17自主出版

September 18 [Thu], 2014, 23:36
先日伯父さんがうちを訪ねて雑談していると、
「最近、自主出版で本を書いたんだ」
と嬉しそうに説明してくれた。そもそも読書が好きな方ではない僕は話半分くらいで聞いていたのだが、
「ところで、お願いがあるのだが」
「あー、はいはい。わかりましたよ。買いますよ、買いますって」
普段訪ねて来ない伯父さんが来るということはそういうことだ。案の定、自主出版でいっぱい本を作って、いっぱい売れ残っているのだろう。今までお世話にもなったしそれくらいは……と思って僕は財布に手を当てた。

 僕は5000円を払ってスーパーコピーブランド伯父さんから本を手渡された。
「ニッポン陶芸紀行」
とっても分厚い本で、ザラ見したらほとんどとうげいひんの写真。これではマニアックな人しか買わないよ。それにこの金額。
 僕はとりあえず「ありがとう」と言って本を受けとると伯父さんは
「続きは後日送ってあげるよ。代金は今度でいいから」
「続き……?」
僕は最初、伯父さんの言葉の意味がわからず表紙の下の方を見ると思わず言葉が詰まった。よく見たらこの本

   「上巻」

って書いている。ってことはこの高枕くらいしか使い道がないものがもうひとつ?
「ちょっと待って」
と言うまでに伯父さんは帰っていった。どうしよう……。

 それから数日後、代金引換の郵便で僕宛に小包が届いた。送り主は伯父さんからだ。
 僕は配達の人にハンコと更なる5000円を渡し、重い小包を受け取った。
「上巻すらほとんど目を通していないのにもう二冊目かよぉ」
とは言えるはずもなく部屋に戻って小包の封を切った。
 見なくてもいいけどそのタイトルは
「ニッポン陶芸紀行」
だ。そしてその表紙の下段を見ると僕はその二文字に凍りついた。

   「中巻」
ブランドコピー品
 そして表紙を捲ると伯父さんからのメッセージが入っていた。
「購入ありがとう、下巻は現在鋭意執筆中なんだ」
 僕は伯父さんに心で答えた。

「伯父さん、いつまでも未完でもいいよ」って。
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