good bye my loveについて 

January 01 [Fri], 2010, 0:36
「good bye my love」はものすごく暗いちあのだをテーマに連載していきます
多分うちのサイトで歴代一位です。
最初がまずちあのだの離婚から始まります。
千秋が別の人を愛しますし、そういう場面も出てきます。
そしてのだめもアララ、と可愛いのだめ好きの方には痛いシーンも出てくるかと思います
千秋のだめの子供として「奏」の存在も出てきますが
千秋家とは別物とお考え下さい。

できれば毎日続けたいですが何しろ仕事の都合もありますので
あまり期待しないでいただけたら・・・(笑)

それではお楽しみくださいませv

good bye my love(12) 

April 09 [Thu], 2009, 22:40
此所に立つ権利は、きっと俺にはないだろう。
それでも君の音を感じていられるなら
どんな罪でも受け入れてやる。



約束はない。
日本に戻ってきてからの行動範囲も知らない
連絡先も、居場所も、
ここに居る保障でさえも。
なのに何故このスーパーマーケットの前に約1時間近く、なんていったって真夏の太陽下では倒れるニュースも聞くのに。

こんなに待つのに
入る勇気が出ない。




会いたい、なんて口走ればあいつの人生を否定するものになってしまう
だけれど不覚にも、誤魔化したかったけれど
「会いたい」と発してから大分月日が経った。




ならば「お前の音に」会いたい。
その嘘に隠れてもいいか?




good bye my love(11) 

April 09 [Thu], 2009, 22:38
好きであるからこそ手放そうと決意した。
君の傷が深まる前に。



結婚してから、それこそ俺達は大学時代をリピートさせるように毎日隣にお互いの存在を感じてた。
まるで一時期の、のだめ曰く「別居生活」だった俺の引越し事件以来を経た後だったのが効果をもたらしたのか
毎日愛し合って、毎日キスを交わして、毎日お互いの音楽を感じることが許された。

関係が少しずつずれていった記憶は定かじゃない
確か…と呼び起こされたのは奏が生まれた頃だったような気がする。
初めて抱いた子供を、自分を男としてこんなに愛してくれた彼女に不自由なんて絶対にさせたくないなんて
張り切って世界中を飛び回った。
その結果に生まれたのは、もう数ヶ月も実の家族に会えない現実を生み出した。




いつかに言われた

「のだめと奏くんに…会いたくないんですか?」

震えた声を無理矢理押さえてるのが電話口から伝わった。

「会いたい」

そう言った。

「側に、いて」

のだめの短い願いだった

「ごめん」

家に帰ることも許されなかった。
地球の裏側に居たといえば大きな理由だったかもしれない
だけれど、それは言い訳だ。
家族よりも此所に来ることを選んだのは紛れも無く俺だ。






愛してるから、手放した。
君達をただ待つだけの、俺を中心にした運命にさせたくない。
もう待たなくて良いよ。俺を待たなくていいから




結局はその選択さえも俺の考えだけで動いてたんだ。
自分のことしか考えない浅はかな人間だって別れる前に気付いてたはずなのに。

good bye my love(10) 

April 09 [Thu], 2009, 22:37
振り上げたタクトに上手く音が乗れない
手から零れ落ちて行く旋律
空回りしたピアノとオケは上手く組み合わさることはできなかった。



「真一!」

いつも怒る表情を見せることさえ少ない我がコンサートミストレスは怒りを露にして俺の肩を引き寄せる。
理由は、誰よりも自分自身が一番染みている
お前が怒らなくても俺は自分に嫌気を刺しているから!


