ディスレクシア(英語:Dyslexia、ディスレキシアとも)とは
概要
知的能力及び一般的な学習能力の脳内プロセスに特に異常がないにもかかわらず、書かれた文字を読むことができない、読めてもその意味が分からない(文字と意味両方ともそれぞれ単独には理解できていることに注意)などの症状が現れる。逆に意図した言葉を正確に文字に表すことができなくなる「書字表出障害(ディスグラフィア、Dysgraphia)」を伴うこともある。また簡単な計算ができない「計算障害」を伴うことも多い。左脳内の文字と意味の相関関係を司る特殊なプロセスに何らかの障害が発生していると考えられているが、はっきりした原因はまだ突き止められていない。なお家族性の発症例も古くから知られており、遺伝マーカーとの関連に関する研究も行われている。
識字プロセスには文字や単語を構成する音に結びつけて分析する「音韻的処理」(ひらがな、カタカナ、アルファベットなど主に表音文字)から、単語、文章そのものからダイレクトに意味を理解する「正字法的処理」(漢字のような表意文字も含む)までいくつかの段階がある。ディスレクシアはそれらいろいろな段階での症例が報告されており、例えば2つの文字の違いが分からない、文字や単語の理解まで非常に時間がかかる、読むことはできるが書くことはできない(これは一般的な言語学習段階上の経験として覚えのある向きもあろう)、文字の並びが歪んで見える、文字自体が二重に見えるなどさまざまである。
現在は特に英語圏で問題とされており、アメリカ合衆国では人口のおよそ1割の人が何らかの程度でディスレクシアを抱えているとも言われる。ディスレクシアは言語によっても現れ方が異なることが示唆されており、イタリア語など(文字がほぼ発音通りに綴られる)では英語やフランス語(綴りと発音の間に複雑な関係がある)より顕在化しにくい可能性が指摘されている。また日本語におけるディスレクシアの多くは、このような音韻に関係したディスレクシアとは異なるタイプとの見方もある。海外留学中の人が初めてディスレクシアと診断されたなどの例もあり、英語教育の普及などによりこれから顕在化してくる可能性もある。今のところ日本では、成人のディスレクシアの判定法は確立されていない。
この障害を持つ人で大学などの通常の高等教育を受けている場合も少なくない。しかしながら現代の高等教育はその殆どが文字媒体により情報を交換する手段に頼っているので、制約が著しいことは否めない。これを補完するためにDAISY等(後述)の補助アプリケーションが開発されているが、これらは主に画一化された教材を用いる初等教育を視野に入れたものであり、現段階では多種多様な書籍を読むことが求められる高等教育の習得をこれらにのみ頼ることは出来ない。他人に顕著ではないこれらの症例であるために、社会的に思わぬ差別や蔑視、阻害を受けることも少なくない。そのため、彼らの権利を擁護する団体が国内、国外問わず活動している。
現在では視覚・聴覚能力の訓練や体性感覚と関連付けた学習、神経生理学的研究によって、障害を克服できた例が増えてきている。映画俳優のトム・クルーズが、ディスレクシアを抱えていたことを告白したこともあった。
スウェーデン国王のカール16世グスタフは、自分の名前すら満足に書くことができなかった[[[[読字障害の一人とされる。恐竜が鳥類に近い生き物であったことを証明し、映画ジュラシックパークの恐竜博士のモデルともなった人物。ジャック・ホーナーの読み書き能力は小学3年生程度で、
一方でディスレクシア障害者は一般人に比べて映像・立体の認識能力に優れていると言われ、工学や芸術の分野で優れた才能を発揮している者も多い。これは左脳の機能障害を補う形で右脳が活性化しているためと考えられており、最近は若年者の治療において障害の克服と共にこうした能力を伸長させる試みも行われている。
その他、ウォルト・ディズニーも
対策
これらの障がいを抱えた人をサポートするために、文字そのものを音声化して理解させる工夫が行われている。例えば、DAISYなどのコンピューター上の画面で文字を音声化して読み取るアプリケーションの開発が行われている。ただし特に日本語の場合、同音異義語が多く、欧米系の言語のようにそのままテキスト化された情報をそのまま音声化しただけでは情報を正確に取得することは難しいという側面もある。このほかボランティアによる文字の音読された教科書が作成されており、著作権法の改正によりこれらのメディアの発行は容易になっている。
ディスレクシアであることを公言している著名人
- アビシェーク・バッチャン(俳優)
- オーランド・ブルーム(俳優)
- ジェレミー・ボンダーマン(野球選手)
- リチャード・ブランソン(実業家)
- エリン・ブロコビッチ(パラリーガル)
- カール16世グスタフ(スウェーデン国王)
- スティーブン・J・キャネル(テレビプロデューサー・脚本家・小説家)
- シェール(歌手・女優)
- アンダーソン・クーパー(アンカーマン)
- トム・クルーズ(俳優)
- サミュエル・R・ディレイニー(小説家・SF作家)
- パトリック・デンプシー(俳優)
- ジョセフ・ファインズ(俳優)
- ノエル・ギャラガー(ミュージシャン)
- ウーピー・ゴールドバーグ(女優・コメディアン・歌手)
- マイク・グラベル(元アメリカ合衆国連邦上院議員)
- アンソニー・ホプキンス(俳優)
- ジョン・アーヴィング(作家)
- ブルース・ジェンナー(俳優・元陸上選手)
- イングヴァル・カンプラード(IKEA創業者)
- キアヌ・リーブス(俳優)
- キーラ・ナイトレイ(女優)
- サルマ・ハエック(女優)
- ジェイ・レノ(コメディアン)
- ジェイミー・オリヴァー(料理人)
- ジョン・レノン(歌手・シンガーソングライター・ギタリスト)
- オジー・オズボーン(ミュージシャン)
- ダニエル・パウター(ミュージシャン)
- トーマス・エジソン(発明家)
- ガイ・リッチー(映画監督・脚本家)
- リチャード・ロジャース(建築家)
- リー・ライアン(歌手)
- レオナルド・ダヴィンチ(画家など)
- ブライアン・シンガー(映画監督)
- ジャッキー・スチュワート(元F1レーサー)
- ジョス・ストーン(女優)
- ヘレン・ブルック・タウシグ(小児科学・心臓病学者)
- マジック・ジョンソン(バスケットボール選手、実業家)
- リンゼイ・ワグナー(女優)
- テリー・グッドカインド(ファンタジー作家)
脚注
関連項目
- ハイパーレクシア
外部リンク
- 読み書きのみの学習困難(ディスレキシア)への対応策(文部科学省科学技術政策研究所科学技術動向研究センター科学技術動向月報2004年12月号)
- 難読症とは何ですか?
- 小山麻紀『オックスフォード便り〜ディスレクシア研究室留学記〜』
- Mare Azzurro
- www.hum-molgen.org The gene DCDC2 is more than a gene of dyslexia.
- 英語のディスレクシアでありながら日本語読字には異常がない症例
- 特定非営利活動法人 EDGE
- NPO法人LD・Dyslexiaセンター(LDDX)
- メアリアン・ウルフ著『プルーストとイカ:読書は脳をどのように変えるのか?』
- (百科事典)「Dyslexia」 - Medpediaにある「ディスレクシア」についての項目。(英語)
読字障害
- URL:http://yaplog.jp/yapmed/archive/16360



