出会いがお付き合いに発展するときのポイントは

October 21 [Mon], 2013, 14:44
、俺の美春が、今まさにあの男とナニを」
 いくら兄妹だからってそんなことあからさまに言うな!
omega スピードマスター

「お兄ちゃんショック。汚れなき清純な妹がついにヤラれちゃったら、これから何を楽しみに生きていけばいいのやら」
 処女の妹を見るのがそんなに楽しかったのか。やっぱり変態だ。
 ふたりの温度差は開く一方だったが、それには気づかないのか切なげな目で訴える。
「明日は『ショックを受けた兄に一日付き合う心優しい妹』になるよな?」
「ごめん、明日も達也さんと約束してる」
「俺よりあの男を取るのか。俺たち兄妹の絆は、海よりも深く山よりも高く宇宙よりも果てしないんじゃなかったのか」
 そんな大げさな。……ああ、また麗しき兄妹愛の妄想に浸っているな。
 このままではますます面倒くさくなると思い、折衷案として次の週末の約束をしたのだった。


 虚ろな目で納豆をかき混ぜる兄に、行ってきますと声をかけて部屋を後にする。そのとき悲哀に満ちたつぶやきがかろうじて耳に届いた。
「……育て方を間違えた……」
……そんなにショックだったのか。ごめん、あんちゃん。
 でもこれで兄も達也さんとのことは認めざるをえないだろう。既成事実を前にしてはひとり反対を貫いても意味がない。少しずつでも受け入れてくれたら……ついでに変態が治ってくれれば万々歳だ。
 きっとこうやって物事はなるようになっていく。いろいろあっても良い方向に。
 マンションを出ると穏やかな春の風が頬に当たった。生まれ変わったみたいな気分でいる私にはそれすらも新鮮だ。

 いつもの道。いつもの改札口。車内で見かけるお馴染みの顔。
 私が変わったことを知っているのは私だけなのに、視線を意識している自分はバカじゃないかと思う。でも同僚たちはどうだろう。敏い人にはわかってしまうものなのかな。そしたらまたいじられるんじゃないだろうか。誰にも気づかれないといいけど。
 しかしそれは結局取り越し苦労で、彼らはあっけないほど先週と変わらなかった。
オメガ アクアテラ
 それもそうか。何かが劇的に変わるというものでもないのだろう。そわそわと気にしていた自分はやはり愚かだ。
 ただ藤田さんだけは「手作り弁当、喜んでくれた?」と訊き、更に「弁当だけじゃないみたいだね」と続けて、私を赤面させた。

 やがて朝の会議が終わり次々とやってくる上司たち。達也さんと一瞬目が合い、それだけのことで心が光彩を放った。ゼロになったふたりの身体の距離がアイコンタクトに彩りを添える。今までよりも艶色がかって濃密に。私たちにだけ見えるはずのしるし。
 でも杏子さんからのメールで、見える人には見えるのだと嫌でも気づかされた。
《視線がねっとり絡み合ってる! ついにいただかれちゃったか(涙)》
 藤田さんと杏子さんはすでに私たちのことを知っているから、ピンとくるものがあったのだろう。しかしそうでないはずの人が一人、さりげなく言及してこちらを驚かせた。とはいえ彼の場合、いつもの挑発である可能性の方が高いのだが。

「あれあれ瀬尾くーん、何かいいことでもあったのかなあ? すっきりと憑きものが落ちたみたいな顔してるねぇ」
「今まで私には何かが憑いていたみたいな言い方は心外ですね。まあ春ですから自然と心も浮き立ちますよ」
「ふーん、春が来るとそんなに解放感溢れる顔になるんだー。瀬尾くんも案外普通の男だねえ」
「冬が長かった分、春が来た喜びもひとしおというわけですよ。社長の方こそそういう普通の幸せにもっと目を向けられてはいかがですか、ゴルフばかりではなく」
「ゴルフのお陰で僕は年中幸せだけどー、無趣味な君は未来永劫春がいてくれた方が幸せになれるんじゃないかな?」
「春にも都合というものがあるでしょう。どうぞ私のことはお気遣いなく。スコアを伸ばせないと幸せも逃げていきますよ?」
「楽しい冗談だねえ。僕のスコアを知って言ってるのかな、それは?」
 

 私たちの関係を知るはずのない社長にそれとなく匂わされたことで
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