借りて4日間の現世行きを許される。全うなヤクザの親分、現世に未練を残す男の子も絡み、彼は現世で過去を調べることに。

優しい音楽 瀬尾まいこ 

2006年01月20日(金) 20時33分
オンライン書店ビーケーワン:優しい音楽

亡き兄の面影を恋人と重ねる「優しい音楽」、不倫の相手の子どもを預かることとなった「タイムラグ」、公園で拾ってきたのは佐々木さんだった「がらくた効果」の3編を収録。人との出会いや関わりから生まれる、ハートウオーミングな作品集。

半年かけて、瀬尾さんコンプリート達成です。といってもこの方、寡作な作家さんで5冊しか出てません。わたしのベストは「幸福な食卓」、2位「図書館の神様」、3位「卵の緒」ですが、どの作品も温かくてとても優しい気持ちになれる作家さんですよね。この作品も期待を裏切らない作品集でした。

この作品でわたしが好きなのは「タイムラグ」。不倫相手の子ども佐菜ちゃんを預かることとなった深雪。佐菜ちゃんと深雪の1日だけの交流が、温かく描かれています。ラストの佐菜ちゃんの「心がぽかりする」「時計もっと遅らせちゃえばいいのに。そしたら深雪さんと豪遊できる」って言う佐菜ちゃんがとっても可愛い。

この「タイムラグ」では、佐菜ちゃんとの出会いで恋人平太の家族が次第に見えてくるんです。奥さんのこと、決して望まれた結婚ではなかったこと。平太の家族のことなど知りたくもないことなのに、向き合わざるを得なくなるんです。

一体、瀬尾さんが描く家族のかたちっていくつあるのだろう。この作品集は、作者のテーマでもある「家族」という形が凝縮されています。「優しい音楽」では恋人に兄の面影と重ねる家族。「タイムラグ」では不倫相手の家族と自分。「がらくた効果」では公園で拾ってきた佐々木さんとの同居生活。それぞれに不自然で危ういんだけど、最後はほっとさせられる。

なんだか、とってもほのぼのとした作品集。前向きな気持ちにもなります。
瀬尾さんの作品に今後もはまりそうです。
今後も期待します

悪党たちは千里を走る 貫井徳郎 

2006年01月15日(日) 19時13分
オンライン書店ビーケーワン:悪党たちは千里を走る

カード詐欺や絵画、はたまた宝物詐欺など、せこい詐欺しかできない高杉と園部。同業の詐欺で知り合った菜摘子。一発でかい犯罪をと誘拐を思い立ったが、あろうことか、誘拐したい家の子どもと仲良しに。4人で偽装誘拐を企むが思いもよらない展開に。

展開自体は奇想天外で実に楽しめました。わたしは最後まで偽装誘拐のままだと思っていましたもの。そういう意味で最後に大ドンデン返しを予想していただけに非常に残念。

この巧を含む4人組も実におかしい。自分の正体を表さない、高杉と菜摘子、園部はいいボケだし、巧も大人顔負けの存分な活躍。この4人が実に生き生きとして、読ませます。

身代金の取引は、現代ならではの「こういうこともできるのか」とこれは感心しました。今までになかった取引ですよね、これは。
しかし追う刑事たちがしゃきっとしないんですよ。はっきり言って描ききれていない。それがこの作品を薄くしているのではと思います。実にもったいない。展開は実に良いんですけど…。

ミステリーにしては物足らない、これは2時間ドラマを見ているような気分です。ということはドラマ化には適しているのではないでしょうか。会話も可笑しいし、巧も実に頭がいいし。

ラストもねー、もう少し何とかならなかったのでしょうか。わたしは高杉と菜摘子はもっと近づくのかと思いました。ひょっとしてシリーズ化でしょうか…。とにかく、中途半端。読ませるものの意外と時間がかかってしまいました。

ドラマのような作品。これ以上ありません

凍 沢木耕太郎 

2006年01月11日(水) 22時04分
オンライン書店ビーケーワン:凍

ギャチュンカン北壁、それは世界的なクライマー山野井泰史、妙子夫妻にとって、一つの通過点にすぎず、登るべくして登る山だった。たった二人だけの登頂に雪崩が襲う。不測の事態に二人はどうやって生還したのか。壮絶に過酷な山から生還する夫婦を描く、ノンフィクション。

震度0 横山秀夫 

2006年01月08日(日) 20時00分
オンライン書店ビーケーワン:震度0

阪神大震災が起こった朝、700km離れたN県警では不破警務課長が昨晩から戻っていないという激震が走る。それぞれの思惑と不破警務課長の過去が絡み合い、さらに妻達の情報戦。それぞれの諜報戦が行われる中、真相が徐々に明らかになってゆく。

ララピポ 奥田英朗 

2006年01月05日(木) 21時49分
オンライン書店ビーケーワン:ララピポ

フリーライター、キャバクラのスカウト、AV女優、カラオケボックスの店員、官能小説家、テープリライター。彼や彼女の生きがいとは?どうしようもない人たちのどうしようもない生活の行き着く先は?
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