「…知ってる」
「何が知ってる、よ!何今日の指示!」
「知ってるっつってんだろ!」


降り払うように彼女を払った手が、売り物である手の甲に強くぶつかった
驚きの次に悲しみ、悲しみの次に怒り、そしてまた悲しみ




「今日の真一がわからない……!」
「…悪い…」



その傷付いた手を握って誰もこない事を知っている部屋に二人でなだれ込む。

合わせた唇は拒否を繰り返すが無理矢理奪って、奪って奪って





昨日の別れ際ののだめの言葉が脳裏から離れない
あの時、同意の名の下だっただろ



『…のだめが…待てば…先輩は帰ってくる…』

good bye my love(9) 

April 09 [Thu], 2009, 22:36
ひきづられるように支えられるのだめの目に、光はなかった。
ただ君はずっと呼ぶ「千秋先輩」と。



目の前まで連れてこられ、5年振りに合わせた瞳を真直ぐ見据える覚悟がなくて
ふとのだめの目を見つめるふりをして鼻筋や唇に視線を落としてた。
発しなければ、何かを
「久し振り」や
「元気か」や
「日本に来たのか」
尽きる話題はないではないか、何も疚しいことなんてしてはいないし
堂々とのだめと話せる権限だって持ってる筈だから。元夫と、して。



「元気か…?」



そう問いた俺に君は間髪を入れず続ける


「何言ってんデスか…?昨日も会ったでしょう?」


え、と驚くそれに声が出ないほどに驚いて
意識的に奏に目をやるが見ていてくれはしない


「…誰でもあんただと思ってる」
「…は?」
「俺のことも、管理人だったアンナのことも長田も…知らない他人も…母さんは人間全てがあんたに見えるんだ」







「あんたが、母さんを壊したんだ」

唇を噛み締める息子の強張る身体が、震えていく。
それは全てが真実だと俺に警告した。

good bye my love(8) 

April 09 [Thu], 2009, 22:36
奏らしい人物の発した言葉の意味が分からなかった。


硬直したように固まって握ったままのドアノブからさえも手を離せない。
俺を見つめる奏の瞳は、あの頃誰よりも、のだめの次に愛してた人物の目だとは思えないほどで


「…壊れたって…」
「母さんも、今日本にいる」
「のだめが…?」
「あんたの、呪縛に取り付かれてる」




ぐいっと奏に手を引かれて部屋に鍵を掛ける間もなく外に引き吊り出された、


「…な…!奏!!」
「あんたの目で見ろよ!!!」


何十分も徒歩を繰り返してたどり着いた先
小さな、小さなスーパーマーケットの寂れた一角
もう誰も買わなくなった古びた電子キーボードの前に立つ女の後ろ姿、
それだけで分かる
あれは、のだめだ。



のだめの周りには小さなギャラリーがポツポツと行方を見守っている
俺が来た時に降り下ろされてた腕がふんわりと浮いて
ゆっくりと、何かを奏でた。





「……悲愴……」
「ずっと、この場所で弾いてる」




洗練された腕の持ち主であり、もっと歌うように流れてる切なく悲しい旋律は
スーパーのざわめく広告放送と混じって空間に流出す。
こんなところで、あいつの音があっちゃいけない………!




「…母さん…終わった?帰ろう?」

奏が俺を掴む手を解いて演奏が終わったらしいのだめの元へ
それにされるがままの彼女の、ただ横顔だけでも胸が痛いくらいに反応した。
何も、変わってはいないあの時のままののだめがそこにいて。





「…先輩…今日のご飯は…なんデスか…?」



奏が俺に見せたかった真実。
のだめは奏を俺だと思い込んでいる。

good bye my love(7) 

April 09 [Thu], 2009, 22:34
成長よりも、お前の目に怯んだ事実を許してくれ。




「久し振り。父さん」
「………」
「忘れた?自分の捨てた家族を」
「……奏…か?!」

「さっきの人って父さんの恋人?」
「お前なんで…」
「俺、ずっとホールに居たんだ。タイミング伺ってたら」



「母さんを忘れて…いいご身分だね」
「のだめ…母さんは元気か?」
「捨てた家族が気になるの?」
「誰も棄ててなんか………っ!」
「俺は覚えてる。貴方が、母さんと俺を残して出て行ったあの日を」








「母さんはあんたのせいで壊れたよ」

good bye my love(6) 

