蕨採りに来たのだが、はぐれてしま

January 28 [Tue], 2014, 3:58
「蕨採りに来たのだが、はぐれてしまッたの、連れの者に。おイ、老爺じいや、探して来てくれないか、ちょッと往ッて」
 自分が唐突だしぬけに前後不揃いの言葉で頼んだのを、娘が継ぎ足して、始終を話して、「お気の毒だが見て来て」と丁寧に頼んだ。
「それエ定めし心配していさッしゃろう、これエ爺様とッさまよう、ちょッくら往ッて見て来て上げさッせいな」
 最前から手を休めて、老父は不審そうに見ていたが、
「むむ見て来て上げべい。一ッ走り往ッて」
ト言ッたが、なかなかおちついたもので,それから悠然ゆうぜんと、ダロク張りの煙管きせるへ煙草を詰め込み、二三吹ぷくというものは吸ッては吹き出し、吸ッては吹き出し、それからそろそろ立ち上ッて、どッかと上り鼻へ腰を掛けて、ゆッくりと草鞋をはき出した。はいてしまうと、丁寧に尻を端折ッて、さてそこでやッと自分に向ッて、
「坊様、どッちらの方でさアはぐれさしッただアの?」
 自分は方角を指し示した。老婆は老爺じいの出て往くのを見送り、それから花筵はなござを引き出して来て、
「さア嬢様。お掛けなせいまし、そこはえらく汚ねエだから。さお坊様掛けさッさろ」
「婆やア湯をおくれ、気の毒だが」
「湯かのう? 今上げますで、少し待たッせい,一ッくべ吹ふッたけるから。
http://vtie8aic.262.jp/
プロフィール
  • プロフィール画像
  • アイコン画像 ニックネーム:y75rfwy
読者になる
2014年01月
« 前の月  |  次の月 »
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
最新コメント
ヤプミー!一覧
読者になる
P R
カテゴリアーカイブ
月別アーカイブ
http://yaplog.jp/y75rfwy/index1_0.rdf