馬鹿にしている

April 26 [Tue], 2011, 17:47
その木に隠れるようにして、カリーナとファセランの様子をうかがっている。
「あの王子、歯の浮くような台詞を、よく恥ずかしげもなくぬけぬけと言えるものですねえ」
 呆れたように、のぞく男の一人――ルーディが、目をすわらせている。
 呆れるというよりかは、あの王子≠馬鹿にしているふうさえある。
 よく、あのはちゃめちゃ姫を口説こうという気になったものだ。
 よほどの物好きか、単なる馬鹿か……とでも言いたいのだろう。
「まったくだよ。姫に取り入ろうとしても、そうはいかない」
 がりっと幹に爪をたて、もう一人の男――カイが、いまいましげにはき捨てる。
「いや、カイ。それは、君の勘違いですよ」
「何だって? ルーディ」
 ルーディは、ファセランに向ける眼差しそのままを、横のカイへ向ける。
 瞬間、ぎらりと鋭いカイの視線が、ルーディにつきささる。
 けれどルーディは、その視線をさらりとかわし、楽しげににやにや笑い出した。
「勘違い勘違い。カイの目は節穴ー。盲目すぎます」
「姫は世界一かわいいんだよ!」
 けろりと貶めていくルーディの胸倉を、カイはがしっとつかみ上げる。
 いまいましげに、ルーディをにらみつける。
 胸倉をつかむカイの手をぽんぽん叩きながら、ルーディはにたりと笑った。
「あー、はいはい。では、そういうことにしておきましょう。――美しいではなく、かわいいね、かわいい。……くすくす。本当、カイは正直ですねえ」
 そう言いながら、ルーディはあっさりとカイの手を胸から放していく。
 カイは、何故だかとっても馬鹿にされたような気がして――気がするどころか、間違いなく馬鹿にされているのだけれど――その場で悔しそうにじだんだを踏む。
 そしてまた、がしっと幹にしがみつき、カリーナたちがいる東屋をにらみつけるように見つめる。
 カイの背では、ルーディが困ったように肩をすくめた。

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