USTRにて

January 28 [Sat], 2012, 9:49
マランティス次席通商代表及びカトラー通商代表補との会談

USTR(United states Trade Representative)とはアメリカの外交通商交渉を担当するホワイトハウス直属の機関です。通商政策全般に関わる強大な権限を持っています。限られた時間でしたが、例外品目についての疑問点など率直に意見交換しました。日本国内の空気がTPPについて必ずしも前向きでない旨伝えたところ、少し驚いていたようでした。(政府は果たして日本の世論の状況を正しく伝えているのでしょうか?)


(マランティス次席通商代表)
ワシントンDCへようこそ。本日は11時までしか時間が取れておらず申し訳ないが,効率的な意見交換の場としたい。

(山田)
本日はお忙しいところ時間を取ってくださり,感謝。民主党を代表し,また,自分が会長を務める「TPPを慎重に考える会」の代表として,この度はお伺いした。
我々の考え方は,TPPを慎重に考えるということで,とにかく反対という訳ではない。ただ,情報が不足しており,日本にとってTPPというものがいかなる意味を有するか明らかでないことを我々は危惧している。
野田総理はTPPに関して「交渉参加に向けて関係国との協議に入る」との意見を表明したが,野田総理は国会においてこれは交渉参加が前提ではない事前協議であり,各国が日本に何を求めているのかを明らかにし,国民的議論を行った上で考えていきたいともおっしゃっている。
先般,貴次席代表及びカトラー通商代表補は来日され,政府高官に会われた。日本では,会談の内容はほとんど明らかにされていないが,自動車,牛肉,保険といった分野について議論を提起されたと承知。本日の会談の機会を生かし,日本に対して何をどこまで求めるかについて,明らかにして頂ければと思っている。

(マランティス次席通商代表)
貴議員とお話しできることを喜ばしく思う。また,貴議員に限らず,日本のどんな方でもTPPについて話したいことがあれば大いに歓迎する。
日本がTPP協定交渉への参加を希望するかどうかは,あくまで日本自身の判断によって決められるべき問題である。東京を訪れた際,自分が特に感銘を受けたのは,日本ではTPPが果たして日本にとって妥当なことなのか,活発で(spirited)しっかりとした(robust)議論が行われているということだ。これは非常に結構なことである。書店でもTPP関連の本がずらりと並んでいるのを見かけた。米国でも同じことが起これば良いと思っている。
我々は,ホノルルにおいて,野田総理の意思表明を大いに歓迎した。言うまでもなく,日本国内でしっかりと議論をすることが大切であるし,我々とも話す機会が必要であれば,これを歓迎したい。日本は重要な友好国,パートナーであり,TPPという重要な取組について話すことは大切である。
ホノルルにおける日本政府の関心表明以降,米国としてどのようなプロセスを踏んでいるかについて説明したい。米国は,公衆や議会と協議するプロセスに入っており,現在,日本のTPP参加への関心表明について,意見を聴取しているところである。意見聴取の締切りは13日(金)であり,同様のプロセスをカナダ,メキシコについても行っている。これを踏まえて,米国にとってこれらの国々のTPP協定交渉への参加がどのような意味があるのかについて検討する予定。
我々は,様々な業界から意見を公募しているが,中には,日本の参加はすばらしいという意見もあれば,懸念を表明する意見もある。例えば,ある業界では,日本のTPP協定交渉への参加は対日輸出を増大させ,雇用を創出すると言っているところもあるし,あるいは貴議員の言うように,自動車や保険といった分野ではある程度懸念を表面している業界もある。議会にも賛否両論ある。各方面からの意見提出を受け取った段階で,それぞれのコメントをよく吟味し,分析し,議会とも緊密に協議を行う。その上で,日本政府とも協議を行い,日本のTPP参加に対する米政府としての立場を決める。カナダ,メキシコも同じプロセスをたどることになる。一方,TPPの交渉については,こうしたプロセスと並行して進めていく考えであり,できる限り早い段階での妥結を目指していく。

(山田)
貴次席代表の公聴会における発言を読ませて頂いた。貴次席代表は,日本がTPP協定交渉に参加したいなら,二国間の懸案を解決せよ,行動で示せと言ってきているように思うが,それが具体的に何を意味しているのかを明らかにしてほしい。これについては,この会談の後もカトラー通商代表補が残っていただけるのであれば,ゆっくり話したいとも思う。
貴次席代表が離席される前に先に話したいことがある。日本では民主党議員のうち204名,連立与党議員のうち224名,全国会議員のうち365名がTPPに反対の請願をした。また,日本国民全体では1200万人の反対署名を得た。日本国民の間でも,TPPに対する議論は高まりを見せている。国民は,米国との間で,中身についてもっとよく議論をしていく必要があり,米国の言いなりになっていてはだめだと思っている。我々としては,米国の業界団体とも意見交換をしていきたいと思っている。もしUSTRの関係者が日本に来る機会があるなら,是非国会にも来て欲しい。是非とも議論したい。

