一日の終焉 

2006年02月23日(木) 19時03分
太陽が地平線から別れを告げ、
古びた壁を美しく彩っていた赤が失せる。
紺色だった空は、いつしか黒々とした夜の空気を渦巻いている。
耳元では、数匹の蚊が断続的な羽音をうならせ、
足にも首にもまとわりついているんじゃないかという
不安が、背中から首筋に這いずりだしてくる。

その、甲高い悲鳴のような羽音の合間に、
私は野太い力の或る羽音を認識した。
2cmほどのコフキコガネが、
公園の隣にある一軒家の横にひっそりとたたずむ桜の木の周りを、
ぐるぐると飛び回っているのだった。
私はむしろコフキコガネがどこに止まるんだろうということに、
期待と疑問の入り混じった苛立ちを憶えた。
もし、コフキコガネがすぐにどこかに止まってくれたのなら、
私は安堵とも失望ともとれる終焉を見たであろう。
ところが、コフキコガネは、ふらふらと舞いながらも、
ただ木の周りを回り続けているのであった。
止まろうとしてみて、止まらない。
震える羽の、木の葉にかする音が、
断続的にはかない期待を生んでは新たな不安をもたらした。
私は次第に、旋回する音と夜の空の流動と、
着実に針を進める公園の時計との狭間にあって、
自分の意識も空を舞い、とらえどころのない
孤独とすさみを増大させていくのを薄々感じていた。

ふと、どこかの家の夕食の香りが、
蒸し暑い夏の風にのって流れてきた。
帰りたくなった。

鍵盤を叩きたい 

2006年02月18日(土) 3時24分
鍵盤はじくみたいにさ、
いつも何かの音が、
響いてくれたらいいのにな。
楽しいときは鍵盤の上を踊ってさ、
切ないときは涙が、高い音のキーを叩くんだ。
そして、落ち込んだときは、
思いっきり低い音の上をふんずけてやるんだ
どーーーん
ってさ

電車からの一景 

2006年02月18日(土) 3時23分
その日私はいつもの通りの電車に乗り込み、
時刻表のように決められ、
いつしか人身事故でもおきて、
自分の天に定められたともいえる流動に、
終止符を打ってはくれないか、
むしろ狂ってはくれないかしら、
と無意味な期待と不安を弄んでいたのでした。
電車の中の疎外的な空気は、
他と他を押し合いへしあいつぶしあう割りには薄れることなく、
むしろ濃密な人間の温度と同等の排他意識が普遍的にあるのでした。
これほど密接している人間達の心が、
本当はいかほどに離れているのだろう、
という矛盾を痛感せずにはいられない。
私はそんな排気ガスに着色されたような面面と対峙
することに、いささかの嘔吐感を憶えたので、
つい、と外をみてみることにしたのでした。
すると、外には沢山のビルが並んでいました。
予想したのと同じ情景が広がっているのでした。
ビルの壁面はひかりにあてられ、
そのねずみ色の肌を一層死の色と共に、
誇張していました。
しかし、自分の目はどう狂ってしまったのでしょう。
唐突にそのビルが、ぽっかりと口をあけて自分に笑いかけてきた気配を感じたのでした。
実際ビルたちは笑っていました。嘲笑ともとれるにやけ。
ひしめく沢山のビルが、妙になまぬるい微笑を俺に!
ビルだと思っていたのは、窓ガラスに映った、
列車内の死人たちなのでした。

草食 

2006年02月16日(木) 0時34分
自然の残された場所で、
少し行き辛いような茂みに分け入り
やわらかい地面を探してみると
春先にはきまってふきのとうがあります
可愛らしく整ったつぼみを土の上に、
まるで一つの宝石のように輝かせています
存在を主張する一つの緑は、
確かにこれから伸びゆく力を蓄えているだけあり、
特有の幸せを、見つけたもの、
摘んで行くものに与えます。
ふきのとうは、薄い緑がやわらかく
苦味が 春の味を思わせる
香りのいい 野の草
ちなみに、個人的に、
ふきのとうは味噌にするのが好きで
お味噌汁の具にしたり、
もしくは、摩り下ろして生味噌に混ぜ込んだりします。
春の味は、これからのびゆくふきのとうには
少し残酷ですが、美味しい。

