夏色髪留

October 06 [Sat], 2012, 18:14
夏が来て、髪が比較的長い方の私には中々厳しい季節になってきた。
うなじが髪で隠れて、去年はあせもをつくってしまい恥ずかしい思いをしたものだ。

「と言うわけで、今年はこれです!」
じゃーん、と口で効果音をつけ、取り出したのは海の様な青のかみどめ。わざわざ遠いとなり町の百貨店まで行って買ってきたお気に入りだ。

机を向かいにくっつけ、肘をついてこちらをみている友達は吹き出した。
「え、待って待ってなんで笑うの?」
「だって、流行なんて今までこれっぽっちも追いかけなかったあんたがそんな可愛いかみどめを持ってるなんてアンバランスだなと」

確かに、中学の頃は残念ながら地味と呼ばれるような子だったが、今年の私は一味違う。
「高校デビューなの!あるけば誰もが振り向くような美人になるの!」
そのために、生まれて初めての美容院に行ったり、アイロンなんぞ使ってみたりしているのだ。慣れない事をして、と母親には笑われてしまったが。
「髪、切ればいいじゃん」
「いや、それはさ…」

ちらり、と目配せすると察しが良い私の友達は気づいたようにくすくす笑う。
「ああ、あんたの憧れのあの人はロングが好きなんだ?」
「そうなんだよね…」
高校に入って、好きな人が出来た。背が高くて、爽やかでなんとも理想的なモテ男だ。
なんでそんな競争率が高そうな人を好きになったんだと自分でも思うが、まあとにかく、その人の好みを人づてに聞いてなんとかその理想に近づくため努力しているわけである。

「一途だねぇ、今時珍しいくらい」
「ありがと」
さっそく多目の髪の毛を後ろに一纏めに結び、椅子から立ち上がった。
窓際に腰掛け、心地よい風を感じながら友達に話しかける。
「夏の美少女、空を眺めるって感じ?」
「わざわざポーズをつけるんじゃないよ」
あははー、と窓のサンを掴み重力のままに体を外にくにゃりと預け上を向くと、空が青かった。
一昨日喫茶店で飲んだソーダフロートそっくりだなあなんて思っていると、下から先生に怒鳴られた。
「こらそこー、危ないだろ」
「空が私を呼んでるんですー」
友達に腕を引かれて目線が教室に戻り、引っ張られた勢いのまま友達に抱きつく。
「うりゃぁ」
「馬鹿なことばっかすんなよ…」
「りゃりゃりゃー」
「はいはい、日本語話してねー」

そのまま抱きつきながらくるくる回っていると、私の憧れであるあの人、が私を見て笑っていることに気づいた。
「……」
黙って友達から離れ、席に行儀よく座る。
「あらぁ、顔が真っ赤だねぇ」「しーっ!」


はぁ、と溜め息ひとつついて、椅子の前足を浮かせてがたがたさせながら話しかける。
「海行こうか、明日辺りにでもさ」
「なんで?」
「海が私を呼んでるから」
「空が呼んでるんじゃなかったの?」

うーん、とわざとらしく腕を組んで考えてそして、これまたわざとらしくぱん、と手を打った。
「訂正。夏が私を呼んでいるのだぁ!」
「あらそぉ、忙しいねー」

空も、海も、ついでにかみどめも夏いろ一色な。
何処にでもあって、どこにもない、そんな夏がやってくる。

end
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めっちゃ久しぶり!やばい!
いやはや、そんなこんなで(どんな?)けっこう日にちあいちゃったんで、いっぱいオリ書いてます。
そのうちどばっと出すと思います(・ω・)
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よく何もないところで転ぶ系女子。

小説書いたりかかなかったり。

祝JKでびゅー!
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