レストレスレッグ症候群

March 18 [Thu], 2010, 6:00

むずむず脚症候群とは身体末端の不快感や痛みによって特徴づけられた慢性的な病態である。英語のRestless legs syndromeからRLSレストレス・レッグス症候群または下肢静止不能症候群とも呼ばれる。








病名


むずむず脚症候群」はヨーロッパでは17世紀からこれに相当する病気の報告があり、1960年になり米国のエクボン博士により同博士の名前を取って、「エクボン症候群」(Ekbom Syndrome)と初めて名前が付けられた。日本では1997年に日本睡眠学会に米国より現状調査の依頼があり、日本国内で俄かに注目されるようになった。現在ではこの「むずむず脚症候群」は広く見られる神経疾患で患者が脚を動かさずにはいられない状況から、「レストレスレッグス症候群」(「下肢静止不能症候群」 Restless Legs Syndrome=略称「RLS」)とも呼ばれる。この項では、以下RLSと記載する。


症状と特徴


自覚症状としてはじっとした姿勢や横になったりしていると主に下肢の部分に(患者によっては、脚のみならず腰から背中やまた腕や手など全身にまで現れる)「むずむずする」・「じっとしていられない」・「痒い」だけでなく、「ピンでなぞられているような」・「針で刺すような」・「火照るような」・「蟻やミミズなどの虫が這っているような」などの異様な感覚が現われ時には「振動」のような感覚まで感じたりする場合もある。また「激しい痛み」を感じるなどさまざま。この苦しさは「脚の中に手を突っ込んでかき回したいぐらい苦しい」と表現する患者もいて、この症状の辛さを表している。


このむずむずとした不快感や痛みなどの不快な異常感覚・身体症状が下肢や腰・背中・腕などに出現するため、患者はこれを抑えるため常に脚を動かしたり身体をさすらなければならない状況に追い立てられる。


3分の1の患者では週に2回以上、中等症から重症の症状が起こる。特に夕方から夜間にかけて症状が増強するという特徴(勿論、日中でも症状が出現)があり入眠障害・熟睡障害や中途覚醒のような睡眠障害の要因となり、また日常の座ったままやじっとした姿勢の活動を阻害されるため放置していると日常生活に大きな影響を及ぼす。この結果、副次的症状として昼間の疲労感を引き起こす。


実際、患者は昼夜にわたり生活の質(QOL)に悪影響を及ぼす様々な症状に苛まれている。回復が長引けば全身の「慢性疼痛」の症状がでてくる。


症状が悪化すると睡眠障害と過度のストレスから「うつ病」を招き、最悪の場合、自殺する人もいる恐ろしい病気である。


原因


正確な原因は不明だが、これまでの研究は


  • 神経伝達物質であるドパミンの機能低下

  • 中枢神経における鉄分の不足による代謝の異常

  • 脊髄(せきずい)や末梢神経の異常

  • 遺伝的な要素

  • などが考えられている。脳内での鉄分の欠乏や、ドパミンの合成異常がかかわっているという仮説が有力である。つまり、人間の神経で情報の受け渡しを行うドパミンという神経伝達物質は鉄分が不足すると分泌量が減り、情報を正しく伝えることができなくなってしまいすべて脳への情報が誤って伝えられる為、身体の感覚に異常を感じるとされている。また鉄欠乏性貧血は女性に多いので、RLSが女性に多い事に関係しているともいわれる。


    発症


    どういう場合に発症するのかも未だ明確にはなっていない。しかし、こんな場合に出やすいというのは以下に列挙する。なお、精神的ストレスは病状の強弱と関連あり。



    この疾患の一番の問題点は一般の医師の勉強不足により、RLSと診断できずに無駄な投薬治療と時間を費やしていることである。発症の項目で記載したように抗うつ薬や抗精神病薬を投与することにより、却ってRLSの症状が悪化することが多い。早くRLSの専門医に相談することが望まれる。


    また、鉄欠乏性貧血で自己診断での鉄剤の服用は避けること。鉄欠乏状態でない場合は鉄剤の服用は副作用がある。


    治療薬


    RLSの異常感覚は、薬物治療で軽快する場合が多い。とりわけドーパミン神経の機能を高める薬である「L-DOPA製剤」や「ドーパミン受容体刺激薬」がRLSによい効果があることは、これまでの研究や臨床経験から知られている。また抗けいれん薬(クロナゼパム・バルプロ酸など)も効果が見られる。RLSを疑わせる症状があり、更に血中フェリチン濃度が50ng/mL以下の時には、鉄剤の処方により症状が改善することが多い。但し、個人差があり血中フェリチン濃度が50ng/mL以下が画一的に異常値とはならないため、入眠状況の観察や問診も重要である。


