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電子書籍をフリマで対面販売する「電書部」が目指すものとは(前編) / 2010年07月08日(木)
 KindleやiPadの登場によって電子書籍が脚光を浴びる中、これら電子書籍端末をターゲットにした新時代の出版の実践例として、ある団体が注目を集めている。大ヒットゲーム「ぷよぷよ」の作者であり立命館大学映像学部教授の米光一成(よねみつ・かずなり)氏が発起人を務める「電子書籍部」がそれだ。

【拡大写真や他の紹介写真を含む記事】

 同氏が講師を務める宣伝会議の「編集ライター講座・プロフェッショナルライティングコース」が母体となって発足した部である。

 2010年5月に行われた、コミケの文学版ともいえる同人誌即売会「文学フリマ」では、15冊の電子書籍を投入。対面販売というユニークなスタイルで、わずか1日にして1453冊を売り上げるという快挙を成し遂げた。同部ではこの文学フリマでの成功を経て、来る7月17日には電子書籍限定の即売イベント「電書フリマ」を開催する。同部の活動について、「部長」である米光氏に話を聞いた。【山口真弘,Business Media 誠】

●電子書籍なら、自分が書いたテキストが、会った人にぱっと渡せる

誠 Biz.ID 最初に、前回(2010年5月23日)の文学フリマで、電子書籍メインで出店するに至った経緯を聞きたいのですが。

米光氏 ぼくは文学フリマの第1回と第2回に出店したんです。で、その後は出てなかったんですね。

誠 Biz.ID 先日の文学フリマが第10回ですから、かなり間が空いていることになりますね。

米光氏 ええ。紙で作って、運んで、みたいなのがけっこう大変なんですよ。それで、まあ、出なくなってた。売り切れたら近所に行ってコピーしてくるぐらいの感じだったんだけど。それでもめんどうで(笑)。

誠 Biz.ID なるほど。

米光氏 それで、Kindleが日本でも買えるってことで買ったら、すごい!  使ってみてようやく「わ、これは、世の中変わるな」って実感が出てきた。

誠 Biz.ID 文学フリマにあらためて参加されたのは、Kindleありきだったというわけですね。Kindleのどのへんがすごいと思われたんでしょう?

米光氏 めんどうじゃない(笑)

誠 Biz.ID わはは(笑)

米光氏 例えば、文学フリマに出ると仮定すると、自分がめんどうだと思った部分がほとんどなくなるなーと。(本を)たくさん作ると重い、印刷に出さないといけない、印刷に時間がかかる、どれぐらい部数が出るか予測しないといけない、あまると部屋に自分の本が山ほどたまる、そういったことがなくなる。や、それよりも、直感的に思ったのかな。あ、これって、自分が書いたテキストが、会った人にぱっと渡せる。

米光氏 2つの方向ですごいと思ったんです。1つは、ぱっと渡せる、すぐ手渡せるすごさ。印刷所も何も通さずに自分から相手に手渡せる。もう1つは、渡したい人に向けて渡すことも可能だと。ぱっと発表できるという意味では、ブログやWebでもいいわけですよね。アップすればすぐに読んでもらえる。でもブログを書くときって、雑誌に原稿を書くときよりもなんだかぼんやりとするところがあるんですよ。ぼんやりというか、ちょっと息を詰めて書いている感じ。それは読む人のトーンが分かりにくいから。雑誌ならその雑誌のトーンがあって、そのトーンの人が読者層であると。

誠 Biz.ID ブログだと不特定多数が相手になるから、内容を絞り込みにくい、ということですね。

米光氏 ええ。ブログやWebってそうじゃない人も読む可能性が高い。自分のブログなら自分のブログのトーンの人が読んでるけれど、リンクされたりして後から思わぬ人が読むこともある。例えばぼくのブログで「『アンチオレンジレンジ』サイトが『オレンジレンジファン』サイトになってる理由」ってのを書いたんですね。ぼくのブログのトーンを分かってる人なら誤読しないとは思うんですよ、あんまり。でもコメント欄を見てもらうと、途中から若い人のコメントがすごい勢いでつきはじめる。夏休みになって、しかもその頃人気だった「オレンジレンジ」で検索すると、どうやらぼくのブログがわりと最初のほうに出るらしくて。

