第四話

May 27 [Mon], 2013, 19:49
周三は仕事でもプライベートでも共有してきた親友といえるべき人である。
去年春、周三の結婚する時は一番に喜び一番に悲しんだのも俺だろう。
子供も居る。今年生まれたばかりの乳児が一人。写真しか見せてもらうことは出来ていないが
とっても可愛い。周三はこの子の為なら何でも出来ると豪語していた。

「もう一度聞く。加藤修司はいるか?」
低い声で念を圧して問いかける。
「ですから、いません。」
周三は簡潔に答える。修司は唾を呑む音さえ気にしながら聞き耳を立てる。
「ここの店の前に止めてある車、加藤修司のだろう。ナンバーから割り出した。」
「昨日止めていったんです。まだ出勤されていません。」
「悪いがまだ、エンジンが仄かに温かかったが。」

周三は「さっき僕が乗っていました。」
と苦し紛れに問いに答えた。が。

「キーを見せろ」
キーは俺のポケットにある。これは言い逃れが出来ない。周三・・・。
俺はどうしたらいいんだ。もし、あいつにあったら何をされるんだ。人身売買なんてどうかしてる。
震えた手で裏口のノブに手をかけた。その瞬間。ノブに閃光が走った。
それと同時に破裂音が共鳴し、血が吹き飛んできた。

修司は静かに裏口の扉を開け、外に出た。
心臓が、心拍数が、身体の中の全てが溶けるような熱さを廻らす。正確な判断かはわからないが、
真っ直ぐ進んだ草むらの先まで急ぎ足でかける。昨日この辺で犬が糞して放置されていたな、なんて
無駄な思考も脳裏に駆け巡る。ぐるぐる眩暈がする。
草むらを抜けると小さな川がある。殺されるようなら綺麗な場所がいいなんて身体が思ったのだろうか。

・・・くそう、くそう、くそう!!なんで今戻らない。周三が殺されるかも知れないのに。
助けなきゃ。でも殺されたくない。なんでだよ。くそう、どうしたらいいんだ。
河原の大きな石を見付けた。これだ。もう行くしかない。少し重いが直撃したらなんとか脳味噌を散らすことが
出来るだろ、と手に持ち振り返ったその時。三発の銃声が響いた。
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