April 09 [Thu], 2009, 22:33
次の日の外はポタポタと雨上がりのようで曇り空。
汗が滲んだ身体はシャワーで洗い流すといい。



とりあえず口約束だけだが確かに婚約者な彼女を送り出してまだ波打ってるシーツに身体を寝かせる。
ジメジメする天気はやる気を無くさせる
今日が休暇で良かったと本当に思えるが考えれば勉強しなくては、とトドメを刺される。


数分だけじっくり身体を任せて気合いを入れ直すように腕を立てて支えて持ち上げる。
その流れでCDをセットしてスコアとペンを取り出す。
だが生憎、ラフマニノフピアノ協奏曲第3番、少し今では重りがのし掛かって重い。



一度深く溜め息を落として一枚スコアを捲って数秒後劈くようなチャイムが鳴った。



「忘れ物か?」



彼女だと勘違いした足は軽やかに動いて
いつも警戒心あるわりに今日はチェックし忘れて鍵を容易に開けてしまった。
そこにあったのは、想像しえなかったもの








癖っ毛
漆黒
学ラン
加えて、真直ぐな瞳
覚えがないのに相手は確信しているように俺の目を捕えたまま。




「久し振り。父さん」

good bye my love(5) 

April 09 [Thu], 2009, 22:32
年を重ねるごとに月日のスピードの加速が早まっていくと聞いた。
俺も例外ではなかったらしい。
もう、のだめと別れてから5年目の梅雨がやってくる。


「ジューンブライドって素敵よね」



俺の部屋で寛いでた彼女が漏らす視線の先に所謂結婚情報誌。
求められたことは…前に一度。だけれどその時はどうにも前のことが頭を過ぎって返事が返せなかった。


「したいか?」
「真一次第、かな」


またぺらりとページを捲る背中をそっと包んでやる。
ぴくんと跳ねた肩の次は俺の腕にそっと添えられる手。
ヴァイオリニストの長い指が羨ましい。



「バツニ…にはならないように頑張るから」
「何言ってんだか」
「好きよ」
「…そうか」


重なる左手同士が、絡み合う。
指輪もないけどまるで清いあの儀式のようで。





俺はまた永遠の愛を交わした。

good bye my love(4) 

April 09 [Thu], 2009, 22:31
時々桃が丘の前を通ることがある。
のだめ、あの風景はまだそこにあったよ



「千秋くん?」

日本に来て移住先が偶然にも大学の近くだった。
元々走ることが日課であるために嫌が応にも大学の横を通るコースしかない。
大学の広さはこんなにあるのか…と気付けなかったあの幼い自分に驚きを持ったのは最初だけ。
慣れてしまいたまたま正面玄関前を走り抜けようとしたその時、名前が響いた。



「やっぱり千秋くん」
「谷岡…先生」




そのまま断り切れず促されるままにカフェテリアに案内された。
落ちる葉の種類も五月蠅い管楽器の音色が行き交う校舎も本当に変わってはいない。



「日本戻ってきてたんだね」
「…はい。今度都響に就任します」
「そっか。さすがだね」


俺にコーヒーを差し出してくれたが谷岡先生自体に何も飲み物がなく
なんとなく手が付け辛い。
漂う蒸気に目を落としているとまた谷岡先生が口を開いた。


「野田くん、元気にしてる?」
「…え?」
「千秋恵も千秋真一と一緒に有名になっちゃったからね」



はははと笑う笑顔は真実を知らない。



「別れたんです」
「え?」
「仕事ですれ違い。子供もあいつもパリに残してきました」



今度は俺の口から笑う声
自分をけなす、種類の違うものだ。



「そう…残念だけど…君達の問題だからね」



眼鏡の奥に潜む目の目尻がやや下がる
それでも笑顔を絶さないところがこの人らしいと感じた。



校舎のどこかでベートーベンが流れてる
のだめ、
あの日に俺がお前の音を見つけなければ
お前は傷付くこともなく幸せに暮らしていたのかな
P R
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