(マランティス次席通商代表)
まず,何より強調したいのは,TPPに入るかどうかは完全に日本政府の判断であるということである。米国としては,TPP協定交渉への参加が国益にかなうかどうかは,あくまで日本が主体的に決めることであって,無理強いするようなつもりは毛頭ない。
 二番目に大切なのは,新規参加国を受け入れるかどうかは現交渉参加9カ国の協議を通じ,コンセンサスで決められるのであって,米国のみの意思によって決められるわけではない。
 確かに,日本が参加する以上,米国が関心を有する分野はある。しかし,日本に対する関心事項があるのは,米国のみならず,豪州やNZについても同じである。我々としては,日本がどこまで踏み切るつもりがあるのか,一定の理解を得る必要がある。その上で,米議会,ステークホルダーの感触を探っていく。
シディキ首席農業交渉官にも意見を聞いてみたい。

(シディキ首席農業交渉官)
本日はありがとう。牛肉のアクセスに関しては,長年にわたって日本政府と緊密に協議をしてきており,米国としては,科学と国際基準に基づいて政策判断がなされるべきであることを主張してきた。日本政府が最近取った行動については歓迎している。既に5年間に渡り,我が国ではBSEが検出されていない。日本でも状況は同様と理解している。科学と国際基準に基づき,日本政府が国産牛のみならず輸入牛の措置についても改革しようとしていることに歓迎の意を表したい。

(山田)
日本は,全頭検査を行っており,トレーサビリティ制度によって牛の出所をはっきりさせている。貴次席代表は,先般の公聴会において環境や労働基準について議論されていたが,我々としては,WTOの場でも議論されている残留農薬,遺伝子組換え作物について懸念を持っている。食の安全に関する基準は,各国が独自に決めるべき事であり,TPPへの参加によって他国から押しつけられるべきものではない。

(首藤)
時間がないので,安全保障と日米関係について話をしたい。TPPに関して情報がない中でも,同協定は21の分野にまたがって影響が及ぼすことが分かってきており,社会全体に懸念が生じている。1年前には,TPPといえば農業関係者が来て,半年前には,消費者団体が来た。今は怒れる若者が押し寄せ,会場における議論が燃えさかる状態になっている。韓国でも同じ状況になっていると聞く。TPPは単に貿易の問題ではなく国家全体に関わる問題であり,情報のないままに政策判断をしても国民は納得せず,政権自体の存続が危うくなってしまう。

(マランティス次席通商代表)
だからこそ,先程申し上げたプロセスは大切。日本にとって必要な情報は今後もなるべく提供していくし,そちらからもワシントン滞在中にどのような議論をされたか,大使館経由で教えてもらえるとありがたい。
次回東京に行って再びお会いできることを楽しみにしている。貴議員一行のワシントン滞在が実りあるものであることを願う。

(ここで,デメトリオス・マランティス次席通商代表及びイスラム・シディキ首席農業交渉官が退席。)


(舟山)
TPPに関して日本は大きな懸念を持っている。TPP交渉では関税撤廃について一切の例外が認めらないのか。国によって環境に違いがあるにも関わらず,一切の例外が認められないならば,我々としてもTPP協定交渉参加入りに関して慎重に検討しなければならない。

(カトラー通商代表補)
日本にセンシティブ品目の問題があることは承知。しかし,センシティビティの問題は,もとより日本だけの問題ではなく,すべての交渉国にもある。しかしながら,TPP協定交渉参加国は,高い水準かつ包括的な協定を目指すことについて合意があり,すべてを交渉のテーブルに載せることにしている。
センシティビティについては,別のやり方で解決していきたい。その意味で,米韓FTAが大変参考になる。一つの方法は,長い期間にわたって段階的に関税を削減し,市場開放に対応するための準備期間を十分に取れるようにすることである。もう一つの方法は,セーフガード制度によって,輸入が急増した場合には,一定条件の下で,元々の関税率を課すことを可能にするものである。
米国にも他国にもセンシティビティの問題はある。日本がTPPの立場を考える際には,例外以外の方法を考えるようにして欲しい。

