化膿性髄膜炎

March 02 [Tue], 2010, 18:21

細菌性髄膜炎(さいきんせいずいまくえん、英: Bacterial meningitis)は、細菌感染によって起こる中枢神経系の感染症。別名として、化膿性髄膜炎(かのうせいずいまくえん、英: Septic meningitis)とも呼ばれる。





病態生理


脳や脊髄(あわせて中枢神経系と呼ぶ)は、脳・脊髄に近い側から軟膜・クモ膜・硬膜という3層の膜に包まれて保護されている。これらの膜をまとめて髄膜と呼ぶ。このうち軟膜は脳・脊髄にぴったりと張り付いており、硬膜は頭蓋骨に密着し、クモ膜は硬膜に密着している。クモ膜と軟膜の間には液体(脳脊髄液)の入った空間(クモ膜下腔)がある。


細菌性髄膜炎とは、この髄膜・脳脊髄液に細菌が侵入し、感染したことで起こる病気である。


細菌はもともと鼻の奥(鼻咽腔という)の粘膜に定着していたものが、何らかの契機に血液内に侵入し、血液から中枢神経系に侵入したものと考えられる。このため、細菌性髄膜炎には敗血症・菌血症を必ずといっていいほど合併する。


起炎菌


年齢や基礎疾患によって起炎菌が異なる。


症状


発熱、頭痛、嘔吐、不機嫌(乳幼児の場合)などがみられ、症状が進行すると痙攣や意識障害も現れる。


発熱は細菌感染の一般的な症状であるが、髄膜炎では脳脊髄液の圧力(脳圧)が高まり、脳自体に浮腫を伴うこともあるため、その刺激や血流の不足によって嘔吐、意識障害などの症状が現れると考えられている。


検査


髄膜炎の診断のためには、背中(腰の辺り)から針を刺し(腰椎穿刺)、脳脊髄液を採取する必要がある。細菌性髄膜炎の場合、脳脊髄液を顕微鏡で観察するとたくさんの白血球(炎症細胞)と細菌が確認できる。


脳脊髄液を遠心した沈渣をグラム染色した上で観察し、細菌の形や色素での染まり方などから、原因となった細菌を推定することができる。インフルエンザ桿菌b型、肺炎球菌、髄膜炎菌、B群レンサ球菌などではラテックス凝集法による抗原検索を用いることで、30分程度で起炎菌を特定できる。


最終的な確定診断は脳脊髄液の培養で細菌が発育することを確認するが、これには1-2日かかる。さらに1-2日で、細菌の抗菌薬に対する感受性も判明する。


抗菌薬が十分効いていることを確かめるために、治療を開始した翌日にもう一度脳脊髄液を採取し、培養で細菌が発育しないことを確認する。


その他、血液検査では強い炎症反応を認める。血小板減少などを合併することもある(後述のDICの検索が必要)。頭部のCTで脳浮腫を認める場合もある。


治療


抗菌薬による強力な治療が必要である。通常の感染症よりも大量に抗生物質を使用する(βラクタム系抗生物質を用いる場合、常用量の2倍程度を用いる)必要がある。


先述したとおり、治療開始翌日に再度腰椎穿刺を行い、培養が陰性であることを確認する必要がある(Second tap)。Second tapの培養が陽性となった場合には、薬剤感受性などを元に抗菌薬の増量または変更・追加を必要とする。


患者が小児である場合、難聴の合併を予防するため、デキサメサゾン(合成ステロイド)を2日間併用することが多い。しかしデキサメサゾンの有効性についてエビデンス(科学的根拠)があるのは、インフルエンザ桿菌b型による細菌性髄膜炎の場合のみである。


脳浮腫を抑え、血流を改善するために多糖類(マンニトール、グリセリン)の投与を行う。


合併症


予後


数%の死亡率があるが、ほとんどは発症から24時間以内に致命的になる劇症型(または電撃型)と呼ばれる病型によるものである。劇症型以外では、適切な治療が行われれば死亡率は非常に低くなる。


後遺症は10%程度に見られる。後遺症の内容はてんかん、発達の遅れ、難聴、麻痺などさまざまである。


化膿性髄膜炎
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