    この疾患に睡眠導入剤(サイレース)や抗うつ薬を処方されると、むずむず感が解消されないまま眠気だけがどんどん増し却ってRLSの症状を悪化させる可能性がある。


    欧米では中等度以上の症例には、パーキンソン病の治療にも使われるドーパミン受容体作動薬を第一に使う。現在「プラミペキソール」のRLSへの適用追加に向けた臨床試験が国内でも進められている。


    推定患者数



    • 欧米では、1200万人もの患者がいるといわれている。

    • 日本では、ある医師がインターネットで調査した結果では国内には推定で3〜4%程度のRLS患者がいると推定されている。判明している患者で、およそ130万人。症状の軽い人も含めると、実に200万人近い。更にRLSという疾病に対する認知度の低さからもっと多くの患者が潜在しているとも考えられ、この顕在・潜在患者を含めると約500万人近く存在するとも推測される。

      • 年代別と性別では40歳以上の中高年に多く、特に40〜60歳の女性に多く見られる。

      • 不眠症患者の10人に1人の割合で、RLSの人がいるといわれている。




    以上のことから、



    • 欧米での患者数は、1200万人

    • 日本国内の患者数は、推定で人口の3〜4%

    • 40歳以上の中高年に目立つ

    • 40代で発症し、年を重ねていくほど悪くなることが多い

    • 女性の患者が男性の患者に比べて、1.5倍

    • 症状が進むと、不安や抑うつなどの精神障害を合併することが有る


    ということが分かる。


    社会的認知度


    一般の人には勿論、専門医以外の間ではRLSがあまり知られていないためひどい不眠に長年苦しんでいる患者が多い半面、適切な治療を受けていないケースが殆どであり多くのひとが治療を受けていないといわれている。これは20年前の時点で睡眠時無呼吸症候群を知っている人は殆どいなかったが現在では睡眠時無呼吸症候群は広く知られており、現在、RLSが置かれている状況はまさに20年前の睡眠時無呼吸症候群と同じ状況である。


    RLSは入眠障害や中途覚醒といった睡眠障害の要因となっており、これがきっかけで患者が受診し診断と治療を受けるのが一般的である。但し、RLSが単に睡眠障害の要因とだけなっているというのも誤った認識である。実際、患者は昼夜にわたり生活の質(QOL)に悪影響を及ぼす様々な症状に苛まれている。ともかく、かかる症状をRLSと診断されることがいまだに少なく見過ごされ易いのが問題である。


    内科・精神内科・心療内科の医師ですらRLSを知らない医師が多く、単純に「身体表現性障害」やそのことによる身体症状であると片付けるため適切なる治療が遅れ症状が悪化する懼れがあり、RLSの専門医の門を早急に叩く必要がある。


    症状自体は名称から脚だけと思われがちだが病気の本体は下肢ではなく、中枢神経系にあると考えられている。従って、人によっては下肢だけではなく腰から背中や腕や手など全身にまでむずむずした不快な症状を感じる人も少なくないので全身に症状がある患者の場合、脚だけはないのでRLSではないと判断するのは早計である。


    この病気は人工透析患者、妊婦、鉄欠乏性貧血の若い女性にも多く「夜に眠れないので 交感神経が刺激され、血圧や血糖が上がり太りやすくなる。妊婦の場合、放置すると精神的にも不安定になり母体や胎児に悪影響を与える」と言われている。産婦人科医の間でも、まだまだRLSの認知度は低いという。


    脚注


    外部リンク



    • レストレスレッグス脚症候群の医療従事者向けサイト

    • むずむず脚症候群・お役立ち情報サイト

    • むずむず脚症候群

    • むずむず脚症候群のサポートフォーラム

    • (百科事典)「Restless Legs Syndrome」 - Medpediaにある「むずむず脚症候群」についての項目。(英語)


    レストレスレッグ症候群
    • URL:http://yaplog.jp/yapmed/archive/17322
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