米アップル、ヨーク氏の死で取締役会のバランスが問われる 

March 26 [Fri], 2010, 0:58
 米電子機器大手アップルの取締役、ジェローム・ヨーク氏が先週亡くなったことによって、また一人「物言う取締役」が減った。これにより、同社の取締役会規定との整合性や強力な存在感を放つスティーブ・ジョブス会長兼最高経営責任者(CEO)に対する取締役会のチェック能力について新たな懸念が浮上している。

 ヨーク氏は、米自動車大手クライスラーや米コンピューター大手IBMの最高財務責任者(CFO)を歴任し、アップルでは12年間にわたって取締役会の監査委員会委員長を務めた。死因は脳出血。71歳だった。

 ヨーク氏の後任探しの期間や、後任を据える予定があるかどうかさえも、まだ明らかになっていない。後任探しを人材紹介会社に依頼してはいないという。こうした会社によると、アップルは通常、独自のコネを利用して人材探しを行うことが多いという。この件に関し、アップルの広報担当者からはコメントは得られなかった。

 アップルの取締役会に詳しい筋によると、ヨーク氏はアップル社内で監査やコーポレートガバナンス(企業統治)の問題に関して比較的権威ある人物とみなされていたが、あまり意見を多く述べる方ではなかったという。

 だが、ジョブス氏の病状をめぐる情報開示については、極めて強い意見を有していたという。ウォール・ストリート・ジャーナルが昨年行ったインタビューでヨーク氏は、09年1月にジョブス氏の病状の深刻さを伝えられたとき、辞任しかけたと語った。ヨーク氏は、ジョブス氏が本来ならもう3週間早く自らの健康問題について公に開示すべきだったと感じていたと述べた。

 アップルの社内規定では、監査委員会には少なくとも3人のメンバーが必要で、そのうちの少なくとも1人は「財務または会計分野での職務経験、会計分野の必要な専門的資格、または、それらに代わる相応の職歴」を有していなければならない。

 ガバナンスの専門家によると、アップルの現在の取締役の中には、監査委員長にふさわしい財務の深い専門知識を有しているものはほとんどいないという。

【3月25日15時15分配信 ウォール・ストリート・ジャーナル
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100325-00000302-wsj-bus_all