いつもの居酒屋のはなし。 

July 05 [Thu], 2012, 17:50

飲みにいこうと誘われりゃ、応えてあげるが世の情け!
常連ガールは瓶でと頼みゃあ麒麟が出るのさ。

いつかの土曜日。
仕事を終えて馴染みのラーメン屋で夕飯を済まし、家で一息付いたころに携帯電話が震えた。
『飲み行こ!』
満腹ではあったが、突発的な飲みは誘うのも誘われるのも大好きなので返事は勿論『いいよ!!』だった。
約一時間後にJR西荻窪駅で待ち合わせをし、そのまま私がよく行く南口「戎」へ。
西荻窪の戎と言えば、西荻窪に立ち寄ったことのある人ならば全員が知っているだろう番長的な居酒屋だ。
西荻窪南口、北口に店を構える他、お隣吉祥寺にはビアホール、新橋・川崎にも支店を出しているらしい。
戎は焼きものが安くて美味しい(90円/本 〜)のだが、刺身も日替わりメニューも退かず旨い。
中でも私のお気に入りは煮込み豆腐だ。来店の度に注文をする。
モツの臭みが苦手だった私は、ここで食べてから大好きになった。よく味の染みた豆腐とモツは独特の臭みがなく、脂っぽくもなく、するするといけてしまう。
友人は戎は初めてだったので、最初は私が煮込み豆腐と大根皮キムチを注文した。麒麟の大瓶でまずは乾杯。

その友人とは元仕事仲間だ。
向こうが辞めてしまったのだが、趣味や性格がよく合い、今もこうしてたまに会っている。
最初の近況報告もそこそこに、音楽の話、歴史の話、政治やマスコミの話……話題はころころとよく移り、そして絶えない。
無論合間に飲み物食べ物の補充は忘れず、店名を冠した日本酒「戎」や期間限定らしい「夏みかんハイ」を飲みつつ、串ものに舌鼓を打つ。

「私たちは発表しなくちゃいけないんだよ」
彼女は真っ赤な顔で言った。
適度にざわついた店内でも彼女の声はよく通る。
「例え作品が自己満足だろうと、発表して誰かに評価してもらわないと何も始まらない」

色々と夢破れた私に、書くことの無意味さを考えていた私に、文筆家になりたかった私に彼女はそう言った。
なんでもいいから書いてみろと。

そうして私は今、これを書いている。
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