ちなみに、菜の花も好き
菜の花は、粉を吹いた硬そうな茎の割りに、
似てやると淡い緑が冴え、
茎は歯切れよく、ほろ苦い青い香りが、
これまた春を思わせます。
つぼみの部分と、葉の部分の旨さが違うのも、
特筆すべきでしょう。
こうして、部位の違う緑を味わうことができます。
菜の花のお気に入りは、
おひたし。茹でても形が崩れない、
それでいて歯切れのいい新鮮な菜の花。
ぎゅっとしぼってやって、
醤油をかける。
これに尽きます。

月との会話 

2006年02月12日(日) 1時37分
なぁ、お月さん
なんで君は今夜
薄い雲を通して俺を見るんだい?
こんな透き通った空気の中でさ、
わざわざ、
そんなスリットを通す必要はあるのかい?
それとも、
目隠しをしなきゃいけない汚点でも?
もしくは、悲しさに顔を覆っているの?

空気が澄んでいる
人気が薄れている
夜の静けさの中
何故君達は
街灯をつけるのか
空には星星があり、
私があるのに
なぜ、自分たちで明かりを作ってしまうのか
そんなにも巨大で、
無機質で、
人工的な街灯という光を

中途半端に明かりがあると暗く感じるんだ
それに、例えばもし、
街頭も町の明かりも、
一切の光がなかったら、
君は一番明るいかもしれない
空の中でね
でも、それでいいのかい?
本当に、一番の明るさがほしいの?
今、街には沢山の明かりがあふれてる
そんな中で、貴重だった君の光は
いつしか目を向けられなくなってるのかもしれないね
でも・・・

その昔、人は私をみて数々の物語を作った
私は月 乾いた、命のない球体
しかし、そんな私は、
人によって「月」という名をさずかり、
神秘や逸話から夢という命を吹き込まれた
私は不安だ
今、空は命を失おうとはしていないだろうか
文明の発達で、
多くの夢物語が朽ち果てていくように
人が空を見上げて物思いにふけらなくなるように
確かに、私のような巨大な存在は
君が言ったようにおごりを持ってしまって
盲目的になることもある
だけど、
そんな私でも、
この空気の澄んだ夜にだけは
人々の夢を育んだ正直な明かりをとどけられるんだけどな

そうだよね、
だからきっと、
こんな静かで、空気が張り詰めて、
コンクリートの地面が硬さを増したような夜にも、
なんだか穏やかな平穏があるんだよ。
それでいいじゃない、
やわらかく、世界をつつんであげれば
青い光で、黄色い光でさ
鍵を落とした人がいたら照らしてやればいい
空を見上げる人がいたら、黄色く微笑んであげればいい
目に付いたとこに明かりを届けてあげて
誰にも彼にも、世界中を照らして
世界中から感謝される必要なんてないんだから
君はまだまだ
人の心にいきてるよ
この夜の平和を守り続ける限り
その光に思いがある限り

昔話考 

2006年02月11日(土) 13時47分
そういえば、ふと思った、
昔話はなぜ童話なのだろう、
アレは小説にしても、面白いんじゃないか。
たとえば、桃太郎。
これに、葛藤なんかを入れてみる↓

 桃太郎は心のうちにあるざわめきを沈めようとしていた。
 おもえば、今までの15年間、
 自分は心のうちに生誕から宿る、運命的な義務感のために
 鬼退治を決意してきた。
 これは何か分からない。しかし心の奥底には、
 絶えずその日を待ちわびる確信があるのである。
 鬼に立ち向かわずして、死ぬことはできぬのである。

 鬼退治にでかけることはそれだけで死を意味する。
 過言ではない。
 それなのに、自分は愛すべき育て親を 置いて、
 命がけの試練に身を投じようとしているのか・・・。
 ここまで育ててもらった大切な身を、
 こんなにも根拠無しに散らせてしまっていいのだろうか。
 確かに、他の人間を置いては、鬼に立ち向かえるのは
 自分しかいないかもしれないだろう。
 しかし、一体どこの誰が、俺にこんなにも
 つらい宿命を背負わせたのか。
 桃から、俺は天使として生まれた。
 しかしそれがこれから、幸せな結末を迎えるとは、
 到底思えないのであった。
 
