優しく両手で包む

October 03 [Thu], 2013, 15:36
淡い光の灯ったそれをラズはテーブルの上に転がした。
「じゃ、僕はもう休むからね。鼾なんかかかないでよ、アトラス」
ラズはテーブルに上って横になると、
アトラスに背を向けて悪態をつきながら目を閉じた。
「へいへい……」「アトラス、私も椅子で……」
アトラスは気遣って声を掛けるチプリへそっと耳打ちした。
「お前はラズの側で寝てやってくれ。手を繋いでやると、
少しは寝付けると思うんだ」
アトラスの台詞に疑問を感じながらも、
目で頼むとお願いされればチプリは黙って頷いた。
ゆっくりとラズの側によってチプリは静かに声をかけた。
「ラズ、手を繋いでもいいですか?」
薄く目を開けたラズは訝しげにチプリを見つめる。
なんで?
「暗いから怖くて眠れないんです。
そういう時は人の体温を感じているとよく眠れるんです……」
チプリが苦笑しながらそう伝えると、
上半身を起こしたラズは体をずらしてチプリが眠れる場所を作った。
そしてまた寝転がって片手をテーブルに沿わせて差し出した。
「こんな堅い場所じゃどっちにしても眠れないけどね。
本当に情けないね、君」
「ふふ、ありがとう。おやすみなさい」
空けられたスペースで膝を曲げて横になったチプリは、
ラズの小さな手を優しく両手で包むと目を閉じた。
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