(舟山)
つまり,交渉にあたっては,すべてをテーブルに載せるが,議論の中で例外が認められるものも出てくる可能性がある,という理解でよいか。

(カトラー通商代表補)
そうは言っていない。

(山田)
では,すべての品目で関税はいずれはゼロにするという原則に例外はないという理解でよいか。

(カトラー通商代表補)
間違いがないようにもう一度申し上げる。我々は,高い水準の包括的な協定の妥結を目指している。他方,現交渉参加国にも新規交渉参加国にもセンシティビティの問題はある。すべての財・サービスの品目をテーブルに載せ,センシティブ品目についてどのように対処するかは,交渉国間の議論によって決まる。

(首藤)
交渉は,基本的に相互主義(reciprocity)で決まるのか。例えば,米国は,郵政や簡保といった分野について日本の制度を変えようとしてきているが,日本としても制度的な違いに着目し,他国の制度を変更するよう要求することはできるのか。例えば,米国は州政府がそれぞれ権限を持っている分野があるが,そのため,州毎の制度の違いが企業の負担になることがある。こうした状況を変えるよう要求することはできるのか。

(カトラー通商代表補)
交渉の現場では,貿易交渉国は様々なことを要求する。日本はTPP交渉に参加すれば,他国の門戸を開放するために物怖じせず大いに要求を出す(pressing us)であろう。

(山田)
APECの際に問題となったのは,すべてのモノ・サービスを交渉に載せるとは野田総理も枝野経産大臣も言っていないにもかかわらず,言ったかのような概要を米側がウェブに載せたことであり,大変遺憾に思う。どう思うか。

(カトラー通商代表補)
ノーコメントである。本件は,米国政府と日本国政府との間で議論を行っていると承知しており,自分として付け加えることは何もない。ただし,貴議員から懸念が表明されたことは留意(take note)する。

(首藤)
TPPは農業のみならず,環境,社会制度,教育,知的財産等,社会全体に影響を与える前例のない協定である。情報をしっかり出してもらわないとTPPに入るかどうか,判断ができないし,たとえ日本政府が交渉参加を決定しても社会は混乱に陥る。ウィキ・リークスから漏れ出てくるような情報では足りず,日本が交渉に参加する前に,実際の交渉内容を日本に対し伝えるべきである。

(カトラー通商代表補)
先日東京を訪れた際に会った日本政府関係者は一様にもっと情報が欲しいと言っていた。これは,これら政府関係者が貴議員の意見によく耳を傾けているからであろう。

(山田)
細かい点を聞くが,マランティス次席通商代表や貴代表補が日本に訪れた後,経産省が作成した会談の概要のペーパーには,自動車の話のところに為替の介入について記述があった。これはどういうことか。

(カトラー通商代表補)
為替については財務省の所掌であり,そもそも財務省からは話さないように言われているので,私から会談の場で話したというようなことはあり得ない。
情報の共有について述べると,日本のみならず,カナダ,メキシコがより正確な情報を持って決断できるようにするにはどうしたらよいか,部内でも相談している。近く,日本政府への情報提供を強化できるのではないか。
それまでの間,日本側としては,米韓FTAをよく見ておくとよいだろう。知財,その他のセクターについて,どのような議論がされているかが分かる。確かに,米韓FTAで議論されたがTPP交渉では議論されていないものや,米韓FTAでは議論されなかったがTPP交渉では新たに議論が提起されるものもあろうが,米韓FTAは全体像を把握するには良いだろう。
また,TPPについては,色々と誤報(misinformation)が流れており,これを是正することが大切。例えば,国民皆保険制度について,米国は,これを民営化させ,日本の保険制度を変更させようと迫るのではないかということが実際に懸念されていると承知している。しかし,そのようなことはないし,実際に交渉の中で議題にも上がっていない。
日本に今後正確な情報が届けられるよう,今後協力していきたい。もし日本が交渉参加を決定するときは,より多くの正確な情報を持って判断をして頂きたいと思っている。

(山田)
御説明に感謝する。野田総理は,TPPに関する情報,協議の様子についてできる限り明らかにするよう各省庁に対して指示を出した。今後も日本がどのような準備を進めていくべきか,対話を続けていきたい。

(カトラー通商代表補)
ありがとう。東京で再び会えることを楽しみにしている。貴議員一行のワシントン滞在のスケジュールはぎっしりと詰まっていると承知している。今回の滞在が終えた暁には,貴議員は自分よりもTPPについて詳しく知ることになるのではないかと思う(一同笑い)。
  • URL:http://yaplog.jp/yasueblog/archive/317
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プロフィール
  • ニックネーム:舟山やすえ
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38才で政治家を志すも見事落選!三児の母となり、子育てをしながら、平成19年7月29日、再度の参院選にて初当選

現在の国会の所属委員会及び役職
・農林水産委員会委員
・決算委員会委員
・国民生活・経済に関する調査会委員
・東北議員団事務局次長
・生物多様性対策小委員会事務局次長
・国対役員
・農林漁業再生本部常任幹事
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