とか言ってみたり、

 「いや、君を連れて行くわけにはいかないよ。
  俺は、他人を己の危険な旅に巻き込むわけには
  いかないんだ。」
 桃太郎は、黍団子をくれたら一緒に旅をすると申し出た
 キジに向かってこう言ったのである。
  「むろん、きびだんごの為なんて、持っての外だよ、
  ほら、こんなものは持っていったらいい。」
 彼はいくつかのだんごを、キジに渡そうとした。
 しかし、キジはその言葉を遮ってこう言うのである。
 「いえ、本心を申し上げれば、きびだんごのために
  天より授かった命を賭けることはいたしません。
  ただ、私もうまれ持った日から今日まで、
  何かのために身を賭する身と信じてまいりました。」
 これを聞き、初めて桃太郎は「そうか」と微笑し、
 「なら、私の旅路の友のだんごも、君に力をあたえてくれる
  だろう。」と一掴みの団子をにぎらせました。

みたいに、単純な挙動に味を持たせたりして、
あ、これ面白い(笑)
今度は童話に手をつけて、
いろんな葛藤をつけた小説でもつくってみるかな(笑)

早起き 

2006年02月11日(土) 13時46分
朝早く目が覚めてしまったので
たまには早朝の空気でも吸うかと
窓を開けてみた
空気は冷たいけど、
冷水を飲むような爽快感
朝日、
今まだ強すぎない日光も、
今日の朝の始まりを予感させる

遠くに、粉砂糖をかけられた
富士山がみえる
富士山は、昔不死山とか、
不ニ山とか書いたらしい
俺は『不死山』が好き

由来はかぐや姫。
天に帰る前に、かぐや姫は帝に「不死の薬」
を残すが、
「かぐや姫のいなくなった現世に生き続ける未練は無い」
とその薬を富士山の火口へ捨てた。
だから、富士山はずっと活火山なんだ、
という物語。

オランダに行っている間、
夢があった。
それは、富士山を見ること。
富士山を見たときだけは、
オランダ大好き人間の俺でも、
望郷の念で泣くだろう、って、
不意に思った。
理由は分からないけど、
なんだか、和の尊厳がありそう。
そのまま浮世絵なんかにできそうな形してるしね。
富士山には、そんなわけで、
絵として死んで欲しくない。

ラジオごっこ 

2006年02月08日(水) 2時12分
ラジオYablog~♪

ゆ〜き〜の〜ふ〜る〜よ〜は〜♪
たの〜し〜い〜ぺ〜チ〜カ〜♪

<語り口調>
なんだか・・・静かで、
それでいて、うっとりするような夢が見れそうな、
そんな空気の澄んだ夜。
みなさま、こんばんわ。
私、司会を勤めさせていただきます、Ker、
そして、今夜も冬の香をお届けするジェーンでございます。

ジェーン:
二月の気になる行事と言えば、バレンタインデー
最近はね〜、デパートもバレンタイン一色で。

Ker:
そうですね、女の子の季節っていいますか、
でも、実際いちばんわくわくしてるのは、
男の子の方だったり、するんですよね。
ジェーンさんは、今年は何か、されるんですか?

ジェーン:
あ、い〜いこと聞いてくれますね!
私はねぇ、こ・と・し・は、すごいですよ〜
自作のね、チョコレートケーキ、作ろうと思ってるんです〜

Ker:
手作り、って愛情、っていう印象ありますもんね〜
セイント・バレンタインのシンボルにぴったりですね。

ジェーン:
そうなんですよ〜、
それに、作る楽しみ ってのもありますしね。
じゃあ、さっそく簡単なチョコレートケーキの作り方、
紹介しちゃいま〜す。
<<以下省略>>

Ker:
へぇ〜、意外と簡単にできちゃうもんなんですね〜

ジェーン:
そうなんです〜。
それに、材料もね、
今年は手作り、At homeっていう流れですから、
充実してきてますしね〜
皆さんも是非!おためしください><
寒いときには甘いもの!