誠 Biz.ID 確かに、途中から層がちがっちゃってますね。

米光氏 「米光VS中学生?コメント欄が荒れていく」にもまとめてますが、途中から、これが米光という人がやっているブログだということも分かってない中学生のコメントが連投されちゃって。炎上! このときはこれはこれで新しい体験で楽しかったのですが、まあ、思わぬところに飛び火する。

誠 Biz.ID なるほど。

米光氏 ブログでよく「これはわたし個人の意見ですが」とか、エクスキューズをつけているのを見るし、ぼくもつけてしまうことがあるんですが、それだと書く自由さが少し削がれてしまう。そういうふうに誰もが読む前提で書きたい文章もあるけど、そうじゃない文章もある。トーンが伝わることを前提に書きたいこともある。

誠 Biz.ID こういう展開が前提だと、最初にエントリを書く段階からいろいろ配慮しなくちゃいけなくなってきますよね。

米光氏 「あいつ莫迦だよなあ」っていうのが、悪口じゃなくて親愛の情であることが、遠慮せずに書いて伝わるときの書き方と、そうじゃない人も読む可能性があることに怯えて「あいつ莫迦だよなあ(もちろんほめ言葉)」ってカッコをつけて注釈しないといけない書き方だと、内容や伝えることすらも変わらざるをえない。めんどうなだけならいいけど、その注釈のせいでコミュニティの一体感が削がれてしまう。オフ会で親密な話をしようとしている場が、見知らぬ人にのぞきこまれているような気を使う場に変わってしまう。そう考えると、新しい選択肢としての電書ってすごいな、と。

 電子書籍部では、手掛ける電子書籍を「電書」と呼ぶ。「籍」の字が入ると重くなることから、もっと軽い感覚で、とつけた造語だ。「回覧板とか子供が作るオレ新聞ぐらいの軽さも可能だよ、っていう意味で電書って呼んでます」(米光氏)

●電書だからできる、顔が見えている人に向けているテキスト

米光氏 仲間内だからできる表現とか対話ってあると思うんですね。ある特定の疾病に苦しんでいる当事者たちの会だとか。そこでの対話はオープンなネット上にあげにくいし、Ustreamで中継しないと思うんですよ。そうじゃないほうがみんなが対話しやすい。仲間内だからできる。一定の共通認識だったり、共有できる空気感だったり。

誠 Biz.ID 前提があるからこそ誤解を受けない、正しく伝わる内容。

米光氏 うん。それなしに、「発表するときは常に全世界に!」っていうのは、つらい。

誠 Biz.ID そうした意味で、ブログなどとは違う媒体として、電書を選んでいると。

米光氏 例えば、今度やりたいと思ってるんですが、トークイベントで電書を出す。質疑応答とかそういうのを軸にして。で、その対話をポメラかノートPCで同時に入力していくんですよ。そうしたらイベントが終わったときに、会場に来てた人にそのイベントの記録を電書として持って帰ってもらえる。帰りの電車の中で、自分が質問した言葉が入っている本を読むことができる。それはおもしろいだろうなーと。

誠 Biz.ID 興味深いですね。

米光氏 同時に入力していってるから、きっとそれってけっこう粗いテキストなんですよ。イベントに参加してない人だと誤解したり、意味不明だったりする文章になってる。でもイベントに参加している人が読者だったら、意味不明にならずに届けられる。例えば「あいつ莫迦」って言ってるのが、どういうニュアンスか描写してなくても、イベントの記憶があるから、粗いテキストでもいい。帰りに読めるという同時性を優先できる。それって電書だからできることのひとつだと思うんです。

誠 Biz.ID なるほど、空気感をそのままテキスト化するという。

米光氏 誰が読むのか、顔が見えている人に向けているテキストとでもいうか。のっぺらぼうの誰かに向けるんじゃないテキストを流通させることができるなーって、Kindleを使ってみて分かってきたんです。

誠 Biz.ID 先の文学フリマで用意していたFAQでも、ネットで買えませんか、買えません、という想定問答があったかと思うのですが、そうした流通を意図しているのであれば、現地販売にかぎるというのも自然な結論なわけですね。

米光氏 いやー、ネット販売もできればできたでいいんですけどね。

誠 Biz.ID (笑)