Ker:
なんだか、とろけるあまさって、癒されますね。
僕は今夜は、ほっとココアでも飲んで寝るとします。
でわ、みなさま、ごきげんよう。
そして、おやすみなさい。

ラジオYablog~♪


って、俺何を書いているんだ、
どうも今日の空想は、
おかしな方向に進みがちだぜ(笑)
まぁ、いいか、これはこれで、
悪くないできだし、そのまま残しておこう(^^)

エビフィレオ冒険記<後編> 

2006年02月06日(月) 21時25分
俺の冒険も半分が無事に過ぎ去ろうとしていた。
幸せなことだ、この物騒な社会の中、
これほど順風満帆な道中も珍しい。
家の扉をあける。
あまりに焦って、エビフィレオのために
ドアを蹴りやぶったことは秘密にしておきたい作者Kである。

McDonaldの袋をそっとテーブルの上に置く。
心臓が高鳴っている。手が震えている。
武者震いって奴だ。
ルパン三世だって手に入れることの難しいエビフィレオだ、
俺はその質感を存分にあらわす、
ハート印の容器を、
まるで宝箱をあける海賊のような気持ちでそっと開けた。

 「キャプテーーーーン!!俺たちにも食わせてくださいよ!!」
 「うるせぇ!」(どぉん)
 「ふっ、小物が、エビフィレオは俺だけのものなんだよ、
そうだよな、えびちゃん(はぁと)」

分けの分からない妄想が始まったが、
それはまたいつかどこかで遠い記憶の彼方で
話すことがくるわけもないけどね(あれ、文法おかしいね)

神々しい、神々しいよ、
このふくよかなパンのふくらみ、
中から自然にはみ出す新鮮なレタス。
そして、その中にあるタルタルソースは、
ピクルスの酸味をアクセントとし、
まろやかな味のエビコロッケと絶妙なシンクロを奏でる。
エビを惜しげなく使った、
ぷりぷりの感触、
マックにしては優しい味だ。

そうして、俺は至福の三分間を過ごした。
「これだから、旅はやめられねぇ・・・・
今度は、どんなロマンを追いかけようか・・・!!」
そんな漫画のような台詞を、
俺はあさっての太陽に問いかけた。

データ:Out of 100
     エビフィレオ:美味度 70
            健康度 90
           不健康度 10
            満足度 80
      もう一回食べたい度 60
            刺激度 20
            優しさ 100     

エビフィレオ冒険記<前編> 

2006年02月06日(月) 21時23分
春休み、
平凡な毎日をつれづれなるままに過ごし、
とりわけ美味しい春のお菓子にもまだ出会わぬ今日この頃、
俺は一大決心をして、旅に出ることにした。
そう、今天に昇るがごとく人気を誇る、
えびフィレオ(とえびちゃん)に出会うために。

俺を見送る人々に手を振りつつ、
俺は冬風の中に身を躍らせた。

道祖神に挨拶を交わしつつ、
北風小僧を唯一の旅仲間とし、
俺はあるいていく。
そうして、気がついた頃、
俺はMcDonaldsの前に立っていた。

なんと壮大な店舗なのだろう、
天にそびえるMの文字は、
黄色く神々しい、
その下で、少年少女が楽しげにハッピーセットを楽しむ。
この様は、民に平和をもたらし、
永劫の平和を完成させた将軍家康公を拝むようだ。

一礼をし、最近流行であるらしい自動ドアをくぐる。
「いらっしゃいませ」
決まり文句だが、
コレに文句を付けては文句に文句なのである。
重複語なのである。
分けわかんなくなってしまうのである。
しつこいのである。
わがはい中華人なのでアル。
・・・・・・・・・

俺はこれにさわやかなスマイルを(心の中で)返す。
おっと、俺を無愛想な男だたんて思わないでくれよ。
ちゃんと言い訳はあるんだ↓
 拙者武士であるからして、歯を見せて笑っては士道不覚悟、
 切腹を召さなければならなくなる。
 待てよ、もしそうなら、腹を切るのはエビフィレオを食べてからだ、
 でも、そうしたら腹を斬ったときにエビフィレオが出てきて、
 非常に気持ち悪い、やはりさわやかに笑うわけにはいかない。
こんなわけである。

とにかく、日本文化の礼儀作法の一つである、
「スマイルを一個注文すること」を忘れず、
遂にあの、皇帝ナポレオンですら口にすることの出来なかった
エビフィレオを注文した。
俺はついに手に入れたのである!
あの伝説の宝玉、『エビフィレオ』を!!

   
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