米光氏 まずは、まあ、そういうことだから、対面で販売してますって感じなんですね。

●電子書籍部なら、ライティングから校正から編集から本屋から、全部体験できる

誠 Biz.ID 前回の文学フリマはどのような体制で運営していたんでしょうか。ブログを見るとスタッフ数は約32名と書いていますが。

米光氏 宣伝会議でぼくが専任講師をやっている「編集ライター講座・プロフェッショナルライティングコース」という講座があって、そこで電子書籍部ってのをやるよーって言って始めたんです。その講座は座学中心じゃなくて実践的な講座で、そもそもその講座をやるのも電子書籍部をやるつもりだったんですね。電子書籍でライティングから校正から編集から本屋から、全部体験できるじゃないかと。しかも、未来の!

誠 Biz.ID それが前提にあっての講座だったんですか。

米光氏 ええ。講座をやるときには、これで講座が意義あるものになるなって考えてました。で、部活なのでやりたい人だけやる、というか、ぼくの講座は基本そういうスタンスなんですね。やりたい人がやりたいことをやる。というわけで、部員の正確な人数が分からない(笑)

誠 Biz.ID わはは。

米光氏 やりたいって入ってきたけどなんにもやってない人もいるだろうし、いつのまにかチラシを作ってる人もいる、講座生じゃない人も参加している。やる気のある人に対していつでも参加できるように門戸は開いている。そんな感じなので、32人っていうのも、それぐらいかなーって感じです。

●PDFとかEPUBって、読者である場合は知らなくてもいい

誠 Biz.ID 技術的なお話についてですが、メールで送られてきたURLの中から、PDFやEPUBを各自で選んでダウンロードするという形式に行き着くまでいろいろと試行錯誤もあったと思うのですが、いかがですか。「買ったけど読めない」という不安を払拭するために最大限配慮してるように思えたのですが。

米光氏 買うスタイルが変わっちゃうので、そこは戸惑わせないように試行錯誤しました。新しいことなので分かりやすくしないといけない。ちょっとでも分かりにくいことがあると不安なんですよ。電書に興味がない人も来てほしいと思ってたんですね。「紙の本ならいいのにー」ぐらいな、内容がおもしろそうだから買いにくる人にも来てほしい。そうするとなるべくシンプルにしないといけない。PCで接続してデータを移動させるって手もあるけど、人の機械に何かを抜き差しするのって、やるほうもやられるほうも案外不安なんです。実際にやってみたんですけど、どうも感覚としてやりにくい。

誠 Biz.ID ケーブル直接続という販売スタイルも試したと聞いたのですが。

米光氏 そうです。実験的にやってみたんです。そうすると、例えばKindleだと、相手のそれまでに買った本のタイトルがこちらのPCから見えちゃう可能性もあるとか。抜き差しするときに案外怖いとか。壊しそうな感じもしちゃうんですよ。

誠 Biz.ID 確かに、そういったことはやってみなくちゃ分からないですよね。

米光氏 販売サイトも、買うシーンをテストでやってみたら代金をもらいづらいんですよ。送り先を聞いて本を選んで「送信」って押すと送られちゃう。代金をもらうタイミングがなくて、送った後におずおず「400円です」とか言いにくい。それは販売サイトで合計金額が最後にしか表示されなかったからなんです。なので本を選んだ瞬間、「送信」を押す前に合計金額を表示してくれと。それでようやく送る前に「400円です」って言えるようになった。

米光氏 PDFとかEPUBって、電書をやってれば知ってるけど、読者である場合は知らなくてもいいことなんですよね。というか知らない人はたくさんいる。だからそこもなるべく気にしなくてもいいように、シンプルに、シンプルにって。PCとiPadとiPhoneとkindleで読めますと。で、それぞれの持ってるモノで、それならこれで読んでくださいって決めウチにしてるんです。PDFって何? って分かんなくても読めるように。技術系の人は「いやこのデバイスならこの形式でも読めるし、これもいける。それをちゃんと全部書いておくべきだ」って言う人もいるんですけど、そうすると知らない人は混乱しちゃう。で、自分がもってるモノの名さえ分かれば、iPhone持ってるとか、PCなら持ってるって分かれば、迷うことないようにしよう、と。

【7月7日22時39分配信 誠 Biz.ID
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100707-00000077-zdn_b-inet
 
   
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